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枝野政調会長/記者会見要旨
2003年2月26日(水)
編集・発行/民主党政策調査会

○2003年2月26日「次の内閣」閣議報告


【政調会長】
今日の閣議で決めたことに併せていくつかお話ししたい。 まず北朝鮮問題PTで整理をした「北朝鮮に関する現状の考え方」の内容について了 承を得た。我々としては拉致問題・大量破壊兵器問題などの解決なくして国交正常化 及び経済援助はあり得ないというスタンスを改めて確認したので、この2つの問題の 解決に向けて政府に更なる努力を求めたい。

関連して、北朝鮮によるミサイルの発射事件について、これが国際政治の上から大変 な問題を持つ行為であることは、明らかである。この事件について、現場から官邸に 対する報告が大変遅れた。海上保安庁を所管する扇国土交通大臣が閣議の後の会見の 時点でも全く知らなかったということは、遺憾などという話ではなく弛んでいるとし か言いようがない。パウエル米国務長官は元々知っていたと言っているが、小泉総理 が知らないで韓国に行っているとすれば大きな恥をかきかねない話である。政府は再 びこうした事態を招かないようしっかり善後策をとると共に、責任問題を明らかにす る必要がある。
国会で有事法制の議論がなされているが、現場に危機管理に関わるような情報があり ながら、官邸にそれが上がらないという状況の下では、どんな有事法制を作っても本 当の意味での危機管理にはならない。現在国会で議論されている政府提出の法案は、 基本的に今の体制を前提にして作られており、こうした点についてまったく手が打た れていない。こうした法案をいくら作っても意味がないということが、今回の事件で 改めて確認された。我々はこれから対案を党内議論に付していきたいと思っている が、危機管理に関わる情報を一元的に集約・整理してしかるべき責任者にきちんと伝 達するということは、有事対応・危機管理の初歩の初歩である。この部分の整理こそ まず最優先されなければ、そこから先の対応以前に危機管理は失敗するということ を、今回の事件を機に改めて指摘したい。

高速増殖炉「もんじゅ」の判決について、「原子力の安全性に関する検討委員会」で この問題に関する検討・調査をしていただいた。 結論の1点目は、最高裁で審議に入ろうというところなのでその結論を見なければな らないし、また核燃料サイクル政策全体の総合的な議論が必要であるということであ る。最高裁で争っている中で、我々も司法判断を冷静に見極めながら総合的な議論を していきたいと思っているし、政府としてもそういった謙虚な対応が必要であるとい うことを示している。2点目は、これまで「原子力の安全性に関する検討委員会」を 経済産業部門の中に置いていたが、官房の直属でより広範にエネルギー対策を検討す るチームを設置して、高速増殖炉や核燃料サイクルなどの抜本的な在り方の議論をす る中で「もんじゅ」についての最終的な結論を整理していくということ。3点目は、 今回の判決を踏まえ、いずれにしても現行のエネルギー行政や原子力安全行政には問 題があるということ。すでに我々は「原子力安全規制委員会設置法案」を国会に提出 している。これは、原子力を推進する機関と安全規制機関が一緒になっていたのでは 間違いを繰り返すという認識に立ったもので、原子力の推進機関から切り離した独立 行政委員会としての原子力安全規制委員会を設置するべきであるという中身である。 今回の判決を機に、この法案を今通常国会に早急に再提出することを確認した。

次に、政府提出の「社会資本整備重点計画法案」が本会議の趣旨説明・質疑にかかる が、このとき同時に、従来から継続審議になってきた我が党提出の「公共事業基本法 案」も一括して審議の対象にすることになった。 詳細の説明は省くが、公共事業の改革といいながら政府案はまったく抜本的な改革に なっていない。対象になっているのは国土交通省の関係するものだけ、つまり相変わ らずの役所の縦割りであるし、国会承認という民主的なプロセスも書かれていない。 また分権といいながら、国の関与する社会資本整備・公共事業についてきちんと限定 しようということも書いていないし、特定財源についても手が着いていない。また地 方自治体で効果が上がっている「時のアセス」も入っていない。我々は抜本的な改革 になる対案をすでに出しているので、これをきちんと政府案と比較してどちらがいい のかという議論をしていきたい。

次に所得税法の一部を改正する法律案の修正について。これは政府の予算関連法案な ので基本的に反対であるが、この税制改正については問題点がクリアかつ重大である ということから、特に修正案を提出することになった。 ポイントは4点。まず酒・タバコ増税は大衆増税であり認められないということは従 来からも言ってきた。連結付加税については廃止すべきである。消費税の価格表示を 内税化するという改正について、これは残念ながら余り大きな議論になっていない が、内税で消費税込みの料金表示をするか、それとも消費税抜きの表示をして会計の 時に付加するか、小売業者の皆さんが判断すればいいことである。最近の消費不況の 中でも頑張っている「100円ショップ」などは、外税100円で原価ぎりぎりの安 いものを提供して喜ばれているのに、到底やりきれなくなる。従来業者の判断に任せ てやってきたことが慣習として定着しているのに、将来消費税を上げたときに国民に 反発されないようにという姑息な意図による措置である。これらに対しては修正案を 提出してきちんと対処していきたい。

日本銀行の総裁・副総裁人事の内示が昨日あったが、これについてはきちんと国会に 呼んで意見を聞いた上で同意するかどうかの判断をすべきであるということを閣議で 確認した。 同意人事を要する機関の中でも、日銀総裁は著しく独立性が高い。しかも5年という 長期の任期で、途中でやめさせられるということはないから、5年以内に我々が政権 を獲った時にも、この日銀総裁は変えられない。しかも日銀については、政府が間接 的にコントロールするような余地もほとんど残されていない。当然政府の経済運営の 方針など踏まえて考えなければならない部分があるにもかかわらず、あえてその職務 の独立性から強い権限を与えているわけであるから、国会の場で国民の皆さんの前に その見識等を示していただき、その上で同意するかどうかを決めていくのは当然であ ると思う。今日私からは、もし国会に来ていただけない場合には、そのことをもって 反対するという方向で整理していただきたいと現場に要請した。 なおそもそも今回の人事は、接待汚職に関わって降格・辞職した2人の方がセットで 総裁・副総裁になるという人事である。仮に本人が能力のある方であったとしても、 金融機関の過去の様々な不祥事や膿をきちんと出すことが求められている中で、脛に 傷を持った総裁と副総裁にそういうことができるのかという観点からも、国会に出て いただいて厳しく問いつめなければならないと思っている。

法務省の不祥事について一言申し上げたい。自分もかつて菅代表と共に薬害エイズ問 題に関わったが、薬害エイズ問題は行政が不作為によって人を殺してしまったという 事件であり、それでもあれだけ社会的糾弾を受けた。今回の名古屋刑務所における事 件は、不作為による殺人ではなく、積極的に人を殺したという事件である。しかも前 任大臣の任期中の事件ではなく、森山大臣になってからの事件であり、自分の部下が 公務員の立場を濫用して人を殺しているのに、この大臣がやめなくて誰がやめるの か。公務員が公権力を利用して人を殺しておいて、その機関の長が責任を問われない というのでは、どんなケースで大臣が責任をとるのか。今までにいろいろな大臣の責 任追及をやってきたが、公務員が人を殺しているという重大性、しかも前任大臣の不 祥事を引きついでということではなくて、森山大臣になってからの事件であるという ことを考えれば、これを放置しておくことは民主主義の観点からも到底許されない。

また、このあと国対から詳しく報告があると思うが、今日の予算委員会がもめている ひとつの理由は、衆議院の法制局次長が大島農林水産大臣の答弁を作っていたことが 明らかになったためと聞いている。ただでさえ国会の法制局や調査室はスタッフの数 も少なく、相対的に力が弱い中で野党は立法活動や調査活動をしているのだが、その 中のナンバー2が政府の手先だった。政府の手先にご協力いただいて国会での活動を しなければならないということでは民主主義が成り立つはずがない。議員を支えるべ きスタッフの幹部が政府の手先をやっているというようなことでは、民主主義の根幹 に関わる。このまま展開すれば、法制局限りの問題ではなく、議長に責任をとってい ただくような話である。議院内閣制、三権分立に関わる問題であるという認識を持っ て臨んでいる。



【記者】
イラク問題に関するアメリカの新決議案について、日本政府が早々と支持を 表明したことについての意見は。

【政調会長】
査察の最終報告が出され、もうこれ以上やってもムダであるというよう な結論でも出てくれば、次のステップを考えなければならない。しかし「まずは査察 を徹底して行い、イラクにも協力を求める」という我が党の方針に照らして、この時 期にああいった決議案を出すということは理解できないし、それに賛同することはで きない。また、従来と同じように、国民に対する説明と外に対する説明が食い違って いる。説明自体も、国際協調をといいながら、国際的に意見の分かれている中でその 一方のアメリカの提案について賛同するというのは訳が分からない。日本の外務省に とっての国際世論というのは、アメリカしか見ていないから、彼らにとっては当然な のかもしれないが。

【記者】
政府はイラクに特使を派遣することを検討しているようだが、一連の政府の 対応についてどう考えるか。

【政調会長】
結局、恐らくはじめから「アメリカに協力ありき」なのだと思う。「ア メリカに協力ありき」でありながら、そのことを国内向けにははっきりと言わないま まやってきた。そうしたポーズの延長線上の言い訳づくりと言われても仕方がない。 はじめに「アメリカ支援ありき」であるけれども何とか辻褄を合わせようとムダな努 力をしているから、このように支離滅裂なのだと思う。こういう行動はもちろん国内 的にも国民の信頼を失うし、国際社会からも馬鹿にされる。こうした二枚舌外交は当 然外からも見えているわけだから、日本政府というのは二枚舌外交でいい加減で場当 たり的な政府なんだということは、もう知られている。アメリカを含めた諸外国から 軽蔑されるような行動をとっていると言わざるを得ない。

【記者】
個人情報保護法案について、現段階で政府案について問題点をどう見ている か。

【政調会長】
本質的な修正は全く図られていない。 民間の個人情報について言えば、公権力が過度に私生活に介入するという部分は結局 変わっていない。例えば、報道行為というものを誰が判断するのかといえば行政機関 である。また報道機関については少しは気を遣ったようだが、NPOや、個人で知り 合いがたくさんいる人なども対象になってしまいかねないというような法案であるこ とは全く変わっていない。その一方で、本来きちんと守られるべきいわゆるセンシ ティブ情報の保護については相変わらず中途半端である。 特に行政機関の個人情報保護の問題点は決定的で、そもそも行政機関は個人情報の流 用をやりたい放題できるという中身になっているのだから、少しくらい罰則を付けた からといって、行政機関に集められた情報の悪用を食い止めることにはならない。こ の部分の歯止めがきちんとかからない限り我々としては当然容認できない。 野党4党で一致して修正案を作りたいということで、現場で作業を進めているが、国 会での審議が本格化するまでには提示ができるのではないか。委員会については、従 来内閣委員会で議論してきた案件なのであるから、これを特別委員会にするというこ との理屈がさっぱり分からない。ある委員会ではこの法案がやりにくいから別の委員 会でというような、恣意的な、姑息なことをしてはいけない。

【記者】
北朝鮮に対する考え方について、拉致・大量破壊兵器の問題が解決しなけれ ば経済援助はあり得ない、というのは代表のワンパッケージ論とは矛盾しないのか。

【政調会長】
矛盾はしない。代表もいろいろなことを全部パッケージにして解決を図 ろうという意識だと思う。その場合に、日本としては拉致の問題や大量破壊兵器の問 題がそのパッケージの中に入っていなければ、到底他のこともあり得ないということ であり、パッケージの中に更に何かを入れるということはあろうかと思うが、その中 で拉致・大量破壊兵器・正常化・経済援助は最低限パッケージにしなくてはいけない ということである。

【記者】
産業再生機構法案についての方向性は。

【政調会長】
何らかの修正は必要ということが概ねのコンセンサスに近いのではと受 け止めたが、様々な意見があるというのが現状である。

以上