EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター
枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。
Vol.190(2008年2月12日)
【消費者オンブズマンの提案】
昨年の相次ぐ食品偽装に続き、
農薬入り冷凍餃子の問題が発生して、
消費者政策への関心が高まっています。
これに対して政府与党は、
消費者行政を一本化する方向を示しています。
しかし、既存の枠組みの中で消費者行政を一本化しても、
実効性に乏しいものとなる可能性が高いと思います。
消費者行政の対象となる範囲は、
千差万別、多種多様です。
食品安全、薬の安全、医療事故、訪問販売、割賦販売、
多重債務、製造物責任、設計偽装などなど。
どんな製品やサービスが問題となるのか、
あるいは、どんな形態の取引が問題となるのかなど、
あらかじめ限定列挙することは不可能です。
こうした消費者行政を一本化するといっても、
可能なのは苦情相談窓口の一本化にとどまります。
例えば食品なら農水省と厚労省が、
建物なら国交省が、
工業製品なら経産省がというように、
生産者・事業者を所管する官庁と権限が残ることは、
残念ながら避けられません。
この場合、苦情相談窓口官庁ができたとしても、
歴史と権限と人員を要する従来官庁が相対的に強い力を持ち、
消費者保護が後手に回る現状は
そう大きく変わらないでしょう。
消費者の立場を守るのに必要なのは、
事業者側に近い各省庁と横並びの消費者相談窓口官庁ではなく、
総理大臣に準ずる権威と
各省庁に優越した力を持った新しい仕組みです。
私は、仮称「消費者保護官」、
通称「消費者オンブズマン」を提案しています。
オンブズマンは、
国会が指名して(議員から選ぶわけではありません。)
天皇が認証し、
5年以上の長期の任期を保障することで、
総理大臣に準ずる権威を持たせます。
主務官庁を問わず、あらゆる法制上の権限を援用できることとして、
事業者に対する強力な調査・指導・勧告をなさしめるとともに、
内閣に対する勧告権や、
国会に対する助言の権限を認めます。
国民生活センター等を母体に事務局を設け、
既存の内閣に対して一種の第四権的な位置づけとします。
消費者を守るために、
既存の法制度を必要に応じて援用するという意味では
本来の主務官庁を問わないオールマイティーな権限を、
新たな制度設計等については
国会の立法権独占に反しない範囲での最大限の提案権を、
それぞれ確保することとします。
ちなみに、憲法41条は、
国会を「唯一の立法機関」としていますが、
65条は「行政権は、内閣に属する」とするのみで、
内閣以外の行政的機関を排除していません。
私は、消費者行政を本格的に機能させるなら、
このように第四権をつくるくらい
大胆な仕組みをつくる必要があると思います。
社会が複雑化し、グローバル化が進むほど
消費者から生産者が見えなくなり、
悪質な生産者が存在しうる余地が拡大します。
そんな社会状況に的確に対応するには、
従来の思考から抜け出さなければなりません。
その意味で、消費者オンブズマンという新思考の提起で、
すみやかな議論を喚起したいと思っています。