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衆議院-日本国憲法に関する調査委員会


平成18年06月15日

[日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、衆法第三一号)]

○枝野議員

 民主党・無所属クラブの枝野幸男でございます。

 私どもの日本国憲法の改正の是非を問う等のための国民投票は、決して憲法改正のための国民投票制度ではないということを強調して、その法案提出者を代表して一言発言をさせていただきます。

 まず、この法案の審議が、こうやって委員会での審議がスタートできたことについて、委員長を初めとする皆さんのこの間の御努力に対して感謝を申し上げます。

 その上で、先ほど来お話が出ておりますとおり、とにかくこの制度は、中立公正な制度をつくらなければならないという共通認識は十分に今できているんではないというふうに思っています。

 繰り返しになりますが、この制度は、もし将来この国民投票制度に基づいて発議をされた場合に、発議に賛成の立場、反対の立場、双方の者が納得できている制度でなければ日本の立憲主義にとっての自殺行為である。つまり、それで国民投票をやれば可決されるにしろ否決されるにしろ国民の意思が示されますが、その結果が出た後に、これは制度がよくなかったから国民の意思が正確に反映されていないんだなどという形で憲法の正統性について堂々と批判がまかり通るということになったのでは、まさに我々立場の違いを超えて立憲主義そのものの自殺行為になります。

 したがって、国民投票が行われて結果が出た場合には、それがみずからの考え方に沿った場合でも沿っていない場合でも、こういう公平公正な制度でやったのだから仕方がないということでお互いが納得できる制度にしなければならない。これは、私たちの歴史に対する責任であるということを強く強調してまいりたいと思っております。その上で、そういった中立公正な制度をつくるためには、それぞれ今自分が持っている立場と反対の立場に立ってこの法案の議論を進めていただきたいというふうに思っております。

 まず早期の憲法改正を主張されている皆さんにお願いをしたい。

 憲法を変えるといっても、皆さんが今変えようと思っている方向での改正とは限らない、いろいろな改正があり得るわけであります。皆さんが国会の三分の一以下の勢力となって、皆さんとは逆方向の憲法改正が発議をされることも論理的にはあり得るわけです。例えば、私も国会に議席を置かせていただいて十三年になりますが、十三年前の日本の政治状況とこの十三年間の動きなどを考えたら、そういうことが絶対に起こらないと……。例えば志位さんが内閣総理大臣になって、共産党が国会の三分の二の議席を占めて憲法改正を発議するということはあり得ないことではない。そのときに、この制度であるならば公正公平に国民の意思が反映されるであろう、そういう制度をつくるということを意識をしていただきたいんです。

 皆さんの案が発議されて国民投票にかかるということではなくて、例えば共産党が提案した発議案が、そしてなおかつそのとき皆さんは警察などの権力を持っていない、そのときでもこういう制度であるならば安心だという制度をつくる責任がある、このことをぜひ考えていただきたい。また、まさに憲法の議論をするというのは、そういった場合のことを考えた謙虚な姿勢で物事を組み立てていくということが憲法に対する姿勢であるというふうに思っておりますので、これは絶対条件だと思っていますので、ぜひともそのことを前提に今後の議論をお願いしたいと思っております。

 一方で、当面の憲法改正には反対であるということを主張されている皆さんにお願いをしたい。

 本当に国民の多くの皆さんが例えば今自民党などが提起をしている方向での憲法改正を望んでいないんだとすれば、まさに国民投票で否決するのが一番わかりやすくていいじゃないですか。そうすれば、それがもし国民が望んでいないことであるならば、そのことに不毛なエネルギーを使わなくて済むようになるわけですから。何といっても、それがどちらにとっても一番いいわけですよ。

 ただ、もちろん、確かに指摘をされるとおり、国民投票制度のあり方や、あるいは言論、表現の自由についてのあり方によっては国民の意思が正確に投票結果に反映されない可能性はある。だからこそ、そうならないように、入り口論ももちろん主張されるのは自由でありますけれども、国民の意思が正確に反映される制度というのはどういうことなのかということについて、皆さんの立場から見て、こういうところに心配がある、こういうところで民意がゆがんで結果に結びつく可能性があるということについて、具体的な問題点をどんどんどんどん出してきていただいて、それを一個一個今申し上げた姿勢に基づいてみんなで議論をしていくことが必要であるということをぜひお願いさせていただきたい。

 これを言うと、それを言っちゃおしまいよと言われそうですけれども、今、少なくとも衆参両院のそれぞれについて三分の二を超える議員の政党が国民投票制度をつくるということについては賛成をしています。したがって、多数決民主主義の原理からいえば、それが将来の憲法改正発議に向けても三分の二以上での合意が必要だということを考えたとしても、つくろうと思えば必ずつくれるという制度に今なっているわけですから、今、私たちはそうした真摯な姿勢で、皆さんが民意がゆがめられるのではないかという心配をされていることについて謙虚に受けとめたいと私は思っておりますので、ぜひそういった具体的な中身についての議論をお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 さて、今後進めていく議論の中身でありますが、きょうもいろいろな御指摘をいただきました。

 念のため申し上げますが、私は、私ども自身が法案を出しておいて何だという指摘もあるかもしれませんが、今出している民主党案が完璧なものであるとは思っていません。何しろこの国で今まで経験したことのない初めての制度をつくるわけですから、それなりに、今保岡先生からも御指摘があったとおり、この場においても、あるいは理事会などにおいても、あるいは党内においても、相当な議論をしてきたつもりではありますけれども、経験をしていないことですから、私たちが気づいていない問題点、論点がまだまだ多々あろうと思っています。現に、先日の本会議での質疑あるいはきょうの御発言を聞かせていただいても、ああ、ここはそうかもしれないな、ここはちょっと考え直さなきゃいけないなということを幾つも感じております。ですから、これは完成品を出したものではないということをまず最初に申し上げておきたいと思っております。

 その上で、実は、残された問題は非常に技術的であるというふうに思っています。ただ、技術的であるけれども、そこがまさに本質につながっていく技術的な問題であるということであります。

 技術的な問題で、なおかつ、今までやったことがない制度であるということを考えますと、この場において、もちろん委員相互で活発な議論、やりとりをするということも重要であります、あるいは参考人に来ていただいて参考人の御意見を伺うということも重要でありますが、例えば、これは特に理事の皆さんは御承知のとおりですが、先日、弁護士会に各党理事が呼ばれまして、そこで国民投票制度についてシンポジウムがありまして、弁護士の皆さんからいろいろな具体的な問題提起がなされまして、私もそこで初めて、ああ、こういう論点があるんだななんということについて気がつきました。あるいは、前回のこの委員会で、CM規制のあり方について天野さんに来ていただいて意見を聞いて、私は、ヨーロッパなどの例を見て、一週間前の規制だけやれば十分かなと思っておりましたら、むしろ、ちょっと視点が違うんじゃないかという新しい視点をいただきました。我々自身が気がついていない視点を、それぞれの専門知識を持った皆さんが持っていらっしゃる。

 今後の議論のあり方として、法律をつくる法案審議の一般的な場合と国民投票法制について合意形成していくというプロセスは違いますから、必ずしも国会の従来の前例に何でも従わなければならないとは限らない。例えば一定の見識、知見をお持ちの方に、ここはどういうことになるんだ、ここはこうじゃないかと、我々に対する質問をしていただきたいと思っております。もちろん、委員の皆さんもそれぞれに御専門の知識を持って専門的な立場から今後私どもに質問をしていただくんだと思いますが、例えば弁護士会とか先日の天野さんのような立場の方とか、さまざまな方々にここに来ていただいて、意見を言っていただくだけではなくて疑問点を問いかけていただくとか、いろいろなことが今後必要ではないか。そういうことによって、我々の気づいていない論点、問題点というものを見落としなく制度をつくっていくということをやっていかなければならないというふうに思っています。

 最後に、まさにこの制度は、国民主権を直接行使をされる国民にとって、ある意味では直接生活には結びつかないけれども国民と直接結びついた制度であります。にもかかわらず、例えば憲法改正の手続について、少なくとも半年、一年前の世論調査などを見ますと、国民投票が必要であるということを知っていらっしゃる方が多いケースでも二割程度しかいないという現実があります。

 私たちのここでの議論そのものが、国民の皆さんに手続の流れそのものを知っていただくための、周知のための大変重要な機会であるということ。そして、そこでつくられた制度が、最初に申し上げましたとおり、中立公正であるという国民的な合意をつくらなければならない。つくった本人が中立公正であると思っているだけではだめで、国民的に、こういう開かれた議論で、こうつくってきたんだから中立公正だよねという合意をこの場でつくっていかなければならないと思っています。

 ですから、これまで、理事会、理事懇談会での論点整理を初めとして、さまざまな場でさまざまな努力を重ねてきましたが、今後、まさにこの委員会の場、インターネットなどを通じて今も生で見ていらっしゃる方がいらっしゃると思いますし、メディアなども、あるいは傍聴人の方も直接見ていただいているこの場において、どこをどう変えたらどうよくなるとか、ここはちょっと変えなきゃならないとかという、いわゆる修正協議をこの平場の中で実はつくっていくというような努力と知恵がないといけない。今、そのためにぜひ委員長を初めとして、委員各位の皆さんの御尽力、御協力をお願いして、私の発言を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。



<他の議員の発言部分省略>