
枝野政調会長/記者会見要旨
2003年4月24日(木)
編集・発行/民主党政策調査会
○2003年4月24日「次の内閣」閣議報告
【前原・緊急事態法制PT座長】
今日、議論になった点をまずご説明させていただ
く。
一昨日の確認事項のうちいくつかについて再確認した。ひとつは、武力攻撃事態法第
15条「総理大臣の実施権」について。これが強制にあたってはならないということ
の確認と、強制できないのであればどういう意味があるのかということの確認であ
る。我々としてはこの2つについて整理をした上で、国会審議においてその意味を
しっかり確認したいということだったが、横路議員からは、「意味がないのであれば
削除してはどうか」との発言があった。最終的にはこの2点については国会の議論の
中で確認をするということで了解いただいた。
ふたつめは武力攻撃事態法第9条の「武力攻撃事態の認定」について、桑原議員から
「国会が認定すべきである」という提起があった。一昨日確認したことだが、「認
定」についても対処基本方針中に入っている。我が党の修正案では認定の根拠を「対
処基本方針」に含めるので、それを明確に書いて国会承認にかけるということで担保
できるのではないか。また「認定」を国会がすれば遅くなるのではないかという議論
などもあり、政府が認定をして国会は直ちにその内容を承認するという今の案でいい
ということで確認していただいた。
また、FEMAについて基本法の中に書かれているが、その設置法などに関する内容
を武力攻撃事態法の中に書くべきではないかという意見があった。当然の指摘である
が、我々は基本法に書いたことについては最も重要と捉えているので、その点につい
ては国会の中で意見を言っていくということでご了解いただいた。
また、お配りしている「緊急事態法制の憲法上の根拠」について、法案とは直接関係
ないが、これについても説明をさせていただいた。官房長官や久間筆頭理事は委員会
で「根拠はなくてもいい。憲法上問題なければいい」という答弁をしているが、我々
としては、憲法上根拠を求めるとすればこういう内容ではないかということで整理を
した。
また、国際法による統制について大出議員からいくつか出されていたポイント、つま
り武力攻撃事態法の第3条3項に、今までの日本の防衛の基本原則を入れるべきでは
ないかという点について。本案は、実際に起こった武力攻撃事態にいかに対処するの
かということを書いたものなので少し内容が異なると説明した。しかし専守防衛や非
核3原則、文民統制の確保といった点は、我が党としても当然確認していることであ
るので、委員会の質疑等でしっかりと申し上げるということでご理解いただいた。
また武力攻撃事態法第3条3項に「武力の行使は事態に応じ、均衡性を有しかつ最小
限度においてなされなければならない」ということを書いた方がいいのではないかと
いう意見があったが、法制局との相談の結果、原文にある「合理的に必要と判断され
る限度において」という言葉とほぼ同義であるということで、原案の通りにするとい
うことでご了解をいただいた。
また、武力攻撃事態法の第3条6項に「国際連合憲章など国際法を遵守し」という文
言を入れてはどうかという意見があった。これについては、「国際の法規及び慣例に
よるべき場合にあってはこれを遵守し」という文言を第3条3項に加える修文をし
た。今日、修文をした点はこれだけである。
最後に、事態認定の対象範囲ついて。筒井議員より、我が国の領域内に限るべきでは
ないか、つまり地球の裏側で自衛隊や日本大使館が攻撃を受けた時にも自動的に武力
攻撃事態の対象なるというような書き方になっているのではないかという指摘があっ
た。その問題意識は共有するが、例えば我々が心配するのは、公海上で攻撃を受けた
場合や、他国の領域内にあっても組織的かつ計画的な攻撃を受けて、それが日本の有
事につながるという場合も考えうることから、果たして領域内に限っていいのだろう
かという点である。ただ問題意識については共有するので、政府がそこまでは考えて
いないということをしっかりと委員会などの答弁で確認していきたいということでご
了解いただいた。
以上、文章については今日の会議においてすべて了解いただいたということである。
なお最後に生方議員より、基本法と修正案を出すことになるが、基本法だけ吊されて
修正案だけ議論することはあり得るのかという質問があったが、一括して議論されな
ければ我が党の考え方は反映されない、武力攻撃事態法の修正案だけ議論されること
は論理的にはあり得ないとお答えした。今日の7回目の会議をもって結論に達したの
で、PT・4部門合同会議として了承をいただき、「次の内閣」に報告をさせていた
だいた。
【政調会長】
直ちに「次の内閣」の臨時閣議を開き、前原座長からのご報告を受け
た。PTで出された問題意識等について若干の議論があったが、「次の内閣」閣僚も
参加し、また全議員参加した上でのPTの結論であるので、その了解の手続きをとっ
た。国会提出後の対応について、基本法は衆議院に、修正案は委員会に提出をすると
いうこと、連休明けにそれぞれについて趣旨説明をするとの報告を受けている。前原
座長、渡辺事務局長、平岡事務局次長をはじめとして、PT役員や関係事務局、法制
局のご苦労に対して、また統一地方選挙の最中という厳しい状況の中でここまでまと
めることができたことについて、関係者の皆さんに心からの謝意を申し上げたい。
我々としては対案を出すことが目的ではなくて、我々の主張を結果に結びつけていく
ことが一番の目的である。一番早いのは解散・総選挙を経て我々が政権を獲り、直ち
にこの法案を採決して緊急事態法を作ることだが、それまでの暫定的な法律の姿をど
うするのかがこれからの議論である。
【記者】
提出日はいつか。提出者は。
【前原・PT座長】
法制局に今日のまとめを受けて字句修正をしていただく。提出は
30日になる。提出者はこれから相談する。
【記者】
今日直した修文の中身をもう一度。
【前原・PT座長】
お配りしているのは修文後のものである。武力攻撃事態法3条3
項に「国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し」と書いてある。
【記者】
提出後、与党側との修正協議に臨む際の基本的な姿勢は。また現時点で与党
側から何らかの話があるかどうか。
【前原・PT座長】
与党側からの話はまだない。30日の提出後に与党側がどう対応
するのかを待つ。
【記者】
向こうから修正協議の呼びかけがあれば現場で判断するということか。
【前原・PT座長】
大方針については執行部が決定し、その指示によって我々現場が
動くことになると思う。
【記者】
それは趣旨説明の後か。
【前原・PT座長】
わからない。
【記者】
修正案の部分だけとりだしての協議に乗ることはあり得るのか。
【前原・PT座長】
あり得ない。
【記者】
基本法とセットでなければならないということか。
【前原・PT座長】
基本法ありきではないが、基本法に我々の訴えるべき大事な理念
が書いてあるので、これを棚に上げて武力攻撃事態法の修正案だけを議論することは
あり得ない。
【記者】
基本法の考え方を取り入れない修正はあり得ないということか。
【前原・PT座長】
高度な政治判断は執行部がすることになるが、自分としては現実
的でないと思う。
【記者】
基本法の中で、与党との協議においてポイントはどこになるか。
【前原・PT座長】
全部飲んでもらうという姿勢で臨みたい。
【記者】
今日の「次の内閣」で、ここだけは譲れないなどという議論はあったのか。
【政調会長】
そういう具体的な話はない。今回の法律案に整理したのは、昨年3月の
基本的な考え方や当時の岡田政調会長が出した10項目をベースにして法律の形にし
たものである。修正協議が行われれば、基本に戻って本質的な中身が取れるかどうか
という話になっていくと思う。
【記者】
これまでの経緯を振り返って、議論はスムースだったという評価か。
【前原・PT座長】
7回にわたってPT・4部門合同会議を開いた。初めは展開につ
いて不安に思うこともあったが、いわゆる為にする議論は全くなかった。真摯に問題
意識等について発言をしていただき、我々も真剣にお答えしていいものをつくるとい
う合同作業が行われた。我が党は政策議論を非常に真剣にやるまじめな政党であると
思う。苦労があったとはまったく思っていない。新たな問題意識を深めた点も多々あ
るので、極めて実りの多い議論だったと思う。
【記者】
修正協議にあたり、党内へのフィードバックはどのようにするのか。
【前原・PT座長】
どういう修正協議がいつ始まるのかということにもよるが、どの
ようにフィードバックするのかは執行部の指示によって動くことになると思う。
【政調会長】
まだ具体的には想定していないが、自分としてはあまり政局的に捉えず
に、政策的に我々の主張が取り入れられたのかどうかという客観的な判断で党内のコ
ンセンサスをとっていきたいと思っている。
【記者】
「領域内に限るかどうか」について、前回は修文する方向と聞いていたが、
そうならなかった経緯について。
【前原・PT座長】
法制局ともかなり相談したが、これには両方の議論がある。つま
り領域に限れば日本の危機に対する漏れが出てくるのではないかということ。また、
例えばイラクで攻撃を受けた場合でも、組織的・計画的であり日本に波及する場合が
あれば、それは武力攻撃事態と認定できるという考え方もある。ただ、筒井議員の問
題意識は、そもそも地球の裏側で日本にあまり関わりのない問題について武力攻撃事
態と認定し、いろいろな国民の権利を制約することはいかがかという点であり、その
問題認識は共有している。したがってその点は答弁の中でしっかりと確認していく中
で、もしそれがしっかり担保できないようであれば修文も含めてもう一度考え直して
いきたい。まったく今の案通りということでなく、問題意識は持っているけれどもそ
れをどう表すのかということについて、今の案通りとした上で委員会等で確認してい
きたいということである。
【記者】
国会承認について。基本法の中で原則事前承認を謳っているが、武力攻撃事
態法では「対処基本方針を閣議決定したあと直ちに国会承認」となっている。食い違
いはないのか。
【前原・PT座長】
武力攻撃事態法に合わせた形で自衛隊法の第76条が行われる。
つまり防衛出動も対処基本方針の中に書かれる。防衛出動は事前承認であり、自衛隊
が出るものについてはあくまで事前承認になっている。対処基本方針が事後承認で
あっても、自衛隊が出ることについては原則事前承認が担保できていると判断してい
る。
【記者】
趣旨説明は基本法案と修正案の両方やるということか。
【前原・PT座長】
その通り。
以上