http://www.edano.gr.jp
衆議院議員枝野幸男の公式政策発信サイト
こちらからは、アーカイブページになります

<< 前回の定例記者会見要旨 [ INDEX ] 次回の定例記者会見要旨>>

枝野政調会長/記者会見要旨
2003年2月19日(水)
編集・発行/民主党政策調査会

○2003年2月19日「次の内閣」閣議報告


■決定事項
本日の閣議で決定したことは2点ある。一つは、民主党の議員立法「銀行等の中小企 業者に対する貸付けの適正の確保に関する法律案」の提出を決定した。ご存知の通 り、銀行の貸し渋り、貸しはがしが深刻な社会問題になっている。残念ながら日本の 商慣習のもとでは、銀行が借り手に対して優越的な地位にあることもあり、きちんと した契約書がなく、契約に先立つ説明もなされないまま融資が行われることが多々あ る。その結果として、借り手が予想もしていなかった責任を負わされる事実が多々見 られる。あるいは担保、個人保証の取り方が社会的適正を欠いている部分も見られ る。

これらの観点から、少なくとも銀行が優越的地位にあると考えられる中小企業に 対する融資については、①融資に先立つ契約内容の説明、文書の交付を銀行等に義務 付ける。②融資や担保の取得にあたっては、社会的な適正というものに配慮すること を柱とする法案を提案することとした。中小企業に対する、金融機関からの不当・過 酷な貸付け、取立てに対して一定の抑止的な効果をもたらすことが、この法律案の趣 旨である。銀行を擁護する某政党には賛成できないという面と、中小企業の置かれた 金融面での立場を考えれば与党といえども反対できないという両面の思いがある。こ れは、既に提出している金融アセスメント法と裏表対になって中小企業に対する金融 を円滑化にしていく意味を持つ。今後運動論的にも全国の中小企業の皆様に、早くこ ういった法律を成立させるべきであること、そして銀行に遠慮せずきちんとした対処 できる民主党の姿勢を、中小企業から見た意味を理解していただくようにする。提出時期は現場に任せている。

 「環境教育振興法案」は昨日の総括副大臣会議で了承され提出を決めた。現在、環 境省の記者クラブでも会見を行っている。予算でも次世代への責任を重視しており、 環境税も取り込んでいる。環境に対しても責任をもった社会を作っていくためにも教 育の現場でこの問題をきちんと位置付けていくことが大切であり、一種の基本法、理 念法である。環境教育の基本計画を国、都道府県、市町村で作るとともに、一般的に も環境は市民参加が進んでいる分野だが、基本計画においても住民の意見を反映す る。速やかに国会に提出する。政治的思惑で与党内では教育基本法の議論が与党内で は混乱しているようだが、教育の現場を社会の変化に合わせるというのであるなら、 こういったところから地道に進めて行くのが民主党の姿である。

■協議事項
 年金制度改革について時間をかけて議論をはじめた。基本的には民主党は基礎年金 を保険方式から税方式に転換する。全ての人にきちんとした最低限の基礎年金を保障 するという方向ですすめてきている。この間予算委員会でも取り上げられたが、お預 りしている年金基金が目減りをしている問題もある。急速な少子高齢社会を迎える中 で、安心して老後を過ごせる、若い世代に過酷な負担にならない年金ということで は、スウェーデン方式を参考にすべきとの意見もあった。基本的には従来決めてきた ことを変えてはいないが、来年の抜本改革を前に、時間をかけて、現場の年金PTと閣 議で議論をしながら、コンセンサスを作り、さらに自信をもって訴えていくことので きる民主党の年金改革案を再整理する。本日は初回であるので、それぞれの思いを 語ってもらい、今後、山本PT座長のもとで論点整理をし、それをもとに議論を進めて いく。三ヶ月から半年かけてじっくりと閣議の場でじっくり議論し、全党的な理解を 深めていきたい。

 医療保険制度で、既に医療費3割負担凍結の法案を出しているが、民主党の立場に 対するメディアの誤解や勉強不足があるように感じている。もちろん私たちのPRの方 法も考えなければならない。私たちは大衆迎合的観点から3割凍結を打ち出している のではない。既に昨年6月に、民主党は医療制度の抜本改革について成案を発表して いる。例えば薬価について、いわゆる包括的に薬価基準を決める方法で、新薬で高い 薬価差益を得ることを許さない、保険者集団を整理して、保険者機能がもっと働くよ うにして、過剰診療や不正請求などをしっかりチェックできるようにする。またそも そも供給体制として、いわゆる家庭医と高度医療を仕分けするなどの抜本改革案を出 している。政府のほうは、抜本改革するから値上げをさせてくれと、前回の引き上げ のときに言っているにも係らず、抜本改革なき負担増を行っている。ここでまた負担 増を認めたら、また抜本改革が先送りになっていくという問題意識が一番あって今回 凍結法案を敢えて出している。抜本改革がないままの事実上の負担増と、抜本改革を 示した上での負担増の立場の違いをきちんと分けて理解してほしい。民主党は医師会 からもヒアリングをしているが、我々の医療制度改革は必ずしも医師会に歓迎されて いるものではない。

■名古屋刑務所事件
 今、国会で問題になっている名古屋刑務所の件について申し上げておきたい。そも そも事件そのものが言語道断であるが、これを役所ぐるみ大臣を含めて隠蔽しようと する体質が、人権を所管している法務省において行われていることを深刻に受け止め ている。特に、参議院において人権擁護法案が継続審議になっているが、人権擁護の ための機関を法務省に設置をすることの可否が大論点になっているが、このような事 件が起きたことだけでも、法務省は人権擁護所管官庁として適切ではないのに加え て、今回のような隠蔽ごまかし体質が明らかになった以上、どう考えても、法務省に 人権擁護の機関を設置することは、泥棒に泥棒の取り締まりをさせるような話であっ て、全く正当性がない。国対的に予算審議において法務省、法務大臣においてきちん とした釈明と責任を明らかにすることは重要だが、政策の立場からは、直ちに人権擁 護法について野党が求める修正に応じるのが政府の責任ある態度であると思ってい る。

■対イラク査察追加報告を受けて談話
週末に私の談話が出ているが、改めて強調したい点がある。国連監視検証査察委員会 (UNMOVIC)とIAEAの報告の中で、米国によって示されたイラクが大量破壊兵器を隠 蔽している「証拠」の一部について疑義が示されている。この「証拠」はパウエル国 務長官が未明に発表し、同日朝には川口外務大臣が支持を表明している。米国が公表 した「証拠」と言えるものを検証する努力を全く放棄し、無条件にアメリカの言った ことを支持した。その後、その「証拠」に国際機関から疑義が示されたのだ。日本は 独立国であり、アメリカの同盟国であっても属国ではない。アメリカの発言につい て、自ら検証をし、自ら判断すべきであるのに、無条件にアメリカを支持した。この 一点をもっても川口大臣は辞任すべきである。



【記者】
日本政府が安保理の公開討論で新しい決議を求めていることについて。

【政調会長】

二枚舌外交である。日本政府はまずは日本国民に対して、国会に対して 説明をすべきであり、それと同時に国際社会に対しても発信すべきである。これは民 主主義国家のあるべき姿である。しかし、国内では国会の追及に対して明言を意図的 に避け、逃げ回りながら、国際社会に向かって意思を表明するのは、民主主義のもと にある政府のすることではない。このような姿勢では北朝鮮をとても批判できない。 内容的にも、国連の査察チームが、さらに査察が必要であると国際機関として国連に 報告をしているときに、「新たな決議をすべき」というのは、明らかに時期尚早であ り、国際機関の下している判断を評価しなければ、国際社会の秩序が成り立たないの ではないか。国際機関が示してきたものがあるなら、それを前提にした上で、各国家 が主権に基づく立場を色々出すべきである。その観点からも、今回の日本政府の行為 は、国際社会の秩序を軽視していることになる。自らのやっていることが論理矛盾で はないか。もちろんイラクも国連から求められている大量破壊兵器の破棄を証明しろ という要求に従っていないが、国際機関の判断に従わないという意味で、似ているこ とを指摘せざるを得ない。

【記者】
もし、新決議が採択されたら。

【政調会長】
決議の内容が問題である。武力行使が許されるのは、自衛権の行使か国 連決議に基づくときのみである。武力行使が許されるとするなら国連決議とは、武力 行使そのものを明確に容認した決議でなければならない。したがって追加的な報告な どがあったからと言って、そのことで米軍の武力行使が正当化されるとは思わない。 「武力行使やむなし」という明確な内容の決議が国連でなされるなら、日本も国際社 会の一員として容認あるいは支持をすべきである。

【記者】
武力行使容認決議があった場合、大量破壊兵器の破棄を目的とした武力行使 か否かを判断するときの基準は何か。

【政調会長】
ケースバイケース、総合的に判断するしかない。武力行使の形態、アメ リカの公の発言内容などから総合的に判断せざるをえない。ある基準を越えたらよい とか悪いという単一の基準で判断できる単純なことではない。相当限定された武力行 使でなければならない。大量破壊兵器の破棄を目的としての武力行使でなければ容認 できない。そこに大量破壊兵器がある蓋然性を示せる攻撃をしなければ無責任であ る。

【記者】
年金について、基礎年金部分については税方式には変更はないのか。

【政調会長】
現在のところ変化はない。ただ議論の経緯の中で、一度決めたことだか ら未来永劫変えないということは全くない。変える可能性を含んでいることは否定で きないが、変えることを前提に議論しているわけではない。

以上