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枝野政調会長/記者会見要旨
2004年3月24日(水)
16:35~16:55 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会

INDEX
■『次の内閣』閣議報告(サイバー犯罪に関する条約、高速道路問題、他)
■高速道路問題について
■年金問題について




○『次の内閣』閣議報告



[サイバー犯罪に関する条約]
 「サイバー犯罪に関する条約」について、かなり時間をかけて議論した。本条約 は、サイバー犯罪に関する国際的な規制をしていくものだが、2つの問題点を含んで いる。

一つは、(1)サイバー犯罪に対応するために、各国ともいわゆる通信傍受的な犯罪対 応手法を整備すべきとの内容が含まれていること。もう一つは、(2)サイバー犯罪へ の対応は必要だが、その権限が濫用されるとプライバシーの侵害等につながりかねな いということ。この2つの問題点が指摘された。

 (1)については、民主党の合同部門会議で法務省が説明した際に、委員会答弁とは 異なる間違った説明をしたことから党内の議論が非常に混乱した。国会では、「民主 党は、マニフェストに『盗聴法』を凍結し抜本的に改めるとしている。人権侵害のな い、かつ必要な犯罪に対しては通信傍受をできるという抜本的な見直しをする。その ために一時的に通信傍受法の運用を凍結する姿勢をとっており、それと、この条約で 各国に課されている義務は矛盾しない」との答弁があったが、合同部門会議における 法務省の説明では「矛盾する」とのことだった。これにより民主党の議論は大混乱し た。法務省には厳しくその責任を明らかにしていただかなければならない。

 (2)については、大激論となった。民主党としては、人権擁護のための条約批准が 政府として遅れているのに対し、犯罪捜査等の手段を作るべきとの条約の批准だけ が、前に進んでいく。サイバー犯罪条約の中にも、いくつかの条約を挙げて、「基本 的人権の尊重との間に適正な均衡を確保することが必要であることに留意し‥‥」と 書いてあり、犯罪捜査のための条約と、人権擁護のための条約との均衡を重視しなけ ればならないとしているにも関わらず、今の日本政府の立場は非常におかしい。

 民主党としては、遅れている人権関連の条約の締結批准を急がせること。並びに本 条約に基づく国内法整備にあたっては、人権擁護の観点とのバランスを適正にみて、 条約に基づく法律ということで無条件に、無批判に法整備を進めさせることはしな い。この2点を十分に確認した上で、この条約だけをみれば、サイバー犯罪の防止の ために必要な取り決めであるため、賛成することとした。

[高速道路問題について]
 民主党が高速道路無料化法案を「提出する」と報じた報道機関と「提出しない」と した報道機関に分かれているが、最終的には民主党の考え方を法律案という形で示 し、提出することを決定した。法案は、いわゆる高速道路を原則無料化し、現行の道 路公団は廃止する内容の法律案を「基本法」という形にするもの。提出は、政府の民 営化法案と同時スタートにはならないが、審議の早い段階で法案ができあがり次第お こなう。提出にあたっては、法案に書き込まれない部分について、できるだけ具体的 に説明できるようにすることを併せて確認した。

[その他]
 色々と言われているが、小村寿太郎(*1)はしっかりと守らなければならないと 思っている。それ以上、解説は求めないでほしい。

(*1)こむら小村じゅ寿たろう太郎(1855~1911)‥‥大国ロシアを相手に、日本に有利 な条件で戦争終結に持ち込んだことで、後世高く評価されたが、当時は賠償金を得ら れず、国民からは「弱腰外交」と非難された。(朝日新聞より)




○■記者からの質問 ~高速道路問題について~

[どのような議論がなされたのか]
 私から提起させていただき、特に議論はなかった。

[法案はいつ頃提出するのか]
 4月前半には提出したいと考えている。あとは物理的な作業だけだ。この件につい ては、民主党の判断が遅かったので与党に(政府案との同時審議を)待ってもらうこ とはできないだろう。しかし、採決までの間に提出し、政府案と並べて議論できる場 をつくりたい。

[以前、法案提出を決めたと思うが再確認したのか]
 本日の『次の内閣』閣議以前の段階で提出を決めていたことはない。私と野田国対 委員長(国会対策委員長)との話で年金は法案を出すが、高速道路については違う対 応ではないか‥‥との方向性の議論を1月頃にした。その後、『次の内閣』で議論し たところ、「出した方が良いのではないか」との意見が多数出されたため、私が引き 取った。その上で、菅代表、岩國ネクスト国土交通大臣、そして国対等とも相談した 結果、最終的に今日の『次の内閣』で法案提出を確認した。事前に岩國ネクスト国土 交通大臣と話をして、私から提起することを確認したため、あえて言えば、事実上そ こで決まったとも言えるが。

[菅代表や国会対策委員会との話し合いではどのような議論がなされたのか]
 必ずしも強く法案を出すべきではないとの議論はなかった。法案を作り、提出し、 対案として審議し、質問を受けなければならないこともあり、関係者が物理的な作業 を含め、かなりのエネルギーが必要であるため、事前にある程度確認しないとなかな か法案提出はできない。そのエネルギーを私の方で若干の時間をかけて確認させてい ただいた上で、提出するとの提起をさせていただいた。

[最終的に提出を決めたポイントは]
 年金は対案を出すのに、道路では対案を出さないとなると、道路のマニフェストは どうなってしまったのかという誤解を与える恐れがある。そのような誤解を与えるこ とは心外であるので、誤解を払拭するためにも法案を出すべきではないかと考えてい る。

[法案のイメージは]
 具体的に高速道路を無料化するためには、100本以上の関連法案の整理が必要に なるが、それは行政的な仕事である。政治的に決めなければならないことは、道路公 団を廃止し、高速道路を原則無料化する、例外の範囲を示す、どのようなスキームで 債務を返還するのかをある程度示す、という点だろう。

省庁再編が行われる前に行革基本法があり、この基本法に基づいて、省庁再編法とい う個別法が作られた。民主党の高速道路法案は、その行革基本法をイメージしてい る。

[法律の名称について]
 道路4公団を廃止し高速道路を原則無料化するための基本法‥‥といった名称にな るか。あまり意識してはいない。法制局と現場に任せている。

[政府の民営化案とは違った形になるが、国会論戦はどのようになるのか]
 政府案が民営化としての内容を伴っていないことを明らかにすることが、民主党の 第一の仕事ではないか。本当の民営化案であるならば、民営化が良いのか無料化が良 いのかという同じ次元での議論、選択であり、この部分について意見が分かれること はあり得る。ただし、政府案は民営化の実態を為していない。民営化と株式会社化は 全く違う。単なる株式会社化であって、民営化ではない。同じ土俵に政府が上がって いないため、まずはそれを明らかにしていくことが民主党の責任だと思う。  その上で、第二段階として、民主党の選択肢として無料化が成り立つ案であり、無 駄な道路を作らないということでは、キャップをはめる形になり、道路建設の総枠を おさえる点で、民主党案の方が機能するということを訴えていく。

[流れの確認]
 道路については、民主党が法案提出を決定するタイミングが、こちらの事情で遅れ たため与党に待ってもらうことはできないだろう。しかし、論点として、政府案が真 の民営化になっていないことと、民主党の主張する無料化が成り立つという論点を審 議を通じて明らかにすることには全く問題ない。




○記者からの質問 ~年金問題について~


[本日の『次の内閣』で年金の議論はなされたのか]
 今日の『次の内閣』では議論されなかった。骨格は大筋了解をいただき、それに基 づいて法案作成作業と、様々なシミュレーション作業を進めている。最終的に法案を 提出できる形になった時点で『次の内閣』閣議で確認することになるが、その前段階 として、厚生労働部門会議等で議論されることになる。

[法案提出時期について]
 一貫して変わっていない。3月末から4月上旬頃になるだろう。ただし、予算や物 価スライド法案審議中の提出では理屈が通らない。この2つの結論が出た時点以降 で、できるだけ早く提出したい。遅くとも4月9日までには提出できると考えてい る。

[自民・中川国対委員長は、4月1日に審議入りしたいとの事だが]
 自民党の希望は希望として、民主党は、法案審議を遅らせようと思って遅らせてい るわけではない。衆議院法制局のスタッフを10倍にしていただければもっと早く法 案ができるかもしれないが。

 昨年の有事法制の際にも申し上げたが、議員やスタッフには不眠不休で作業を進め てもらっているが、衆議院法制局にお願いできる無理には限界がある。そういった物 理的な要因であるため、そこは待っていただき、並べて議論した方が国民にも親切で はないか。私の立場からは、できあがり次第提出したいと考えている。提出時期を遅 らせる意図は毛頭無い。

[流れの確認]
 年金の論点は、抜本改革か抜本改革ではないかという論点であり、同時に並べない と議論自体が成り立たない性質のものだ。これは当初から対案を提出するための作業 を進めている。政府・与党の都合で法案提出が遅れたケースは多々あり、当方は最大 でも4月9日には作業を間に合わせることを約束している。せいぜい1週間のことな のでお待ちいただくのが筋ではないか。

[先週まとまった骨格と菅代表が示す骨格とが違うものともとれるが]
 内容は全く違っていない。説明の仕方が統一されていないだけだ。説明が統一され ていないことについては、私の責任で整理をしていきたい。

 一つは、所得に応じての所得比例年金。もう一つは従来の基礎年金に変えて全額税 でまかなうものを作る。全額税であり、所得の再配分機能で高額の年金を受け取る方 にはご遠慮いただく。どちらの説明でも内容は同じだ。どちらがわかりやすいかを整 理していきたい。

[社民党や共産党との共同提案はあり得るのか]
 社民党とはかなり考え方が近いのではないかとも思うが、共産党とは明確に違って いるようだ。そういう意味では単独でも良いのではないかと思っている。抜本改革の 内容が違っているだけのことであり、抜本改革なき負担増について認められないとい う点は3党全く一致している。また、主な関係団体(日本経団連、経済同友会、連合 等)も抜本改革なき今回の負担増はおかしい、抜本改革こそが必要であり、自民・公 明党案は抜本改革ではないという点ではほぼ一致している。

 与党は民主党に対案を出せと言っているが、そもそも与党が抜本改革案を出してい ないのではないか。抜本改革の案を早く出すことをお願いしたい。民主党は遅くとも 4月9日までには出すが、政府・与党はいつ出すのか。早く出していただかないと議 論にならない。

 念のために申し上げるが、日曜日のNHKに出演した際に、自民・額賀政調会長 は、「これは抜本改革の入口であって抜本改革ではない」と明確に認めているので、 今までの政府の見解と矛盾しているのではないか。審議に入るにはこのおとしまえも つけていただかないとならない。額賀政調会長が責任をとって辞めるのか、抜本改革 ではないことを政府が認めるのかを明確にしていただく必要がある。抜本改革という ことを前提に議論をするのか、抜本改革ではないことを前提に議論するのか、この点 がはっきりしないと民主党としても議論のしようがない。

[最低保障年金を報酬比例年金に追加して支払うということか]
 追加かどうかについては、価値判断だ。2つの財源で、2つの計算方法で、年金の 給付がなされる。追加というかどうかについては、見方であり、説明の仕方であると 思う。

 高所得者には払わない。低所得者に払う。最低限税でまかなう従来の基礎年金にあ たる部分については、最低保障を行う目的を明確する。  今の基礎年金も老後の最低限の生活を守るということであり、税を1/3から1/2にし ようとしている。その延長線上で全額税とする。全額税とすれば所得の再配分機能だ けとなり、沢山年金を受け取っている方にはご遠慮いただくことになる。延長線上で もあり、個別に見たら、追加するということも言えるが、制度そのものが違っている のではなくて、説明の仕方が違うだけだ。





以上