▼1:支出について
政治にお金がかかる、もしくは、ある程度お金がかかるのは仕方がないということが共通の認識になりつつあります。私の場合、昨年度で経常経費が一年間に約2200万円、政治活動費が約1500万円ということで、合計約4000万円の支出がありました。これは、一昨年度もほぼ同じです。この約4000万円の経費は最低限必要なものとして国民・納税者の方々に理解していただかないといけないと思っています。
▼経費の内訳=事務所の仕事
では、事務所の具体的な仕事についてお話します。
国会議員の活動に関する仕事としてまず日程管理があり、それに伴なって電話、FAX、電子メールによる連絡調整があります。国会事務所には計5本の電話回線があり、私を含め4人で対応していますが、国会会期中の昼間はその対応で非常に忙しくなります。このような電話や電子メールに対応する人がまず必要です。それから、国会質問や議員立法、調査など政策に関する仕事は、基本的に政策秘書が担当しています。郵便物は議員会館内にある一定の場所に秘書が取り行くことになっています。
このほか、会議等への代理出席の仕事があります。党での会議は、火・水・木曜の午前中、朝8時から4つほど同時平行で行なわれます。これに加え、国会の委員会が朝9時から2つほど同時平行で開催されるので、一日に2つ3つの会議が重なることはよくあります。したがって、党内の会議の場合、秘書や学生スタッフが代理で出席して資料をもらってきたり、会議の様子を把握しています。これを、私を除いて一日3人体制でやっています。
一方、大宮の地元事務所については、家賃・駐車場代合わせて一ヶ月に約45万円かかります。多くの方々がアクセスしやすいことを考えると、この程度の経費がかかってしまいます。事務所には公設秘書一人がいますが、オープンミーティング等の準備、印刷物の作成・配布、電話等での支持者等への対応など、一人だけでは仕事を回すことはできませんので、何人かのスタッフが必要になります。
郵便物は地元事務所に毎日二・三十通は来ますが、それを全部読み、スタッフで対応できるもの、議員自身が対応しなければならないもの等を仕分け・対応していく仕事だけでも、一仕事です。
それから、私はホームページとメールマガジンを持っていますが、電子メールは平均的に毎日50通以上は来ています。その中で返信を求めるものにはスタッフや私自身ができるだけ返信するように心がけていますが、その仕事量は相当なものです。
紙ベースでの国政報告としてのポスティング(=配布物等を選挙区内の各家庭のポストに入れて回る作業)に関しては、数多くのボランティアの方々にしていただいているので、その費用は大変少なくて済んでいます。ポスティングは、ボランティアの方のご自宅周辺でしていただく場合が多く、その際は事務所スタッフが配布物を作成し、ご自宅までお届けする仕組みになっています。この場合、現在の地元事務所での4人スタッフ体制は「ぎりぎり」のレベルです。私は、国会議員がどんな活動をして何を考えているのかを、その選挙区の有権者の方々にそのきちんとお伝えしたいと思っていますので、今以上にもっと頻繁に通信物を配布したいのですが、それは、現在の人数のスタッフ体制では困難な状況にあります。
こういうわけで、国会議員の活動資金には、全ての経費を合わせると約4000万円のお金がかかるのです。基本的に、この金額は国会議員が議員として委ねられた責任を果たす上で必要な経費であろうと思っています。もっともこうした活動の多くは、結果的に次の選挙にプラスに働くことになりますが、この点と「議員としての本来の仕事」を区別するのは困難です。「国会議員としての活動については、税金からお金を出していいのでは」という主張もありますが、選挙に際して現職が有利で新人が不利になってしまうので、この点は非常に難しい問題だと思っています。
▼2.収入について
昨年度では個人献金が700万円程度ありましたが、この額は個人献金としては、比較的多い方だと自負していますが、個人献金がなかなか集まらないというのはやむを得ない面があります。たとえば、少し前までは、政治団体へのインターネット上でのクレジットカードによる寄付すら事実上不可能で、小額の献金であっても、わざわざ金融機関に振込用紙を持っていかなければならず、普通の人にとっては、面倒であることは否めないからです。
昨年度の収入総額は約2200万円で支出総額は約4000万円です。個人献金が若干づつでも増えてきてはいますが、それでも平年の事務所の財政は大赤字になっています。
では赤字なのになぜ運営していけるのかというと、まずは、「文書通信費」として、国から給与のほかに月100万円の支給で年1200万円を支給されています。これはある意味でおかしなお金で、官房機密費と同じく、どんな用途にも遣うことができて、領収書を取ったり帳簿をつける必要もありません。税金で賄われているにも関らず領収書の要らない文書通信費を何とかすべきではないかと、今後の活動の中で問題提起をしていきたいと思っています。
もう一つ、私の場合は、赤字でも運営できている理由として、「繰越し金」があります。昨年のケースで言うと、前年度からの繰越し金が3600万円あり、翌年度への繰越し金1900万円あります。したがって、この分によって赤字を埋めているわけです。
ではなぜ繰越し金があるかというと、選挙時に皆さんが「お金がたくさんかかるだろう」と心配して、多くのカンパをいただくからです。しかし実際には、選挙そのものでは、決められた人数以上の人を雇ったりすることは公職選挙法上できません。少なくとも公職選挙法を守っている限り本当に選挙に資金が足りないのは、選挙時ではなく、むしろ、経常経費なのです。この差額が、繰越金になっています。ちなみに、選挙時のビラ・ポスター貼りは、国会議員の場合は公営なので、国からその費用が支給されます。そのため、前回(2000年)の選挙でかかった実質の支出は480万円ほどです。
▼市民と政治家のチームプレイ
このように、実は、国会議員として日々の活動を有権者の方々に報告し、また、有権者の方々から情報をいただくという日常の活動の方が、選挙時よりもお金がかかるため、最低限4000万円は必要になってくるのです。年に4000万円はかかるとしても、私のところは他の議員に比べてお金がかかっていない方だと思います。その理由には様々なものがあると思いますが、全くのボランティアで応援してくださる方がたくさんいるということが大きいと思います。例えば、私の考えと活動をお知らせする有力な手段であるポスティングは、年4回以上、1回あたり約4万戸程度を対象に行なっていますが、これを全部ボランティアでしていただいています。このことが、政治活動資金の規模を小さく抑える最大の要因ではないかと思っています。したがって、このように政治文化を変えるというのは、政治家と有権者の側がチームプレイでやっていくしかないと思います。
私は無理にお金を集めようとは思っていません。私の考えや政治行動を支持していただいた方には、まずは「私に一票を投じてください」と言っています。それから、お知り合いに声をかけていただける場合は、それをお願いしています。ここまでは基本的な話ですが、これから先の話として、もし時間的に余裕のある方がいましたら「時間を私にください」とボランティア等をお願いし、時間は無理でも経済的に余裕のある方には献金をお願いし、そのどちらも難しい方には「お知り合いに声をかけてください」とお願いしています。こうしてそれぞれの方ができる範囲でお手伝いしていただきながら、政治活動を続けていくことが大事であると私は思っています。
▼国会議員の本来の活動と選挙対策活動の区分けについて
実は、地元での政治活動と選挙対策活動の「区分け」は難しい問題です。国会議員としての政治活動を有権者にきちんと説明するという責任を果たし、また、有権者の側から合理的な要望を聴くための窓口として地元事務所があるわけです。しかし、これらの活動と選挙への活動は、ほぼ表裏一体ともとれるのです。ここで、どこまでが国会議員の本来の活動で、どこまでが選挙に向けた活動なのかという区分けは実際には不可能で、まさに「グレーゾーン」が存在します。
国会議員本来の仕事に関しては国民の税金で賄うという考え方はあり得ます。しかし、本来の仕事と次の選挙に勝つための活動との区別をきちんとつけることは実は大変困難です。であれば、税金を充てることは筋違いになります。例えば、地元の方から政策秘書が合理的な陳情を受けて調査することには、「本来の仕事」と「選挙に向けた仕事」の両方の側面がどうしても生じます。
▼陳情処理について
「陳情処理」という言葉は、今悪いイメージで捉えられていますが、陳情を処理すること自体は必ずしも悪いことではないと思います。なぜなら、陳情には千差万別なものがあるからです。私の例で言うと、薬害エイズ問題になぜ私が関係したかというと、私と同期の弁護士が薬害エイズの弁護団の一人で、私に何とかしてほしいと頼んできたのが、最初のきっかけです。この陳情が、厚生大臣だった菅さんによる謝罪と和解につながったのです。たしかに、交通違反のもみ消しや裏口入学のあっせんなど論外の陳情もあるかもしれませんが、社会的な問題に対して不正をただしてほしいとの思いで来る陳情もたくさんあるのです。
私の場合は、「これは危ないかも」と思われるグレーゾーンの陳情はお断りしています。例えば、補助金支給に関する陳情があった場合、担当の省庁と窓口や必要な手続き等はお教えしますが、その後は自分で窓口に行って対応してくださいとお願いしています。このように私は陳情の「線引き」はかなり厳しくしていますが、自分のこの判断がよいのかどうか100%の自信はありません。それほど線引きが難しいことを皆さんに先ずは知っていただき、そのうえで、何らかの基準を設けてどう線引きをしていくべきかをいっしょに考えていただきたいと思っています。
陳情にからんで、お金を受け取ったりしなければいいという話もありますが、それ程単純ではありません。薬害エイズ問題のような社会正義に関する問題に取り組んだ政治姿勢に共鳴して、献金をくださるケースは有り得ます。「成功報酬」や「請託」のような形でお金が渡されているかどうかは主観的な判断にならざるを得ず非常に難しいことです。