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「欧州視察報告 ~第一回~ スウェーデン編」
9月5日(日)から17日(金)まで
11泊13日の日程で欧州4ヶ国を訪問しました。
今回の訪問は
衆議院憲法調査会による公式の調査団です。
参加メンバーは
衆議院憲法調査会長の中山太郎議員(自民)を団長に
自民党から船田元議員、保岡興治議員、中谷元議員と近藤基彦議員。
民主党から仙谷由人議員と私。
このうち船田議員と中谷議員は前半のみの参加。
仙谷議員は民主党大会に政調会長として出席したため
後半からの参加です。
こうした議員団に
衆議院事務局から4名と国会図書館から1名。
それにマスコミから3名が同行するという大調査団でした。
今回から訪問国ごとにわけてご報告します。
まずは第一回、スウェーデン編です。
(以下○はヒアリングのポイント。)
9月5日(日)
成田からロンドン乗換えで、夜にスウェーデンのストックホルム入り。
9月6日(月)
1000-1200
ストックホルム国際平和研究所/SIPRI
アリソン・ベイルズ/所長
本研究所は、スウェーデン政府が資金を負担する一方で
外国人が多数参加し、高い独立性をもっています。
対応してくれたベイルズ所長も
駐フィンランド英国大使を勤めた英国人です。
○テロ問題の解決
テロを解決する唯一の方法は
その地域の紛争そのものを解決することである。
テロそのものに軍事的に対応するだけでは
対症療法にすぎず、事態の解決につながらない。
○米国の国際戦略の変化
米国は同盟国防衛への意欲が弱まっている。
基地の縮小再編にも見られるように
米国の軍事的展開は、機動性を最優先させており、
同盟国も、自国の防衛を米国に依存し難い方向に向かっている。
NATOからEUへと欧州の安全保障の中心が移っているのも
米軍の展開が欧州の外に動いているためである。
◇私の感想~知的安全保障
政府が資金負担をしながら
その所長や研究員を外国人で構成するという柔軟性。
自国の視点だけでなく
客観的あるいは第三者的ともいえる視点から
安全保障に関する情報収集や分析を進めていくという姿勢は
決して大国ではないスウェーデンが
自国の平和と安全を維持するための
したたかな知恵であると言えるでしょう。
ひるがえって日本の安全保障議論はあまりにも直感的・主観的で
客観的かつ冷静な分析に欠けているのではないでしょうか。
1400-1500
トミー・ヴァイデリッヒ/国会・EU諮問委員会委員長
EU諮問委員会は、EUに関するスウェーデン政府の対応について
あらかじめ討議するため国会に設けられた委員会。
この委員会の結論に法律的拘束力はないが
政治的に強い拘束力があるとのことです。
○EU加盟
ベルリンの壁崩壊による安全保障を巡る環境の変化が
中立政策からEU加盟へと舵をきらせた。
ただし急速な主権移譲には懐疑的な見方が多く
これが通貨統合を否定させた背景。
○EU憲法
共通の外交政策については
中立政策との関係で長い議論があった。
しかし、公平・透明・効果的という
EU憲法の全体の特長について評価できることから
一部の否定的見方を乗り越えて賛成に導いた
(ただしこれから国民投票を経た批准手続きが予定されている)。
○国民投票の手法
国民投票にあたっては
広報のための政府予算が確保されるとともに
各政党にもそれぞれの意見を広報するための予算を配分する。
さらに、賛成・反対双方のキャンペーン主体を認定し
それぞれに同額の政府予算を配分する。
1510-1545
ペール・ヴィステルベリ/国会第一副議長
○一院制への転換
直接選挙の院と
県議会からの間接選挙で選ばれる院の二院制だったものを
1971年に一院制にした。
なお、二院制時代も、両院で同時並行審査をしていたため
審議期間の短縮を目的としたものではない。
1545-1625
ヤン・ペンロフ/元国会オンブズマン(現在は国会オンブズマン代理)
○国会オンブズマン制度
絶対権力の国王に対する国会権力の拡大を目的として
1809年に制度創設。
以来、国会に代わって
地方・軍・裁判所を含めた公権力を監視する機能を果たす。
国会が、経験豊かな裁判官などから4名を全会一致で選任する。
公文書について、秘密文書や軍事関係の文書でも自由にチェックできる。
国民からの申し立てが年に5,000件程度あり
4人のオンブズマンと60人のスタッフで処理しているが
75%は調査にも値しないもの
あるいは簡単な調査で対応できるものなので
処理は十分に可能である。
オンブズマンの勧告そのものに法的拘束力はないが
最終的には検察官的機能をもって起訴する権限が担保となっており
勧告に逆らう例はほとんど見られない。
9月7日(火)
1000-1200
ボー・ケンベリ/国会議員(元保健・社会保障相)
ヨーテ・ヴァルストローム/国会議員
ケンベリ氏は民主党も大いに参考とした
スウェーデンの年金改革を推進した中心人物です。
◇私の感想~年金一元化と不均衡
日本では、年金を一元化した場合
個人事業者と給与所得者とで所得の把握に差があり
不公平になるという議論があります。
しかしケンベリ氏はこの議論を明確に否定しました。
ケンベリ氏の指摘は
年金保険料付加の対象も所得税課税の対象と同じであるというもの。
つまり所得把握に不公平があると言うならば
それは年金制度に関する問題ではなく
所得課税そのものの本質的な問題であるということです。
繰り返し国会で私が答弁した認識と同じ認識であり
意を強くしました。
1400-1500
トーマス・ポードストローム/法務大臣
スウェーデンでは法務省が憲法に関する事項も所管しています。
○王位継承
男女平等の考え方を背景に
1980年の改正で女性の王位継承を認め
男女に関わらず第一子が王位継承権を持つように改めた。
女王の場合の配偶者の地位ついて
議論はあったが特に法整備はされていない。
1830-2130
スウェーデン・日本国会議員連盟会長主催夕食会
マリアンネ・カールストローム/議員連盟会長ほか
9月8日(水)
午前の便でストックホルムからヘルシンキへ
◇私の感想~スウェーデン全般
社会保障制度の先進国であり
民主党案作成の基礎となった年金改革を実現した国ですが
私にとっては初めての訪問でした。
古いけれど美しい欧州の町並み。
緑豊かな大自然。
そしてセンスのよい現代的なデザイン。
評判どおり生活の真の豊かさを感じさせる国でした。
もちろん高すぎる国民負担とか
人口の少ない国だから可能なことが多いとか
日本にそのまま持ち込めるものばかりではありませんが
この国の生き方や社会保障のあり方については
いろいろと参考になることが多いのではないかと
今まで以上に感じさせられました。
今度はこうしたテーマで訪問したいという
強い印象を残してくれた国でした。
EUについては
長い中立政策との兼ね合いもあり
ユーロに参加しないなど
急速な主権委譲に消極的な側面もありますが
全体としての大きな統合の流れについては
否定的な見解を聞くことはなく
あくまでも「スピード」の問題にすぎないと感じられました。
なおスウェーデンには統一された「憲法典」はありません。
統治法典、王位継承法、出版の自由法、表現の自由基本法という
四つの法が実質的意味の憲法を構成しています。
日本では「形式的意味の憲法=憲法と名前のついた法」と
「実質的意味の憲法=法の形式に関わらず憲法としての意味を持つ法」
との区別がきちんとなされずに議論されています。
例えば皇位継承について規定した「皇室典範」は
形式的意味の憲法に含まれていませんが
実質的意味の憲法です。
このあたりの基礎的概念をきちんと整理しないと
憲法議論はあさっての方向にいきかねないと危惧しています。
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