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枝野政調会長/記者会見要旨
2003年4月2日(水)
編集・発行/民主党政策調査会

○2003年4月2日「次の内閣」閣議報告


【政調会長】
定例の記者会見を始める。 まず緊急事態法制について、現在の党内の情勢をご説明しておきたい。緊急事態法制 に対する我が党の考え方は既に去年「緊急事態法制に対する基本的な考え方」という 形で党議決定して発表している。更に政府案に対する我が党の考え方は、当時の岡田 政調会長が中心にまとめた10項目のものを発表しており、我が党としては、法律案 という形ではないが基本的な対案は示している。そして我々の指摘に対して、昨年の 臨時国会末に与党側から出された部分修正は極めて不十分なものであるという認識に 基づき、我が党として法律案の形としての具体的な対案を示すという趣旨のことを1 月の党大会でも菅代表から発言している。それ以降、これまでの2つの政治的な文書 を、法的な文書に再整理した上で修正案なり対案という形でまとめようということで 作業を進めている。

“政治的文書”“法的文書”の意味を具体的に申し上げると、 我々が政府案の問題点としてあげている10項目の中には、政府がきちんとした答弁 をすれば解決する問題もある。また現在提出されている法案の条文を若干手直しすれ ば解決する問題もある。そして場合によっては別な法律にすることも視野に入れた次 元で対応しなければならないものもある。それらについてきちんと整理しようすれば 法制局的な整理が必要になるので、そうした作業を法制局の協力を得て進めている。

個人情報保護法制と緊急事態法制の担当部課が一緒であり、両方同時並行で抱えなが ら作業を進めていただいているが、ようやく個人情報保護法制について一定の整理が できたところなので、緊急事態法制に集中してスピードを上げてもらっている。従っ て我々が作業を遅らせているとか党内の議論が進まないという状況ではない。既に内 容的にはできあがっている党内の合意をいかに法制的に整理するかということなの で、それほど長い時間をかけずになんらかの形を出せると確信している。

個人情報保護法案について、野党4党の対案が概ねまとまった。この問題については いろいろな考え方があり、それぞれの立場毎に必ずしも100点ではないということ は十分承知をしているが、4党の現場で十分な議論をしてきた結果として、基本的人 権や表現の自由と、自己情報コントロール権の確保を両立するという意味でまとめて いただいたものと認識している。特に、包括法ではなく個別法にすべきだったのでは という意見が出ているようである。

我々としても、できれば包括法ではなく、例えば 「金融個人情報保護法」「医療個人情報保護法」などといった個別法方式で作ること も検討した。しかし現に政府案が大変なスピードで審議されようとしている中で、そ ういう形で対案をまとめて出すには現実問題として半年や1年程度の作業は必要にな る。それに代わって、私生活への過度な介入にならないようにするためのもう一つの 方式として、主務大臣が監督権限を持つのではなく、行政から一定の距離を置いた第 3者機関に所管をさせることによって歯止めをかけるという形を今回の法案ではとっ た。元々、個別法の積み重ねでやるのか包括法をかけるのかという両方の考え方があ る中で今回の選択をしたということであるので、いろいろなご意見はあるが、我々と してはベストではないにしても相当納得していただけるレベルのものにはできたと 思っている。

犯罪被害者基本法案を再提出することを今日の閣議で確認した。最近また大変悲惨な 通り魔事件なども起こっている。犯罪の被害に遭われた方、生命や身体に被害を受け た方に対し、それをすべて元に戻すことは不可能であったとしても、政治としてでき うる限りの対応をしていくための基本法を作ることにはどなたにも異存のないところ だと思う。従ってあらためてこの法案を提出し、きちんと議論をしてまとめていきた いと思っている。

国立大学法人化法案に関する中間報告を受けた。国立大学を法人化することは一見改 革であると思われている。法人化することそのものには我々も異論はないが、政府案 にはいろいろなごまかしが入っている。文部科学省からきちんと独立をさせて大学の 自治と自己責任を図っていくという本来の内容にはなっていない。看板だけ法人化し ても、中身については相変わらず文部科学省のコントロールが残るのではないかとい うような懸念が多く出ている。我々としてはそれらの点について修正案を用意し、政 府案は形式的には改革のように見えても中身は違うことをきちんと示していくという 方向が了承された。

食品安全基本法案について、民主党修正案について他の野党にも呼びかけをするとし ていたが、若干説明を加えたい。政府から出ている食品安全基本法案は、まったく不 十分なものと思っている。厚生労働省と農林水産省という役所の縦割りの中で、食品 の安全について結果的に大変深刻な事態を招いた。その反省に立つならば、しっかり とした基本法で役所の縦割りの弊害を除去しなければならないにもかかわらず、政府 案は内閣府に審議会を置いてそこで勧告をさせるという程度の内容である。こんな法 案ではとても役所の縦割りの弊害の除去はできず、同じような失敗を繰り返す恐れが 相当高いと思っている。ただこれについては、今よりは半歩前進をしていることも間 違いない。さらにもう半歩前進させる努力をするのか、あるいは全部反対とするか、 非常に難しい政治判断であるが、現に日々危機にさらされている問題であることを考 えると、半歩前進を一歩前進に進めていくという方向で閣議をまとめた。現実的に成 果を上げていく、縦割りを壊していく足がかりにするという評価のもと、不本意なが ら修正を求めて努力していくということである。



【記者】
緊急事態法制について、いつ頃出すのか。

【政調会長】
法制局の作業ペースとの兼ね合いだが、最大限急いで対応する。

【記者】
法制局の作業によるということか。

【政調会長】
100%ではないが前提条件になる。法制局の整理に基づいて議論を し、またそれをフィードバックするというやりとりになるので、我々も法制局も明確 に見通しを立てられるものではない。ただ経験上、あと1ヶ月も2ヶ月もかかるとい うことではないとは思っている。

【記者】
与党は個人情報保護法も4月中には衆議院を通したいとしているようだが。

【政調会長】
国対の判断だが、きちんと審議をすれば問題点は多々出てくる。法案の 出し直しをしていることや、問題の重要性から考えてもそうした国会日程は相当難し いのではないかと思う。ただ我々としては、同じ土俵に乗って正面から正々堂々と戦 おうと思っているので、日程闘争をするつもりはない。

【記者】
緊急事態法制について、連休前後をメドに出すということか。

【政調会長】
経験上からの直感で言えば、月単位ではなく週単位程度の作業という見 通しである。個人情報保護法案の審議が始まればその答弁補助にも法制局は関わる。 法制局の人員が足りないことを実感するが、一方で大島大臣の答弁を書くことはでき ていることなどを見ると、これは議長に相談して国会のバックアップ機能の強化をし ていかなければならないと思う。

【記者】
党内には、有事法制は必要ないという声もあるようだが。

【政調会長】
緊急事態法制を整備するというのは、結党文書にあるいわば党の綱領で あり、必要ないという考えは自己矛盾だと思う。また日本には従来、自衛隊は防衛出 動をすれば何をしてもいい、国際法以外のあらゆる法律に縛られずに必要な防衛行為 ができるという自衛隊法88条が存在することが忘れられがちだが、つまり自衛隊か ら見れば非常に使い勝手のいい有事法制がすでに存在している。それを前提にした話 なので、有事法制が要らないというのは事実に基づかない話である。

【記者】
党の集約にはそれほど時間はかからないということか。

【政調会長】
丁寧に段取りを踏んでいけばそれほど時間をかけずに民主党しての対案 を示すことができると思う。内容的にはまとまっているので、ある意味では法技術上 の問題と認識している。

【記者】
3月の予算委員会で石破防衛庁長官が弾道ミサイルの発射基地について検討 に値するというコメントをしているが。

【政調会長】
どういう状況になったら我が国として何ができるのか、客観的な状況を どう把握できるのかなど、「検討」の意味を丁寧に整理する必要があると思う。「敵 の領土から一方的に撃たれた時に、座して死を待つことが憲法の趣旨ではない」とい う過去の総理大臣の答弁がある。しかしいたずらに他国に脅威を与えるような進め方 には当然問題がある。慎重かつ丁寧に前提条件を整理することはあっていいと思う。

【記者】
問題だという認識ではないということか。

【政調会長】
問題だとは思っていない。むしろそれを全面否定した小泉総理の方が問 題だと思う。こうした本質的な安全保障の議論から逃げ、何でもアメリカに依存し、 何でもアメリカに守ってもらえばいいという小泉総理の姿勢の方が問題である。

以上