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99年5月のオープンミーティング 99年7月のオープンミーティング

枝野幸男 オープンミーティング 

「 盗 聴 法 と 犯 罪 捜 査 」抜粋

1999.6.26


今回は5月の下旬に衆議院を通過した盗聴法について話をさせていただきますが、私はこの盗聴法に対しては一貫して反対の姿勢を取ってきました。

まずは逆説的ですが犯罪捜査にとっての通信傍受の必要性、問題点の指摘から始め、盗聴法の問題点とそこから分かる自民党・官僚政治の在り方について話をしたいと思います。

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▼ 守られていないルール
私は盗聴法には一貫して反対してまいりましたが、今日は「盗聴法けしからん」というのではない所から話を始めたいと思います。

私は常々、広い意味での犯罪捜査の必要性と、その不充分さに対する心配を感じています。

私が問題にしているのは、規制緩和の促進や経済の自由化、環境保護などに関して、つくったルールが守られていないということです。ルールではなく行政指導というかたちでズルズルと事を進めていくというのが従来のやり方です。しかしそれは今や限界となっています。

それでは何でも自由にすればよいのでしょうか。そうではありません。例えば環境問題などは典型ですが、現在なにが問題なのかというと、数値目標などの基準が甘いということ以上にルールをつくってもそれを守らせるための制度が無いことなのです。所沢のダイオキシンの問題は、何年も前から問題になっていますが、少なくとも2年前は、埼玉県庁にダイオキシン問題の担当者が3人しかいませんでした。これでは取り締まりきれるはずがありません。

他に、似たような例として労働基準法があります。労働組合から「労働者の権利をもっと強くして欲しい」「基準を厳しくして欲しい」という意見をもらうことがありますが、今、労働基準法は守られていないのが当然のような状況です。今ある法律が守られていないのに、もっと基準を厳しくするというのは違和感のある話です。

▼ ルールが守られないことの問題点
問題は2つあります。1つは、法律を守らない代わりに、行政指導という形で役所が命令を出すことでバランスを取っているため、結果的に行政の肥大化を招いていることです。

もう1つは日本全体がモラルハザードを起こしていることです。例えば車のスピード違反で捕まった人は、その後反省して「もうスピード違反はしない」と思うでしょうか。ほとんどの人は運が悪かったと思うだけで罪悪感を覚える事はないでしょう。日本全体がそんな状態に陥っているのです。スケープゴード的に摘発を受けても本人にも周辺にも抑止効果はなく、ルールを守らなくてもいいという雰囲気が蔓延しています。

ルールを守らない結果、大変なことになっているものとして、経済、特に銀行があります。銀行に何十兆円もの税金がつぎ込まれましたが、銀行や公認会計士が、「回収の見込みのない貸付金は決算書に書く」という基本的な商法を守っていなかったというのが、問題がこんなに大きくなった原因の1つでもあります。幸いなことに、長銀と日債銀には捜査のメスが入る見通しですが、これも車のスピード違反のようなもので終わるのではないかと危惧しています。他の企業が変わるのか、決算が厳格になるのか、怪しいところです。

以上述べてきたような、ルールはあるが守られていないという社会状況は、自由な個人の選択を認める際に非常に邪魔になると思っています。

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では、つくったルールがきちんと守られる社会にするためにはどうすべきでしょうか。それには、ルールはどの程度の厳しさに設定するか、ルールを誰が取り締まるかという問題があります。

▼ ルールはどのくらいに設定するか
あまりにルールを厳しくするのも良くありません。例えば労働基準法などは厳しすぎると経済にダメージを与えます。ですから、個人の自由は守るけれど、すべきことを最低限やらないとペナルティーが与えられる程度に設定します。

▼ 誰が取り締まるか
普通、ルールを取り締まるのは警察や検察ですが、今まで述べたような環境や経済犯罪、労働基準法まで警察が取り締まるというのはどうでしょうか。一つのところにあまりにも多くの権力が集中するのは良くありません。「権力は必ず腐敗する」というのはよく言われることですが、私に言わせると「チェック機能のない権力は必ず暴走し」ます。 日本の警察、検察は信用度が高いです。しかし第3者のチェックがなければおかしなことをする可能性は否定できません。組織が大きければ大きいほど、誰か一人であっても変なことをする奴かいると、表から隠そうとします。そうして組織全体が腐っていくのです。

警察的権力は分散する必要があります。今でも例えば税務署のマルサは脱税の取締まりという警察的行為をやっているわけです。マルサほどではないですが、金融監督庁もあります。

ですから警察でやる必要はありません。立ち入り権限などを認めた警察に近い機能を持つ機関を複数つくります。

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▼ 盗聴法
以上のことを踏まえた上で盗聴について話をしたいと思います。 私は、通信傍受はプライバシーを著しく阻害するものであり、原則として許されないと考えています。

したがって、ごく限定的なケースにおいてのみ許されると思っています。例えば麻薬取引の捜査で「○○○-××××に電話すると薬が買える」という情報が入ってきたとしたら、その電話を聞いて個別の取引を立証する必要があります。そのようなときに例外的に通信傍受を認めるとしても、その必要性を厳格に審査し、本当に必要と認められた場合のみ傍受が許されるような、厳密で公正な手続きを経る仕組みをつくり、通信傍受に縛りをかける必要があります。

政府提出の通信傍受法案では、この手続きが緩く、実質的には「盗聴促進法」の様相を呈していると考え、反対の立場を明確にアピールしてきたつもりです。

▼ 盗聴と普通の犯罪捜査の違い
また、盗聴と普通の犯罪捜査には大きな違いがあります。それは捜査されている本人が気付かないという点です。つまり、捜査に対して誰も異議申立てができないことになります。そうすると盗聴の結果、逮捕につながったものはいいですが、逮捕に至らなかった空振りのケースに対する抑止が効かなくなります。今すぐ無茶な違法盗聴をするとは思いませんが、いくら空振りをしてもやり過ぎの批判を受ける心配がないのでは、いつか乱用につながる可能性があります。

▼ 国民総背番号法
国民に対する権力の監視の目を厳しくする法案として民主党が盗聴法とともに問題としているものに、住民基本台帳法、いわゆる国民総背番号法があります。これは、すべての国民に10桁の国民総背番号を強制的に付番するというもので、個人の情報を統一して管理します。これは便利な部分は確かにありますが、個人情報が番号一つ入力するだけで分かってしまいます。また、コンピューターは紙と違って情報が盗み易いという問題があります。アメリカのペンタゴンでさえハッカーが入っていたずらをしているといいます。日本の役所のコンピューターなんて当然入ってこられるでしょう。個人情報が筒抜けになる危険性は非常に高いのです。こんな法律をつくって良いのでしょうか。

何故こういう法案が通ろうとしているのか、それは自治省の利権問題なのです。国民総背番号は自治省が管理します。そのために外郭団体をつくってデータをつくります。そこが自治省の天下り先にもなるし、他の省庁や地方公共団体がそのデータを使うときに手数料を取れます。

▼ 自民党の哲学
これらの法案から、自民党、今までの官僚システムの思うあるべき国家の姿というものが見えてきます。それはお上が下々を管理するという形です。国民はお上が決めたことに従っていればいいという発想です。これを民主主義と言えるのでしょうか。 私の思う民主主義とは、国民を信頼し、責任と権限を持ってもらうというものです。公権力と国民は同一のものです。権力が国民を支配するのではなく、国民が権力を管理するのです。それがあるべき民主主義の姿です。

盗聴法や国民総背番号法はそれから逆行するものです。しかしこのような法案がなんとなく通過していこうとしています。これは断じて許すわけにはいきません。枝野幸男と民主党は今後もこのような法案に反対をしていきます。

質 疑 応 答
▽ A氏
盗聴法に反対して集会に参加しましたが、具体的に廃案にするのに一市民としてどうしたらいいのでしょうか。

▲ えだの
国会では自自公が圧倒的にマジョリティーです。それを考えると悲観的になりますが、一昨年、橋本内閣がガタガタになったのは佐藤孝行の入閣に対し「これはいけない」と世論が盛り上がったからです。

世論というのはけっこう大きな力を持っていて、空気が政治に伝わるものです。具体的に何をすればいいのか、というのはむずかしい問題ですが、何かを変えたいというところからやることなら、なんでもいいのです。それぞれに得意分野があると思いますので、パソコンをやっている人なら、自民・公明の議員のアドレスに文章を送るなどそれぞれの方法があると思います。今は楽観的にはなれませんが、世論の盛り上がりによってはなんとかなるのではないかということで絶望してはいけないと思っています。


▽ B氏
犯罪捜査に盗聴を使うのは世界では常識と言われていますが、本当に日本は遅れているのですか。

▲ えだの
それは各国の司法制度を無視した人の発言です。アメリカは警察の強力な権限の代わりにダブルチェック機能をかけるようにしています。日本には警察がおかしなことをやったとき訴える仕組みがありません。

私は民間の第三者機関をつくるべきと考えています。市町村レベルで、半分は市長などの推薦する学識経験者で、半分は希望する住民から抽選で選び、警察に対して申し立てや調査ができるようにします。チェック機能があるというだけで警察の意識はずいぶん変わるでしょう。


編集責任:枝野幸男事務所

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