
枝野政調会長/記者会見要旨
2004年3月3日(水)
16:30~16:50 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会
INDEX
■『次の内閣』閣議報告(船舶等の入港禁止、仕事と家庭の両立支援、金融再生ファ
イナルプラン、鳥インフルエンザ、BSE、北海道警察・不正経理疑惑、他)
■政府予算案への対応について
■特定船舶問題について
■鳥インフルエンザ、BSEへの対応について
■佐藤観樹議員の問題について

○『次の内閣』閣議報告
[船舶等の入港禁止に関する民主党案]
民主党案がほぼまとまった。提出のタイミング等については、重要な政治判断であ
り、国対(国会対策委員会)と関連することでもあるため、『次の内閣』としては、
代表、幹事長、政調会長に一任いただき、今後、国対及び関係部局と相談していくこ
ととした。民主党としては、北朝鮮に対するカードとしての入港禁止法は必要である
と考えている。北朝鮮に対するカードという目的が明確になっているため、廃止期限
を具体的に決めておくわけではないが、時限立法的な特別措置法という形で、現在の
ような状況が解消すれば廃止することを明確に位置づけようと思っている。
自民党案との主な違いは、(1)航空機を含めること、(2)特定の外国を指定する他に
特定の国の特定の船舶に限定した措置も可能とすること、といった発動の仕方に幅が
もてるようにしている点である。今後、法制局と調整した上で最終的な法案にしてい
きたい。
北朝鮮に対するプレッシャーとして、どのようなタイミングでこのカードを使うの
か。使うということの意味は二つある。(1)法律を通して成立させること、(2)そし
て、それを発動させること。特に発動については、相当なリスクを覚悟した上でやら
なければならないことを含めて、政治判断、政治決断が必要になってくる。
[仕事と家庭の両立支援法案]
民主党議員立法「労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休
業、介護休業党に関する法律案」(=通称「仕事と家庭の両立支援法案」)の再提出
を了承した。これは政府が、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者
の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案」を今国会に提出するのを受けて、対
案として提出するものである。民主党が2001年の国会に本法案を提出したことに
よって、政府を引っぱってきたと自負している。それから考えると政府の動きは3年
遅れていると言える。なおかつ、3年遅れの上に必ずしも十分ではない部分もある。
特に、(1)育児休業等をどのくらいの子どもの年齢までとれるのかという部分。民主
党は小学校就学までとしているが、現状、地域差はあるものの、保育所等が必ずしも
充実していない部分が少なからず残っている中で、乳児に限ることが現実的ではない
点。(2)パパクォータ制というが、両親がいる場合には、「9ヶ月の育児休業の内、
8ヶ月を相手に譲り渡すことができる」として、男性も育児休業をとれば休業期間が
長くなるとのインセンティブを設けることで、夫婦それぞれが育児休業をとることを
誘導するといった内容となっている。
深夜業の制限等についても、政府案は小学校入学までの親についての深夜業の規制
等をかけているが、教育問題等の観点を含めても、少なくとも子どもが小学生の間く
らいは、夜、親が仕事のために家を空けざるを得ないことは、親が希望すれば避けら
れるようにすべきである。こうした内容を含めて、政府が3年遅れで動き出したが、
民主党はさらに3年先を見据えた対案を提出することとした。
[金融再生ファイナルプラン]
金融再生ファイナルプラン関連法案を政府の金融法案への対案として今国会に再提
出する。1998年の金融国会以来、繰り返し提出してきたものだ。微修正をした上
で再提出する。
金融問題については、長年に渡って混乱し、長銀、日債銀、新生銀行について様々
な指摘があるが、民主党は、これらが処理できていないのは、銀行に手を挙げさせて
公的資金注入を繰り返しているからだと一貫して申し上げてきた。手を挙げる際に
は、自分たちが責任をとらなくて済むような弥縫策(びほうさく)、粉飾をした上でな
ければ手を挙げない、あるいはどうにもならなくなった段階でしか手を挙げないこと
となり、常に後手後手にまわり、結果的に粉飾を見逃すこととなっている。金融を一
気に立ち直らせるためには、強制的に調査、検査をした上で、場合によっては強制的
に資金を注入して責任をとらせることも一方では必要だという基本的な考え方を貫い
ている。
同時に、公的資金等を注入した上で、銀行の不良債権の処理について、大企業向け
の貸し出しと中小企業向け貸し出し、あるいはグレーゾーンの貸し出しに対するもの
を明確に分けることを政府はしてきていない。大企業向けも中小企業向けも真っ黒も
グレーもいっしょくたにして裁量行政をしている。結果として、中小零細企業にしわ
寄せがいき、立ち直る可能性のあるグレーゾーンも、銀行からすれば潰しやすいとい
うことで、痛みを押しつけられて、本来処理しなければならない一部の大企業の一番
真っ黒なところは、逆に過保護にされている。この点を整理しないといつになっても
金融は立ち直らない。98年以来の思想であるが、改めて再提出させていただく。
[鳥インフルエンザ、BSE問題]
鳥インフルエンザについては、「高病原性鳥インフルエンザ対策本部」(菅直人本
部長)を設置し、明日、現地調査に入っていただく。また、一つ出てくると一つを忘
れてしまいがちだが、BSE問題について、政府は、国内牛のみ、徹底した検査や情
報公開等の法律を整備したが、その時から民主党は、輸入牛肉についても国内牛肉と
同じような検査、表示等を義務づけるべきだと主張し、法案も出してきた。まさに今
の状況は、輸入牛肉のところで、国民の不安があり、国内に厳しく輸入に甘いという
のは、普通の国益概念からすれば全くあべこべだ。国内牛肉であれ、輸入牛肉であれ
同じ基準で安全性をチェックすることは当然だ。これに関するBSE特別措置法の一
部改正案を再提出することとした。
[北海道警察・不正経理疑惑]
これは国対とも再度調整をしなければならないが、北海道警察の不正経理疑惑につ
いて、内閣部門から現地調査を行いたいとの要請がなされた。本来ならば国会に呼ぶ
べき事であり、小泉総理も国会答弁の中で、「北海道警限りの話ではない。全国的な
問題として受け止めなければならない」との答弁をしているようだが、集中審議をや
ろうとすると、道警の特殊要因だと言ってくるなど、政府・与党の不一致が出てきて
いる。いずれ国会で参考人質疑等を行いたいが、まずは現地に行って、調査をする方
向性が確認された。

○政府予算案への対応について
衆議院予算委員会において、昨年までは出口のところで組替動議を提出してきた
が、今年は検討の結果、動議を出さないとの結論に達し、了承された。
民主党は、予算案審議をはじめるにあたり、政府予算の対案を「民主党予算案」と
してまとめて発表し、審議の中で様々な問題提起をさせていただいた。ところが、組
替となると技術的な問題として、民主党の対案をそのまま組替にできるわけではな
い。例えば、民主党案は国債発行額を1.5兆円程度減らすこととしているので、減
額修正となり組替ではなくなってしまうという技術的な問題もある。
出口で部分的な組替を求めるような時代ではなく、2大政党の時代においては、対
案を示して議論をする時代に入ったと思う。55年体制の残り香である組替ではな
く、対案でやることを徹底すべきだとの認識で組替は出さないこととした。
これに関連して、私は予算委員会冒頭で民主党予算案を示しながら審議をさせてい
ただいたが、「そんなものできるわけないだろう」といった様々なやじが与党席から
飛んできた。そのようなやじを飛ばすのであれば、民主党予算案を審議してもらいた
い。民主党予算案は法案ではなく、また、民主党に予算案の提出権限がないため、民
主党を参考人として呼んでいただき、追及していただければ、責任をもって答えた
い。国対でも申し上げたが、与党側からは民主党に対する参考人招致要求が出てこな
い。民主党から反論されないところでは、「空言だ」、「現実性がない」と勝手なこ
とを言っているが、堂々と議論しようではないか。民主党は堂々と受けてお答えした
い。与党は民主党と議論をすれば負けるのがわかっているので、参考人としてお呼び
いただけないと思っているが、与党の自信のなさと無責任さを象徴しているのではな
いか。まだ予算を採決していないため、今からでも遅くはないので、民主党に対し
て、参考人招致要求をしていただければ、私は堂々と出ていって、小泉総理のような
逃げの答弁ではなく、真正面から答弁させていただきたい。与党は自分たちの質問に
自信があるならば求めるべきだ。

○特定船舶問題について
[法案の目的とその影響]
外交問題なので、リスクを具体的に申し上げない方が良いとは思うが、一般的に
は、こちらが強硬姿勢にでれば、相手も強硬姿勢をエスカレートさせる可能性がある
のは間違いない。こちらがより強く制裁措置に出れば、より強い対抗措置がとられる
可能性がある。そういった意味でリスクということを申し上げた。しかし、これは外
交であり、アメとムチというべきか、圧力をかけなければ何も進まない部分もあるこ
とは確かだ。そのリスクを見極め、覚悟をしながら必要に応じて圧力をかけていかな
ければならないだろう。
6カ国協議、あるいは6カ国協議の失敗を受けた2カ国での協議等が進行するのか
しないのかという状況が今あるわけで、こうした所を見極めながら、圧力をかけるこ
とが目的ではなく、結果的には拉致被害者が帰ってくることが目的なので、一義的に
政府が交渉当事者として可能な限りの情報公開と説明責任を果たしていく中で判断し
たい。政府と近い与党の側が一義的に責任をもって判断していくことだと思うが、政
府・与党の説明や情報を踏まえながら、民主党も慎重に判断し、法案提出等を行いた
い。
[与野党協議について]
今のところは国会に与党案と民主党案の両案が出てきて、その上で与党が修正に応
じる余地があるならば協議をする可能性もある。修正協議といった場合には、民主党
側の主張が100%通らなければ応じないということでは協議にならない。個人的に
は、根本的に特別措置法という扱いが重要と考えており、時限立法的だということ
は、譲れない線だと思っている。理由としては、一般的にこうした入港制限を常日頃
からできることが果たして良いのかということと、この法律を作ることの意味は、北
朝鮮に対するプレッシャーであり、カードであることは誰もがわかっていることなの
で、法律的にも明確にした方がよいということではないか。
[法案を出すタイミングについて]
対案を作ることは前から決めていたことだが、どのタイミングで国会に提出するの
かについては今日も決めていない。法案の内容がほぼ固まったことで、『次の内閣』
の了解を得た。どのタイミングで国会に出すのかについては一任いただいている。
残念ながら6カ国協議があのような形になり、それを受けて、2カ国(日本・北朝
鮮)の協議がどうなるのかについての見通しが明確にならない状況だ。政府に責任を
もった判断と説明を求めていかなければならない。6カ国協議の前の時点と出すこと
についての判断と情報がいるとの状況は全く変わってない。
[国会に提出する方向なのか]
提出前の与野党協議ではなく、お互いに出して国会で議論した上で、可能であれば
協議すべきではないか。法が出てくるまでのプロセスの違いがあるので、法案毎に国
対的な対応が違っても良いのではないかと思っている。
外為法の際には、選挙前のかなり早い段階から、長期にわたって様々なレベルで議
論がなされてきて、選挙を経て、法律をつくるというプロセスになってきた。事実上
の与野党交渉が早い段階から、昨年から続いてきていたというプロセスがあった。今
度の話は外為法と同時並行でわき上がってきたが、提出前に超党派で調整をするとい
うところまで必ずしも煮詰まっていたとはいえないのではないかと考えている。

○鳥インフルエンザ、BSEへの対応について
昨日、鳥インフルエンザ対策本部で政府側から説明を受けたが、政府として一体的
な対応がその時点でもとれていない。農林水産省と厚生労働省の少なくともこの2省
は密接不可分な関係でこの問題に対応しなければならないはずだが、民主党がヒアリ
ングをした段階でも横の連絡がとれておらず、政府としての一体的な対応がなされて
いないことに愕然とした。
これは農林水産省の問題でもあるが、何よりも人への感染の可能性を封じることが
まずは大切なことであり、そのためにも他の家畜への感染を防がなければならない。
役所の縦割りを打ち破った機能的、迅速な対応が求められていると考えている。民主
党は、縦割り行政打破と行政主導ではなく政治主導の政権を作ると公約している。そ
うした視点から政府に対して、政府とは違った視点での問題提起、要求、調査等を進
めていく必要がある。

○佐藤観樹議員の問題について
報道をみる限り、かなり具体的に報じられている。それが事実であるとすれば、率
直に申し上げて信じられない、論外だ。事実であれば、党を離れることで責任を果た
したとは言えない。より明確なけじめが必要だろうと思う。まずは、本人から早急に
事実関係の説明を求めた上で、説明の結果によっては、厳しい処置をとらざるを得な
いことにもなる。
説明にあたって、事実関係等の整理が必要であるとは思うが、これだけ大きな問題
となっており、一両日中には説明し、けじめをつけなければならないだろう。
以上