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枝野政調会長/記者会見要旨
2004年2月25日(水)
16:35~17:05 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会

INDEX
■『次の内閣』閣議報告(政府予算案等、北朝鮮問題、三位一体改革関連、年金関連 法案、他)
■[薬害エイズ・薬害肝炎] 東京高裁が安部英被告に対する公判手続を停止したこと について
■[薬害エイズ・薬害肝炎] 薬害肝炎の被害について
■[薬害エイズ・薬害肝炎] 薬害肝炎への対応について
■北朝鮮問題の考え方について
■緊急事態基本法に関する与野党協議について
■国民保護法制、有事関連法案の与野党間の議論について
■年金課税の強化について
■教育基本法の改正について
■臓器移植関連法案への対応について




○『次の内閣』閣議報告


[政府予算案、所得税法等改正案への対応について]
 「平成16年度予算(関連三法)」、「所得税法等の一部を改正する法律案」、「平成 16年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案」について議論 を行った。

 政府予算案については様々な論点があるが、総括的には、理念無く、国民の不安を 大きくし、地域経済や中小企業に対する配慮が欠けた内容である。具体的には、(1) 財政危機に対する対応が全くできていない。(2)年金について、抜本改革無き国民負 担増。(3)三位一体が単なる地方に対する財政負担の押しつけになっている、といっ た問題点等がある。

民主党の姿勢は「民主党予算案」(2月9日発表)として示したが、最終的には今、予 算審議の最中なので、もう少し経ったところで決定させていただきたい。

 所得税法については、特に大きな問題点について修正案を出すことが了承された。 一つは、消費税の総額表示が様々な形で問題となっている点。実際に中小零細企業を 中心として値下げ圧力が働いているという深刻な状況だ。デフレの中で値下げ圧力と いうのはかなり深刻な問題だ。これについて取り急ぎ対応したい。もう一つは、不動 産譲渡損の損益通算について、今年1月1日にさかのぼって適用される点。この損益 通算を廃止すると、一部の人には増税となる。不利益変更を遡及させるというのは、 課税の基本原理にも反することであり、到底許すことはできない。今回、修正案を提 出するにあたっては、マニフェストでも大きな目玉としている「ローン利子控除の創 設」も合わせて、3点セットの修正案を所得税法の対案として提出したい。

[北朝鮮問題について]
 民主党の基本的な認識は全く変わっていない。核は廃絶を求めなければならない が、核問題の解決だけでなく、拉致問題の解決もなければ、北朝鮮に対する経済的支 援等はあり得ないことを改めて確認した。

 また、国民的関心の高い特定船舶の入港制限については、一つの外交上のツールと して、民主党なりの考え方について、PT及び合同部門会議で整理をしているとの状 況報告を受け、大きな方向性は了解された。

[三位一体改革関連法案について]
 三位一体改革関連の地方税法等改正案等(総務部門)をはじめ、義務教育費国庫負 担法等改正案(文部科学部門)、児童福祉法等改正案(厚生労働)、植物検疫法改正 案(農林水産部門)、国土利用計画法(国土交通部門)等について報告された。  三位一体改革に対する民主党の考え方は、政府予算案に対する論点整理の中にもあ るが、税源を十分に移さずに補助金だけを切る形であり、到底、分権の名に値しない 逆行するものだとの共通認識を確認した。この共通認識に基づいて、各法案が審議さ れる委員会、部門で対応を整理していくこととなった。

[年金関連法案]
 年金関連法案のうち、物価スライド法案だけが、日切れで議論、採決される。  民主党は、物価スライドの考え方自体を全面的に否定するものではない。ただし、 昨年のマニフェストで整理したように、年金がもつ意味、特に、最低限の生活を保障 するという年金の意味を考えたときに、その最低水準に達していない人たちの年金額 まで物価スライドで下げるのはいかがなものだろうか。6万6千円という国民年金4 0年加入者の月額給付額以下の年金受給者には、物価スライドしない(マイナス改定 は行わない)という措置をとるべきで、そうした対案を提出したいとの中間報告がな され、方向性が了解された。

[児童虐待防止法、消費者保護基本法の改正について]
 これから超党派の議論が行われると思われるが、それに臨むにあたって、民主党と しての考え方を整理した。

 その中で、消費者保護基本法については、消費者の権利を明確に位置づける形で消 費者保護基本法から消費者基本法へと権利制を明確にしていく形で民主党の見解を整 理した。できれば超党派でまとめていきたいと考えている。

[総括副大臣会議報告]
 「中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案」 について、銀行が資金を貸す際に情報公開し、説明責任を果たすべきだとの法案は以 前にも出しているが、昨年の衆議院解散で廃案となったため、改めて提出したいと考 えている。貸す際には十分な説明をせずに、回収の時だけ厳しく行うため中小零細企 業が困っている。銀行の社会的責任に基づいた貸付を行うための法案だ。




○[薬害エイズ・薬害肝炎] 東京高裁が安部英被告に対する公判手続を停止したこと について


 薬害エイズの真相究明と責任の明確化ができなかったことについて、強い苛立ちと やりきれなさを感じている。私も菅代表も長年に渡って取り組んできた問題でもあ り、今回の公判停止は大変残念だ。特に、被害者の方々の怒りをどこにぶつけたら良 いのかを考えるとやりきれない思いだ。現行の司法制度の中で裁判に一定の年限がか かることは、私も法曹界の出身であるため理解できないわけではないが、もともと被 告人が高齢であることがわかって始まっている裁判であり、もっと迅速な裁判が行え なかったのだろうか。

 今国会には司法制度改革に関する法案が多数かかっているが、こうしたやりきれな さをつくらないよう制度改革に取り組むべきだと考えている。




○[薬害エイズ・薬害肝炎] 薬害肝炎の被害について


 薬害エイズの被害者の多くは、同時に薬害肝炎の被害者でもある。この間、薬害肝 炎の被害者は、顕在化していないが、肝炎の特徴として、すぐには自覚症状が出ず、 感染してから10年、20年経ってから明らかになってくる。自覚症状が出た時には 既に肝硬変等に至っている時であり、治療が大変困難だ。さらには肝癌まで至って生 命に大きな影響を与える可能性もある。

 薬害エイズの場合は、血友病の患者という非常に限られた対象に使われた血液製剤 が原因であるが、肝炎については、止血剤として広範に使われた歴史がある。した がって、本人が血液製剤によって肝炎に感染させられたという自覚がないまま10 年、20年過ごし、肝炎あるいは肝硬変などになって、気が付いたときには手遅れで あったり、自分が薬害で感染させられたということ自体の自覚がないケースが多々あ る。肝炎の場合は、今、インターフェロンなどの治療薬が進んでいるので、早く治療 すれば完治も可能だ。民主党の家西悟前議員は、薬害エイズは完治されていないもの の、肝炎に関してはインターフェロン治療で完治された。

 薬害肝炎訴訟は大詰めを迎えている。この訴訟を通じて、肝炎に感染させられたと 思われる治療を行った病院、診療機関等を公開し、当事者が気がついて検査を受けて いただけるような体制を早期につくらなければならない。最大、200万人もの被害 者がいるのではないかとの試算もある。イラクでの貧困の状態に対し、人道的見地か らの復興支援も大変重要ではあるが、日本国内での行政の不作為によって、じわじわ と命をむしばまれている人達に対する手当ができずして何が国際貢献か。薬害エイズ の公判停止という機会にこのことを申し上げ、党を上げて最重要テーマとして対応し ていくために「薬害肝炎WT」(座長:金田誠一)を設置し、異例であるが、私と菅 直人代表がWTの顧問として加わることとした。




○[薬害エイズ・薬害肝炎] 薬害肝炎への対応について


 情報公開が一番重要で、まずはじめにやるべきことだ。この情報公開は、薬害肝炎 の事象の発生した可能性のある病院や時期を特定して公表し、心当たりのある人に検 査を受けていただく呼びかけをしていくことだ。この場合、病院自体も被害者であ る。当時はこうした肝炎に感染する可能性のある血液製剤であることについて、十分 な認知をされないまま、各病院で安全だとの認識で使われていたわけで、広い意味で は病院自体も被害者であると思うが、病院名を公表しないと思い当たる人に呼びかけ ることができないため、情報公開を図り、できるだけ早く検査を受けてもらい、被害 者の方には治療にあたっていただきたい。早ければ完治する病気だと聞いているの で、まずはそれが一番大きなことだと思う。




○北朝鮮問題の考え方について


 従来の方針と基本的には変わっていない。6カ国協議が動いているため、PT・合 同部門会議から、議論を含めた報告をいただき、確認した。早く制裁発動すべきだと の意見も党内にあることを認識して、なおかつ担当ネクスト大臣の現状での考えの報 告を受けた。本日の『次の内閣』閣議での議論は決定ではなく、党内の状況の確認で ある。

 制裁等については、法案を民主党として用意することが確認された。その先につい ては状況をみながら対応していきたい。基本的には、一義的に政府が責任を持って判 断する必要がある。政府の動きや交渉の経緯を見ながら慎重に対応していくという考 え方で共通認識はできている。

 基本的な考え方は、従来通りであるが、制裁発動すべきかどうかについては、政策 論だけではない。外交についての権限と情報を十分に持ち得ない野党がどこまで踏み 込んで発言するべきなのか、発言する責任があるのかなど、議院内閣制の根源に関わ る制度論の問題もあり、様々な政治判断を含めてあずかった。




○緊急事態基本法に関する与野党協議について


 基本法制定については、昨年の緊急事態法制の採決の際、与野党協議の中で民主党 から求めたことでもあり、与野党間で協議することが約束されていると理解してい る。協議機関をつくることには民主党としても積極的であるが、この基本法を3党 (民主・自民・公明)で協議して作ることと、それ以外の法案について審議すること は全く別次元で考えている。基本法以外の内閣提出法案については、国会審議の場に おいて、国会における与野党協議において、様々な法案審議の中で議論があると思 う。今回の協議機関に向けての話は、基本法制定に限定したものだ。制定は合意して いるものと理解している。制定することを前提にその内容の議論である。にもかかわ らず、この場で閣法の国民保護法制等の議論が出てくるようなことがあれば、その時 点でこの協議機関は壊れかねない。少なくともこの協議機関で議論するつもりは全く ない。




○国民保護法制、有事関連法案の与野党間の議論について


 民主党が修正を求めた時に、その一部なり全部を採り入れる余地があってはじめて 協議になる。はじめから与党が了解した政府提出法案に与党が修正のための場をつく ることは自己矛盾となり、あり得ない。民主党としては、法案が出てきて、法案を国 会で議論した上で問題点があれば修正案を出したり反対をしたりする。その時点で修 正のための協議が行われることはあり得るが、現時点では全く白紙だ。




○年金課税の強化について


 今国会でも議論されている問題であり、年金の物価スライドとも関わる部分だが、 年金課税を基礎年金の財源等の充実のために強化する方向で政府は進めており、当然 増税となる。年金課税の強化は、公平性の観点から方向性は否定しないが、年金課税 を強化すると、課税ベースが拡大し、自動的に住民税や介護保険料等の引き上げにつ ながり、かなり大きな額になる。こうした介護保険料等の引き上げは、物価スライド の計算に組み込まれていない問題があると思う。

 今回の物価スライド法案には間に合わないが、物価スライドのあり方、根拠となる 計算を見直し、介護保険料、健康保険料等の公的負担が自動的に増える場合には、年 金支給額に連動するように仕組みを組み立てる必要がある。




○[教育基本法]教育基本法の改正について


 本日の閣議で岡田幹事長からも報告がなされたが、報道等で名前が出ている多くの 方が、超党派の議員連盟の役員等になることを聞いていないと言っている。このこと については共通の認識をいただきたい。

 民主党では、体制が変わる毎にゼロベースで調査会・PT等を作り直すため、教育 基本問題調査会を再設置し、新しい調査会長の下で従来の議論を引き継ぐ予定であ る。現時点では白紙だ。  具体的なことは決めていないが、基本法であり重要な問題であるため、慎重かつ迅 速にと思っている。




○臓器移植関連法案への対応について


 これから議論をはじめることになるが、そもそも臓器移植については、脳死を人の 死と認めるかどうかについて、いわゆる政策的な政党の枠とは別次元でそれぞれの価 値観に基づく話だ。今成立している法律への態度も党議拘束を外している。その根本 的な部分は残っていると認識している。私の個人的な意見を言えば、臓器移植は積極 的推進だが、脳死を人の死と認めない形で、その部分を決めずに、本人の処分行為と して、本人の法定代理人の処分行為として、脳死が死であるかどうかにかかわらず臓 器移植を認める方が良いのではないかと、以前の金田誠一議員案の提案者を担った が、私自身はそのような立場だ。党議拘束を外して、それぞれの価値観に基づいて対 応するのではないか。それを含めてこれから議論することになる。しかし前回は党議 拘束を外しているため、今回党議拘束をかけるのは疑問だ。





以上