民主党 衆議院議員 えだの幸男 OFFICIAL HOMEPAGE

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EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター

枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。

ENEWSVol.170
2007.01.04 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



新しい年をいかがお迎えでしょうか。

昨年は、総理の交代こそありましたが、
政治全体としては膠着状況と言って良いような中、
いじめ自殺や家族間での凶悪犯罪など、
社会が崩れていくような印象を与える事件が相次ぎました。
個人的には、消費者契約法や多重債務問題など
各論で一定の成果をあげることはできましたが、
政治全体としての閉塞状況を打破できず、
忸怩たる思いの中で新年を迎えています。

今年は、4月に埼玉県議選とさいたま市議選が、
7月に参議院選挙が予定されています。
安倍内閣は早くも混迷状況に陥りつつあり、
しっかりとしたメッセージを発信することができれば、
民主党に対する期待が高まりうる状況にあります。
二つの選挙で国民の皆さんの期待をしっかりと受け止め、
政治に新たな活力を注ぎ込みたいと決意しています。

そのために最も大切なことは、
「民主党は何がしたいのか」という目標を
より明確に打ち出していくことだと思います。
選挙で勝つことも政権交代も、
それ自体が目的ではありません。
目指す政策を実現するための手段として、
選挙に勝ち政権交代する必要があるにすぎません。
その究極の目標を明確に示さなければ、
有権者からは「永田町」の内側の権力ゲームにしか見えないでしょう。

このところの民主党は、
「選挙に勝ちたい、政権交代したい」というメッセージが
あまりにも強すぎて、
「政権をとって何をしたいのか」が、
若干見えにくくなっている気がします。
「何をするために」政権交代したいのかという目標を、
国民生活の視点から強力かつ明確にアピールできるよう、
党内外でより積極的に発信・行動していくつもりです。

因習にとらわれるわけではありませんが、
たまたま昨年が後厄で今年は厄が明けました。
今まで以上に前に出て責任と役割を果たしていく決意ですので、
皆さんのご指導・ご鞭撻をお願いいたします。

 
 
ENEWSVol.169
2006.12.14 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【国民投票法制】

メールマガジンの発行間隔が開いてしまいました。
お待ちいただいている皆さんにはお詫び申し上げます。

さてこの間に、私が担当している、
国民の皆さんに憲法改正の是非を問うための
国民投票法制に関する議論が進んでいます。
自・公と民主党で若干の意見の違いはありますが、
これについてはすべて正式な公開の場で議論しています。
衆議院憲法調査特別委員会の下に正式な小委員会を設け、
委員会や小委員会での公式な会議での議論を通じ、
共通認識を構築しようという努力をしているところです。
報道ではいろいろな先入観やバイアスがかかっており、
各紙読み比べている立場としては
苦笑してしまうこともありますので、
ご関心のある方は、ホームページを通じて、
議事録等を直接お読みいただければと思います。

この問題は、
憲法そのものに対する意見の如何に関わらず、
つまりは政党間の意見の違いとは別次元で、
最終的決定をする国民の意思が
正確に反映される方法は何なのかという、
技術的問題であり合理性の問題です。
政党間の駆け引きの対象とすべきものではなく、
また、そうなりうるものでもないと思っています。
今後も、密室ではない公開の正式の場で、
何が合理的な制度かをオープンに議論していきます。

参考
衆議院憲法調査特別委員会ホームページ
こちらをクリック!

 
 
ENEWSVol.168
2006.11.15 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【ダライ・ラマ法王】

来日していたチベットのダライ・ラマ14世と
11日の土曜日に会談しました。

実は十年以上前から
日本新党で一緒に初当選した牧野聖修さんに誘われ
チベット問題に関与しています。
96年にはチベットの亡命政権がある
インドのダラムサラを訪問しました。
牧野さんを中心に
「チベット問題を考える議員の会」が作られていますが
牧野さんが落選中ということもあって
私が会長を務めています。

チベットは独自のチベット仏教をはじめとして
中国とは明確に異なった文化と歴史を有する地域です。
残念ながら中国の一部に組み込まれて以来
その独自の文化と自治が侵害される状況が続いています。
ダライ・ラマ法王は
中国による迫害と弾圧を避けるためインドに亡命し
平和的手段による自治の回復を求めて活動しています。
89年にはノーベル平和賞も受賞しました。

米国議会など多くの国において
チベットの自治回復に向けたサポートがなされていますが
残念ながら日本の動きは鈍いと言わざるを得ません。
人権と民主主義という日本が大切にしているはずの価値が
地理的にもたいへん近いところで脅かされている状況に
もっと積極的に声を上げていかなければならないと思っています。

今回の会談でも法王は
中東などで頻発しているテロを引き合いに出し
激しい行動で注目をあびることを求める声もあるとしながら
自分はあくまでも平和的手段での解決を求め続ける旨を
強調していました。
「テロとの戦い」という言葉がよく使われますが
テロという手段に走ることなく
あくまでも平和的手段で自治を回復しようという動きを支援し
テロよりも平和的手段の方が
願いを実現するための近道だということを世界に示すことこそが
テロを撲滅するための最大の戦いだと思います。
そうした意味からも日本は
もっともっとチベットに関心を持ち
支援していく必要があると思っています。



参考
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所ホームページ
http://www.tibethouse.jp/home.html

 
 
ENEWSVol.167
2006.10.25 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【多重債務問題】

予算委員会で取り上げた
消費者金融の金利問題について
政府・与党が方針転換したと報道されました。

この問題の背景には
ほとんどの消費者金融業者が
利息制限法違反の高金利を取っているにもかかわらず
罰則が課せられずに放置されている状況があります。
多重債務者の増大とそのための社会不安。
さらには利息制限法違反金利に対する
最高裁判所の厳しい判決などを踏まえて
その改善を図ろうとして議論されてきたのです。
ところが政府・与党がいったんまとめた案は
三年程度は現状を放置した上に
さらに二年間の経過措置を認め
その上どさくさに紛れて
利息制限法の上限金利引き上げまで含まれていました。
自殺者まで出している多重債務問題を
早期に解決するという目的よりも
貸金業者保護が優先していると言わざるを得ず
予算委員会で厳しく追及しました。

与党の中にも元々異論があったこともあり
世論の後押しを受けた野党の追及が
一定の成果をあげる結果になりました。
与党の中でも
後藤田衆議院議員が政務官辞職という声をあげたことで
世論喚起の点で大きな役割を果たしましたし
民主党内では地味ですが
前川清成参議院議員等が対案を用意して
与党が強行突破の場合には
徹底抗戦する構えを準備していました。
こうしたことの積み重ねが
業界保護派に大きなプレッシャーを与えたと思います。
国会は多数決の世界で
野党である以上は少数ですから
直接に主張を通すことができません。
しかし世論の後押しがあり
追及のタイミングと方法を間違えなければ
一定の成果をあげることができます。
大事なことは世論喚起とタイミングで
どんなに正論でも
世論を喚起できなければ数の論理に負けますし
タイミングを間違えると
政府・与党批判にはなっても
成果をあげることができません。
これまでの野党には
「正論」さえ言っていれば良いとして
世論喚起や政治的タイミングという視点が
欠けている傾向がなかったとは言えません。
しかし「正論」は
世論を喚起して成果につなげなげば
本当の「正論」とは言えません。

この金利問題も
最終的に法案が国会に提出されてみないと
どこまで本当に改善された中身になっているのか
わからない部分もあり
最後までしっかりチェックしたいと思います。
また予算委員会で同時に取り上げた
障害者自立支援法の問題などについても
引き続き世論の喚起や政府・与党の追及を続け
少しでも成果につなげていくつもりです。

 
 
ENEWSVol.166
2006.10.17 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【予算委員会質疑】

5日、6日、10日と衆議院予算委員会が開かれ
NHKでテレビ中継されました。
私も6日午後の質疑で一時間半ほど質問に立ちました。

メディアと多くの同僚議員の関心は
安倍総理の歴史認識や外交問題にあったようです。
私もそれらが重要でないとは思いません。
特に北朝鮮による核実験強行の報を受けた10日の質疑は
北朝鮮核問題が中心になって当然だと思います。
ただ5日と6日の質疑において
野党側質疑の多くが歴史認識と外交の問題に割かれ
特にマスコミ報道がほぼこれら一色だったことには
若干の違和感を受けています。

私自身は国民生活の観点から優先度を考え
1 利息制限法のグレーゾーン金利問題
2 障がい者自立支援法による障がい者福祉の切捨て
3 非正規雇用労働者の国民年金問題
4 家計収入や家計消費の冷え込みと景気問題
という4点を中心に質問しました。
景気問題が時間不足になりましたし
この他にも社会保険庁改革や天下り問題
そして教育改革など準備していた問題が
時間切れになってしまいました。

残念ながら安倍総理や関係閣僚の答弁は
制度の建前論に終始し
現場の実態を率直に受け止めたものではありませんでした。
政治の目標としてときに
「最大多数の最大幸福」と言われ
それはそれで一理ありますが
だからといって少数に犠牲を強いて良いわけではありません。
私も経済そのものについては
自由経済論者で自己責任と規制緩和を重視する立場ですが
だからこそ競争の前提となるべき公正なルールの設定・遵守と
自己責任を問うことができない困難な状況にある人々への配慮が
常に政治の最大の関心事でなければならないと思います。
安倍総理らの答弁は
自由競争で経済を成長させ
「最大多数の最大幸福」を実現するためには
社会的弱者にしわ寄せが行って
一部の矛盾が生じても仕方がないという姿勢に
立っているように感じられました。

今回の質疑では
質問の最中からも
障がい者福祉に関わる皆さんをはじめとして
多くの激励の電話やメール、手紙等をいただき
たいへん恐縮しています。
激励に応えて
障がい者自立支援法改正案や
グレーゾーン金利即時廃止の出資法改正案
年金一元化などの実現に
努力するとともに
今後も生活実感を踏まえた
分かりやすい質疑に務めていきます。

 
 
ENEWSVol.165
2006.10.03 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



臨時国会が召集され
安倍内閣がスタートしました。
私はこれまでの憲法の仕事に加えて
予算委員会の野党筆頭理事を務めることになりました。

予算委員会は
党首討論の行われる国家基本政策委員会と並んで
国会論戦の中心となる委員会です。
党首討論が党首間における個人戦の色彩が強いのに対し
予算委員会は政府対野党第一党というチーム間の
総力戦による競い合いになります。
野党筆頭理事は予算委員会の野党側の責任者で
委員会での議論の進め方について与党と折衝したり
野党側の論戦の進め方をコーディネートする役割です。

この仕事は2002年にも務めたことがあります。
このときにはいわゆる「ムネオハウス」問題をはじめ
様々な問題が予算委員会審議で明らかになり
何人もの議員が責任を取る結果となりました。
国会議論の中心の場ということで
ここでしっかりした論戦を展開すれば
民主党に対する期待感を高めることができます。
実際に2002年の予算委員会は
野党ペースで進んだことで
小泉内閣の支持率を
5年半で最も低い状況に追い込むことができました。
逆に論戦が低調に進んだり
この春のメール問題のような失策があると
野党の存在意義が問われることになりかねません。
そうした意味で責任の重い役割です。

今回は安倍内閣のスタート時点ということで
どのような姿勢でどのような政策を展開するのかを
厳しく問いただすことが役割になります。
マスコミなどからは
政権発足の時点でどう評価するのかを尋ねられていますが
所信表明演説を聞いても
美辞麗句が並べられるだけで
具体的な政策が示されていません。
具体的な政策が示されないのでは
評価の仕様がないと答えています。
まずは具体的に進めようとする政策を
明確に示すことが政府の役割だと思います。
本会議における代表質問は一方通行で
具体的に問いただすことは難しいと思いますので
予算委員会の質疑が極めて重要になります。

まずは今週後半にも始まる予算委員会の場で
安倍内閣の進めようとしていることを
国民の前に具体的に明らかに出来るよう
頑張っていきたいと思います。

 
 
ENEWSVol.164
2006.08.31 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



加藤紘一さんの実家が放火された事件で
容疑者が逮捕されました。
発生当初からテロの可能性が高いとして
注目をされていましたが
その容疑が明確になったわけです。

911のアメリカ同時多発テロ以来
「テロとの戦い」「テロに屈するな」という掛け声が
大きく叫ばれ続けてきました。
いわゆるアルカイダなどによる国際的なテロを封じることも
国際社会の一員である日本にとって
もちろん大切な課題です。
同時に自分たち自身の民主主義を
健全に成り立たせることは
国際社会の一員としての課題以上に
重要なテーマであるはずです。
日本国内における「テロとの戦い」にも
断固とした決意で臨まなくてはなりません。

容疑者逮捕によって今回の事件が
「政治的意見を異にすることを背景として
みずからと異なる意見の持ち主に暴力的行為に及ぶ」という
政治的テロであることがほぼ明らかになりました。
にもかかわらず日本社会の受け止め方が
十分な危機感を持ったものになっているとは思えません。
民主主義は異論を容認することから始まりますが
異論を暴力で排除しようという動きに対しては
社会全体で厳しく対峙しなければなりません。
政府もメディアも
その重要性を踏まえた対応が求められます。

自民党の総裁選挙も
政策・理念的に異なっていると思われる人々まで
安倍さんの支持にまわり
「勝ち馬に乗る」という表現が
まさにぴったりとくる状況です。
これも一歩引いて考えてみると
みずからの主張を大切にすべき政治家まで
「長いものには巻かれろ」
「寄らば大樹の陰」という傾向になっているという象徴であり
健全な社会状況とは言えません。
社会のあらゆる場面において
「少数意見をとなえると損をするから黙っていよう」
という傾向や
実際に少数意見をとなえた者が
多数者から必要以上のプレッシャーを受ける傾向が
かなり強まっているのではないかと危惧しています。

異端・異論を排除しない社会。
言論を暴力で封じようとする動きに対しては
意見の相違を超えて立ち向かおうとする社会。
これこそ、私たちが大切にしなくてはならないものではないでしょうか?
こうした自由主義・民主主義の良さが弱まってく状況では
かつての東側諸国や北朝鮮の状況を笑えません。

 
 
ENEWSVol.163
2006.08.18 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


【憲法問題欧州調査報告 第四回 デンマーク編】

7月23日(日)の午後コペンハーゲンに到着した一行は、
その夜に大使公邸で現地事情のブリーフィングを受け、
翌24日(月)から調査です。

○サイデンファーデン総編集長
まず午前中10時から2時間弱、
地元有力日刊紙である ポリティケン紙の
サイデンファーデン総編集長から話を聞きました。

最近のデンマークでは、
憲法改正の国民投票はなされていませんが、
EU関連の条約について6回の国民投票を経験しています。
うち通貨統合等2件は、
国民投票で否決されています。
いずれの場合も、
政府与党はもとより、
野党も含めて議会の75~80%が賛成しており、
否決という結果は予想外のものでした。
総編集長の分析によると、
条約の中身に問題があったのではなく、
以下のような国民投票のユニークなダイナミック性が、
否決という結果を導きがちであるとのことでした。
(1)意見がイエス・ノーに二分されて中間がないため、
極端な意見を浮かび上がらせ、
少しでも問題があるとノーが説得力を持つことになること。
(2)既存勢力が広範な合意を得てから投票に付すため、
反対派は新勢力が中心となるが、
国民は新し物好きであること。
(3)広範な合意形成が必要である一方で、
意見が違っているはずの与野党間で合意すれば、
今度はなぜ合意したのかと国民から疑問視されること。
(4)メディアを通じて賛否両派に対等な時間が与えられ、
賛成派の持つ資金力などの優位性が、
必ずしもキャンペーンの優位性につながらないこと。
そして、
国民投票で否決という結果が出ても
否決グループが政治的代表者を生むわけではないため、
否決後の政治的調整が困難であることや、
「国民が過ちを犯した」とは政治的に言えないため、
投票結果が新しい政治的権威を生み出すことなど、
大きな政治的困難が生じるとの指摘がありました。

議会の多数が賛成の場合には
その議席分布に応じてキャンペーン時間を配分したら、
という質問がありましたが、
これに対して総編集長からは、
一見すると合理的かもしれないが、
反対勢力はそうした時間配分の不公平さを強調して、
みずからの主張をより強く訴えることができるかもしれない、
との回答がありました。
むしろ公平な時間を与えることで、
反対派に小さな勝利を与えた方が、
適切な結果につながりやすいと示唆されました。
この点は、
民主党案について再検討が必要だと感じました。

ところでデンマークの憲法改正国民投票には、
投票総数の過半数の賛成と同時に、
有権者総数の4割超の賛成が求められます。
この点についての質問に対しては、
EU問題等の国民投票でも投票率が8割を超えており、
その過半数なら有権者の4割になるので、
実質的には大きな問題にはならないとのことでした。
デンマークでは、
投票することが社会の一員としての義務として、
まるで宗教のような市民共通の価値になっているとのことです。
なお、EU問題が国民投票に付されているのは、
憲法上、主権の委譲について
議会の5/6以上の賛成がない場合には、
国民投票が必要であるとの規定があるためです。
ただし、この場合には憲法改正と異なり、
有権者の4割超という要件はありません。

全体として国民投票に消極的な見方でしたので、
一般的国民投票の是非について尋ねたところ、
もし設けるならば諮問的国民投票にすべきであり、
しかも二者択一ではない他の選択肢も作って、
柔軟性を持たせるべきであると指摘されました。

○クリステンセン最高裁判事
午後は1時から2時間ほど、
日本大使館でクリステンセン最高裁判事に話を聞きました。
判事は公法・憲法の学者でもあります。

デンマークの国民投票には、
憲法改正と主権委譲の他に二種類のものが
憲法上規定されています。

一つは選挙権年齢を変更する場合で、
この場合の国民投票は義務的です。
この手続きはなかなか複雑で、
議会での可決後に国民投票に付されるわけですが、
「反対が有効投票の過半数かつ有権者の3割を超える場合」
に限って否決され、
それ以外なら可決されます。
これまで3回が可決され、
1回だけ否決があり、
現在の投票権者は18歳以上です。

もう一つ、議会の3分の1超の要求があれば、
法律の制定を認めるか否かの国民投票になります。
少数派の意見を尊重するための制度とされていますが、
実際に使われたのは一度だけで、
1963年のその例では、
国民投票による否決で議会の決定が阻止されました。
そのため、国民投票で否決が予想される場合には、
政府が野党の意見を取り入れて法案を修正したり、
その成立を諦めたりすることがあるそうです。
また、現在は野党の立場でも、
いずれ与党になったときのことを考えるため、
国民投票の要求を乱発することはないそうです。

なお、デンマークでは少数政党が分立し、
反対が過半数を超えなければ良いという意味で、
少数連立与党が政権を担うネガティブ議会制と呼ばれています。
判事によると、
70から80年代にデンマークが経済危機を向かえていた時期には、
政府が弱いのが原因だとして
ネガティブ議会制に批判もありましたが、
90年代から経済が良くなってきたため、
このままで良いのではないかという声になっているそうです。

○ハンセン助教授
翌25日(火)は午前10時にコペンハーゲン大学を訪ね、
一時間半ほどハンセン政治学部助教授に話を聞きました。

前日のヒアリングのとおり
EU加盟等の主権委譲については、
議会の5/6以上の賛成がない場合に
国民投票が必要であるとされていますが、
法的に決められているからという理由以上に、
議会内での政治的合意として
国民投票で決めようとしたという側面が強いとのことです。
そのため議会の5/6以上が賛成した場合でも
国民投票に付されたケースがあるそうです。
EU関連については
投票結果からも賛否両論が均衡している上に、
賛成派が大勢の政党内においても反対論を抱えることが多く、
政党内の意見の分裂を議会内で強引に解決する代わりに、
国民投票で決着をつけることとした意味合いがあるとのことです。
逆に2000年に通貨統合を否決した直後の
EUのニース協定については、
国民投票では否決されると予想されたため、
主権委譲に該当しないとの法的理由を前面に出し、
国民投票には付されませんでした。

国民投票の運動期間は6ヶ月とされていますが、
派手にキャンペーンが展開されるのは
1ヶ月半から1ヶ月程度だそうです。
またテレビでは国民投票に限らず
常に政治的CMが禁止されています。
デンマークにおいて全国ネットでニュースを放送するテレビは
NHKのような受信料方式の二つのチャンネルしかありません。
この局には国民投票実施の告知をする義務があり、
またメインの時間帯に毎日20分ほど
順次、全政党に議席数とは関係なく平等に意見主張させます。
この20分は各党が作ったビデオを流す形式だそうです。

また十分な情報を与えられれば賛成多数となる場合でも、
現実の投票結果が逆となりうることなど、
同助教授の統計的分析も伺うことができました。

○むすび
私の海外調査はここまで。
この日の夕方の便でフランクフルトに飛び
夜の便で帰国しました。

今回も慌しい日程でしたが
充実した調査を実施することができました。
そして改めて
国民投票と言ってもその制度的組立には
いろいろと考慮しなければならないことが多いことや
憲法のような重要な問題について
国民的な合意形成を進めることの難しさを
感じて帰国しました。
単なる手続きだからと
国民投票制度の創設を安易に考えることや、
憲法について国民的合意形成という視点を欠いて
単なる自己主張だけ展開することの無責任さを
強く感じる調査でした。

 
 
ENEWSVol.162
2006.08.08 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


【憲法問題欧州調査報告 第三回 イタリア後編】

イタリアでの調査2日目となる21日(金)は
まず午前10時半から2時間弱にわたって
フィレンツェ大学のフサーロ教授に
日本大使館まで来ていただき話を聞きました。
フサーロ教授はジャーナリスト出身で
下院議員の経歴もある政治学者です。

イタリアでは90年代はじめ以降
政界が中道右派と中道左派の二極構造になっています。
教授によると
どちらのサイドにおいても
複数の政党で連立を組まざるを得ず
議席は少数なのにラジカルな主張を持った政党を
常に抱えることになります。
このため意見の違いが大きくなく
与野党間で合意できるはずのテーマについても
陣営内に抱えるラジカルな勢力の影響力で
対立せざるを得ない傾向にあるとのことです。
2001年の憲法改正は
中道左派政権だけの賛成で議会を通しましたが
中道右派全体が反対だったわけではなく
容認派も多かったため国民投票で可決されました。
今回否決された案も
強引に議会を通した中道右派だけではなく
中道左派が力を入れていた内容を含んでいました。
にもかかわらず今回は特に中道左派内ラジカル派が
強硬にこれに反対したために
国民的合意形成に至らなかったとのことです。
中道左派政権下での改正の動きについては
これまでの中道右派政権下で進めてきた内容に
左右を問わず大方の合意があり
左右両派の合意よりも
むしろ中道左派の内部において
一部ラジカルな政党の合意を
どう取り付けていくのかが鍵とのことです。
また前日の当事者による公式的発言とは異なり
野党になった中道右派にとっては
内容に大差のない憲法改正で与党と合意するよりも
今の政権を早く窮地に追い込んで
総選挙を実施したいというのが
本音であろうと指摘していました。

もう一つの視点として
今回の改正内容のうち
分権をさらに推進する条項が
地域間・個人間の格差を拡大させ
国家を二分してしまうのではないかという不安を
特に経済的に苦しい南部の国民に対して
与えていたとのことです
推進派の右派の中でも
経済的に豊な北部同盟が
特に分権強化を強力に推進していましたが
これが逆効果となり
南部の不安を高めたと指摘していました。
このことが否決のもう一つの大きな要因であり
優れた内容の改正案であったとしても
その中に一ヵ所でも
国民感情を逆なでするものが含まれていると
全体を否定するエネルギーに火をつけることになるとして
注意を喚起されました。

イタリアは
メディア王とも言われるベルルスコーニ氏が政権を担うなど
メディアの政治への影響力が問題となっていますが
このため選挙・投票に関し
メディアは強く規制されているそうです。
各党・賛否両派について均等に扱うこと
政治番組以外での出演者の政治的意見表明の禁止
全局に客観的な情報提供の義務付け
など全体としてたいへん細かい規定があります。
もっとも今回の国民投票においても
ベルルスコーニ氏に近いメディアは
議員の数を減らすことが
改正の焦点であるとの放送をしたそうです。
定数削減は焦点とまで強調すべきものではないが
改正内容の一部であることは間違いない以上
ここまでは規制できないとして
その限界も指摘をされました。

このあと内務省を訪ね
12時半から約一時間にわたって
選挙・投票事務の実務担当者から聞き取りをしました。
国民投票が告示をされると
テレビについては
賛否両派に対等な宣伝スポット時間が提供されます。
また国営放送の規制委員会と民放を監視する委員会があり
公平な時間配分のチェックのほか
キャスター等の発言の中立性もチェックします。
テレビでの時間配分等を受ける運動の主体となることは
団体でも個人でも告示後一定期間内の届出で可能ですが
現実には大きな団体が賛否両派につくられ
ここがほぼ統一的に活動するとのことです。

イタリアでの公式調査の最後として
この日の夕方5時から大使公邸に
イタリア在住の作家である塩野七生氏をお招きし
予定を大幅に超える二時間にわたって
話を伺いました。
塩野氏は「ローマ人の物語」などの著作で知られていますが
海外から日本を見ている立場から
そしてローマ史やローマ法に詳しい立場から
憲法問題にとどまらず
日本のあり方についてご意見をお聞きしました。
個人的にたいへん驚いたのですが
かつて私は「私の愛読書」のような企画で
塩野氏の「ローマ人の物語」を取り上げた原稿を
書いたことがあります。
塩野氏はこれを読んでおられて
ご挨拶早々にそのことを指摘されました。
実は私自身、指摘を受けて思い出したのが実情で
帰国してからその原稿や掲載紙などが
残っていないか探しているのですが
まだ見つかっていません。
塩野氏の作品自体が
丁寧に資料を集めて分析して書かれており
ご自身の著作に関する記事を
それが一見つまらないものでも
しっかりとお読みになっているのは
ある意味で当然のことかと思いますが
私としてはたいへん恐縮しました。
塩野氏のお話の中には
ご紹介したい部分がいくつもありますが
外に公表してよい部分であるのかどうか
丁寧・正確に判断した方が良いと思いますので
事務局による正確なテープ起こしを待って
判断したいと思います。

イタリアでの公式日程は以上で終了。
週末は調査の相手方も休みですので
移動とオフになります。
22日の土曜日には
午前中にローマ郊外のティボリに出かけ
午後はローマ市内を巡りました。
猛暑の欧州において
最も暑い日が暑いローマでのオフとなり
かなりバテましたが
塩野氏の「ローマ人の物語」ファンとしては
久しぶりに古い遺跡などを
外から駆け足とはいえ眺めることができ
改めて歴史の重みを感じることができました。
ちなみに当然のことながら
こうしたオフの費用や食事代などについては
公費で支出される公務と明確に区別しています。

23日(日)にはコペンハーゲンに移動し
24日(月)からデンマークでの調査となります。

 
 
ENEWSVol.161
2006.08.03 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


【憲法問題欧州調査報告 第二回 イタリア前編】

訪欧二国目のイタリアには
7月19日(水)の夕方に到着しました。
またこの夜に自民党の保岡理事が到着し
途中参加で団に加わりました。

イタリアでは今年6月
中道右派政権が憲法改正を提起し
国民投票が実施されました。
ところがその投票直前の4月に
総選挙で政権交代が起こり
憲法改正案に反対していた中道左派政権が成立。
その下で国民投票が実施され
否決されるという事態が生じています。

今回は20日(木)の調査について報告します。

まず午前9時から一時間半ほど
中道左派の現政権で憲法改正を担当している
キーティ議会関係制度改革大臣から話を聞きました。
キーティ大臣は国民投票で否決された原因として
(1)あまりにも広範な項目を一括で改正しようとしたこと
(2)にもかかわらず幅広い合意形成を怠り中道右派政権だけで進めたこと
をあげていました。
広範な憲法改正を目指す場合について
与党が自分たちの案をそのまま議会に持ち込んでも
野党や院外の反対で上手くいかないことはわかっており
現政権は議会の合同委員会を舞台として
議会外の文化人や有識者まで巻き込み
広範な合意形成に向けた努力をしていると言っていました。
中道右派が提起した改正に反対して否決した直後だけに
中道左派政権がいくら努力しても
中道右派との合意は難しいのではないかと尋ねてみました。
大臣の答えは
(1)議会の外も含めた広範な合意があれば議会内にも影響する
(2)すでに野党側から建設的に対話する用意があると表明された
として楽観的でした。
そしてポイントは
これはイタリアの為の改正議論であり
与野党でどちらが選挙に勝つとかという議論とは
まったく別問題であることをきちんと認識し
これを浸透させることであると指摘していました。

続いて前内閣の副首相として
否決された改正案の推進者であった
トレモンティ下院副議長から一時間あまり話を聞きました。
副議長は今回の国民投票が否決に終わったことについて
改正の必要性は一致しているにもかかわらず
政治的な理由で改正できなかったと強調し
憲法そのものについては合意形成できているとの認識でした。
総選挙が終わって政治色の付きにくいこの時期に
議論を進めたいとの意欲を示していました。
議会の合同委員会で作られたガイドラインに基づき
中道右派政権時代に作っていた改正案を踏まえるならば
現在の中道左派政権下で改正されても良いと言っていました。
憲法改正は議会全体が中心となるべきで
政府が主要な役割を担ってはいけないと強調していましたが
政府主導で改正を推進しながら国民投票で否決された
当事者の発言であり
たいへん重いものであると受け止めました。

午後は3時から一時間あまり
ヴィオランテ下院憲法委員長に話を聞きました。
同氏は公法学者の出身で左派の立場にあります。
学者的視点があるからかもしれませんが
国民投票で否決された理由については
政治的理由に加えて
改正では合意が存在しているけれども
その具体的内容については問題が多く含まれていたとして
内容面で問題があったことを強調していました。
その上で合意形成のプロセスについて
(1)合意は徐々に作られるものであること
(2)一方が他方に強制するものではないこと
(3)与野党双方の意見を取り込む必要があること
(4)合意形成が簡単な問題から解決していくべきこと
などを考慮していると指摘しました。
ちなみにイタリアでは
議会の3分の2以上が賛成ならば
国民投票が不要になります。

この日の最後は午後5時から一時間半ほど
憲法裁判所でビレ長官はじめ判事の皆さんと。
イタリアでは憲法改正の他に
既存法律の廃止を求める国民投票が制度化されています。
50万人以上の国民が要求する場合で
外交・条約・予算・恩赦・基本的人権に関する法律でなければ
国民投票で廃止することができます。
ただしこの国民投票については
投票率が5割を超えなければ成立しません。
外交等の廃止対象にならない法律であるのかどうかなど
この国民投票を開始するかどうかの判断を
憲法裁判所が行うことになっています。
イタリアの憲法裁判所は15人の判事で構成され
うち5名は議会が、5名は大統領が、5名は裁判所が
それぞれ選任することになっています。
どの機関が選ぶにしても
法律の専門家として20年以上のキャリアが必要であり
政治の側面よりも司法という側面が強い機関であるとの
当事者の認識をお聞きしました。

このころ日本は豪雨で被害も発生し
たいへんな状況でしたが
一方のヨーロッパは記録的な猛暑でした。
数年前に欧州が大雨で洪水だった年に
モンゴルが大干ばつだったことがありましたが
ユーラシア大陸の西と東で
極端に異なった逆方向の異常気象が生じるようです。
日本の状況も心配でしたが
ヨーロッパでも特に暑いローマの街の猛暑。
しかし湿度が低いためか数字ほどの不快感を持たずに
調査を続けていました。

 
 
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