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オープン
ミーティング
[抄録]

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枝野幸男 オープンミーティング 

テーマ:「政治文化を変える」

2002.08.03(土)



▼2002.07OM ▲2002.09OM
政治と金をめぐる今日の状況
第154回通常国会が先日終わりました。今国会では、辻元、加藤、井上、田中の各議員が辞職し、鈴木議員が逮捕されました。過去にもロッキード事件など大きな政治スキャンダルがありましたが、一つの国会でこれほど相次いでスキャンダルが発覚したのは、今回が初めてではないかと思います。

鈴木議員に関しては、以前から「違う世界」に住む人だと思っていましたのであまりショックはなかったのですが、加藤紘一さん、辻元清美さんについてはある意味でショックでした。加藤さんについては、利益誘導型政治を壊そうとしており、私と考え方の近い人だと思っていましたので、こういう事態になって意外な印象を受けました。辻元さんに関しては、彼女は、今回のことが法や政治倫理に反することの自覚さえなく行動していたのではないかと思っています。彼女とは、政策は違いますが、政治の古い体質を打ち壊すという点では信頼できると思っていましたので、今回のような国民に理解されない行動を取ったことを率直に残念に思います。

このような事件が相次ぎ、鈴木宗男氏に象徴されるような「政治家」のひとりとして一般の人に見られていることに、割り切れなさを感じています。政治が説得力をもちえなくては、政治の仕事を遂行することはできません。今の政治のままでは、政治家は皆、何を言っても「それではお前はどうなんだ!」と言われかねない状況にあります。政治に対する信頼を取り戻さなければならないという強い思いを持って、私はこの国会を終えました。私だけでなく多くの仲間が同じような思いを持っています。   

新しい政治文化に向けて

10年ほど前に「ユートピア研究会」という会がありました。当時は佐川急便事件など自民党の「政治と金」の問題が大変深刻な状況にあった時期です。この会は、当時の政治腐敗に危機感を持った超党派の議員たちが政治資金を国民に公開し、理解してもらい、何をどう変えたらよいかを考えようとした動きの一つでした。鳩山さんや武村さんなど、のちの「新党さきがけ」を作った人々が多く参加していました。

当時は「政治にお金がかかるのはけしからん」という論調でしたが、今は「政治にある程度のお金がかかるのは仕方がないが、実際にはどの程度必要なのか」という点が問題になっています。また、口利き、陳情処理、秘書給与といった問題も取り上げられるようになって、今では「政治と金」に関する論点も変わってきています。   

政治における情報公開

そこで、私たちは、時代の変化に合わせながら「我々も同じようなことをやってみよう」ということで、仲間4人(民主党から枝野幸男、福山哲郎、自民党から山本一太、水野賢一)が集まって、「論座」という雑誌に各自の政治資金を公開するという形で活動を始めました。そして、今後の号では、「政治家は日々どんなことをしているのか」という話も載せたいと考えています。

政治と金の問題については様々な論点がありますが、まずは情報公開から始めようと思います。きちんと情報公開をすることで、「何が国民の側から見て疑問点なのか? どこが灰色なのか? 政治家の側ではどの点で困っているのか? これは、お金がなくて困っているだけでなく、政活活動でどこまでが倫理上許されるのか、」といった様々な議論を呼び起こして、政治資金の使途や税金による手当て、そして政治活動の「線引き」などについて共通認識を築ければと考えました。これが、私と私の仲間が雑誌に問題提起した趣旨です。   

「政治と金」に関する実情 ~ 枝野幸男の場合

▼1:支出について

政治にお金がかかる、もしくは、ある程度お金がかかるのは仕方がないということが共通の認識になりつつあります。私の場合、昨年度で経常経費が一年間に約2200万円、政治活動費が約1500万円ということで、合計約4000万円の支出がありました。これは、一昨年度もほぼ同じです。この約4000万円の経費は最低限必要なものとして国民・納税者の方々に理解していただかないといけないと思っています。

▼経費の内訳=事務所の仕事

では、事務所の具体的な仕事についてお話します。

国会議員の活動に関する仕事としてまず日程管理があり、それに伴なって電話、FAX、電子メールによる連絡調整があります。国会事務所には計5本の電話回線があり、私を含め4人で対応していますが、国会会期中の昼間はその対応で非常に忙しくなります。このような電話や電子メールに対応する人がまず必要です。それから、国会質問や議員立法、調査など政策に関する仕事は、基本的に政策秘書が担当しています。郵便物は議員会館内にある一定の場所に秘書が取り行くことになっています。

このほか、会議等への代理出席の仕事があります。党での会議は、火・水・木曜の午前中、朝8時から4つほど同時平行で行なわれます。これに加え、国会の委員会が朝9時から2つほど同時平行で開催されるので、一日に2つ3つの会議が重なることはよくあります。したがって、党内の会議の場合、秘書や学生スタッフが代理で出席して資料をもらってきたり、会議の様子を把握しています。これを、私を除いて一日3人体制でやっています。

一方、大宮の地元事務所については、家賃・駐車場代合わせて一ヶ月に約45万円かかります。多くの方々がアクセスしやすいことを考えると、この程度の経費がかかってしまいます。事務所には公設秘書一人がいますが、オープンミーティング等の準備、印刷物の作成・配布、電話等での支持者等への対応など、一人だけでは仕事を回すことはできませんので、何人かのスタッフが必要になります。

郵便物は地元事務所に毎日二・三十通は来ますが、それを全部読み、スタッフで対応できるもの、議員自身が対応しなければならないもの等を仕分け・対応していく仕事だけでも、一仕事です。

それから、私はホームページとメールマガジンを持っていますが、電子メールは平均的に毎日50通以上は来ています。その中で返信を求めるものにはスタッフや私自身ができるだけ返信するように心がけていますが、その仕事量は相当なものです。

紙ベースでの国政報告としてのポスティング(=配布物等を選挙区内の各家庭のポストに入れて回る作業)に関しては、数多くのボランティアの方々にしていただいているので、その費用は大変少なくて済んでいます。ポスティングは、ボランティアの方のご自宅周辺でしていただく場合が多く、その際は事務所スタッフが配布物を作成し、ご自宅までお届けする仕組みになっています。この場合、現在の地元事務所での4人スタッフ体制は「ぎりぎり」のレベルです。私は、国会議員がどんな活動をして何を考えているのかを、その選挙区の有権者の方々にそのきちんとお伝えしたいと思っていますので、今以上にもっと頻繁に通信物を配布したいのですが、それは、現在の人数のスタッフ体制では困難な状況にあります。

こういうわけで、国会議員の活動資金には、全ての経費を合わせると約4000万円のお金がかかるのです。基本的に、この金額は国会議員が議員として委ねられた責任を果たす上で必要な経費であろうと思っています。もっともこうした活動の多くは、結果的に次の選挙にプラスに働くことになりますが、この点と「議員としての本来の仕事」を区別するのは困難です。「国会議員としての活動については、税金からお金を出していいのでは」という主張もありますが、選挙に際して現職が有利で新人が不利になってしまうので、この点は非常に難しい問題だと思っています。

▼2.収入について

昨年度では個人献金が700万円程度ありましたが、この額は個人献金としては、比較的多い方だと自負していますが、個人献金がなかなか集まらないというのはやむを得ない面があります。たとえば、少し前までは、政治団体へのインターネット上でのクレジットカードによる寄付すら事実上不可能で、小額の献金であっても、わざわざ金融機関に振込用紙を持っていかなければならず、普通の人にとっては、面倒であることは否めないからです。

昨年度の収入総額は約2200万円で支出総額は約4000万円です。個人献金が若干づつでも増えてきてはいますが、それでも平年の事務所の財政は大赤字になっています。

では赤字なのになぜ運営していけるのかというと、まずは、「文書通信費」として、国から給与のほかに月100万円の支給で年1200万円を支給されています。これはある意味でおかしなお金で、官房機密費と同じく、どんな用途にも遣うことができて、領収書を取ったり帳簿をつける必要もありません。税金で賄われているにも関らず領収書の要らない文書通信費を何とかすべきではないかと、今後の活動の中で問題提起をしていきたいと思っています。

もう一つ、私の場合は、赤字でも運営できている理由として、「繰越し金」があります。昨年のケースで言うと、前年度からの繰越し金が3600万円あり、翌年度への繰越し金1900万円あります。したがって、この分によって赤字を埋めているわけです。

ではなぜ繰越し金があるかというと、選挙時に皆さんが「お金がたくさんかかるだろう」と心配して、多くのカンパをいただくからです。しかし実際には、選挙そのものでは、決められた人数以上の人を雇ったりすることは公職選挙法上できません。少なくとも公職選挙法を守っている限り本当に選挙に資金が足りないのは、選挙時ではなく、むしろ、経常経費なのです。この差額が、繰越金になっています。ちなみに、選挙時のビラ・ポスター貼りは、国会議員の場合は公営なので、国からその費用が支給されます。そのため、前回(2000年)の選挙でかかった実質の支出は480万円ほどです。

▼市民と政治家のチームプレイ

このように、実は、国会議員として日々の活動を有権者の方々に報告し、また、有権者の方々から情報をいただくという日常の活動の方が、選挙時よりもお金がかかるため、最低限4000万円は必要になってくるのです。年に4000万円はかかるとしても、私のところは他の議員に比べてお金がかかっていない方だと思います。その理由には様々なものがあると思いますが、全くのボランティアで応援してくださる方がたくさんいるということが大きいと思います。例えば、私の考えと活動をお知らせする有力な手段であるポスティングは、年4回以上、1回あたり約4万戸程度を対象に行なっていますが、これを全部ボランティアでしていただいています。このことが、政治活動資金の規模を小さく抑える最大の要因ではないかと思っています。したがって、このように政治文化を変えるというのは、政治家と有権者の側がチームプレイでやっていくしかないと思います。

私は無理にお金を集めようとは思っていません。私の考えや政治行動を支持していただいた方には、まずは「私に一票を投じてください」と言っています。それから、お知り合いに声をかけていただける場合は、それをお願いしています。ここまでは基本的な話ですが、これから先の話として、もし時間的に余裕のある方がいましたら「時間を私にください」とボランティア等をお願いし、時間は無理でも経済的に余裕のある方には献金をお願いし、そのどちらも難しい方には「お知り合いに声をかけてください」とお願いしています。こうしてそれぞれの方ができる範囲でお手伝いしていただきながら、政治活動を続けていくことが大事であると私は思っています。

▼国会議員の本来の活動と選挙対策活動の区分けについて

実は、地元での政治活動と選挙対策活動の「区分け」は難しい問題です。国会議員としての政治活動を有権者にきちんと説明するという責任を果たし、また、有権者の側から合理的な要望を聴くための窓口として地元事務所があるわけです。しかし、これらの活動と選挙への活動は、ほぼ表裏一体ともとれるのです。ここで、どこまでが国会議員の本来の活動で、どこまでが選挙に向けた活動なのかという区分けは実際には不可能で、まさに「グレーゾーン」が存在します。

国会議員本来の仕事に関しては国民の税金で賄うという考え方はあり得ます。しかし、本来の仕事と次の選挙に勝つための活動との区別をきちんとつけることは実は大変困難です。であれば、税金を充てることは筋違いになります。例えば、地元の方から政策秘書が合理的な陳情を受けて調査することには、「本来の仕事」と「選挙に向けた仕事」の両方の側面がどうしても生じます。

▼陳情処理について

「陳情処理」という言葉は、今悪いイメージで捉えられていますが、陳情を処理すること自体は必ずしも悪いことではないと思います。なぜなら、陳情には千差万別なものがあるからです。私の例で言うと、薬害エイズ問題になぜ私が関係したかというと、私と同期の弁護士が薬害エイズの弁護団の一人で、私に何とかしてほしいと頼んできたのが、最初のきっかけです。この陳情が、厚生大臣だった菅さんによる謝罪と和解につながったのです。たしかに、交通違反のもみ消しや裏口入学のあっせんなど論外の陳情もあるかもしれませんが、社会的な問題に対して不正をただしてほしいとの思いで来る陳情もたくさんあるのです。

私の場合は、「これは危ないかも」と思われるグレーゾーンの陳情はお断りしています。例えば、補助金支給に関する陳情があった場合、担当の省庁と窓口や必要な手続き等はお教えしますが、その後は自分で窓口に行って対応してくださいとお願いしています。このように私は陳情の「線引き」はかなり厳しくしていますが、自分のこの判断がよいのかどうか100%の自信はありません。それほど線引きが難しいことを皆さんに先ずは知っていただき、そのうえで、何らかの基準を設けてどう線引きをしていくべきかをいっしょに考えていただきたいと思っています。

陳情にからんで、お金を受け取ったりしなければいいという話もありますが、それ程単純ではありません。薬害エイズ問題のような社会正義に関する問題に取り組んだ政治姿勢に共鳴して、献金をくださるケースは有り得ます。「成功報酬」や「請託」のような形でお金が渡されているかどうかは主観的な判断にならざるを得ず非常に難しいことです。   

オープンミーティング

極端な話として、現職の国会議員の活動すべてを税金で面倒を見る代わりに献金を一切受けてはいけないという方法も、一理はあります。しかし、国会議員としての本来の活動としての国政報告等の仕事と選挙に向けての活動とは線引きは大変難しい問題なので、一定の部分は自分で集めるべきではないかと思います。

今、政治と金の問題を考える研究会を立ち上げたばかりですが、各議員ともお互いの実状をよくわかっているとは言えません。衆議院・参議院、所属政党、選挙区事情などによって政治資金をめぐる状況は全く違います。同じ党の中でも、議員によって政党支部、政治団体、資金管理団体の3つの団体間でお金の出し入れの仕方が全く違う場合もあります。

そこで、この問題で同じ意識を持つ議員同士の信頼関係にもとづいて、政治資金の流れの実態について正直に情報を出し合い話し合っているところです。そのうえで、議員間のコンセンサスを得た上でできるだけ皆さんに公開できればと考えています。

実は、私は、政治と金の問題は現時点で一つの山は越えたのではないかと思っています。なぜなら、加藤鉱一さんと鈴木宗男さんの失敗によって、今後とても大きな影響が出てくると思うからです。

今、若手の自民党議員は、1億から1億5千万円くらい集めれば何とかやっていけるようです。一方で、何億も集めている人は、自分の政治活動のためでなく、「子分」や派閥を作って総理大臣になろうとしている人達です。ところが今では、そうやってお金を集めても総理大臣になれていないのが現実です。すなわち、子分にお金を配って総理大臣になるようなシステムが崩壊しつつあります。そのことを示すよい例が、あまりお金を集めてこなかった小泉総理の誕生や、加藤さんや鈴木さんの失敗です。こういう事例が続くと、今後は、多額のお金を集めて総理大臣になろうと思う人は少なくなるでしょう。そして、旧来の政治文化を変えて政策や政治信条などで総理大臣を選んでいこうという意識が、自民党も含めて強くなっているというのが今の政治状況だと思います。この動きを加速し、一気にこの国のあるべき政治文化の構築をするために、努力していきたいと思います。

質疑応答 questions and answers

▽ A氏
政治文化を変えるためには、一つには政治における「言葉遣い」を変えることが重要だと思います。選挙時などで抽象的で響きだけがよい空疎な言葉を使っているだけでは一般の人たちは政治に興味を示さないと思いますが、この点をどうお考えですか?

▲ えだの
ご指摘には全く同感です。そのうえで、この状況が良くなるには競争原理しかないと思っています。立候補者が有権者に心に響かない言葉を使っていれば多くの有権者は愛想を尽かすでしょうから、逆に、きちんとした言葉で語れる候補者はお金や地盤がなくても選挙に勝てるかもしれません。空虚な言葉を使う政治家や候補者が多いことは今の日本にとっては不幸だと思います。空虚な言葉で語らないようにするためにも、政治家たる者は、自分の言葉で話したり、印刷物に書く原稿は自分で考えて自分で書くべきだと思っていますし、後輩達にもそう言い聞かせています。

▽ B氏
秘書給与流用問題については、国会として全議員を調査して結果を公表することはできないでしょうか?

▲ えだの
本当は、これはした方がいいとは思いますが、残念ながら、任意の調査では議員の中には真実を公表しない者もいると思うので、調査の実効性が乏しくなるのではないかと思います。なぜなら、秘書給与流用は犯罪にもなり得ることなので、実際に流用している議員は本当のことを言わないと思われるからです。再発防止のために秘書制度の見直しにまず取り組みたいと思います。

▽ C氏
2000年に政治家個人への企業献金が禁止された時、政党支部への企業献金は認められて「これは逃げ道ではないか」という話がありましたが、これをどう思いますか?

▲ えだの
私個人は、企業献金は、まず政党本部のみ宛てに限定するなど、徐々になくした方がいいと思っています。企業が支出をする際は、そこに利益が期待できなくては、背任行為とみなされてしまうという理屈が成り立つと思うからです。


議論以下省略
編集責任:枝野幸男事務所



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