
枝野政調会長/記者会見要旨
2003年5月28日(水)
編集・発行/民主党政策調査会
○2003年5月28日「次の内閣」閣議報告
【政調会長】定例会見を始める。
今日の予算委員会では、菅代表をはじめ我が党の経済問題のエース3人で小泉内閣を
鋭く追求した。小泉内閣の弥縫策・説明不足が明確になったと思う。
若干補足説明がないと理解を得にくかったかところはあるが、例えば、「りそな」へ
の公的資金の注入について。金融健全化法という、98年当時我々がこれではダメだ
とした法律に基づいて公的資金を入れて、政府はこれで銀行は健全になると言ったの
にならなかった。そして過去の失敗を認識することなく、ただいたずらに弥縫策と先
送りをしてきた結果が今回の「りそな」への公的資金注入となったのである。単に
「理由を明確にしないとけしからん」ということではない。なぜこうなったのかとい
う検証なしに資金を入れても同じ失敗を繰り返すだけではないか、責任を十分に認識
しないまま、ただ場つなぎ・先送り的に公的資金を入れれば、今までの失敗をまた繰
り返すということになる。小泉総理にはそうした認識がまったくないようである。認
識しているが政治的には言えないということであればまだ救いがあるが、どうも認識
自体がないようである。
また北朝鮮問題について。平壌宣言において、国際的に決められた約束を守って核開
発はしないと確認をしたにもかかわらず、その数日後にはそれが嘘だったことがはっ
きりしている。相手はそういう状況・立場の国であるということをきちんと認識して
厳しい対応をとるのか、騙されたのは仕方がないというのか、あの約束自体は大した
ものではないとでもいって緩い対応をするのかということが問われているのである。
政府として平壌宣言は結んだけれども北朝鮮は堂々と嘘をついていた、平壌宣言は守
られていない、こうした認識を踏まえるからこそ、そういう国に対してどう厳しく対
峙するのかという、厳しい対応につながるのだと思う。政府はそこを避けているから
支離滅裂な行動につながっている。そういう背景に基づいて菅代表は厳しい追及を
し、小泉内閣はまったくそういうことを考えていないということを明らかにした。
今日の閣議の案件では、まず主要食糧法と金融アセスメント法について、党内議論の
整理と報告があった。主要食糧法は社民党と2党で国会に提出したが、他党も協力を
していただけるとのこと。金融アセスメント法はこれから他党との調整協議に入りた
いと思う。
保険業法の一部改正について五十嵐・金融担当ネクスト大臣より中間報告があった。
生命保険の保険契約者を守らなければならないということは我々も強く認識している
し、生命保険会社には低金利の影響で経営状態がの厳しいところが少なからずあるこ
とも承知している。しかし要するにこれは銀行救済ではないか、保険契約者を守ると
いうことならば、過去に東京生命の破綻について更正特例法でそれなりに保険契約者
の保護ができている。ところが更正特例法では生命保険会社に融資や出資をしている
銀行の権利が消えてしまう。いま政府から出ている法案は、経営者も責任を取らず、
銀行も責任を問われずに、契約者にだけロスを負わせることが可能になる中身であ
り、保険契約者を守るという大義と実態がずれている。そうした共通認識の基に厳し
く対応していくこととなった。
また、地方財政に関するいわゆる三位一体改革の論議が与党でされている。我々の立
場は明確であり、政府がここまで進めている地方分権の議論は全くの中途半端という
認識である。財源をしっかりと地方に渡すことが地方分権の柱であると従来から言っ
てきた。すぐにでもできる具体的な方法として、個別の補助金について、使い途を地
方が自由に決められる一括交付金にするべきという提案もしている。さらに、カネを
渡すことによって地方を指導監督するなどというの“紐付き”をやめさせるために、
財源は地方に渡す。そうした姿勢をはっきりしている。したがって、いま政府・与党
で行われている議論はレベルが低すぎてコメントのしようがない。相手にならない、
論外という認識である。参議院の総務委員会で財源の分権を進めるよう求める決議案
が出ていることについて報告があったが、財源を地方にどんどん移せということは賛
成だけれども、決議案には今の地方交付税交付金の制度を現状のまま守るような内容
も入っており、それでは了承できない。完全に地方に自由にやらせるという方向に大
きく振らなければならないのであって、総務省的省益擁護が入るようでは認められな
いという整理をして、あとは玄葉・総務ネクスト大臣に調整を一任することとした。
【記者】
イラク新法についての議論はあったのか。
【政調会長】
ない。政府の側で何をどうしようとしているのかがまったく見えていな
い。想像はできなくもないが、現時点では自民党内政局で語られており、政策の議論
としてまじめに受け止めるのもあまり意味がないのではないか。会期延長の材料とし
て言っているだけで、具体的に我が国が何にどう貢献したらいいのかということにつ
いて、政府・与党の側でも十分な議論がされていない。
【記者】
自民党や公明党もマニフェストを作るとのことだがどう思うか。
【政調会長】
マニフェストという考え方をようやく他党も取り入れざるを得なくなっ
てきたことは大変歓迎すべきだし、政治の大きな前進だと思う。しかし、ただ “マ
ニフェスト”などと名前を付ければいいという議論になるのが自民党の癖である。本
当にマニフェストに値するのは、それを掲げた選挙を戦い、政権を獲った場合に、そ
の次の選挙の時点でどのくらい実現できたのかを検証できるものであると受け止めて
いる。検証もできないような、従来の公約に毛の生えたようなものをマニフェストと
称して出してくるようなことがあっては意味がない。我々は、その点について一番蓄
積があると自負しているので、マニフェストの名に値するものをできるだけ早く出し
たいと思っている。またそのプロセスの中で、党外の様々な方とのネットワークを広
げていくという代表の考え方に自分は大賛成である。特に分権政策などについては、
地方の改革派知事が現場で感じておられる問題意識は当然これまでも参考にしてきた
し、またマニフェスト作りの上でもしご協力いただける方があれば連携してやってい
きたいと思っている。
【記者】
国会移転特の中間報告が出たがどう思うか。
【政調会長】
従来の議論の中間報告であり、政策論として新しく何かを決定したわけ
ではないという整理のもと、主に国対の方で対応した。大変大きな課題であるので、
もちろん機が熟せばスピーディにやらなければならない問題だとは思うが、これまで
の議論ではまだ機が熟していないということだと思う。ただ、全面的に否定をしてし
まう話ではないので、中間報告という区切りをつけて、今後の方向をしっかりと見極
めていくことが必要ではないか。個人的な意見だが、単に国会などの物理的な機能を
移転するということだけではなかなか議論が進みにくいのではないか。統治機構の在
り方そのものを大きく変えるタイミングで物理的な移転も行われる、というような大
がかりなパッケージになっていくことがこの議論を前に進めていくためには必要では
ないか。
以上