
枝野政調会長/記者会見要旨
2004年04月08日(木)
09:45~10:05 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会
INDEX
■年金法案提出について
■関連質問
与党案と並べて審議が行われる
が‥‥/所得捕捉のための納税者番号導入について/今回の法案審議で最も訴えたい
こと/給付と負担の関係について/給付開始年齢65歳は変えないのか
■イラクで自衛隊に迫撃弾が打ち込まれた件ついて

○年金法案提出について
本日、民主党案を提出した(於4月8日9:30~衆議院事務総長室)。国会対策委員会
にご尽力いただき、昨日も政党間協議で合意をされているため、9日の衆議院本会議
で民主党案の趣旨説明を行い、年金の実質的審議に入ることになる。
内容については、昨日の定例会見で説明させていただいたので省略し、本日は2点
だけご説明させていただき、後は質問があればお答えしたい。
一つは、消費税が6%になるのではないかとの話も出ていたが、今日の一部の報道
では、基礎年金1/2引き上げの約2.7兆を消費税1%分として計算している。民主党は
前から申し上げているように、現状の基礎年金国庫負担1/3から1/2への引き上げにつ
いては、他の財政支出の縮減によってまかなう。この方針は一貫して変わっていな
い。国庫から年金にまわされる金額をベースにして、それに加えてどの程度必要かと
いうことで計算し、今後30年程度は3%程度でもつだろうと申し上げている。根拠と
なるベースの部分を意図的に違うように言って数字が大きくなるような幻想を与えて
いると言わざるを得ない。
また、2025年頃を想定して言っていると思うが、全額が新制度になっているわけで
はない。2009年までに納めた保険料に対応する給付は、現行制度をベースにして支払
う。2009年から新制度で納めた保険料に対応する部分は新制度で対応する。その足し
算を受け取るということであり、2025年ベースでは、旧制度に基づく給付の方が多
い。その部分の計算をしないで、全部が新制度になるかのごとき計算をしており、こ
の点は審議の中で詰めていけば、30年程度は3%でもつことは説明できると考えてい
る。

○関連質問
[与党案と並べて審議が行われるが‥‥]
厳密に言えば並びだとは思っていない。民主党は抜本改革の姿、骨格を示してい
る。政府案は一元化を含めた制度改革が望ましいとしているが、具体的な案は示され
ていない。小泉総理は国民年金を含めて一元化が望ましいと言っているが、与党の一
部は国民年金まで含めての一元化は難しいと言っており、政府・与党内の不一致、閣
内不一致だ。与党内の議論を整理してどのような一元化をするのか、政府側の議論集
約を待ちたい。一刻も早く小泉総理の言う一元化の姿、少なくとも骨格は示していただきたい。そこで初めて同じ土俵での議論となる。現時点では同じ土俵だとは思って
いない。民主党案が前に行っている。追いついたのではなく追い越した形だ。
[所得捕捉のための納税者番号導入について]
納税者番号制だけで全てが解決するとは思っていない。ただ、導入することによ
り、現状よりも所得把握が相当楽になる考えに立っている。民主党が考える納税者番
号制は、年金と一体となった年金納税者の一元的な番号で所得把握を進めていくとの
考え方だ。民主党はいわゆる国民総背番号制には反対しているが、目的毎に別の番号
を付けて別に管理をすれば、プライバシーの問題や流出した場合のリスクが回避でき
る。年金と税に限定した番号を付ける。現行で年金番号が付いているので、それを利
用すれば導入はそれほど難しくない。
[今回の法案審議で最も訴えたいこと]
ポイントは3点。一つは、(1)公平感を高めていくことができる。一番の象徴は議
員年金だと思うが、民主党案では議員年金を含めて一元化する。小泉総理のような党
内がまとまっていない戯れ言とは違い、民主党は党内をまとめた上で、具体的に所得
比例年金に一元化し、議員年金に象徴されるような不公平はなくす。
もう一つは、(2)持続可能性である。過去債務を現役世代の保険料引き上げにしわ
寄せする政府案に対して、民主党はその不足分は消費税3%でお願いする。他の歳出
削減で、トータルとして国庫でまかなう。保険料へのしわ寄せとなれば、企業側が企
業負担分1/2に耐えられずに、非正規雇用へと雇用を移していくものが今以上に加速
していくことになる。その場合、厚生年金自体の加入者が大きく減り、厚生年金が空
洞化する。その人たちが国民年金に移ることを余儀なくされるわけであり、現実に国
民年金のところは、4割も空洞化している。この国民年金の空洞化も加速する。政府
案は今のように正規雇用で厚生年金に入ることを前提として組み立てられているが、
今回の保険料引き上げによって空洞化が加速し、厚生年金も国民年金も成り立ち得な
くなるのではないか。民主党はそれを避ける。保険料率を固定することの重要性はそ
こにある。不足分は勇気を持って消費税負担をお願いする。この持続可能性が挙げら
れる。
そして、金額的には必ずしも大きくはないが、(3)年金積立金の運用、使い方、取
り崩しを急ぐこと。急ぐと言っても団塊ジュニアを乗り切るまでは必要であるため、
10年というわけにはいかないが、団塊ジュニアを乗り切る所までで取り崩す。そし
て、運用については、年金以外に使わせないことを明確にすると同時に、民主党は国
庫で下支えをするため、3%程度分が必要だと申し上げたが、行政改革、財政改革の
姿勢をしっかり示すことによって、年金財源にもダイレクトにプラスの影響を与える
ことができる。年金を支えていくためにも行財政改革を徹底して進めるとのインセン
ティブを働かせる。こうしたことで税金や年金積立金の無駄を削るシステムを組み込
んでいる。
[給付と負担の関係について]
負担と給付の関係は、誰がどのようにしても、給付を大きくすれば負担が大きくな
り、負担を小さくすれば給付が小さくなる。これは誰が行っても一緒だ。この点で、
政党によって差違が出ることはあり得ない。負担しなければ給付のしようがない。そ
うした中で民主党の努力としては、積立金の取り崩し方、あるいは全体としての歳出
削減努力は組み込んでいるが、全体の構造としては、負担と給付はトータルとしての
負担は一緒になる。民主党は、標準世帯のケースで政府案と同じような給付水準を維
持すると申し上げている。負担について、どのようにしたら一番公平なのかについて
の違いだ。それは政府側もよくわかっていることだ。負担が多い少ないではなく、同
じ給付をする以上は誰が行っても負担は同じ。それが公平であるかどうかについての
制度の枠組み論が重要であり、民主党は報酬比例部分について、あらゆる働きかたを
通じて同じ保険料率で同じ給付を受けるという公平を考えている。税についてどのよ
うな使い方をするのかについては、税の特性を考えて全体としての規模を一定程度押
さえるということから考えて、高額所得の方にはご遠慮いただく。負担と給付の関係
で言えば、保険料の引き上げでやっていくのか、それとも税、国庫でやっていくのか
という一点に尽きる。それは国民の判断だ。
その上で、今のような仕組みであり、給付の水準を維持しようと思えば、何らかの
形で国民の負担をお願いせざるを得ない。それ以外のことができるとしたら、嘘をつ
いていることになる。民主党は保険料の引き上げと税による負担をお願いするのと、
どちらがより公平かとの観点に立ったとき、一つは、保険料の引き上げでは空洞化が
さらに加速するという大変大きな問題点を抱えている。もう一つは、これから30年、
40年の間、過去債務の不足分についての財源不足だ。保険料をあずかった際の約束を
果たせなくなっている。これは政府の失敗だが、これによる必要経費は国民全体に広
く薄くお願いするのが公平なのではないか。
それでも消費税には逆進性があるのではないかとの批判については、保険料の方が
逆進性は大きいと言わせていただきたい。どのような制度をとったとしても、保険料
の算定基準となる報酬月額、13.58%の基となる数字は所得の上限を定めることにな
る。例えば、月収1千万の人に1千万×13.58%とはならない。月収62万円を超える人
たちも月収62万でかけ算をしている。したがって、62万を超える収入のある人は、62
万円の13.58%しかかからないということで、高額所得者には非常に有利な制度と
なっている。消費税であれば、沢山収入があり沢山消費する人には、それに応じてご
負担いただくことになる。逆進性という観点からは保険料よりも消費税の方が公平で
ある。さらに民主党は、消費税を引き上げるにあたっては、最終的な結論は2007年ま
でに出せば良いが、やり方は2つあると考える。複数税率か戻し税方式で、所得の低
い人たち、消費税の負担が生活水準そのものにダメージを与える層の方々には、その
ような形で緩和措置をとることも同時に税調で議論しており、逆進性の問題は小さ
い。これは国民に選択していただく。今、厚生年金と申し上げたが、国民年金保険料
引き上げと、消費税とを比べると国民年金ではもっと逆進性が高い。もちろん、選挙
前に増税の話はしたくないが、勇気をもって正直に申し上げたい。
[給付開始年齢65歳は変えないのか]
基本的にはその部分を変える考えはない。年金の部分から給付開始年齢の議論をし
ていくのはあべこべだ。高齢者が元気になっている中で、社会全体の状況として実質
的な定年年齢が後ろにさがるようなことがあれば、それに連動して年金の方でどのよ
うに考えるのかが出てくるべきことであり、年金をいつまで引き上げるかといった定
年が後ろからついてくる話は、当事者である受給者の立場からすれば納得できないこ
とだろう。筋としてもあべこべだ。中期的に10年、20年先のことを考えると、日本の
労働人口自体が減っていくため、もしかすると定年が社会的要請として、労働市場の
問題として後ろにさがる可能性はあるかもしれないが、それはその時に考えれば良い
ことだ。その時に社会的合意をとることができると思うが、そのようなことがない限
り、今の65歳という線は実際の稼働可能年齢を考えると動かせないだろう。

○イラクで自衛隊に迫撃弾が打ち込まれた件ついて
結果的にけが人が出ておらず不幸中の幸いだ。ただ、民主党は一貫して、イラク全
土が戦場であると申し上げてきた。その構造はより明確になってきている。自衛隊の
安全確保という点で憂慮している。現行の派遣の根拠となっている法律が、戦場に送
るという前提に立っておらず、装備の面でも権限の面でも自衛官の方々に今のイラク
の客観的状況に応じた装備と権限が必ずしも与えられていない。そこはこうした虚構
に基づいた法律を作った政府として、実態に合わせた対応を早急にする責任があると
申し上げておきたい。
以上