
枝野政調会長/記者会見要旨
2004年2月4日(水)
16:30~16:50 (於:衆議院本館-第4控室)
編集・発行/民主党政策調査会
INDEX
■『次の内閣』閣議報告(民主党予算案、PT・WT等の設置について、他)
■[民主党予算案] 公共事業予算について
■[民主党予算案] 政府予算案に対する組替要求について
■[民主党予算案] 社会保障費の比率について
■[民主党憲法調査会] 憲法問題の論点について
■[民主党憲法調査会] 憲法9条について]
■小泉総理の国会答弁に対する姿勢について
■与党年金制度改革協議会の年金改革について
■日歯連(日本歯科医師連盟)の政治資金規正法違反問題について
■国民保護法制について

○2004年2月4日「次の内閣」閣議報告
[民主党予算案について]
民主党予算案について、一部報道されている部分もあるが、様々な数値の精査をし
つつ、最終段階の案が固まり、それに基づいて最終的な議論を行った。
概ね大きな方向性は了承を得た。今日の議論に基づいて、表現等を整理することと
し、最終的なとりまとめは、私にご一任いただいた。
今回の民主党予算案は、昨年のマニフェストの内容を予算に関わる分野では基本的に
は全て折り込んだ内容とした。同時に、財政の健全化に1センチでも向かう姿勢を明
確に示したものとなっている。
国債発行額については、政府案よりも少しでも国債発行額を減らしたいと考えてお
り、1兆円前後は縮減できるのではないかと思う。それらを前提にして、(1)セーフ
ティネットの強化、(2)雇用の創出、(3)地方への税源移譲の3点が大きな柱となって
いる。セーフティネットの強化では、年金国庫負担を1/2へ引き上げ、失業者に対
する支援、グループホームの増設等に4兆円弱の財源を充てている。雇用に直接結び
つく部分に税金の配分を集中することで、100万人を超える雇用を新たに生み出す
ことができる。
また、地方への税源移譲については、19兆円の財源を地方が自主的に自由に使え
る形で渡すといった内容となっている。
民主党予算案については、表現等を整理し、最終的な整理がついたところで、改め
て丁寧に発表させていただきたい。
[PT・WT等の設置について]
鳥インフルエンザ問題への対策を緊急に進めていかなければならないことから、
(1)「厚生労働」、(2)「農林水産」、そして、(3)水際対策の側面から出入国管理を
扱う「法務」の3部門共管でPT(プロジェクトチーム)を設置することを決めた。
具体的にどのような体制で進めるかについても早急に決めたい。

○[民主党予算案] 公共事業予算について
民主党は、公共事業予算について、国直轄の公共事業を3割削減することとしてい
る。つまり、4兆円(政府案)のうち1.2兆円を削減する。地方に対する補助金
は、原則廃止とし、地方への税源以上として5.5兆円の財源とする。民主党の一括
交付金は大きな方向性を縛っているが、税源移譲する5.5兆円についてはその使途
を限定していないため、もし全ての市町村がこの5.5兆円を公共事業に回せば、地
方の公共事業額は、1.6兆円増えることになり、国直轄分の1.2兆円を減らして
も4000億円増えることになる。逆に、地方に渡した自主財源を、全額公共事業以
外に使えば、マイナス3.9兆円であり、国直轄の削減を合わせると5兆円以上の削
減となる。制度としては地方が自由に決められるものとなっており縛るわけではな
い。国直轄の大型公共事業には無駄が目立っているが、地方の行う小規模、生活密着
型の公共事業については、削減すべきものがあまり多くない。あるいは無駄なものを
削ったら、その分他に急がなければならない部分があると考えているため、この地方
分ではそれほどマイナスにはならないのではないだろうか。トータルでは、国直轄削
減分1.2兆円に若干の地方削減分が加わり、最終的には、1.5兆円から2兆円程
度の減になるのではないか。

○[民主党予算案] 政府予算案に対する組替要求について
民主党予算案と、国会に提出する組替要求との関係は、別次元で考えなければなら
ないと考えている。つまり民主党予算案は、法律的な縛りや、経過措置が必要な点な
どを考えずに、「民主党が政権を奪り、自由に予算編成ができるとすればこのような
形でやる」というものだ。当然、制度改正や法改正を伴うものについては、国会審議
の日程等で制約があると思われるし、1年間で一気にできない部分も出てくる。しか
し、それを細かく技術的に詰めるよりも、政治姿勢としての対案を示すことの方が国
民にとってわかりやすいものになると考えている。
民主党予算案の中に入っていないものが組替の中に入ってくることはないが、次元
の違う話として、政府の予算案に対して、組み替えれば4月からでもできることを組
替要求していくことになる。昨年もそのようにしてきた。

○[民主党予算案] 社会保障費の比率について
社会保障費とそれ以外の区別については、微妙に重なる部分が多い。例えば年金は
明確に社会保障だが、介護施設の充実等は公共事業的な側面があり、雇用政策的な面
もある。民主党は、産業のサービス化も大きな課題だと考えており、そのような意味
では福祉産業の育成も産業政策であり、経済政策でもある。厳密な仕分けは困難だ
が、一般的な仕分けでは社会保障に対する支出の比率が高まるのは間違いない。
なお、中小企業対策費等も比率では2倍増以上になる。伸び率では中小企業対策費
が一番大きい。社会保障費は分母が大きいため、金額的には大きく変動するが、比率
としては、中小企業対策費の増え幅が一番大きいことになる。

○[民主党憲法調査会] 憲法問題の論点について
法律家の悪い癖かもしれないが、私は憲法は道具だと思っている。憲法議論の結果
として何かが出てくるのではなく、政策的な議論の結果、憲法を変えなければならな
いという結論が出てくるのではないだろうか。
民主党が憲法的な論点で重要視しているのは、(1)地方分権、(2)政治主導の政府と
いう点だ。マニフェストにも私たちが変えなければならない争点として、大きく取り
上げているのはこの2点だ。
もちろん憲法にさわらない範囲で、「地方分権」や「政治主導」を進めていくこと
はできるが、憲法の制約を取り払って自由に議論できるとなれば、もっとやれること
があり、私たちが目指す社会にとって有意義なことだ。個人的にはこの2点が重要で
あると考えている。

○[民主党憲法調査会] 憲法9条について
「憲法9条を変えなければできないことが何かあるのか」を議論しなければならな
い。これは党内で議論が必要だと思っているが、内閣法制局の憲法解釈は、間違って
いると個人的には思っている。したがって、間違った解釈を前提に議論すべきなの
か、本来あるべき解釈を前提に議論すべきなのかという問題がある。
本来あるべき解釈からいけば、わが国の安全や国際貢献をする上で、現行の9条に
制約はないのではないか。

○小泉総理の国会答弁に対する姿勢について
1月30日夜から国会が混乱したが正常化し、国対(国会対策委員会)の問題には
一応の区切りがついた。しかし、根本的な問題の解決はむしろこれからだと思ってい
る。
小泉総理の「意見が違うから議論をしても仕方がない」といった趣旨の答弁が今国
会に入ってから目立つ。これは、少なくとも議会制民主主義を否定する発言だ。それ
ぞれの党には考え方があり意見が違うことももちろんある。意見は違うが、国民の注
視の場、公式の場でそれぞれの意見をぶつけ合わせて議論することによって、国民が
判断する材料となるだけでなく、議論の過程で考え方が変わる、あるいは議論の中で
新たな解決策が出てくる場合もある。例えば今回の自衛隊派遣の問題は、議論を尽く
すことによって安全性に対するチェックが図られることにつながる。
意見が違うからこそ議会で議論をするのであり、「意見が違うから議論をしても仕
方がない」というのは、議会制民主主義を否定する発言である。民主党は、「内容が
けしからんからといって国会の審議拒否はしない」と申し上げてきたものの、昔であ
れば、こうした総理答弁一つで何ヶ月も国会が空転してもおかしくない。この本質的
な議論をすること自体を否定する姿勢の一つの現れが先週末の採決におけるルール違
反であったといえる。そのルール違反については一応の区切りがついたものの、議論
を否定する小泉総理の体質は全く改まっていない。この点については民主党としても
追及していきたい。

○与党年金制度改革協議会の年金改革について
抜本改革なき負担増であり、論評に値しない。抜本改革には全く手を付けようとも
していない。国会審議の準備のため、過去の小泉厚生大臣(当時)の発言等を精査して
いるが、厚生大臣として過去の先送りを主導してきた方が、今回また先送りをするの
か。

○日歯連(日本歯科医師連盟)の政治資金規正法違反問題について
報道されている情報だけであるため、詳しいことは申し上げられないが、少なくと
も出している側に不正処理があったという事案で捜査当局が動いていることは間違い
ないようだ。このような問題は、関係者には説明責任があり、そうでない立場には事
実関係を明らかにしていく役割がある。現時点では全体像が見えていないため、国対
で全体像を明らかにし、事実解明に向けた努力をしていくことになるだろう。
昨日の報道では、出した側が不正処理をしていて、受け取った側が不正処理をした
かどうかについては違うという報道もあり、このあたりを見極めたいと考えている。

○国民保護法制について
具体的な内容は、政治というよりも技術の話だ。法制度的に、また、技術的に精査
すれば良いのではないか。大切なのは昨年から言い続けていることだが、まず「基本
法」がなければならないということだ。少なくとも今国会中に、各論、具体論の法案
を議論すると同時に「基本法」の議論をしなければならない。これが一番大きなポイ
ントだ。
以上