
枝野政調会長/記者会見要旨
2004年3月17日(水)
16:50~17:10 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会
INDEX
■『次の内閣』閣議報告(特定船舶等入港禁止法案、福岡県警不正経理疑惑、外来生
物種規制法案、国土利用計画法等、募集・採用における年齢差別禁止法案、サイバー
犯罪に関する条約、他)
■年金について
■特定船舶問題の与野党協議について
■道路公団問題について
■愛知15区・公職選挙法違反問題の有罪判決確定と公選法改正について
■週刊誌の事前差し止め問題について
■石破防衛庁長官の「自衛隊は自閉隊」発言について

○『次の内閣』閣議報告
[特定船舶等の入港禁止に関する特別措置法案]
民主党は、特別措置法という形で事実上、拉致問題の解決、あるいはミサイル核問
題に対する解決に向けた外交上のカードという位置づけを明確にすること。特定船舶
の対象をより柔軟に指定できるようにすること等を含んでいる点が、自民党案と言わ
れているものよりも優れている点だと考えている。
本法案は、本日の『次の内閣』閣議で確認し、了解をいただいた。提出時期等につ
いては、様々な政治的状況あるいは外交状況、外交交渉等を見極めながら、役員会、
国対(国会対策委員会)にお任せいただくこととした。提出時期は確定していない
が、いつでも提出できることを確認した。
[福岡県警・不正経理疑惑調査団報告]
先週の北海道警に続いて、福岡県警についても、現地調査を行った。対策本部も3
月16日に設立し、調査については対策本部を中心に進めていただいているが、その
報告を受けた。これに関連して、本日の閣議で出た話ではないが、先々週のテレビの
討論の中で、額賀・自民党政調会長が、固有名詞をあげてはいないものの、北海道の
告発をした方を含めて国会に呼ぶことを全国民に向かって約束をしていることであ
り、一刻も早く約束を守っていただきたい。当日同じテレビに出演した立場から申し
上げておきたい。
警察の不正問題と連動する形で、公益通報者保護法案が政府案と民主党案の両方出
ている。今回のような内部告発が行われ保護されることの担保がとれるような内容に
していかなければならないということを問題の報告にあたり提起され確認された。
[外来生物種規制法案]
政府案も出てきているが、民主党案が先行して議員立法として157臨時国会に提出
したものだ。民主党案の方がより詳細な内容となっている。政府案は民主党案に促さ
れる形で、「やらないよりはまし」というものを提出したものであるため、本法案を
改めて対案として提出し、審議の中でどちらが優れているのかを議論していきたい。
[三位一体関連/国土利用計画法及び都市再生特別措置法の改正案]
政府・三位一体改革は全体として地方に対するしわ寄せであり、本格的な分権とは
逆行するものであるというのが民主党の立場である。従って、三位一体関連法案は原
則反対としているが、この法案に限っていえば、役人的ごまかしが見られるものの、
従来の補助金を減らしてそれを上回る額、地方の使い道をより自由にする内容となっ
ているため、三位一体全体には反対であるが、この法案に限っていえば、一歩までは
いかないが半歩前進であるといえるため、あえて反対はしない。三位一体の中で本法
案だけ例外的に賛成することとした。
[募集・採用における年齢差別禁止法案]
これは民主党マニフェストにも載せた案件である。定年の場合あるいは子役など、
年齢差別が合理的な案件を除いては、採用等において年齢差別を行ってはならないと
いう、時代を先取りした法案を再提出する。
[クリーニング業法、公衆浴場法、森林法]
「クリーニング業法の一部を改正する法律案」、「公衆浴場の確保に関する特別措
置法の一部を改正する法律案」、「森林法の一部を改正する法律案」についてはいず
れも賛成することとした。
[サイバー犯罪に関する条約]
関連部門(外務、法務、総務等)と早急に意見調整し、対応することを確認した。

○年金について
[閣議での議論について]
大きな骨格については本日の閣議で了承された。骨格というのは、基本的には民主
党マニフェストで公約させていただいたものだ。3つの公的年金(国民年金、厚生年
金、共済年金)、また、互助年金である議員年金も必然的に巻き込まれるが、全ての
人を同じ年金制度に一元化する。今後納めていただく保険料に対応して年金を受け取
るという非常にシンプルで公平な形にする。そして、特に所得の低い方、受け取る年
金の低い方については、最低保障年金という形で国庫を財源として補う。今の基礎年
金の満額水準(6万6千円程度)は最低でも保障する内容の新制度を作る。その場合
の保険料率も現行保険料程度を基本とする。
また、既に支払っている分に対応する年金は約束を守る。若干のスライドについて
は議論が残っているが、基本的には従来の制度は従来の制度に基づいて支払う。こう
した新しい制度への転換を2009年から始めることとして、それまでの間に具体的
な部分を詰めていく。法案はこうした骨格がまとまればできるため、早速、この基本
方針に基づいた法案作成作業を急いでいく。
保険料率や消費税率はどのくらいになるのかといった詳細については、さらに数字
を置いてシミュレーションを行わないとならないため、もう少し時間をかけて議論
し、可能な限り具体的な姿を示して法案を提出したいと考えている。民主党として
は、年金は重要な法案であり、現在参議院で予算審議が行われている真っ最中であ
り、予算審議の片手間に議論できるような軽いものではない。そもそも今まだ現行制
度を前提とした年金の物価スライド法案の審議も進んでいない状況だ。年金改革の重
要性に鑑み、予算審議が終わり、物価スライド法案の審議が終わった上で、いよいよ
本体である年金審議に入るべきだと考えている。民主党はそれに併せて法案を提出し
たい。
今のところ今月一杯は、予算と物価スライド法案の審議が続くと見込まれるため、
3月末から4月上旬に法案を提出したいと考えている。それまでは客観的な状況とし
て、年金法案本体の審議ができるような情勢ではないと判断している。今日まとまっ
た骨格に基づいての法案作成作業と、数字の詰めは今月中をめどにまとめたいと考え
ている。
[具体的な数字を法案に示すのか]
法案に書き込むべき種類のものではない。ただ、法案を出すにあたっては、可能な
限り具体的に、「この枠組みで作るとこうなる、そして民主党はこのように考えてい
る」ということを示さないとご了解いただけないのではないか。提出までには可能な
限り具体的な数字を同時に発表できるようにしたい。
[年金改革PTから、保険料率と消費税率の試算は示されたのか]
報告の中には特にない。それ自体は現場としてもさらに検討するということで、骨
格部分について了承されたという報告だった。本日の『次の内閣』の中でも議論がな
されたが、現時点では最終的な判断をしていない。また、もう少し様々な計算をした
いと考えている。

○特定船舶問題の与野党協議について
与党案が出てくるのかどうかまだわからない。また、民主党はどの段階で提出する
かを決めていない。提出されて両案が議論される、あるいは民主党案に対して修正の
要求があれば、その時点で考えたい。硬直的に考えるつもりは全くないが、時期的に
その話は早いのではないか。

○道路公団問題について
本日の閣議で道路公団の議論はなかった。法案を提出する方が良いのではないかと
の方針が前回の『次の内閣』で出されたが、国対や現場と相談し検討していただいて
いる。民主党は対案を示すことは間違いなくやるつもりだが、法律案という形でやる
かどうかについては、現場で検討した上で報告を受けることになっている。法律案に
必ずしもこだわることはない。対案としての形がマニフェストにできているので、よ
り整理した形で打ち出せれば良いのではないか。

○愛知15区・公職選挙法違反問題の有罪判決確定と公選法改正について
この件との関連で公選法改正を検討しているわけではない。選挙の際にも民主党マ
ニフェストに載せたと思うが、インターネットによる選挙運動の公開等、お金をかけ
ない、お金のかからない、公平な選挙については、より規制を緩和すべきであり、逆
にお金で票を買うようなことについては厳しくすべきである。
選挙に関する規制改革は民主党が従来から取り組んでいることだ。そうした規制改
革の一つとして、なぜウグイス嬢には給料を払って良くて、機械でも媒介し得るよう
な業務について運動員買収になるのかについての議論も進めている。これは今回の問
題があったからではなく、以前から議論してきたところだ。
具体的に『次の内閣』の議題となっている状況ではない。それ以外の論点も含め
て、選挙のどの部分を緩和して、どの部分を強化すべきかについて整理をして報告し
てもらうよう、関係部門には速やかな検討をお願いしている。
[電話作戦について]
知り合いから知り合いに電話をかけること以外は、必ずしも選挙にプラスになら
ず、電話作戦自体が選挙にどれだけ役立つかについて、私は一貫して疑問に思ってい
る。あくまでも、支持者の方が知り合いに電話をしていただくことでないと意味がな
いのではないか。それ以外はほとんどが機械でもできる業務であり、自動的に電話を
かけて自動的にテープでメッセージをまわすといった、機械的に代替し得る業務は、
選挙運動ではなく選挙事務と解するのが法律の解釈として正しいのではないかと法律
家としては思う。事件そのものについては、具体的な事実関係を聞いていないので、
コメントは差し控えたい。

○週刊誌の事前差し止め問題について
報道等によるプライバシーの侵害については、報道機関の方々にも十分ご留意いた
だかなければならないと思う。ただ、事前の差し止めというのは非常に重いものだ。
よほどの例外的ケースでなければ事前の差し止めを認めるべきではない。
これは司法の判断であり、立法府からどれだけものを言って良いのか迷うが、事後
的な救済はともかくとして、事前の差し止めが必要な案件であるほど例外的なケース
にあたるのかについては、首を傾げざるを得ないように思う。
もちろん全くの私人ではないからといって、プライバシーを侵害しても良いという
ことにはならないが、こうした問題については、事後的な救済をきちんとすることが
原則ではないか。例えば人命に関わるようなものであれば事前差し止めということも
ある得るかもしれないが、事前差し止めを広範に認めると、そもそも不当な表現か否
かを国民が判断し得なくなってしまうという重大な問題が生じる上、検閲にもつなが
りかねないと思う。表現の自由とともに、プライバシーをどう守っていくかという観
点からも、この種の問題を改めて検討していくことが必要だ。

○石破防衛庁長官の「自衛隊は自閉隊」発言について
私も時々、不用意な言葉の使い方をすることがあるかもしれないので、言葉狩りの
ようなことを言うつもりはないが、例えば自閉症の当事者や関係者の方々に対しての
気配りや、こうした病気に対する認識不足については批判を免れないのではないか。
また、国の命令に従って大変暑い危険な地域で頑張っておられる自衛隊員の家族の中
にもそうした患者さんがいることがあり得るだろう。事実上の最高指揮官(最高指揮
官は総理だが)の発言としては軽率すぎるのではないか。
以上