
枝野政調会長/記者会見要旨
2003年4月16日(水)
編集・発行/民主党政策調査会
○2003年4月16日「次の内閣」閣議報告
【政調会長】
「緊急株価対策を断行せよ」という談話を発表した。
一昨日には日経平均がバブル崩壊後の最安値を更新し、8000円割れという深刻な
状態が続いているが、これは小泉経済政策が完全に行き詰まっていることの証明であ
る。実体経済、とりわけ金融システムに重大な問題があるにもかかわらず、その本質
部分にまったく手を付けようとしていないことがこの事態を招いた最大の原因であ
る。我々はかねてより、株式市場の信頼回復と活性化のための税制改革等の主張をし
てきた。政府は当面の株価について底打ちさせるための緊急対策を直ちに実施すべき
である。
1)時限的に株式譲渡益課税をゼロ税率化する、2)株式譲渡損と他の所得
との損益通算範囲を拡大する、3)長期間の株式保有を促進するため配当課税を軽減
し、配当二重課税を廃止する、4)日本版SECを設置して個人投資家の市場に対す
る信頼を回復させる。
談話は、具体的に短期に行うべき手段として以上の4つを直ち
に行うべきという内容である。
なお本質的には、従来民主党が主張しているように予
算の使い方を抜本的に組み替えない限り経済の回復にはつながらず、株価を維持する
ことは不可能であると思っている。また、安易な財政出動に頼る補正予算は将来の増
税不安を拡大することであり、我々は与しない。まだ予算の執行が始まったばかりな
ので、同じ枠の中でも大きく使い道を変えて実体経済をよくすることは可能であると
考えている。また、従来から申し上げている通り金融再生は王道を歩むべきであっ
て、時価会計の凍結といった奇策は逆にマーケットに対する投資家の信頼を損なうと
考える。
食品安全基本法について審議が進んでおり、我々としては最後まで修正の努力をした
いと思っている。なお関連する食品衛生法・健康増進法について、我々としては決し
て十分なものではないと思っているが、半歩前進を評価して賛成することを決めた。
松浪議員の件については国対が中心になるが、自分の立場から一言申し上げる。政治
と闇の部分のつながりは従来から指摘されてきたことだが、日本の政治全体にとって
ある意味ではきっかけにもなると思うので、松浪議員本人や事件の関係者に事実関係
を質し、闇の部分にメスが入ることになればいいと思っている。国会議員を続けるこ
とが許されるかどうか、考えれば答えははっきりしていると思う。
緊急事態法制について連日会議を開いており、いろいろな疑問点等について説明をさ
せていただいている。基本的にはいい議論ができており、ここまでの進め方について
は大変いい状態であると思っている。前原・緊急事態法制PT座長を中心に、PT役
員と関係4部門の大臣のリーダーシップでなるべく早く対案をまとめ、「次の内閣」
閣議に上げていただきたいと思っているし、それはそう遠からず可能であろうと思
う。
【記者】
株価対策の談話のある対応策について具体的に説明を。
【政調会長】
株式を譲渡して利益が出た場合に、時限的に税を課さない。逆に株を
売って損が出た場合に、他の所得と損益通算をすれば実質減税になるということ。も
ちろんどちらも本質的には筋ではないというのが党税調の議論にもある。したがって
現在の状況にいったん歯止めを掛けるための時限的な措置である。また、長期保有が
促進されなければならないという観点から、配当課税をできるだけ軽減して株を保有
することが利益になるという状況をつくる。
【記者】
公務員制度改革について、民主党のスタンスは。
【政調会長】
公務員制度を改革するにあたって大事な視点は2つあるが、それに対し
て政府の考え方はまったく逆行している。ひとつは、いわゆる天下りに代表されるよ
うなキャリア幹部に対する措置だが、この点についてなお緩やかになるような改悪に
なっている。ふたつめは、ILOからも問われている公務員の労働基本権の問題であ
る。
きちんとした労使間の協議で処遇を決めるという、国際的にも認められている基
本的なルールを作らなければならない。このことは場合によっては公務員の側にマイ
ナスもあるかもしれないが、可能な限り民間とのイコール・フッティングを図る方向
にするべきである。しかしこれもやろうとしておらず、我々の考え方とはまったく逆
行している。
さらに最も深刻な問題は、政府は公務員の中立性を侵害しようとしてい
るということである。我々は、幹部公務員については政治的任用をもっと多用して行
政の中に国民の民意が直接届くようにする方向を志向している。ただそれは幹部につ
いてのことであって、現場の職員については政治的中立性を確保することが重要であ
り、憲法上の要請でもある。いま政府から出てきている話を聞くと、例えば公務員試
験の合格者を増やすということがあるが、数を増やせばそれだけ恣意的な対応がしや
すくなり、極端に言えば政治家の口利きで採用される余地を作ってしまうという問題
がある。人事管理についても、大臣に一般的な強い権限を与えれば、大臣の顔色を見
て仕事をする公務員が増えざるを得なくなる。幹部については政治任用して、大臣と
共に政治的責任を負うことは重要だと思うが、政治的責任を負わない公務員が大臣の
顔色をうかがって政治的中立性を失うことは深刻な問題である。それに大臣が天下り
を事実上承認するような仕組みが加われば、役所に入るところから出るところまで政
治の介入がしやすくなり、それは大変な問題である。
【記者】
菅代表が中国に行っているが、胡錦濤・国家主席が与党より先に野党の代表
に会うことの狙いについてどう思うか。また今後の対中関係などについて。
【政調会長】
我々としては、我が国と重要な関係にある国のリーダーとは菅代表が直
接お会いして信頼関係を強めていきたいと思っている。今回の機会を作っていただい
たことはありがたいと思っているが、なぜ小泉総理より先に菅代表が会えるかという
ことについては向こうの判断なので、どういうことかを推測するのはかえって失礼だ
と思う。我々としては、中国から見れば厳しい位置に立っている側面もあるし、逆に
靖国神社や教科書の問題に関する中国の見解について、ある意味では政府より理解し
ているという側面もある。中国にとって耳にいい話だけではなくて、きちんと厳しい
ことも話をすることによって相互の信頼関係も高まってくると思うので、そういう会
談になることを期待したい。
【記者】
北朝鮮との多国間協議に日本が加わらないことについて。
【政調会長】
相手のあることでもあり、中国やアメリカそれぞれの思いもあることか
ら、我が国だけでけしからんと言えば済む話ではないと思うが、我々としては望まし
い事ではないと思う。ただこの間の小泉内閣の外交姿勢は、北朝鮮や中国から「アメ
リカと話をつければいい」との見方をされても仕方がない。「日本に最初から加わっ
てもらわないとまずい」と関係国に思わせる外交をすべきであり、そういう意味でも
菅代表には胡錦濤・国家主席に対して我々の主張をきちんと伝えてきて欲しいと思っ
ている。
【記者】有事法制について、国会提出の時期は。
【政調会長】可能な限り最も早いタイミングで提出する。法律を出すだけのスタンド
プレーであれば明日にも出せるが、中身についてきちんと責任をもって出そうとすれ
ば精査のための一定の時間は必要であり、法律を作る作業を無責任にはできない。し
かしそう遠くない時期に出せるものと思っている。
以上