民主党 衆議院議員 えだの幸男 OFFICIAL HOMEPAGE

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EDANO Yukio / E-mail News Letter 枝野幸男Eメールニュースレター

枝野幸男から、月2回程度、Eメールでニュースレターを発信しています。 ご登録いただければ、国政で問題となっている数々のテーマに対して、マスメディアで報道されているものとは違った視点の存在が見えてくるはずです。

ENEWSVol.150
2005.12.21 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【大増税】

自公政権は所得税と個人住民税の
大幅増税を進めています。
来年1月から約1割。
再来年の1月にさらに約1割。
合計で20%を超える増税です。
しかも増税額の上限が29万円とされ
高額納税者ほど増税の率は小さくなります。

報道などではこの増税が
定率減税の廃止と表現されているためか
大幅な増税であることの印象が
たいへんに薄まっているように思います。
しかし今回の所得税・住民税増税は
四つの点で問題が大きいと思います。

第一に
定率減税の廃止という言い方は
ことがらの本質を見失わせます。
定率減税を実施するときには
これが景気対策のための一時的なものか
それとも恒久的減税であるかが大論争となり
政府与党も最終的には
恒久的減税として実施しました。
一時的な減税ならば
その廃止という言い方も成り立ちますが
恒久的な措置であった以上は
その廃止ではなくて新たな増税と言うのが筋です。

第二に
自民党と公明党は今年の総選挙で
サラリーマン増税は行わないことを
明確に公約としていました。
高額納税者には増税率が小さく
中間から低所得の人たちに中心的に効果が及ぶ
今回の所得税・住民税増税を
サラリーマン増税と言わないとしたら
何がサラリーマン増税なのでしょうか。

第三に
小泉政権がいい続けている
小さな政府という目標と矛盾します。
小さな政府というスローガンによって
多くの国民が期待をしているのは
無駄な歳出をカットすることで
借金財政からの脱却と
少子高齢化への対応を
可能な限り増税によらずして実現することです。
小泉内閣は
一年間の借金を30兆円以内に抑えるという目標を
来年度予算では実現できるとして
胸を張っているようですが
今回の所得税・住民税の増税だけで
3兆円を超える増収を含んでいます。
増税がなければ33兆円超の借金額ですから
歳出カットによる借金依存からの脱却
つまり小さな政府に向けた努力は
ほとんど効果をあげていないことになります。

最後に経済政策としても
今回の大増税は根本的に間違っています。
確かに好調な輸出と
この間続いてきたコストカットの努力によって
一部企業の収益力が回復し
日本経済全体にも明るい兆しが見えます。
しかし現状では
企業部門の黒字は拡大しているものの
個人の可処分所得は回復していません。
日本経済が本格的にかつ継続的に回復するには
国内での消費が活性化しなければならず
そのためには可処分所得の増加が不可欠です。
こうした観点も踏まえてでしょうか
日本経団連ですら
賃金レベルを引き上げることで
企業収益の伸びを個人に還元することを
容認する姿勢を打ち出しました。
しかしわずかばかり賃金レベルが上がっても
それを超えて所得税等が増税されれば
可処分所得は増加するどころか減少します。
輸出は他国の経済状況によって
大きく左右されます。
バブル崩壊以降
国内での消費が好転しないうちに
輸出の好調さが鈍り
本格回復に至らないというケースを
何度か繰り返してきました。
今回同じ失敗を繰り返さないためにも
個人の可処分所得を大幅に引き下げる
所得税・住民税の大幅増税は
実施すべきではありません。

年明けの国会では
こうした点を厳しく追及するつもりです。
しかし国会の中だけでは
自公の数の力に勝てません。
国会の外からの国民的なうねりが必要です。
この点も十分に考えながら
国会内外での活動を強化するつもりです。

 
 
ENEWSVol.149
2005.12.08 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 



【市場原理の誤作動】

いわゆるマンション耐震性偽造問題では
民間検査機関
~イーホームズや日本ERI~による
安全性チェックの不十分さが
明らかになりました。
「官から民へ」の流れの中で
きちんとした分析と対応なしにきたことを
反省を込めて再認識しています。

民が官に比べて優れている部分は
市場原理と競争原理に集約できます。
市場において消費者は
より良い物・サービスを
より安く得ようとします。
競争にさらされている民間企業は
競争に勝つために
消費者の要求に応えて
より良い物・サービスを
より安く提供することに努力し
これを怠ったものは
市場によって淘汰されます。
多くの場合には
こうしたシステムによって
より良い物・サービスが
より低コストで提供され
社会全体にとって
プラスの作用が生じます。

ところが今回の場合
市場原理と競争原理が
マイナス作用にしています。
民間検査機関の顧客は建築主ですが
安全性を犠牲にしてでも低コストを求めるような
一部の無責任な建築主にとっては
厳格な検査をせずに
安易に安全確認をすることが
良いサービスとなります。
検査機関が市場の中で
競争に勝つためには
顧客である建築主の意向にそった
物・サービスを提供する必要がありますから
無責任な建築主に迎合して
安全性を軽視した検査機関が出てくることも
システムとして当然予測されることです。
建物に住む人間と建築主が同一なら
自分自身の安全の問題ですから
きちんとした検査を求めるはずです。
しかし分譲マンションのような場合に
とにかく売れれば良いという建築主が出れば
市場と競争の誤作動だけが顕著になります。

もちろん官が検査をしたとしても
偽造を見逃すことはありうるでしょう。
しかし市場と競争のシステム自体が
安全性を軽視する者の可能性を内在しているのに
民に任せきりというのは無責任です。
システム自体を組み替えるのか
検査機関に対する検査を厳格にするか
いずれにしても
官の役割が不可欠です。

今回の事件では
被害者に対する救済を求める声があがっています。
しかし純粋に民間対民間の事件であるならば
税金を使ってまで救済することを説明できません。
本来「官」の責任で確保すべき安全性が
「官」の失敗によって確保されなかった場合に限って
公金による救済に合理性を認めることができます。
今回はどちらであるのかを
きちんと整理することが
被害者救済のためにも
今後の再発防止のためにも
不可欠の前提です。

「民間で出来ることは民間で」という
スローガンは正しいと思います。
だからこそ
官が責任を負うべき範囲はどこまでか
を明確にするとともに
官の責任範囲を民に委ねる場合には
市場と競争の誤作動を十分に考慮して
その委ね方に工夫が必要であることを
今回の事件は明らかにしていると思います。

 
 
ENEWSVol.148
2005.12.02 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


もっとタイムリーなテーマが
山積しているというご批判も
あるかもしれませんが
訪欧報告が途中になっています。
取り急ぎ帰国までの分を配信します。
他の話題も今後随時発信していきますので
ご理解下さい。

訪欧報告 第五回

〔11月16日 木曜日〕

前日の夕方にパリについて
この日の調査先は
国民議会法務委員長のウィヨン氏と
元憲法院総裁であるアラブ世界研究所のゲナ所長。
それに昼食をとりながらですが
平林大使ら大使館関係者から話を聞きました。

ウィヨン氏もゲナ氏も国民投票について
その濫用の危険性を指摘していました。
特にドゴール政権時代に
憲法の予定する手続を無視し
国会で審議することなく
大統領権限で直接に
憲法改正国民投票を実施してきたことが
国民投票に対する信頼を
損ねた側面があったようです。

ちなみに現在のフランス憲法の改正は
両院の各過半数の賛成を前提として
議員提案の場合は必ず国民投票にかけ
大統領提案の場合は国民投票か両院合同会議かを
大統領が選択します。
両院合同会議の場合には
両院総議員の5分の3以上の賛成で改正できます。
また憲法改正とは別に条約や一部の法律については
大統領の判断で国民投票による決定が可能です。

国民投票の際の
テレビとラジオによる運動とポスター掲示は
一定の要件を満たした政党のみが
公費によって確保されたスペースで実施でき
それ以外の主体による
電波における商業広告とポスター掲示は
禁止されています。
これら以外の運動については
あらゆる団体と個人がみずからの費用で
自由に行うことができるそうです。
新聞についての規制は基本的にありませんが
投開票直前の世論調査の結果発表だけは
禁止されています。

国民投票の管理については
憲法院の監督の下で内務省が所管しています。
異議申し立ての審査機関も憲法院で
憲法院が最終的な投票結果を確定します。
ただし結果に影響を及ぼさない違法ならば
国民投票は有効と判断されますので
数日中に結論が出されるのが普通だそうです。

[11月17日 木曜日]

この日の午前中は
ベルサイユを訪ねました。
といっても宮殿の観光ではありません。
ベルサイユ宮殿の中に
議会博物館と両院合同会議(コングレ)議場があり
ここを訪問したものです。
私も以前にベルサイユ宮殿を
観光で訪ねたことがありますが
通常の観光コースにはもちろん含まれておらず
その存在すら初めて知りました。

両院合同会議の議場は
18世紀に作られたものがそのまま使われており
第四共和制までは両院議員による大統領選挙に
現在の第五共和制下では
憲法改正のための両院合同会議に限って
わざわざパリからやってきて使用しているそうです。
憲法改正の場合には
既に両院で過半数の賛成を得ており
その時の投票結果に照らして
両院合同会議の5分の3という要件も
クリアーできるのかどうか
ある意味あらかじめわかっているのですから
少し形式的過ぎるようにも思います。
しかしフランス革命以来の
民主主義と議会の歴史について説明を聞き
実際の議場に身を置いてみると
少し形式的過ぎても
丁寧かつ厳格な手順を踏むこと自体が
民主主義の必要不可欠の要素であることを
体感させられました。

一行の中には初めてベルサイユを訪れた人もおり
一般的な観光コースになっている宮殿本体を
素通りしたのは少し気の毒でしたが
仕事での訪問ですからやむを得ません。
外側から宮殿を眺め
庭園だけは移動時にかすめましたので
そこで記念写真を撮り
パリに戻りました。

パリ戻ると最後の調査となる
憲法院委員のギエンシュミット氏からヒアリング。

フランスの憲法院という制度は
司法機関とは異なるかなり特殊な制度です。
行政裁判については国務院が
民刑事の裁判については破棄院が
それぞれ終審裁判所です。
憲法院は議会で決定された法律について
公布の前にその合憲性を審査する機関です。
条約については議会批准の前に審査し
違憲とされた場合の議会は
憲法改正か非批准かを選択します。
また国会議員選挙・大統領選挙・国民投票について
異議申し立てを審査し投票の最終確定をすること。
非常大権発動に先立って
大統領からの諮問に答えること。
こうした形で憲法秩序を守る役割を果たします。

国民投票等に対する異議申し立てについては
国務院や会計検査院などの職員が
一時的に憲法院の手足となり
レポーターとして調査に当たります。
憲法院から公式な結果が発表されると
それ以降はこれを覆すことはできません。
国会議員選挙の場合は異議が多数出るので
結果発表まで6ヶ月かかったこともあるそうです。

印象に残ったのは
EU憲法条約の国民投票での反省点。
国民への問いかけは
簡単・明瞭にしなければならないのに
EU憲法条約の大量の条文を示すだけで
中身がよく分からないから棄権するとか
分からないから政府への支持の有無で投票する
という傾向が出て否決されたとしていました。

もう一つ前日の話にも出たように
国民投票の短所として
政治家の信任投票のように使われた
ドゴール政権の例をあげていました。
フランスにとっては
相当広範に認識された反省点になっていると
受け止めました。

翌18日にパリを発ち
時差の関係で19日に帰国しました。
総括的なことは次回以降にご報告します。


 
 
ENEWSVol.147
2005.11.24 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


訪欧報告 第四回

13日間にわたる海外調査から帰国し
このメールマガジンの原稿を
時差ぼけの中で書いています。
今回は4ヶ国目のスペインです。

この国は時刻の感覚が少し違っていて
昼休みを午後2時ころから4時ころまで取り
夕食は午後10時を過ぎるのが当たり前。
午前のアポイントメントの次は
夕方5時ころから9時ころまでのアポイントメントとなり
日本の感覚でいると何とも日程の組みにくい国です。

〔11月14日 月曜日〕

この日は午前中に
政治憲法研究所のアルバレス・フンコ所長からヒアリング。
夕方に下院を訪問した後
スペイン最大の弁護士事務所の代表でもある
ガリーゲス日西シンポジウムのスペイン側代表と面談しました。
特にガリーゲル氏は日本通で
弁護士事務所として日西・西日法律用語辞典を出しているほど。
こちらの問題意識を含めて理解し
事務所の公法担当の弁護士同席の下
有意義な話を伺うことができました。

スペインでは
選挙をはさんだ上で
両院それぞれの3分の2以上の賛成を
二度にわたって得なければ
憲法の重要事項を改正発議できない仕組みになっており
その上で国民投票が義務付けられています。
重要でない事項ならば
両院議員の5分の3以上の賛成で改正可能ですが
この場合でも一割以上の議員が要求すれば
国民投票となります。
日本によく似た硬性憲法です。

この国は立憲王政ということで
皇族の国民投票権をどうするか
という観点からの意見を聴きましたが
王族も一般市民と同様に投票権はあるものの
これまでに一度だけ例外的に投票したのみで
基本的には権利はあるが投票しない姿勢とのことでした。

運動については
国会に議席を持つ組織等が主体となり
国営報道機関で無償広報スペースが与えられます。
運動主体として問題になるのは
こうした運動の公的支援という側面のみで
自分たちの資金で活動することについては
その他の政治組織や個人も含めて自由です。
商業広告については
新聞やラジオは認められるものの
テレビについては禁止されているそうです。
テレビについては国営放送における
公平に分配された時間の広報だけに限られます。

また選挙との同時実施は禁止されており
90日間以上の期間を空けなければなりません。
国民投票に対する意思表示と
選挙に対する意思表示とが
影響を与え合うのを防ぐためと説明されました。

国民投票法を作るにあたっては
議会と国民との間で意思の相違を形成しないための
工夫が必要であることが強調されました。
また国民投票が
あらゆる政治事項について解決手段となるものでなく
より概念的な問題的のみ解決できるに過ぎないこと。
国民投票では
複雑な政治問題を単純化して判断を求めるため
世論操作が簡単に行われること。
こうした留意点を指摘されました。

〔11月15日 火曜日〕

この日は午前に下院憲法委員長である
アルフォンソ・ゲラからヒアリングしました。
ゲラ氏はスペイン政界の超大物で
フランコ独裁の後に現憲法が制定される時から
重要な役割を担ってきた人物です。
大物らしい迫力と重みのある話を聞くことができました。

スペインが硬性憲法であるのは
二百年近くにわたって
政権交代の度に憲法が変わるということを経験し
フランコ独裁政権の終焉後にようやく
超党派による合意で安定した現憲法が作られたという
歴史的意味があることを強調されました。
作ることも変えることも
議会と国民の合意形成が重要であること。
そのためには議会でまず熱心に議論し
幅広い合意形成をすること。
これを国民的な合意形成につなげるために
たいへん大きなエネルギーを注ぐ必要があること。
みずからが現憲法制定の当事者として合意形成に努力し
反対が多いと予想されていた
86年のNATO残留を決めた国民投票に
副首相として勝利した
まさに政治の現場を踏んできた者の発言として
説得力ある説明を受けることができました。

運動に関しては
テレビでの商業広告について
公正さの観点から厳禁されていることを強調されました。
北米と名指しをして
テレビ広報を使って政治を操作する状況を
強く批判していました。

南の国に来たはずなのに
スペインは一貫して肌寒い雨模様。
この日の午後に鼻をぐずぐずさせながらも
最後の訪問国フランスに向かいました。

 
 
ENEWSVol.146
2005.11.18 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


訪欧報告 第三回

国民投票制度調査の三ヶ国目は
直接民主主義の本家本元スイスです。

〔11月10日 木曜日〕

この日はチューリッヒで
主にマスコミ関係者から調査しました。
スイスを代表する新聞社である
ノイエ・チュリヒャー新聞社のアシュヴァンデン編集委員。
スイス公共放送のウエリ・ハルディマン編集長。
さらには夕食の際に
スイス公共放送の日本人スタッフ佐藤夕美氏。
それぞれから有意義な話を聞くことができました。

スイスでは
新聞報道に対する規制はなく
各新聞は投票日の一週間ほど前に
社説で社としての賛否の意見を明らかにします。
その前提として記事においては
賛否両論を早くから掲載し
関係者や専門家のインタビューなども
豊富に紹介しているそうです。
商業用広告についての規制もなく
テーマによっては賛成・反対の広告が打たれます。
経済力によって打てる広告に差が出ますが
このことは容認されているそうです。
記事内容についても基本的に規制はなく
名誉毀損等の問題があった場合には
自己規制の組織である報道委員会に
被害者等が申し立て
名誉毀損等の認定がされると
被害者に紙面を提供することで被害回復を図るそうです。
新聞の影響力は大きいと感じている一方で
メディアが一致して賛成の意思表示をしながら
国民からノーという判断がなされたケースもある
と言っていました。

一方テレビ等の放送メディアについては
憲法で中立性が求められており
例えば世論の9割が賛成で反対は1割だとしても
賛成・反対の双方を
公平に報道しなければならないとされています。
また毎週金曜日夜8時すぎに
直訳すると「広場」と題される人気番組があり
国民投票などについて
賛否双方の論者を呼んで討論させいています。
またテレビ等では政治性を帯びた広告が禁止されており
国民投票に関する商業広告も禁止の対象に入ります。

印刷媒体と放送媒体の違いについては
歴史的に印刷媒体が広告収入で成り立ってきたこと
新聞等が政党機関紙等からスタートしたこと
テレビが日本のNHKのような公共放送だけで
民間放送が育っていないこと
(受信料と広告収入が概ね半々で運営されています。)
広告費が放送の方が圧倒的に高く
経済力の格差が影響を及ぼしすぎること
などが指摘されました。

面白いと思ったのは
スイスの国民投票では
約3分の2が事前に郵便で投票しており
投票日近くに報道しても
実は既に多くの人が投票を済ましているとのことです。

〔11月11日 金曜日〕

この日はチューリッヒからバスで約2時間。
首都ベルンでの調査です。
ちなみにベルンでの宿泊を希望したのですが
サッカーワールドカップの最終予選とぶつかり
ベルンのホテルが一杯で
チューリッヒを基点とすることになりました。

午前は司法省と内閣府の実務者等からヒアリング。
内閣府長官への表敬と昼食をはさんで
ベルリン大学のリンダー教授から話を聞きました。

ご承知の方も多いと思いますが
スイスでは国民投票・住民投票が多用され
毎年四回の定例国民投票日があります。
憲法改正だけでなく
さまざまなテーマについて
直接民主制を採用しています。
このため国民投票を実施する上での
実務的な問題点については経験が深く
かなり具体的な話を聞くことができました。

例えば国民投票一回あたりの経費は
国民一人当たり約1.5フランとのこと。
ただしスイスには国民皆兵の民兵組織があり
そこが投票所事務などを引き受けるので
人件費の負担が少なくて済んでいるそうです。
また投票用紙や政府による周知パンフレットの作成や
郵便投票における不正防止策なども聞きました。

リンダー教授からは
国民投票という直接民主制的制度に対する
理念的な問題を伺いました。
スイスの直接民主制に対して
強い自信と誇りを示す一方で
国民投票制度があることで
政治の変動スピードが遅くなる傾向があることや
ドゴール政権下のフランスの例など
公権力の側がみずからの権力基盤を維持するために
国民投票を利用するケースがあるなど
決して万能な制度ではないことも
明確に指摘されました。

特に興味深かったのは投票率に関して
低い投票率で国民の意思が反映されたと言えるのか
いろいろな議論があるとしつつ
(スイスでは45%程度まで下がり今は回復傾向)
かつての共産党独裁国家における99%の投票率が
理想的なものなのかという指摘をされたことです。
国民投票に付するテーマが
時代とともに複雑なものになっており
理解困難な有権者の比率が高まっていることが
基本的な問題なのではないか。
投票率という側面で徹底した直接民主制にすることよりも
中間層が理解できる直接民主制であることの方が
重要ではないかと考えているとのことでした。

慌しい一週間を終え
週末は相手方も休みですから
私たちの日程も移動とオフになります。
土曜日の午前中はチューリッヒ市内を散策し
午後の飛行機でマドリッドに向かいました。
オーストリア、スイスと
相当寒いことを覚悟していましたが
天候に恵まれて日程をこなすことができました。
マドリッドの一日目は日曜日なのでオフ。
近郊のセゴビアというスペインの古都を訪ね
ローマ時代の水道橋等を見てきましたが
暖かいと思ったスペインで
逆に天候に恵まれずこの日は雪。
その後のスペインの日程を通じて
雨にたたられ続けました。

次回はスペインでの調査報告です。

11月17日 パリにて

 
 
ENEWSVol.145
2005.11.17 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


訪欧報告 第二回

欧州各国国民投票制度調査の二ヶ国目は
スロバキアです。

〔11月9日 水曜日〕 スロバキア ブラチスラバ

チェコ・スロバキアから93年に分離独立した
スロバキアの首都ブラチスラバは
ウィーンから車で一時間強の距離です。
せっかくウィーンまで来たのだから
一ヶ国でも多く調査しようということで
足を伸ばすことになりました。
前日ウィーンに宿泊した調査団は
朝8時半にホテルをバスで出発し
ブラチスラバに向かいました。
当地では
国会のドゥルゴネツ憲法・法務委員長と
チーチ大統領府長官からそれぞれ調査を行った他
クカン外相を表敬訪問しました。
チーチ大統領府長官は
この職に着く前は憲法裁判所長官であり
さらには独立の際の
憲法制定の中心を担った人物です。

この国の特徴は
国民投票の有効要件が
投票率5割以上とされているところにあります。
選挙も含めた投票率低下の傾向があり
今後は引き下げ議論が生じるかもしれないとしつつ
決して厳しい要件だとは認識していないようです。
低い投票率でも良いものなら
国民投票にかけずに
政治家だけで決めれば良いと考えている
とのことでした。

またこの国では
国家連合への加盟又はそこからの脱退について
国民投票を義務付けている一方で
基本的人権や税、社会保障費、国家予算などについては
国民投票に付してはいけないことになっています。
したがって憲法典の改正については
それが基本的人権に関わってくるため
国民投票に付してはいけないことになります。
国民投票制度を持ちながら
最も重要なはずの憲法改正について
国民投票に付すことができないのは
私たちからは不思議に感じます。
チーチ長官の弁によれば
基本的人権に関わる問題は
普遍的な価値に関わるものであり
国民投票をもってしても
事実上変更することはできないとのことでした。

この国は旧ソ連圏にあり
民主主義の歴史は短いはずですが
少数者の基本的人権については
多数決をもってしても侵害できないという
近代立憲主義の基本を明確に認識している点で
わが国の憲法論議よりも
民主主義の基本をしっかりと踏まえていると
感じさせられました。

この国を日本の政治家が訪ねることは
ほとんどない中で
衆議院の公式派遣団であり
しかも団長が外相経験者ということで
スロバキア側はたいへんな歓迎をしてくれ
クカン外相を表敬する機会も設けられました。
日本の立場からは
大国との外交に目が向くのもやむを得ないのですが
こうした小国からは
逆に日本に対する期待が大きく
それにある程度応えることも必要です。
国民投票調査という主目的とは外れますが
こうした期待に応える役割を果たせたことは
良かったのではないかと思います。

夕方にブラチスラバを出て
直接ウィーンの空港に向かい
この日の夜に三ヶ国目のスイス
チューリッヒのホテルに入りました。
いよいよ国民投票制度の本家
スイスでの調査になります。

11月15日 マドリッドにて

 
 
ENEWSVol.144
2005.11.14 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


訪欧報告 第一回

私は今、スイスのチューリッヒにいます。
衆議院による調査議員団の一員として
欧州各国の国民投票制度に関する調査に来ています。

国会では憲法改正に関する議論がなされていますが
そもそも憲法改正には国民投票が必要です。
ところが憲法に国民投票の規定があるにもかかわらず
これを実施するための法律等が整備されていません。

衆議院の憲法調査特別委員会では
国内の有識者を参考人としてお呼びするなどして
国民投票法制の整備に向けた調査を始めていますが
既に国民投票を何度も経験している国々の実態を
直接調査するのが何よりも近道であろうということで
今回の調査団が派遣されることになりました。

調査団は
憲法調査特別委員会の中山太郎委員長を団長に
自民党から保岡議員と葉梨議員
民主とから私と古川元久議員
公明党高木議員、共産党笠井議員、社民党辻本議員と
議員だけでも総勢8名という大規模なものです。
11月7日に成田を発って
ロンドン経由でオーストリアのウィーンに入り
翌8日から調査がはじまりました。

以後、順次その報告をします。

〔11月8日 火曜日〕 オーストリア ウィーン

オーストリアでは
1994年のEU加盟に伴う憲法改正国民投票と
1978年の原子力発電所建設可否に関する法律案についてと
二度の国民投票の経験を持っています。


この日は
憲法学者でもあるコール国民議会議長と
コリネック憲法裁判所長官
それに国民投票等を所管する内務省第三総局の
フォーグル総局長、シュタイン同局第六(選挙)課長らと
相次いで面談し
それぞれから実態と認識をヒアリングしました。

この国の憲法改正には
基本的に国会の3分の2以上の賛成が必要ですが
その改正が憲法の根本規範に関わる場合は
国民投票が義務付けられています。
それ以外の事項については、
国会の3分の1以上の要求があった場合にのみ
例外的に国民投票にかける必要が出てきます。
日本でもこのように
根本規範とそれ以外に分ける議論はありますが
この二つを中立・公正に区分することはなかなか難しく
軽々には採用できないと思います。
ちなみにこの国では
議会が根本規範か否かの一次的判断を下しますが
最終的には憲法裁判所が
その判断の適否を審査できることになっています。

またこの国には最低投票率の定めはありません。
コール議長によると
最低投票率の定めを置くと
棄権が反対票の意味を持つことになり
否決側に有利に働くことになるから
これで良いのだということでした。
もっともこの国では
国民議会選挙であれ国民投票であれ
約8割の投票率というのが普通であり
最低投票率の定めが
そもそも必要ない状況にあります。

面白いと思ったのは投票権者の年齢で
誕生日を基準に18歳以上とするのでなく
その年に18歳になる人すべてに
投票権を与える仕組みになっているそうです。
個人的にはこうした考え方を採用し
日本の場合なら学校の学年に従って
18歳になって最初に迎える4月1日以降に
投票権を持つというのが
合理的ではないかと思っています。

国民投票の「運動規制」についても尋ねましたが
この国は比例代表制度ということもあってか
選挙運動の一応の規制はあっても違反摘発の例がなく
ましてや国民投票において
違法行為をしてまで多数派を形成しようなどという発想がないため
規制を設けようという考え自体が存在してないようです。

つづく(11月11日チューリッヒにて)

 
 
ENEWSVol.143
2005.11.02 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


「国会は閉じたけど」

内閣改造が行われ
特別国会は閉会しました。
来年1月の通常国会まで約3ケ月にわたって
国会が開かれないことになり
新閣僚の施政方針表明や
これに対する質疑も
行われないことになります。

しかし、この間には
イラク特措法に基づく自衛隊派遣の
派遣期限切れによる延長問題や
BSEに関連した
北米産牛肉の輸入解禁問題
米軍再編やこれに伴う沖縄の基地問題など
重要課題に一定の結論が出される見込みです。

民主主義は多数決ですから
自民党と公明党で決めたことが
国会で可決されることは
やむを得ないこと、当然のこと、
と言うべきかもしれません。
しかし同時に民主主義は
国民に情報提供し
説明責任を果たすことが
前提とならなければなりません。
そしてその情報提供や説明責任についての
正式な場面こそが国会であり
情報や説明の正当性をチェックするのが
野党の時点における政党の役割です。

憲法第53条は
いずれかの院の
4分の1以上の議員が要求すれば
臨時国会を召集しなければならない
と規定しています。
しかしこの規定には
「何時までに」という限定がないため
請求を受けても引き伸ばし
結局は通常国会まで
国会が開かれない可能性があります。
小泉内閣の下でも
こうした形で
開会要求を事実上無視した例があります。

小泉内閣が
説明責任をしっかりと果たすのか。
それともその責任から逃げるのか。
国民から見えやすい形で
しっかりと迫っていきたいと思います。

 
 
ENEWSVol.142
2005.10.21 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


「議員年金廃止」

国会議員年金の即時廃止が
現実味を帯びてきました。

国会議員年金は
そもそも国会議員にだけ
特権的に制度が存在すること自体
問題だと思います。
ましてや現状ではその支給額のうち
約7割もが税金でまかなわれ
税金の使い方という観点からも
納税者の理解を得られるものではありません。
さらに年金一般について議論されている中で
議論の当事者である国会議員が
誰よりも安定して恵まれた年金制度を持っているのでは
国民年金などに対する当事者意識がなく
どんな制度を作ったとしても
本来の国民的信頼は得られないでしょう。

私自身、長くその即時廃止を訴え
党としてもマニフェストで公約してきましたが
今般ようやく自民党も同調し
廃止が現実化してきました。

総選挙で大きく議席を減らしたことで
国会内における民主党の影響力は
確かに小さくなっています。
しかし総選挙の前でも
与党は過半数を大幅に上回っており
憲法を除けばすべての案件が
過半数で決められる以上
民主党の主張が
国会での決定にならない状況は一緒です。
これまでもそうでしたが
民主党の主張を実現するためには
選挙に勝って過半数を得るか
世論の支持を得る政策を打ち出し
世論の圧力で与党に同意させる以外ありません。

今回、国会議員年金の問題で
自民党を妥協に追い込むことができたことは
国会内での駆け引きではなく
世論に働きかけてその支持を得ることが
何よりも大切であることを
改めて認識させました。

これからも明確で分かりやすい政策を打ち出し
それを世論に働きかけて実現していく。
与党が世論の圧力に押されれば
それが実現に向かうことになりますし
もし与党が世論を無視すれば
次の選挙で勝って過半数を獲得し
これを実現できる可能性が高まります。
こうした姿勢をさらに徹底して
期待に応えられる政党へと
脱皮させていきたいと思います。

 
 
ENEWSVol.141
2005.10.06 EDANO Yukio / E-mail News Letter
え だ の 幸 男 E メ ー ル ニ ュ ー ス レ タ ー 


「国民投票法について」

国会では
今回新たに設置された
衆議院憲法調査特別委員会での審議が始まりました。
6日の実質第一回の会議で
各党から国民投票法制に関する基調発言がなされ
民主党からは私が発言しました。

今回のメールマガジンでは
その要旨をご紹介します。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

衆議院憲法調査特別委員会における
民主党としての基調発言要旨

民主党・無所属クラブ 枝野幸男

1 憲法調査特別委員会の位置づけ
本特別委員会を形式的・手続的に見れば
「現在の衆議院憲法調査会の基本的な枠組みを維持しつつ」
とした衆議院憲法調査会報告書と食い違っており
調査会の議論とその報告書の取りまとめに
真摯に取り組んだ立場として
はなはだ遺憾である。
積み重ねや合意を尊重しなければ
相互の信頼は構築できるはずがなく
憲法に関する議論の進展を遅らせる結果となる。

2 国民投票法制の必要性とその意味付け
憲法改正国民投票法制は
本来、日本国憲法制定時に整備されていて然るべきで
幅広い合意に基づいて制定されることが望ましい。
憲法改正には両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要だが
手続についてすら合意形成できずに
内容についての合意など望むべくもない。
憲法改正国民投票法制について合意形成できるかどうかは
将来の憲法改正議論につていのテストケースである。

3 国民投票法制の論点
(1)国民投票運動のあり方
人を選ぶ公職選挙と異なり
憲法改正国民投票に関する運動は
主権者である国民の政治的意思の表明そのものであるから
民主主義が機能する上で不可欠な自由として
最大限の保障がなされる必要がある。
日ごろから憲法に関する意見表明は自由に行われており
国民投票が公示された途端に強い規制に服するというのは
明らかに問題であり不自然である。
例えば公職選挙に準じれば
飲み屋の席等で憲法に関する一定の見解を主張した者が
呑み代をご馳走したら買収に問われかねない。
すべての国民が国民投票運動の主体となりえる中
警察当局や司法当局の裁量によって
刑罰に問われかねない可能性があるというのでは
強い萎縮効果が生じる。
(2) 投票権者の範囲
公職選挙で選ばれる議員等の任期は最大でも6年だが
一度決まった憲法が数十年にわたって改正されないことも
ごく普通に考えられる。
改正後の憲法とより長期間付き合っていく若い世代に
可能な限りの投票権を認めるべきではないのか。
また全ての在外邦人に対して
きちんと投票できる余地を設ける必要があろうし
たまたま直近の公職選挙において公民権を停止されている者についても
公職選挙とは質的に異なる国民投票について
投票権を剥奪して良いのか。
慎重な議論が必要である。
(3) 投票の方式
複数の論点について改正が発議される場合
国民のより自由な選択を可能にするという意味から
可能な限り論点ごとに分けて投票できるようにすることが必要。
また例えば三つの論点が一括して投票にかけられる場合
その中のどれか一つの論点について反対であれば
他の二つの論点について賛成でも
反対票を投じる人が多いと思われる。
つまり論点を重ねて一括投票にすれば
反対意見が累積されて投票行動に反映し
個別に問えば賛成が多い論点についても
一括して否決される結果となる可能性が高い。
(4) その他
周知期間や過半数の意義、投票の書式、周知・広報のあり方など
技術的に詰めなければならない論点は他にも多々ある。
また国会が両院の3分の2以上の合意を形成するには
通常の法律案審議の形式とは異なる工夫も必要である。
全国規模で国民投票制度を設けることは
わが国にとって初めての経験であり
机の上で、頭の中で、考えるだけでなく
定常的に国民投票を実施している国や
憲法改正国民投票制度を実施してきた国の先例をしっかりと学び
現実的な制度を組み立てていく必要が高い。

4 結び
どのような国民投票制度を設けるにしても
国民に対する十分な周知・広報が必要だが
憲法改正に国民投票が必要であること自体
多くの国民が知らされていない。
国民投票法制に関する国会における議論自体が
憲法改正手続に関する理解を深めてもらうための絶好の機会であり
国民に開かれた議論が進んでいくことを期待する。


 
 

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