民主党 衆議院議員 えだの幸男 OFFICIAL HOMEPAGE

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EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター

枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。



英国訪問報告
訪問期間(2001.12.09-2001.12.15)
EDANO Yukio / E-mail News Letter
Vo.47~Vol.50(2001.12.18-2002.01.18)Vol.58(2002.03.14)記載分
「国会通信」Vol.33 記載分
「日本で第三の道は可能か?」2002年1月オープンミーティング抄録



 
枝野幸男は、2001年12月9日~15日にかけて、
「英国外務連邦省の賓客」として英国を訪問しました。
ここでは、その報告をまとめて掲載します。



●Eメールニュース記載分目次
導入部 >>> 第1回 >>> 第2回 >>> 第3回 >>> 第4回

●議院内閣制の本家を訪問(国会通信記載分)

●関連記事  「日本で第三の道は可能か」






議院内閣制の本家 英国ロンドンを訪問


2002年の重要テーマについてしっかりと充電

枝野は、臨時国会閉会後の12月9日から15日までの日程で、 ロンドンを訪問しました。これは、英国が毎年、政治・行政・経済などの 若手リーダー数名を招待しているもので、 一般の海外視察が複数の議員によるのと比べて、単独で見学や会談ができたことから、 非常に有意義な訪問となりました。 今年、日本政治の大きな争点となりうる下記のテーマを軸に、十分な勉強を積んで新年を迎えています。

①議院内閣制下での首相のリーダーシップ
日本では、首相と与党の食い違いがしばしば問題になります。 英国は、与党幹部が内閣に入って一体化した上で、官僚をしっかりとコントロールしています。 そのノウハウとシステムを学んできました。

②金融先進国から見た日本の不良債権問題
言うまでもなく、英国は米国とならんで世界の金融の中心です。そうした視点から、 日本の不良債権問題をどう認識しているのか。 また、その解決策はどこにあるのか。イングランド銀行や政府関係者から、意見を聞いてきました。

③「第3の道」の雇用政策・福祉政策
英国労働党のブレア政権は、サッチャー革命による経済自由化路線を前提としつつ、 雇用や福祉などのセーフティーネットをしっかりと張る「第3の道」を堅実に歩んでいます。 民主党の進むべき方向を決める上で、示唆に富んだ話しを聞くことができました。

④英国労働者党の政権戦略
労働党は、10年以上の野党生活に耐えて政権をとり、安定政権となっています。 党内の意見集約、広報戦略など、「万年野党体質」に陥らず、どうやって政権を獲得したのか。まさに、民主党にとって最も重要なテーマを、しっかりと検証してきました。



 

ENEWSVol.47
2001.12.18 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 

メールマガジン発行の間隔が
少し開きすぎてしまいました。
ごめんなさい。

実は、9日から16日まで
英国ロンドンを訪問していました。
その準備や、帰国後たまっていた案件の処理で
少しバタバタしています。

今回の訪問は、英国政府の招待です。
長期的な視点から
政府として外国の人間を招待し、
英国の事情に詳しくなってもらうことを目的に、
日本からも毎年数人ずつ
招待されているようです。
今年の日本からの訪問は
全部で5人だそうですが、
政治家は私だけです。

一般の海外視察の場合は、
数名による訪問団が組まれますので、
個人としての希望よりも
団全体の憩うが優先します。
しかし今回は、
私一人のために
ミーティングが組まれ、
通訳が付いてくれましたので、
訪問先の希望も
また訪問先での質疑も
充実したものになりました。

訪問の主なテーマは
金融問題
雇用対策を中心とする「第3の道」について
政府における政策決定システム
英国労働党の政権戦略
でした。

次回から数回に分けて
訪英報告をお届けするつもりです。


 
 

ENEWSVol.48
2001.12.21 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 

英国訪問報告 第1回

9日から16日まで
英国政府の招待で
ロンドンを訪問してきました。
そのご報告を
4回に分けてお伝えします。

今回の訪問は
12月9日(日)11時成田発の
英国航空への搭乗で始まりました。
12時間のフライトですが
時差9時間の関係で
午後2時にヒースロー空港に到着。
英国外務省嘱託の通訳相沢さんの出迎えと案内で
ロンドンに向い
その日は宿泊先の
Rubens Hotelにチェックインして終了。
時差がつかないように
一息ついた午後5時頃にホテルを出て
一人で地下鉄に乗るなどして
ロンドン市内をぶらつきました。

翌10日は朝9時にスタート
英国外務省の担当者Gwenda Scarlettさんと
通訳の相沢さんから
アテンドされた日程について
具体的な説明を受けた上で
ホテルを出発しました。

1 シンクタンク

最初の訪問先はIPPRというシンクタンク。
直訳すれば公共政策研究所となるのでしょうか。
こちらで、10時から1時間
社会政策担当の主任研究員である
Will Paxtonさんからお話を伺いました。

英国のシンクタンクは、
それぞれ政党との関係が深く
IPPRも労働党との関係が深いが、
資金的関係はなく、
むしろ資金提供を受けると違法になるとのこと。
あくまでも民間からの資金で運営されているそうです。

Paxtonさんは、年金と介護についての専門家で、
これらについても伺いましたが、
最も興味深かったのは、資産形成という問題です。

これは、これまでのような富の再分配というだけでは
不平等を解消することはできないとの前提で、
すべての人に必要な資産を持たせるようにしよう
との考え方です。
この前提には、英国にはまったくの無資力者が多い
という背景があります。
不動産などの資産がないだけではなく、
銀行口座や生命保険などまで含めて、
一切の資産を持たない人が多いのです。

こうした視点から、
ベビーボンドという政策が準備されています。
これは、出生時に
500ポンド程度の資金を政府が提供し、
18歳まで使えないことにして、
無資力者を作らないようにしようという政策です。
使い道を制限しようという議論もありますが、
むしろ金融教育との組み合わせが大切との方向で
準備が進められているようです。
つまり、この制度によって
低所得者にも貯蓄という概念を理解させ、
また、その癖をつけようとしているようです。

貯蓄過剰が問題視される日本では考えられない政策ですが、
単なる補助・支援ではなく、自立を促す政策が大切なのだ
という現政権の理念が、具体的に示されていると思います。

2 学者

次の訪問先はLondon School of Economics and Political Science。
11時半から約1時間あまり
国際史の名誉教授であるIan Nishさんと
日本経済・社会史専攻の上級講師Janet E Hunterさんから
日本をどう見ているのかについてお話を伺いました。

予想どおり金融改革の必要性を強調されましたが、
注目すべきは、
小泉首相に対する評価を確定するのにはまだ早い
と見ていることです。
何よりも彼の政治思想の根本が
右なのか左なのかよく分からない
と指摘されました。
右・左の意味は、
労働党・保守党の二大政党が確立している英国での表現ですから
日本での意味とは違うと思いますが、
理念の点に疑問を感じているというのは、
「外からの目」ならではかもしれません。

3 金融サービス庁

昼食を取って午後2時には
金融サービス庁を訪問し、3時まで
リスク査定部門のTerry Allen氏からヒアリング。

英国の銀行検査は
かなり独特のシステムであることを
認識しました。
金融機関の自己資本比率については、
国際基準で8パーセント以上となっていますが、
英国では、8~25%の範囲で
当局が銀行毎に別々の数字を適用するシステムに
なっているそうです。
その代わり、
英国には不良債権の分類がなく、
個別債権の査定をする代わりに、
自己資本比率に対して強い規制をする
という考え方を取っています。
また、具体的な検査そのものは、
金融サービス庁と契約した外部の会計法人に委託するとのことで、
日本でも参考にできないか、今後検討したいと思います。

4 ダイニング・テン

この日の公式日程の最後は、
午後4時から30分ほど首相官邸で
首相の上級政策アドバイザーである
Carey Oppenheimさんからヒアリング。

噂には聞いていましたが、
ダウニング・テンと呼ばれる英国首相官邸は、
本当に小さな普通の家でした。
玄関先に通じる路地の入り口で
セキュリティー・チェックはされますが、
玄関を入っても大きなホールや受付があるわけではなく、
内部も本当に狭くて普通の家のようです。
首相のリーダーシップと、官邸の物理的機能とは
まったく相関関係がないことがよく分かりました。

Oppenheimさんからは
主に「第三の道」の理念について伺いました。
そのポイントは、福祉において
「機会と責任」「権利と義務」という概念を重視すること。
かつての労働党は、富の再配分を重視していましたが、
これに加えて責任性を重視しています。
また、個人により重点を置き、
単に職の数を問題とするのではなく、
その職を遂行する個人のモチベーションを重視している
と強調されました。
また、公共サービスの提供はしっかりと行なうが、
その提供主体としてボランティア組織などの
民間セクターを活用する方向に進んでいるとのことです。

ただ、「第三の道」が上手くいっているのは
好況によって労働市場が拡大してきたことに助けられている
ということも、
率直に認めていました。

また、アドバイザーの役割について、
あくまでも首相に対する意見具申をするにとどまり
政策の責任者は各省の大臣である
ということを強調されました。
もっとも、官邸にいると
他分野のアドバイザーと意見交換し
総合的な政策調整が容易である旨を認めており、
結果的に、政策の全体像は
官邸のアドバイザー・グループが主導し、
それを首相が各大臣に徹底する
という側面が強いように受け止めました。

5 邦銀ロンドン支店

この後、一度ホテルに戻り一息ついた後、
午後6時すぎから中華料理店で
三菱信託銀行ロンドン支店長の掛川洋さん
同銀行の現地法人社長の若林辰雄さん
資金証券課長の今井豊さんと会食。

金融政策などで日頃からアドバイスをいただいている
エコノミストの中前先生から
「せっかく英国に行くのなら
シティー(ロンドンの金融街)で働く日本人から見た日本
について聞いてくると良い」
と進めていただき、ご紹介いただいたものです。

予想されたとおり、
日本の金融改革に対する強い期待をうかがいましたが、
いまのところ、ジャパン・プレミアムは
深刻な問題になっていないとのことです。

この日は午後9時にホテル着。
時差でだいぶ前から眠気をこらえていましたので、
ぐっすりと眠ることができました。

つづく

ENEWSVol.49
2002.01.07 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 

英国訪問報告 第2回

明けましておめでとうございます。
不況が続き、混迷の中の年明けとなりましたが、
こんな時代だからこそ、
政治の現場に身を置かせていただく者の責任を
より一層強く感じています。
今年こそ、
明日に明るさを感じられる年になるよう、
さらに努力したいと決意しています。

さて、年末年始は
いくつかのテレビ番組に呼んでいただきました。
年末に収録した「たけしのTVタックル」が
7日に放送されますが、
「ハマコー」こと浜田幸一元代議士の迫力には
圧倒されてしまいました。
テレビの討論番組は、
出来の善し悪しがあっても
それなりに自分のペースを作れるのですが、
この番組では
浜田元代議士の独壇場になってしまい、
世の中には色々な人がいるもんだ、
と感じた次第です。

さて、年を越してしまいましたが、
訪英報告の第二回です。

12月11日(火)

この日は朝9時にホテルを出発。
9時半から一時間、Demosという民間シンクタンクで
調査員のRachel Juppさんから話を聞きました。

ここでの話で面白かったことの一つは、
シンクタンクの役割が日本と異なっていることです。
ここで議論され提起されるのは政策的アイデアまでで、
その経費や効果に関するシュミレーションにまでは
原則として踏み込まず、
こうしたシュミレーションは
大きな方向性が政治的に決定し、
それを実行に移そうとする時点で
官僚機構が実施するそうです。
大きな方向性の議論よりも
具体的な各論の緻密なシュミレーションが求められ、
こうしたレベルの議論で混乱する日本の意思決定とは
ある意味では全く逆のアプローチです。

もう一つ興味深かったのは、
「第三の道」の位置づけです。
中央集権的で創造性・革新性・企業家精神を奪う古い社会主義も、
平等や機会均衡に光があたらず
正義の視点から受け入れ難い非人間的なサッチャー資本主義も、
ともに新しい社会に適合しないことを認識し、
非集権的な市民社会において、
社会的市民的企業精神を養うことによって、
「平等の精神に基づいた社会的正義を市場社会に取り入れる」
という「第三の道」の定義については
日本で聞いている話と違いはありません。
ただ、「第三の道」は新しいイデオロギーではなく、
経済成長と社会的正義という目標達成のために、
問題解決のための最も機能的な手法を柔軟に選択しようという
もっと実利的な考え方であることを
たいへん強く聞かされました。
日本では「第三の道」を
一種のイデオロギーや理念として受け止めがちですが、
政策選択や政策推進のアプローチの手法と考えた方が
どうやら現地の感覚に近いようです。

この日、二軒目の訪問先は保健省で
11時から一時間半かけて
高齢者介護の担当者5人と話をしました。

英国でも介護サービスについては、
民間がサービスを提供する方向に進んでいます。
介護保険は導入されていませんので、
民間のサービスを公費で買って個人が利用する形式です。
民間の活用の結果として
最近十年で民間在宅ケアは十倍増になっているそうですが、
興味深いのは、
在宅ケアにおけるよるサービス提供時間は65%増えているのに対し、
サービスを受けている世帯数は25%減少しているということです。
つまり、サービスは増やすけれども、
それを必要性の高い人に集中的に提供しようという考え方を取っているのです。
もっとも英国は貧富の差が大きく、
また保険方式でなく公費による介護であるため、
富裕層は自費でレベルの高い介護サービスを購入しており、
保険方式で最低限の介護を全ての人に提供しようという
日本の考え方とは異なっています。
しかし、そうした違いを考慮しても、
「本当に必要性が高い人に集中してサービスする」という考え方は
日本でも参考にできるのではないかと感じました。

この日の昼食は
英国外務省の日本担当者との懇談。
こちからが勉強するというよりも、
日本の政治経済の状況について色々聞かれました。
やはり第一には、
金融を中心とした日本経済の行方について
たいへんな危機感を持っていることが感じられました。
また、小泉改革が本物であるのかどうか、
かんり懐疑的に見ているという印象を持ちました。

午後は3時から5時まで労働年金省で、
年金運用部門の担当者と労働福祉戦略の責任者からヒアリング。

まず何よりも驚いたのは、
労働と年金が一つの役所であると同時に、
この役所で扱う「労働」というのは、
失業対策や職業訓練の範囲にとどまり、
労働基準法的な分野については、
経済産業分野と一緒の別省庁になっているということです。
確かに、生涯を通じての所得を確保するという意味で
失業対策などと年金とが一元的に扱われることには
それなりの合理性がありそうですし、
労働基準の設定の仕方で経済産業に大きな影響を与えますから、
まったく、理由のない話ではありません。
しかし、日本でこのような役所の区分をしたら、
経済産業の視点が優先して
労働基準がおろそかにされてしまいそうな不安があります。
もっとも日本の労働行政がうまくいっている訳ではありません。
少しじっくりと考えてみたいと思いました。

日本でもすぐに参考になると思ったのは、
パーソナル・アドバイザーという仕組みです。
これは、長期失業者に対して、担当のアドバイザーを置き、
適性の判断や再訓練、就業支援まで一貫して担当させるものです。
日本でも、こうした支援をそれぞれ別々に行なっていますが、
せっかく再訓練を受けても就職につながらなかったり、
適性を考慮しない職業紹介がなされたりと、
うまくつながっていません。
パーソナル・アドバイザーは
別に高度の教育を必要とするのではなく、
それまでの労働行政の担当者が
6週間程度の研修を受けているだけです。
日本の場合、長期失業者への対応よりも、
失業直後から対応することが必要になると思いますが、
何とか応用できないかと検討しています。

この日は、6時前にホテルに帰着。
有名なハロッズ百貨店をぶらついて寿司バーを見つけ、
日本なら回転すしでももっと上手いだろうという夕食に
普通の寿司屋なみの料金を払って後悔しました。

つづく

ENEWSVol.50
2002.01.18 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 

英国訪問報告 第3回

政治家にとって1月は新年会に追われる毎日です。
呼ばれてもいない新年会に
押しかけで出席する議員もいるようですが、
私の場合は、お招きいただいた新年会にしか出席しません。
それでも、一年ごとに呼んでいただける場が増えて、
日程が調整つかないケースも出ています。

さて、英国報告も後半。
日程三日目、12月12日水曜日です。

この日も9時にホテルを出発。
まずは9時半から1時間、内閣府を訪ねました。
内閣府はいつくかの建物に分かれているようですが、
私が訪ねたのは凱旋門として建てられ、
今も一般道路をまたいで立つ建物です。
こんなところにも、英国の歴史と
街並みを大切に保存しようという姿勢が
具体的に表れています。
政策決定プロセスを中心にお話を聞いたのは
政府運営・政策研究センター<CMPS>の
主要政策アドバイザーJohn Connor氏。

英国は、慣習法が中心の国ですが、
政策決定にもその文化が表れていて
規則やシステムという考え方よりも、
経験的な蓄積に基づいて
柔軟で臨機応変に組織も次々と変わっています。
最近は、省庁間における
コーディネートの重要性が意識され、
クロス・カッティング・ユニットという
省庁横断的なチームが
内閣府に設置されるようになっています。
また、総理直属の政策実施ユニットも設立され、
実施が上手くいっていない
犯罪・健康・教育・交通の四分野について
担当省庁をバックアップする仕組みになっています。
ユニットに政治家は含まれませんが、
行政官庁の外からも人材を入れる努力がなされているそうです。
また、政治がかかわる問題については、
関係閣僚会議とその下部委員会を設けて対応しています。

Connor氏も官僚ですが、
彼に限らず、お話を聞いた官僚が
「方向を決めるのは政治の仕事であって、
官僚はその決められた方向性に基づいて
実施するための役割を担っている。
一方で、その実施については、
自分たちが責任をもって進めている。」
という明確な役割意識を持っていることが
強く伝わってきました。
日本で官僚主導が問題になるのは、
方向性を政治が決められずに、
その部分にまで官僚が介入しているところにあります。
英国での経験の中で、
まずは政治が方向性を明確にすることが
官僚支配を打破するための第一歩であることを
改めて認識しました。

次いで11時に国会議事堂に到着し、
まずは議事堂内の見学。
入り口では厳重なセキュリティー・チェックがありましたが、
内部は日本以上にオープンで、
議場そのものに入って見学できました。
別に日本の議員だからということではなく、
一般の見学者も
ブレア首相が立つ発言席まで行くことができます。

1時間余りの見学の後
日本議連の会長でもある
労働党のRoger Godsiff下院議員らと昼食懇談。
英国では院内幹事というポストが
党議に所属議員全員を従わせ、
造反を押さえる役割を担っていますが、
その手法は、ムチではなくてニンジンによるとのことです。
つまり、党議違反に対してペナルティーを課すのではなく、
党議に忠実な議員ほど
希望するポストなとが手に入りやすくするとの方法です。
党内の予備選挙の仕組みが確立していることもあって、
少しばかり変わった議員がいても、
選挙区が認めているのであるから、
特に問題にはしないという姿勢です。
ペナルティー付きの党議がないことと裏表の関係で、
個別の政府提出法案について、
与党の承認手続きのようなものは存在しません。

最後に、党首討論と訳されている
総理と野党党首との討論を見学しました。
もっとも、完全な党首討論ではなく、
党首以外の議員も質問していました。
それどころか、与党議員からの質問もあります。
30分の短い時間ですが、
1回の質問も答弁もたいへん短いので、
全部で15問くらいのやりとりがありました。
その内の半分程度が党首からの質問で、
残りが一般議員からです。
英語のできない私でも、
退屈しないくらい活気があって
面白いやり取りでした。
日本の党首討論や予算委員会を活性化するには、
1回の発言を1分以内に制限するような工夫が
必要ではないかと感じました。

議会を出て午後4時半から1時間、
労働党本部へ。
国際局長のNick Sigler氏からヒアリング。

万年野党から脱却し、
97年の総選挙で勝利したのは、
それまでの敗因を克服したことが主因である
と強調されました。

それまで負け続けた理由としては、

1) 一般市民との接触を失い、
内向きな議論、特にイデオロギー論争ばかりしてきたこと。
市民のニーズを無視し、
核廃棄のような、市民の関心の薄いテーマについて
党内の激しい論争を続けてきた。
当時は「負けるのは選挙民が悪いのだ」という言い方が
まかりとおっていた。

2) 内部が混乱し、
これを上手くマネージメントするプロとしての能力を欠いた
非効率な組織であったこと。
これによって、こんな組織に政権を持たせたら、
政府が混乱すると思われていた。

3) 広い支持層を自分から拒否し、
政治的に純粋ではあるが、狭い対象の党となっていたこと。
中間層を取らないと勝てないのだから、
政治的妥協が必要で、ラジカルな意見は切り捨てざるをえない。
労組との関係も同じで、
特定組織の代表と思われてはならない。
労組には
「公正さをもって対処するが、恩典は与えない」
との姿勢が重要である。
といったことを挙げていました。
まさに、今の民主党にも当てはまりかねない議論です。

民主的であろうとすれば、
常に様々な議論があるのは当然で、
民主的な党では常に
混乱の要因を抱えることになるが、
これをうまくマネージメントする
プロとしての能力が問われるのである
と指摘されました。
議論を窒息させるのではなく、
上手く活用することが必要であり、
特に、反対党やメディアに
分裂を利用されないようにする工夫が
何よりも大切であると
忠告を受けました。

この日の夜は、
今回のプログラムで唯一の息抜きタイム。
といっても、英国の文化や生活にも触れて欲しい
という先方の希望に合わせて
ハムレットの観劇をしました。
シェイクスピアは、今でも
英国演劇の基本であり、
国立シェイクスピア劇団が維持され、
客席は満席でした。
もっとも、最近のシェイクスピアは、
衣装なども現代風にアレンジされており、
その点は残念でしたが、
7時に始まって11時までかかる大作で、
言葉がわからなくても
十分に見ごたえがありました。

英国の街中では、
さまざまな人種・民族の人たちを
多数見かけましたが、
この劇場の観客は
ほとんどがいわゆる白人の皆さん。
文化の違いや、階級社会として側面などを
感じざるを得ませんでした。

次回はいよいよ英国報告の最終回をお送りします。

ENEWSVol.58
2002.03.14 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 

あまりにも遅くなりすぎましたが、
ようやく予算委員会が一段落しましたので、
英国訪問記の再終回をお送りします。
訪問の実質四日目、12月13日です。

この日の朝は少しゆっくりで、
10時過ぎにホテルを出発。
10時半から1時間ほど
首相官邸で
経済政策担当の首相補佐官
Derek Scott氏と会談しました。
同氏は日本の金融にも詳しく、
私の師事するエコノミストのN氏や
仙谷由人議員からも、
英国に行ったら是非話を聞くようにと
アドバイスを受けていました。

同氏からも
通貨・為替の一層の緩和が必要
との話がありましたが、
注目すべきは、
小泉内閣の半年余について、
話ばかりで実行が伴っていない、
との指摘があったことです。
特に、いわゆる構造改革にあたっては、
スピードが伴わないと痛みや反対が大きくなり、
メリットを享受するする前に挫折しかねない
との見解で、
訪問から2ヶ月余経過し、
まさに危惧した状況が深まっています。

同氏からは、
これから2年程度はたいへん苦しいが、
5年後を目指して努力すれば
見通しは明るいとの激励を受けました。
まさにこうした立場から
長期的シナリオを描くことが
必要であると思います。

正午にイングランド銀行を訪ね
金融安定担当理事のAlastair Clark氏、
金融安定担当の上級経済補佐官Jakob Lund氏
の二名と会談しました。
30分の予定が1時間におよびましたが、
やはり、不良債権処理の必要性を強調されました。
また、より一層の円安についても
基本的には容認との立場でした。
ただ、一つや二つの政策で解決するものではなく、
複数の政策をパッケージとして
同時に実行する必要があることを
指摘されました。

午後2時から1時間半ほどは、
大蔵省で
国際経済局長のAndrew Kilpatrick氏らと会談。
英国経済への自信と
日本経済に対する不安を
強く感じました。
金融改革について
外からその進展が見えなければならないのに、
小泉内閣は期待に反して
ほとんど変化を与えていない
とのいらだちを示しました。
このままでは、
数年先にさらに深刻な問題になるとの見方もある
と指摘されました。

最後にお会いしたのは
政策研究センター所長のBlackwell卿。
メージャー首相の首席補佐官を務めた上院議員で、
午後4時半から議会内で面会しました。

同氏の話で最も印象的だったのは、
英国を大陸欧州の仲間と位置付けるよりも、
米国と兄弟のアングロサクソンの国と見ていることです。
ブレア政権の姿勢について、
「英米における自由経済の立場を放棄し、
 大陸の社民主儀に擦り寄って
 けしからん。」
と批判していました。
経歴からして
少し極端な言い方かもしれませんが、
象徴的な表現です。

英国では、
保守党の市場万能主義的立場と
古い労働党の社会民主主義との間に
日本で想像する以上の理念的差異があり、
だからこそブレア氏などの
「第三の道」が
新しい考え方として意味を持ったのだ
と思います。
劣勢に立たされた保守党市場万能主義からは、
なんとか「第三の道」も
古い社民主義と同じだというレッテル貼りをしようと
悪戦苦闘しているようです。

日本の自民党は、
サッチャー氏と比較をされる中曽根氏ですら
社民主義的色彩が強く、
当時民営化路線とは言っても、
国鉄・電電・専売の三公社の民営化にとどまりました。
政府そのものの縮小や特殊法人問題は
手がつけられずに現在に至っています。
理念的に明確に差異があった英国で
「第三の道」が理解されたのに比べて、
日本ではなかなか理解されにくいもの
ある意味当然です。
この点の工夫と応用が求められます。

以上で全日程を終え、
翌14日午前発の便で帰国しました。
たいへん充実した訪問でしたが、
海外に行くたびに
言葉の壁を感じて帰国します。
また、あまりにも硬派の日程を入れすぎて、
英国の市民生活や文化などに触れる機会が
少なすぎたことは残念です。

また、機会があれば
見聞を広げて
政策立案に生かしたいと思います。

さて、予算審議は参議院に移りましたが、
衆議院でも
外務省問題の補充的審議要求や
鈴木宗男氏の再喚問要求など
予算委員会理事会の動きは続いています。
また、政策調査会長代理という
本来の職務にも復帰しました。
なかなか一息つく間もありません。

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