EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター
枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。
Vol.185(2007年09月28日)
【偽装請負と財界の見識】
安倍内閣が総辞職し、
福田内閣が発足しました。
安倍前総理が直前で辞意表明して中止になった
衆議院の代表質問は、
10月3日に開かれる見込みですので、
国会の空転は半月を超えることになります。
この間に、
私が予算委員会で追及していた
キヤノン宇都宮工場での偽装請負について、
厚生労働省栃木労働局から是正指導がなされました。
キヤノンの御手洗会長は日本経団連会長として
総理の交代などについて色々コメントしていますが、
私の知る限りでは、
偽装請負が認定されたことについて
反省や謝罪のコメントは見当たりません。
偽装請負というのは、
労働者派遣法に反する明確な違法行為です。
しかもキヤノンは初犯でなく、
各地の事業所で相次いで是正指導が繰り返されています。
こうした企業のトップとして反省の色の見えない人物が
日本経団連会長という財界トップの地位にあること、
そして、経済財政諮問会議議員という公的な立場にあることを、
財界関係者や政府関係者はどう考えているのか。
キヤノンという一企業の問題を超えて
財界などの良識が問われていると思います。
また、キヤノン宇都宮工場は、
偽装請負の労働者を
期限付きの正社員に採用しました。
正社員にしたことは前進ですが、
期限付きですから期限が来たら解雇される可能性があります。
数年にわたって偽装請負の形で
正社員と変わらない働き方をしてきたのですから、
単に期限が到来したからといって解雇することは許されません。
執拗に粘り強く
この問題の行方を追いかけていきます。
Vol.184(2007年09月13日)
【決算行政監視委員長】
臨時国会が召集されました。
参議院選挙の結果を受けた実質的な論戦が展開される、
最初の国会ということになります。
参議院選挙の結果は、
民主党の勝利というよりも自民党の敗北です。
選挙結果を受けて、
驕ることなく期待に応えていかなければ、
民主党への期待は失望へと変わっていくでしょう。
この国会での言動は、
そうした意味で大変重要だと思います。
私は、この国会から、
衆議院決算行政監視委員会の委員長を務めることになりました。
各委員会の理事も衆議院の役職ではありますが、
基本的に各党会派の意見を主張するのが役割で、
院の仕事というよりは党の仕事という側面が大きいのに対し、
委員長は中立公平に委員会を運営するのが仕事です。
そうした意味で、
今回はじめて、
党の仕事ではなくて院の仕事をすることになります。
特に決算行政監視委員会は、
税金の使われ方や役所の不祥事などをチェックする委員会です。
私が一貫して訴えてきている
「利権・バラマキ・先送りを許さない」という目標を達成するのに、
まさに絶好の舞台ですし、
今の政治に対する不信を解消するためにも
大きな役割を果たしうる委員会です。
もっとも委員長というのは、
中立公正に運営するいわば行司役ですので、
自分の思ったとおりに行動することはできません。
各党の理事の皆さんとしっかりコミュニケーションしながら、
仕事を進めていかなければなりません。
しかし、行政を監視して予算のムダづかいをチェックする仕事は、
党派を超えた国会としての共通の役割ですから、
各党の理事の皆さんの協力を得て、
今まで以上の役割を果たすことも可能だと思います。
与えられた役割と機会を生かして、
しっかりと仕事をしていきたいと思います。
[追記]
以上のメールマガジンを発行しようとしたところで、
安倍総理辞意表明のニュースが飛び込んできました。
参議院選挙の結果を踏まえれば、
一刻も早く総辞職か解散総選挙をするのが
憲政の常道ですが、
2日前に本会議で所信表明をしながら、
なぜこのタイミングなのか、
理解することができないでいます。
Vol.183(2007年08月07日)
【参議院議員選挙】
参議院議員選挙が終わりました。
おかげさまで民主党は参議院第一党となり、
自民党の歴史的大敗という見出しが躍りました。
埼玉でも目標の二議席獲得を実現することができました。
この選挙でも多くの皆さんから
さまざまな形でのご支援をいただき、
感謝の気持ちでいっぱいです。
民主党に大きな期待をいただいた選挙でしたが、
勝利の最大の要因は
自民党や安倍内閣に対する批判であると、
謙虚に受け止める必要があります。
安倍内閣があまりにも国民に目が向いていないので
民主党に期待するしかないというのが、
大方の空気だったのではないでしょうか。
また参議院で大きな力をいただいたということは、
その分責任も重くなり、
国民の皆さんの目も厳しくなるということです。
このあたりのところをしっかりと認識し
期待に応えた行動をとっていかないと、
期待が失望に変わってしまいます。
さて、この参議院議員選挙でも、
埼玉県内はもとより
北海道・秋田・山形・東京・新潟・滋賀・京都、
それに岡山・徳島・香川・愛媛。
公示前まで含めるとさらに千葉・愛知・奈良と、
各地の応援に回らせていただきました。
県内では県連代表として2名当選を目指し、
両候補の得票ができるだけ均等になるよう努力しました。
党全体の底上げをしつつ、
かといって一方に票が片寄れば一人しか当選しないわけで、
たいへん難しい選挙でした。
三人区というのは制度として無理があるというのが。
戦ってみての感想です。
改めて小選挙区制度にした衆議院選挙制度改革は
正しかったと認識しました。
それにしても安倍総理の居座りは何なのでしょうか。
安倍総理の居座りは
民主党にとって戦いやすく望ましいのですが、
日本にとっては望ましいことでなく、
複雑な思いで見つめています。
プロスポーツの世界などで、
美しくなくてもボロボロになるまで現役にこだわる
というケースはありますが、
「美しい国」を唱える安倍総理が
日本的美学に真っ向反する行動を取っていることは、
なかなか皮肉な状況だと思います。
Vol.182(2007年07月11日)
【「全体」と「個」】
延長されていた通常国会が閉会し、
政治の世界は参議員選挙一色となりました。
柳澤厚労相の「産む機械」発言に始まって、
「消えた」年金記録の問題や、
久間防衛相の原爆「しょうがない」発言まで、
今の政治の問題点が明確になった国会だと思います。
よく政治の方向性について、
「国家=全体」と「国民=個」のどちらを重視するのか
という論点が提示されることがあります。
今の日本の政治は、
「個」を軽視する傾向の矛盾が噴出していると思います。
「産む機械」発言は、
出生率・出生数という「全体」を意識する余り、
「個」としての女性やカップルに対する意識が
あまりにも希薄になっていたゆえの失言です。
「消えた」年金記録の問題を
少なくとも二月頃には認識していたにもかかわらず、
世論が沸騰するまで放置していた安倍総理の姿勢には、
「大部分は正しいのだから」という点が強調され、
具体的に記録が消されていた「個々人」の立場に対する
配慮の欠如を感じざるを得ません。
原爆「しょうがない」発言が、
原爆でなくなられた人々や
今も原爆の後遺症で苦しんでいる皆さんの
一人ひとりの命や人生に対する意識が欠如していることは、
言うまでもないでしょう。
さらに言えば、マクロの景気回復を強調して、
多くの国民が景気回復の実感を持てない状況に
何の対処も見られない経済運営にも、
同じような姿勢を感じさせられます。
政治が「個」を尊重するという場合には
すべての「個」を等しく尊重するということであり
他の「個」を害する「個」まで認めるものではありません。
「個」を強調するから
自分勝手がまかり通る世の中になっているとの論は、
一見すると説得力がありそうですが、
自他共に「個」を尊重する社会は
自分勝手とは対極にあるはずです。
また、確かにマクロとしての景気が悪ければ
個人の生活をより良くすることは困難でしょうし、
全体としての出生率が急速に低下しているという現状は、
結果的に社会全体に大きな影響を与え
多くの「個」にとっても困難な状況をもたらすでしょう。
しかし全体としての景気を良くするのも、
出生率の急激な低下を重要な問題として受け止めるのも、
最大多数の「個」の最大幸福を可能にするための手段であることを
忘れてしまっては本末転倒です。
そもそも「国家」と「国民」と
どちらを優先するのかという命題自体が
前提として間違っています。
「国家」という存在は
領土と国民と公権力によって構成されます。
国民と同じレベルで比較されるべきは公権力です。
そして、権力を持っている側が「国家」や「全体」を強調する場合、
実は優先されているのは「国民」に対する「公権力」であることが
少なくありません。
安倍内閣の姿勢は
「公権力」を「国家」や「全体」と言い換えることによって
「個」を軽視する方向に急速に向かっているように思います。
この国会で問題にされた数々の問題も、
こうした基本姿勢に結びついていると思います。
その政治姿勢の是非も
参議院選挙の大きな争点だと思います。
Vol.181(2007年06月20日)
【年金問題と情報公開】
いわゆる「消えた年金記録」の問題が
ようやく世間の注目をあびるようになりました。
長妻議員が国会でこの問題を取り上げてから
一年以上の期間が経過しています。
今回、内閣は
外堀を埋められ
もうこれ以上ごまかしようのないところに追い込まれるまで
消えた年金記録の事実や重要性を認めようとはしませんでした。
それどころかここまで大問題になっても
少しでも都合の悪い情報は隠し、ごまかそうとしています。
逆に「宙に浮いたコンピューター上の年金記録5,000万件」という
事実が国民の皆さんに伝わった瞬間に
強い批判で政権が追い込まれ
応急処置を採らざるを得ない状況になりました。
情報公開こそがすべてのスタートであり
かつ物事を改善させる最大の武器であることを
明白に物語っています。
年金という多くの国民にとって切実な問題について
過去に遡ると相当長期にわたり
いい加減な処理がされていたという現実は
年金のみならず行政に対する国民の信頼を
著しく損なってしまいました。
信頼を回復させることができるとしたら
その絶対条件も情報公開です。
「行政にとって都合の悪いことも含めて
すべての情報を隠し事なく公開しました」
こういうメッセージを発信し
それが信頼を得られない限り
どんな対策を打ったとしても
行政に対する、そして年金に対する信頼は回復しないでしょう。
行政情報の公開法は制定されましたが
その後に個人情報保護法が制定され
個人情報保護に名を借りて
むしろ行政の情報公開の姿勢はこの間後退してきています。
例えば私が予算委員会以来追及し続けている
キヤノンによる偽装請負の問題も
当局として偽装請負の案件をどの程度把握し
指導をしているのかと問いただしていますが
一切の回答を拒否され続けています。
当事者から取材をして
偽装請負があったことや
これに対して当局が指導したことが明白になっても
厚生労働省はその事実を認めようとしません。
これでは
どうやって偽装請負を防止するのかといった
改善策を議論したくても前になかなか進みません。
情報公開そのものは
年金の問題などと異なり
個々人の生活とは直接のつながりを感じさせません。
しかし国民生活に密着した課題を含めて
あらゆる政策課題について
その適否を判断する大前提として
正しい情報が正確に適切に公開されていることが求められます。
どうせバレないと思うからこそ
年金記録のようないい加減な行政処理が繰り返されるのです。
今回の年金問題を契機に改めて
情報公開の重要性を
一層の大きな声で訴えていきます。
Vol.180(2007年05月25日)
【偽装請負と財界人のモラル】
予算委員会で私が追及した問題に、
キヤノンの偽装請負問題があります。
労働者派遣法という法律では、
長期にわたって派遣されている労働者に対し、
正規雇用への転換を打診して、
労働者の求めがあれば
正規採用しなければならないとされています。
これを避けようとする企業が、
実態は派遣であるにもかかわらず
形式だけ請負ということにしているのが、
偽装請負の問題です。
つまり偽装請負は労働者派遣法に反する違法行為です。
偽装請負の疑いで問題提起されている
キヤノン宇都宮工場の派遣労働者の方にも、
予算委員会の公述人として証言いただき、
この問題の深刻さを浮き彫りにしていきました。
特に問題なのは、
偽装請負の疑いを指摘されているキヤノンの御手洗会長は、
単なる民間企業経営者ではなく、
財界トップである日本経団連の会長であり、
安倍内閣の経済財政諮問会議・議員であることです。
経済財政諮問会議は、
内閣の経済財政運営の方向を事実上左右する組織であり、
その議員であるということは、
単なる民間人ではなく、
安倍内閣の事実上の一員ということになります。
御手洗氏は経済財政諮問会議において、
現状の派遣法は厳しすぎるので改正すべきだと言っています。
現在の法律をきちんと守っている人が
「法律が厳しすぎる」と言うならば筋が通ります。
しかし、法律に反することをしておいて、
その違法な実態に法律を合わせろと主張するのは、
少なくとも公的立場で発言する資格には欠けると思います。
規制緩和とグローバル化の中で、
一部経済人のモラル低下を感じるのは私だけでしょうか。
規制緩和は法的な規制を緩めるだけで、
経済人のモラルまで緩めるものではありません。
むしろ法的規制が少なくなる分だけ、
より一層の順法精神や企業モラルが求められます。
ところが御手洗氏のような人を堂々と
ブレーンとして経済財政諮問会議に登用し、
予算委員会で追及しても
形式的答弁ではぐらかし続けたのが
安倍総理の姿勢です。
御手洗氏については、
予算委員会での参考人招致を求め続けていますが、
自民党が頑として拒否しています。
企業モラルという意味からは、
「朝ズバッ!」 における不二家報道に関して、
捏造疑惑が指摘されている東京放送(TBS)についても、
決算行政監視委員会での参考人招致を要求中です。
また、日本郵政公社の西川社長が、
数多くの企業の社外役員を併任している問題も、
近く取り上げる予定です。
モラルや道徳・倫理を強調しているのが
安倍政権の一つの特徴だと思いますが
言っていることとやっていることが食い違っています。
地道に一歩ずつ指摘して改めさせていきたいと思います。

