EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター
枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。
Vol.198(2008年11月11日)
【経済危機の原因】
米国で新大統領が決まる一方で、
日本の政治は、残念ながら閉塞状況が続いています。
そんな中においても、
米国の金融危機に「端を発する」世界的不況の波は、
日本の実体経済にも深刻な影響を与えています。
既に言われているように、今回の事態は、
米国型金融資本主義と市場原理主義の行き詰まりです。
そしてそれと同時に、
輸出偏重と消費者軽視、さらには株価偏重と間接金融軽視という、
日本の経済システムそのものも、
転換を迫られていると受け止めています。
輸出から内需へとのスローガンは、
これまでも言われてはきました。
これが成功していれば、
米国経済失速の影響も相対的に小さかったはずです。
しかし、この十年来の経済政策は、
その方向性とは逆行していました。
国内の消費を拡大するためには、
消費者の購買力を高めることと、
消費者のニーズに合致した供給を行うことが必要なのに、
逆方向の政策誘導を進めてきたのです。
購買力を高めるには賃金上昇が必要ですが、
収益力の乏しい中小零細の労働分配率は、
すでに極限に達しています。
一方で、せっかく輸出で稼いできた製造業大企業は、
過去最高の収益をあげた時期にも、
むしろ労働分配を低下させてきました。
これを加速させてきたのが、
労働者派遣法の緩和や、偽装請負への大甘な対応です。
さらに、定率減税の廃止等で可処分所得を低下させた上に、
年金・介護等の将来不安の増大で、
貯蓄のある層の購買意欲も奪っていきました。
一定の「モノ」があふれる一方、
少子高齢化が進む現代社会において、
消費者の購買意欲を刺激する余地が大きいのは、
医療・介護・保育・教育等のサービス関連です。
ところが、これらの産業の多くの部分において、
安い賃金とそれによる人手不足を背景に、
質量ともに期待される供給がなされていません。
そして、これらの産業のかなりの部分において、
これまた質量ともに政府が供給を管理しています。
現在、銀行による貸しはがしが問題となり、
公的資金注入を議論せざるを得ないのは、
多くの銀行が、資金の貸し出しではなく、
株式や証券化債権への投資に
多額の資金を注いできたからです。
その株式や証券化債権の値下がりを受け、
貸出資金を回収して
財務内容を改善しなければならないのです。
確かに証券市場の活性化に意義はありますが、
一方で日本経済の大部分を占める中小零細企業にとって、
株式市場や証券市場による資金調達には縁がありません。
外国人投資家による株の投機的乱高下によって、
銀行の本来の役割である
中小零細企業への資金供給が損なわれるのは、
文字どおり本末転倒です。
一時国有化や公的資金注入で
銀行を公的管理下に置きながら、
本来の融資業務中心へと転換させなかったツケが、
今、中小零細企業にしわ寄せされているのです。
このように、不況を拡大させている構造的要因は、
これまでの国内経済政策にあります。
米国の金融危機は、これを顕在化させた契機にすぎません。
こうした本質を認識することなしに、
いくら「経済対策」に税金を注ぎ込んでも、
カンフル剤やビタミン剤や、せいぜい痛み止めに過ぎず、
経済の根本的な回復にはつながらないと見るべきです。
痛み止めの必要性は同感ですが、
同時に根本的な構造転換につながる
抜本的な政策転換を進めることを訴えていきます。