
枝野政調会長/記者会見要旨
2003年8月21日(木)
編集・発行/民主党政策調査会
○2003年8月21日「次の内閣」閣議報告
■イラクで国連をターゲットにするテロがおき、特別代表が亡くなられたのをはじ
め、大変大きな被害が出ている。亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、
イラクの復興という純粋な目的のために現地でご苦労をされてきた国連関係者の方々
がターゲットにされたことについて、強い憤りを感じている。如何なる理由によって
も、こうした行為は正当化されない。
こうしたイラクの状況をみるとき、残念なが
ら、我々がこの間危惧してきた、最悪のシナリオをたどりつつあるのではないかと受
け止めている。テロに対しては毅然とした態度が必要であるが、イラクに対する軍事
攻撃、その後の占領統治が、テロを撲滅していく方向ではなく、テロを拡散する方向
に進んでいると言わざるを得ない。
日本としては、改めてアメリカやイギリスの政府
としての考え方、イラクに対する姿勢を、国際社会の協調姿勢を強めた形に変えてい
かなければ、こうした残念な事件を阻止することはできない。国連を中心とした復興
体制に戻さなければ、多くのイラクの国民の皆さんに(復興体制が)受け止めていた
だける状況を作るのは難しいのではないかと考える。この機会に、日本がアメリカの
同盟国として、国連中心のイラク復興体制に転換することを薦めることが、より責任
ある態度であると思う。
■今日も幸い、株価は年内の高値を更新したと聞いている。率直に言って株価は下が
るよりは上がるほうがよいので、評価したい。問題は、こうして株価に一定の改善が
見られている中で、経済全体を良くすることができるのか。その前兆、その先行指数
として、今回の株価上昇を受け止めることができるのかである。
現在の株価上昇が継
続的なものであり、実体経済の本格的な回復の先行指数であると言うことは、残念な
がら現時点ではできないだろう。日本経済全体がデフレに沈み、特に名目GDPがマイ
ナス方向に進んできている中で、勝ち組と負け組みに分かれており、勝ち組が圧倒的
に少数である。ここに日本経済全体の苦難がある。今回の株高は、勝ち組のところに
先導されている。株高には、勝ち組をより強くする効果はある。しかし、従業員数や
企業数で圧倒的多数を占めているところにプラスの効果があるのか?残念ながらそう
とは言えない。
この株高の機会に、零細企業などの貸し渋り、貸しはがし、その背景
にあるデフレに対するタイミングのよい政策が必要である。特に、貸し渋り、貸しは
がしを一気に改善するには、不良債権などの査定に対する考え方を変える必要があ
る。現在は大企業も中小企業も一つのマニュアルで、中小零細企業については一部分
修正をする形であり、全体を一体として考えている。これでは、中小零細の貸し渋
り、貸しはがしについて、しっかり対応し、資金を流していくという本来の役割を回
復させることはできない。それが出来なければ、一部の勝ち組みが一時的に引っ張る
ことはあっても、日本経済全体を改善させることにはつながらない。金融状況の抜本
的改善、それは、大企業向けの貸し出しと中小零細企業、特に個人保証をとる中小企
業に対する貸し出しの査定を、抜本的に区別することが前提条件となる。
■今日、千葉県連の政治スクールに招かれて、総選挙に向けたマニフェストについて
の話をしてきた。私の立場からは、間違いなく実行できるものを精査して出していき
たい。霞ヶ関では、大組織をかけて予算編成を行っているが、民主党がこれから数年
分の予算の大枠をある程度、しっかりと見据えて、その裏付けをしながら精査してい
るところである。選挙までには間違いなく間に合わせる。
私のほうからは以上である。
【記者】
イラクへの自衛隊派遣が年内無理だと報道されていることについて。
【政調会長】
戦勝国としての米英主導の統治では、イラクの治安の安定は確保できな
い。現在でも戦争状態が続いている。今回の事件はその証である。そういう意味で
は、法案を無理やり通しておいて、今ごろになって何を言っているのかという思いで
ある。敢えて言えば、単に派遣の時期について、様子を見て先延ばしにすればいいと
いう次元の問題であるのか。そもそも、イラクの占領統治について、国際社会全体と
しての基本的枠組みをもう一度確認しないといけない。もちろん、テロに対する警戒
態勢強化などにより、大掛かりなテロは防げるかもしれないが、実際にはイラクの中
には、フセイン政権の残党が混じっているだろうし、また、イラク国民の中には、米
英主導の占領に色々な思いがあるであろう。わが国としては、先日通ったイラク新法
のコンセプトで本当にイラクの復興を成し遂げることができるのか、原点に戻って検
証すべきである。単に派遣の時期を先送りするだけでなく、法律自体を撤回して、国
際社会のあり方そのものから組み立てなおすべきである。ある意味では、政治的に法
案を通したからという理由だけで、無理やり自衛隊を派遣して危険にさらすよりは、
ましな決断かもしれないが、政府の組み立てが虚構であった以上、国民の皆様の受け
止め方も含めて、政府の従来の中東外交姿勢に対して大きな影響があると考えてい
る。
【記者】
総理が、自分の改革に賛同するなら野党からも入閣してもらうという発言に
ついて。
【政調会長】
小泉さんの言っている改革は改革の名に値しない。この2年半で結論が
出ていることである。小泉さんの言っている改革と、民主党の改革は異なる。この結
論は既に出ている。一方で、昨日の総理の会見は、抵抗勢力との妥協をほのめかすも
のでもあった。しかし、本物の改革であれば、抵抗勢力と妥協の余地はないはずであ
る。小泉さんのいつもの癖が出た。こうした詐欺的発言に我々は惑わされることはな
い。
【記者】
高速道路の無料化について
【政調会長】
今、いろいろと精査中である。その前提として、道路公団が実質的に債
務超過である疑いが濃厚になっている。資産超過であるなら民営化して機能するが、
債務超過であれば、民営化した段階で倒産することになる。税金による補填が必要に
なる。高速道路の土地は国有地であるが、こうした国の資産にさらに税金で補填をつ
けて、なおかつ民営会社にする。国民の皆さんからは未来永劫に通行料を徴収する。
このような話はあり得ない。
環境政策との整合性について言えば、確かに高速道路を無料化すれば、通行量は増
える。しかし、このことが、環境政策上、必ずマイナスなのか。それほど単純ではな
い。渋滞の中で、自動車がたくさん走っていれば、環境負荷は大きい。順調にスムー
スに流れていれば、環境負荷は小さい。今、使われていない高速道路と、その周辺で
渋滞している一般道路の二つに車が分散されることになれば、渋滞解消によって、環
境負荷を減らす側面もある。いずれにせよ、民主党としては、モーダルシフトを推進
している。もちろん、高速道路が無料になれば、モーダルシフトを進めていく上で
は、やりにくい要素になるのは間違いないが、それを超えて、例えば鉄道など環境負
荷の小さな運送手段へのシフトにインセンティブを与えていくことは、いずれにして
も必要なことであり、次元の違う話である。
【記者】
自由党の11法案について。
【政調会長】
自由党の11法案は資料を頂いて勉強するとともに、非公式に、自由党の
方から説明を受けている。自由党は11法案で、大きな方向性を決めている。民主党は
その大きな方向に持っていくための、具体的政策を積み上げてきている。方向性自体
は、大きく異なっていない。そういう意味では、組み合わせが良い。今のところ、自
由党のこうした法案について、その趣旨の多くの部分を民主党の政策や政権公約に取
り入れさせていただくことは、難しい作業だとは思っていない。
たぶん、来週か遅くとも再来週には、自由党の11法案について、各部門に検討して
もらう予定である。
以上