[ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)/ 犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案(内閣提出第五〇号)についての質疑]
○枝野委員
お疲れさまでございます。民主党の枝野でございます。
今回の犯罪収益吐き出し関連二法案は、五菱会事件を契機としまして、私ども民主党も、昨年の三月に党内にプロジェクトチームをつくりまして、私が座長を務めさせていただいて、検討をスタートさせました。
率直に申し上げて、法務省の対応というのはどちらかというとスローであることが多いんですけれども、今回の件は、スイスとの外交関係ということがあったにしても、法務省にしては大変速いスピードで、また内容的にも、これから申し上げるとおり、今後さらに検討していただきたいというか、改善を要する部分はあるというふうには思いますけれども、おおむね、少なくとも当面の問題を解決するために必要な措置をとっていただいているというふうに思っておりますので、率直に高く評価をしたいと思っております。ですから、少なくともこの法案の本体の話については対決的ではありませんので、余り警戒心を持たずにお答えをしていただきたいのです。
まず、実は、先ほど参考人質疑を一時間半ほど聞かせていただきまして、大変我々としても参考になるお話をいただきました。聞いていなかったらけしからぬとは言いませんので、どこかで聞いておられましたか、三人の方にちょっとお尋ねをさせていただきたいのです。
○杉浦国務大臣
申しわけありません。聞いておりませんでした。
○河野副大臣
聞いておりません。
○三ッ林大臣政務官
すべてではありませんけれども、一部は聞いておりました。
○枝野委員
そうなんだろうと思います。
ただ、これは参考人の性質にも、あるいは法案の性質にもよるんだろうと思いますが、先ほど聞いておりまして、法案そのものがいいとか悪いとか意見が分かれていてということであるレベルの参考人であるならば、一方の提出者である政府側としては、聞いてもせんないかということはあるのかもしれません。
しかし、きょうのような場合は、運用に当たってどういうことを留意しなきゃいけないかとか、今後検討しなきゃならない部分はどういうことがあるのかということでは、もしかすると、法案審議をする委員の側よりも政府に聞いていていただいた方が、多分参考人の御発言いただいた趣旨についても生きるのかなというふうに思っております。
これはこの委員会だけで決められることではありませんけれども、参考人質疑のときに、一般的には提出者はいなくていいということになっておりまして、私も議員立法の提案者になることが結構あるものですから、そういう自分がそちらの立場のときを考えると、参考人質疑のときぐらい抜けたいなという気持ちもよくわかるんですが、少し、参考人の性格、性質、あるいは法案の種類によっては考えてもいいんじゃないかということを、これは問題提起させていただきたいと思います。
通告させていただいている中身に入りたいと思いますが、今回の法案による手続は、被害回復給付金の支給手続の主体が検察官ということになっております。私どもが提起をしておりました考え方では、もちろん検察官が裁判所に対して申し立てをする主体ではあるんだろう、しかし、お忙しい検察官に、犯罪捜査そのものとは違うこうした処理をしていただくまでのことは実はないんじゃないかと。
今回の政府の案においても、結局、検察官は、弁護士に委託をして、そこで配当的な手続をするということになっているわけでありまして、ダイレクトに裁判所に検察官が申し立てて、裁判所が破産管財人類似の弁護士等を選任して、そこが裁判所の監督を受けて、破産手続のように、申し出を受けてチェックして配当する、こういう手続をした方が、検察官の本来業務の軽減という形、意味からもいいんじゃないかということで、我々はそういう案を当初提起しておりました。法案提出前の段階で法務省の皆さんともかなり議論をさせていただきましたが、結果的に検察官が担うということになりました。
ちょっと意地の悪い聞き方をさせていただきますが、まず、警察庁に、警察から送検をして検察が起訴をするという流れの中にありますので、ある意味では一番検察の忙しさ、あるいは忙しくないとかということを知っておられると思いますので、検察官というのは暇なんですか、余っているんですか。
○縄田政府参考人
検察庁の体制について、私どももすべて承知しているわけではございませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一線の方から特に体制についてどうこうという話は特段聞いておりません。
○枝野委員
これもちゃんと言っておかなきゃいけないと思います。きょう、国家公安委員長ではなくて警察庁の政府参考人ということで、これは理事会でのお決めでありますので、これはこれで結構なんです。
私は、政府委員制度が政府参考人制度に変わるときの趣旨は、基本的に、国会でのやりとりは答える側も聞く側も政治家同士であるべきであると思っておりますので、法務省さんからも大分嫌がられているとは思いますが、政府参考人以外でやりたいということでずっと申し上げてきております。
ただ、警察庁と国家公安委員長の関係はどうなるんだろう、あえて言えば全体に独立行政委員会の場合はどうなるんだろうということは、実は非常に悩ましい問題であります。基本的には、大臣が長を務める独立行政委員会ですから、そのもとにある警察庁を含めて国家公安委員長が御答弁になるべきだし、実は、政府参考人制度導入の趣旨からすれば、その国家公安委員長たる国務大臣に国務大臣政務官を置いて、内閣委員会以外のところでの政治家同士のやりとりにちゃんとかかわれるようにするというのが筋だろうというふうに思っておりますので、これまた法務委員会限りでできることではありませんが、問題提起をしっかりしておきたいというふうに思っております。
今は警察の立場からお答えをいただけませんでしたが、法務省にお尋ねをいたします。検察官は暇なんですか、余っているんですか。
○杉浦国務大臣
私どもの目から見ておりまして、暇だとは思いません。相当処理する件数は山積しておりますし、毎年増員要求をいたしております。このところ、治安対策が重要だということで、今年度も検察官四十三人の純増を認められたところでございます。
○枝野委員
そうなんだと思うんですよね。検察官の忙しさというのは、私も法曹の一員でありますから、同期などの仲間、先輩後輩、検事になっている人もいます。もちろん、お互い守秘義務のある仕事ですから細かい詳しいことまでは聞けませんが、相当忙しく仕事をしているなということは十分承知しているつもりでありますし、ですから、私も、与党時代はもちろんですけれども、一貫して、検察官、裁判官等含めてですけれども、増員をするべきであるということで、全体としての公務員の削減とはちょっと違うということを申し上げてきております。
だとすると、これは物事の組み立て方だと思いますけれども、今回のように検察官が主導をするという形にするよりも、検察官が裁判所に申し立てて、裁判所が指定をした弁護士が管財人的に処理をするということの方が、今の制度だと裁判所はほとんどコストゼロということになりますが、検察と裁判所と両方合わせたトータルのコストという意味ではずっと小さくて済むのではないのかな。そういう観点からの制度の組み立ては御検討をされなかったのでしょうか、お尋ねをいたします。
○杉浦国務大臣
今回の法案では、先生のような御意見を民主党が持っておられるということは承知しておったと思いますけれども、支給手続の主宰者を検察官とした、裁判官にしなかったというわけでございますが、それは、この制度は、犯人と被害者との間の民事上の権利義務を確定する、破産手続は権利義務を確定するのが一つの要素になっておるんですが、そういうものではなくて、没収等によって国庫に帰属した金銭等につきまして、これをその事件の被害者に支給する行政上の制度であるため、このような行政事務を裁判所に行わせることとするのは司法機関である裁判所の機能に照らして疑問がある、行政機関においてこれを実施するのが相当である、こう考えられたことが一つ。
それから、本制度は、刑事裁判において認定された犯罪行為と一連の犯行として行われたいわゆる余罪の被害者をも救済の対象とするものでございますので、捜査、公判を通じてその事案の全容を知り得る立場にある検察官を手続の実施主体とすることが制度として最も合理的であって、迅速な被害者の救済にも資するものと考えたことなどに基づくものでございます。
○枝野委員
前段の方の話はちょっとまた後でやりますが、僕は、先ほど来の話を伺って、午前中からの質疑を聞いております限りでは、これは通告しておりませんのでお答えになれなければいいんですけれども、被害者の存在とか、例えば今度の五菱会事件でいえば、実際に被害者を掘り起こしてその人たちに出てきてもらってなんということについて、一番よくわかっているのはむしろ検察というよりも警察ではないかという前提に午前中からの議論は成り立っていると思っておりまして、いずれにしても、検察であれ警察であれ、そこの御協力をいただかないと進められないのは間違いないわけであります。
なおかつ、具体的なことを言えば、恐らく、捜査して起訴、特に公判、検事がそのままやるということはあり得るのかなと思わないではないですが、捜査した検事がこの給付手続の担当検事になるなんということは余り想定できないんじゃないのかななんということを思いますと、必ずしも決定的な理由ではないんじゃないかと。
それで、前段の方をむしろお尋ねしたいと思うんですが、確かに、今回は刑事裁判で没収をされた財産について配当します、被害者に充てます、したがってそれは行政的な手続ですと。とりあえず、五菱会の事件が、後ろの切れている話もありますから、今回したことはやむを得ないということを最初に申し上げた上で、しかし、同じような案件であっても、そもそも起訴をして、有罪になって、没収されるかどうかということは、刑事政策的見地から起訴便宜主義で決められるんですよね。一定の要件を満たしていれば必ず起訴されて、そして一定の証拠がそろっていれば必ず有罪になって、没収されるというわけではなくて、それ以外の刑事政策的ないろいろな判断を踏まえて、起訴するか起訴しないか、つまり没収されるか没収されないかが決まるんですよね。
それから、刑事裁判において求められる証明度の高い低いということと、民事的に救済をすべきであるかすべきでないかということについての証明度の高い低い、これは決定的に違います。刑事裁判の方が厳格に立証しなければいけません。民事的に、この人は被害者であって、この人に加害者の持っている財産を移転すべきであるということについての証明度はかなり低くて済むということになっています。
そうしますと、結局、本来同じように被害者が救済されるべき案件であっても、たまたま刑事事件として有罪にするにはほんのちょっと証拠が足りないというケースでは、この手続には乗らない、あるいは、刑事裁判として有罪にして没収できるという要件がそろっていたとしても、起訴便宜主義に基づいて起訴しない、したがって没収されないからこの手続で被害救済されない、こういうことがあり得るという仕組みなわけですね。
これはちょっと、ある意味では足りないといいますか、少なくとも被害者のサイドから見れば合理性に欠ける、あるいはアンフェアであるという認識、受けとめをされないでしょうか。いかがですか。
○杉浦国務大臣
先ほどもちょっと申しましたけれども、今回の法整備は、犯罪被害者の加害者に対する債権、損害賠償請求債権、これは一般債権でございますが、その債権を一定の場合に国税を初めとする優先債権よりも優越する地位に据えまして犯罪被害者に配分しよう、救済に資そうという考え方でできておるわけでございます。ですから、どの範囲まで認めるかというのは非常に大きい問題だと思います。
今回の法整備は、先生に釈迦に説法で恐縮なんですが、刑事手続で没収した犯罪被害財産等を原資として被害回復給付金を支給するものでございますから、起訴猶予処分とされた場合、要するに裁判にならない場合には、その原資となるべき財産がないことになりますので、被害回復給付金を支給することはできない。アンフェアといえば、先生の御表現は、これはいたし方ない面があると思います。
御指摘になったお考えからすると、被害者の経済的救済を図るための制度をさらにもっときめ細かくやるべきだという御意見だと思いますが、また繰り返しになりますけれども、これは犯罪被害者の方々に対する経済的支援をどうするかという問題になると思いますので、先ほど来何回も答弁しておりますが、経済的支援に関する検討会、内閣府に設けられておりますけれども、そこで、御指摘のような点も踏まえまして、さまざまな角度から検討されるべきものというふうに思っております。
○枝野委員
大臣、わかっておられての御答弁かなと思うので、さらに突っ込んでいくのはちょっとなにかなと思いつつも、あえてきちっと申し上げておいた方がいいと思うんですが、犯罪被害者を救済する全体の仕組みという構造の中で考えていく必要性、当然だと思っています。
ただ、実は、午前中の今井法政大学教授のお話などでも、この犯罪被害者を救済するという話が、民事法と刑事法との仕分けの境目みたいな話のところなんですよね。午前中の今井先生は、刑事法の先生ということで、民事法とか租税法とかの絡みのところは余り深入りをせずに御説明をいただきました。
今回のこの法案も多分刑事局が担当されているんだろうと思うんですが、まさに刑事と民事の境目のところをどうするのかというのは非常に法律がわかっていないとやりにくい世界の話のところで、わかっていないところで変な組み立てをすると、結局、多分、非常に象徴的な意味では、民事局がだめだと言ったり、刑事局がおかしいと言ったりとか、そもそも民事と刑事の区別がついていないじゃないかという話になったりとか、そういう議論で非常に時間がかかっていくのではないかと思っているんです。
私どもは、被害救済、特に消費者被害の救済という観点から、消費者契約法の改正案に対して損害賠償請求の団体訴権まで認めるべきであるという法案を提出いたしまして、これは内閣委員会で審議をいたしました。三ッ林政務官には内閣委員会にお出ましをいただいて、そこでやりとりをさせていただきましたが、多分お答えにはなれないだろうと思いますが、内閣府の方で担当されている方、もしかすると法務省からの出向なのかもしれませんけれども、大臣を初めとして、全体としてその議論の中では、申しわけないけれども、基本となるべき法律的な知識とかシステムの御理解が十分ではないんじゃないかという中での法案がつくられていたり、あるいは質疑でのやりとりがあったというのは事実だと思っています。
もちろん、先ほど小宮山さんが言いましたとおり、一般の方にもわかるような議論もしなきゃならないという一方で、法律的にしっかりとした枠組みを組み立てませんと現場で矛盾が生じますので。
こういったことを考えると、大臣、もちろん内閣府で全体像を組み立てるということは大事でありますし、そのことを法務省の見地からプッシュしていただくことも大事ですけれども、特に犯罪被害者の被害を救済する、民刑事の境目というかすき間というか重なり合いというか、この部分のところは、法務省、つまり具体的には民事局と刑事局との間で協力をして、あるいは法制審の民事法の部会と刑事法の部会、あるいは両方の学者さんから人をピックアップしてなどという形で法務省が主導をしないと、結局、実効性のあるシステムというのを組み立てていくことは、少なくとも、行政的な部分だけだったらいいかもしれません。しかし、最終的には、刑事、民事の境目のところ、すき間のところで司法手続的なものを使って被害者を救済しようという一番最後のセーフティーネットといいますか、一番最後の踏みとどまりの徳俵の部分のところというのは、これはやはり司法制度に絡むところでやらざるを得ない。
そういう考え方からすると、もっと法務省が踏み込んでこの議論をリードする、あるいはこの議論の中の今申し上げたような部分についてはむしろ法務省が先行して、リードして行うということではないかと思っておるんですが、いかがでしょうか。
○杉浦国務大臣
内閣府の会議には法務省も参加しておりますし、第二回目に有識者の方も御参加いただいて議論されたと伺っております。これからもさまざまな角度から検討されると思うんです。
私は、犯罪被害者に対する救済というのは、いわゆる一般の民事司法手続ではない、行政というか政治が決断すべき手続だと思うんです。本来ならば犯罪加害者が払うべき損害賠償金を、結局、ある程度国ないし公が負担していくことになるんじゃないでしょうか。これは、すぐれて行政的といいますか、政治が被害者をどう救済するか、どこまでやるのがいいのか、またどのような手法でやるのがいいのかということでございますので、その中での整理は法務省としてはきっちりついていると思うんです。
その上で、しかし、国会が御制定くださった犯罪被害者等基本法に基づいて、政府が基本計画を閣議決定いたしました。この決定に基づいて政治がどう取り組むかということでございますので、これは、法務省が主導とおっしゃったんですが、基本的に余り法務省が出しゃばるべきことではないんじゃないか、ただ、後ろを向いてはいけない、前を向いて取り組まなきゃいけませんけれども、私はそういう感じで受け取っております。
○枝野委員
大臣、ちょっとそこは認識が違うんじゃないかと私は思います。
つまり、大臣がおっしゃられた、税金を使ってでも被害者を救済しなきゃならない。例えば通り魔に殺されてしまった方であるとか、例えば加害者の側に財産がないということなのでそこでは救われない、こういう犯罪被害者もたくさんいるわけで、こういう人たちに対してはまさに行政的観点から救済をする、これはちょっと法務省が出しゃばり過ぎない方がいい、それは全くおっしゃるとおりだと思います。
ただ、まさに今回の法案なんかもそうなんですけれども、犯罪被害を救済するといった場合には、加害者に財産がない場合も多いですけれども、しかし、加害者が犯罪収益を抱え込んでいる、こういうケースもたくさんあるわけですよね。この場合については、まさに税金を使って被害者を救済する前に、その加害者が持っている犯罪収益を吐き出させることこそがまず第一弾になされなきゃならない。これは、大臣もそこは共通して思っていただけると思うんです。
ここの部分の仕組みは、今回、大変ここは法務省は頑張られて第一歩をしるしていただきましたが、残念ながら、民刑事の本当に境目のところであるがゆえに、今まで私たちも含めて十分な検討、分析もできてこなかったこともあります。法務省だけの責任にするつもりは全くありません。しかし、ここはやはり欠けている、不足をしている。今回の第一歩として、この犯罪収益を吐き出させれば被害のかなりが救済できるということについて法務省が主導でしっかりやれば、犯罪収益を抱え込んでいない加害者による被害の救済というところに限られた予算を集中的に投資できるわけですから、全体としていいことになるじゃないですか。
ですから、やはりここは法務省が、もちろんメンバーに参加いただいたのもわかっていますけれども、かなり積極的にリードをしてこの部分だけでも進めていただきたいというふうに申し上げているんです。
○杉浦国務大臣
その点は今回の法律によって、先生にも高い御評価をいただいておりますが、犯罪収益を国が没収して、そして犯罪被害者に優先的に被害の回復に充てるという制度をもし法律を通していただければ確立できるわけでありまして、第一歩だと思います。それを運用しながら、さらに犯罪被害者のためにどういう手当てが必要か、先生のさまざまな御指摘、いろいろ御指摘ございますが、これを含めて、これから手直しするところは手直ししていったらいいんじゃないか。犯罪被害者への犯罪収益、犯罪被害財産の還付という意味では、画期的な制度を今お認めいただこうとしているんだというふうに私は理解しております。
○枝野委員
大臣、別にここでそんなに腰を引かなくても問題ないんじゃないでしょうか。我々も画期的だと思います。本当に、法務省がここまでこの短期間でやったということを高く評価します。せっかくなんですから、第一歩をようやくつくれます、だから次のステップについても、もちろん、では、やりますと言ったからまた半年とか一年で結論が出てくるかどうか、それは非常に難しいということはよくわかっています。我々も対案的なものを検討していく上で大変でしたし、あるいは別の視点から消費者契約法の改正ということで団体訴権をつくろう、これも大変だったのはよくわかっていますので、期限を切っていつまでにやれとかと言うつもりはありません。
しかし、大臣がやはり、これは第一歩で画期的だ、この画期的なものをさらに充実したものにするために法務省の皆さんに頑張ってもらいたい、これぐらいの御答弁をいただいてもいいんじゃないでしょうか。
○杉浦国務大臣
その点は、おっしゃるとおり、法務省の民事、刑事双方、皆さんとも、基本計画に基づいて、国として、特に法務省として、何ができる、何をなさなきゃいけないかという点については真剣に考えていると思います。先生の御指摘の点も含めて、これから前向きに取り組んでまいると確信しております。
○枝野委員
大臣も御理解いただいたと思うんですが、この話は本当に大臣が主導でないと進みません。なぜかといったら、やはり民事局の人は民事的な視点で物を見ます、刑事局の人は刑事的な視点で物を見ます。いい悪いじゃなくて、それが役割だと思いますから、そうでないと困ると思います。
ですから、そのすき間というか、その部分のところの話というのは、言えるとすれば、次官か大臣か、つまりここにいらっしゃる三人か法務次官か、それぐらいの人しか主導できないわけですので、ここはそういう意識を持って頑張っていただきたいというふうに思っています。
もう一点だけ。先ほど来、これも話に出た没収保全と滞納処分の先後関係なんですね。今の法律だと、没収が滞納処分に先行すれば没収が可能だ、被害救済に充てられる。しかし、滞納処分が没収保全に先行すれば、滞納処分が優先して被害救済はなされない。これはこういうことでよろしいですね。
○河野副大臣
おっしゃるとおりです。
○枝野委員
滞納処分の主体、没収処分の主体、これはどちらも、あえて憲法的に正確に言いますと、内閣なんですよね。国民から見たら、一般的な言い方で言えば、どちらも政府なんですよ。それが法務省だとか検察庁だとか国税庁だとかと分かれているのは、あくまでも内閣の側の都合で内部部局が分かれているにすぎないんですよね。国民から見れば、行政権を委託している相手は内閣であって、別の言い方で、一般的な言い方であれば政府であって、そのしょせん内部的な、何とか課が先にやったから、こっちの課が後だったからという話に国民の立場からすればすぎないんですよ。その内部の事情で被害者の救済に差が出るというのは、これはやはりおかしいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○河野副大臣
国税の滞納の問題とだけであれば、そういう議論が成り立つかもしれませんが、民事の強制執行というもう一つ別な手続がございます。その手続の場合には、国税の取り分を取った残りを一般の債権者で分けるわけで、その手続もだめだとすると、民事の債権関係が混乱をする。では、国税は全部そこだけだめにしようとすると、今度は逆に一般の債権者が犯罪被害者と優先をする、あるいは一般の債権者にも国税よりも優先的な権利を認めるようなことになるわけです。
検討課題の一つかもしれませんが、当面は現在のやり方でやらざるを得ないと思います。
○枝野委員
御指摘のことはよくわかります。簡単じゃないということもよくわかります。それこそ財務省と話をつけないと、法務省限りで、これでいきますというわけにいかない話でしょう。それはよくわかります。わかりますけれども、今の話も、いろいろな応用のやり方はあると思います、制度の組み立て方としては。
つまり、国税滞納処分で押さえている、それに基づいてなどで強制執行がスタートしたときには、本来国税が取れる分相当については、そもそも国税が押さえていようが、それとも検察、警察が押さえていようが、どっちも政府が押さえていたことには変わりないんだから、この手続に乗せる、その部分については。こういう説明の仕方はあり得ると思う。
今のがベストだと必ずしも申し上げるわけではない。だけれども、少なくとも被害者の立場から見たときには、今のようないろいろな悩ましい問題があることはおいておいて、それはおいておかざるを得ないというのは、今回、評価をしているわけですから私も理解していますが、しかし、消費者の立場から見たら、同じ政府じゃないの、何やっているの、おかしいじゃないというふうに受け取られるということについての認識は十分持っていただきたいんですけれども、それはよろしいでしょうか。
○河野副大臣
御指摘いただいたような問題といいますか、イシュー、論点というのがあるということは認識をしております。
○枝野委員
これも、副大臣か大臣か、お答えいただきたい。通告でそこまで踏み込んでいませんから、考え方というか理解をいただければと思います。
実は、先ほど来これはずっと出ていますが、いろいろな被害に遭って損害賠償請求権を持っている、だけれども、そういう場合には、国税の方が大体先に押さえちゃって、国税に持っていかれちゃうせいで被害者が救済されませんねというのは、徐々に部分的に改善されてきているところがあるのは知っていますが、しかし、まだまだたくさん残っているわけであります。
理屈はいろいろ立てようがあります。理屈はいろいろ立てようがありますけれども、しかし、それは何なんだろうなという国民の素朴な感情というのも、これは大事にしなきゃいけないと思うし、やはり少なくとも税金で持っていって、その集めた税金で被害者を別途救済しますとかということを考えたら、それはやはりまずは損害賠償請求権などというのは少し優先して考えてもいいのではないだろうか。
もちろん、一般債権との関係とか、単純な話ではないのはよくわかっていますが、しかし、これまた全体としての強制執行や破産手続という法務省が主導せざるを得ない部分の話でありますので、これはやはり問題意識を持って、強制執行における債権の優劣関係、全体像のところで、特に税と他の損害賠償請求債権との関係ということについては、かなり問題意識を持って法務省に頑張っていただかなければいけないと思いますので、ぜひお願いをします。
御回答があればいただきますが、どうしますか。
○河野副大臣
この論点については、引き続き検討してまいりたいと思います。
○枝野委員
自民党の総裁になられたら全体を動かせますので、頑張っていただければと思います。
いわゆる大野病院問題について、お尋ねをさせていただきたいと思います。
前回、いろいろな問題提起をさせていただきました。この問題は、本当に人が亡くなられている、しかも、お子さんを産むときにお母さんが亡くなられているということで、亡くなられた方、あるいは御家族の方のお気持ちというのはいかばかりかというふうにお見舞いとお悔やみを申し上げます。
それから、個別の刑事事件そのものについて、いい悪いということを立法府が云々することは適切でないというふうに思っていますが、しかし、現実にこの事件を契機として、日本の産科医療、あるいは、最近私がいろいろなところで聞くところによると、産科医療だけではなくてリスクの高い医療全体に非常に消極的になってきているという声を非常に多く聞きます。
例えば、電車の中とかあるいは飛行機の中などで、よく、急病人が出たのでお医者さんはいらっしゃいませんかと。前ならばそういうときに名乗っていたんだけれども、そこで何かあったときに刑事責任を問われるんじゃ、ここは黙っていた方がいいかなと思わざるを得ないんだなんというお医者さんの声というものが表に出てきている。
もともとそういう思い、お医者さんも、聖人君子ではありません、人間ですから、そういった思いがあったりしても、外に向かって言わなかった。でも、そういったことを言わざるを得ないお医者さんが出てきているというような状況で、かなり日本の産科医療あるいはリスクの高い医療全体に対する大きな影響がある。
これに対しては何らかの、少なくとも調査検討は必要ではないかということを申し上げたつもりでおりますが、その後、きょうまでに法務省として何らかの調査であるとか検討であるとかをされたんでしょうか。
○三ッ林大臣政務官
お答えいたします。
医療事故における死因究明等のあり方につきましては、以前からさまざまなところで議論が行われていたと承知しております。そして、本件の起訴後におきましても、超党派でつくられております医療事故防止議員連盟の会議に担当者が出席しましたり、厚生労働省等の関係省庁と意見交換を行っているところであります。
ちなみに、医療事故防止議員連盟、私も関係しておりますが、今回の大野病院の事件が起きる以前より、第三者的な医療事故調査委員会のようなものの設立が必要ではないかということで、ずっと議論を重ねている議連であります。
○枝野委員
その議連がいろいろ頑張っておられるということについては理解をしているつもりでおりますが、現に、ここ数年と言っていいんでしょうか、飛行機や電車の中でお医者さんはいらっしゃいますかという呼びかけに対してという話も、数年前に、そこで呼びかけに応じて治療に当たったんだけれども責任を問われたなどというケースがあった。やはりそこでいろいろとみんな腰を引かざるを得なくなっているということを聞いております。
現場の医療は待ってくれませんし、例えば、数字のとり方のようですが、一部の報道では、産科を目指している人がむしろ少し戻ったという報道もありますけれども、現場で聞く限りでは、この事件も含めて、さらに産科を目指す若いお医者さんが減っている、あるいは産科をやめて別の科に行くお医者さんが急速にふえているなどという実態があって、現に、出産は待ってくれません、まして少子化の時代に、出産がしにくい、できにくいということは待ってくれませんので、この状態のまま一年、二年、三年で、いい制度ができましたでいいとは私は必ずしも思わない。
そういう意味では、やはり法務省として、この事件の処理、扱いをどうするのか。そして、こうした事件について、もちろん今回のことが本当に医師として刑事責任を問われるに値するようなミスであったのならそうであるべきだし、だけれども、どうも多くの医師が、そうではない、こんなミスで刑事責任まで問われたらとてもリスクの高い医療はできないとかなり広範な医師が言っているという現実があるわけですから、そこに対して早急にメッセージを発信しないといけないと私は思うんです。
つまり、これは刑事裁判ですから、刑事裁判として、これは近日中にも公判前の整理手続が始まると聞いておりますが、それはそこで、形式的にと言うとなんですが、業務上過失致死罪に当たるのか当たらないのかということはあるでしょう。しかし、同時に、これだけ社会的に大きな影響を与えている以上は、これは多くの医師が誤解なんだ、皆さんが普通の技量を持って普通に治療に当たっていれば刑事責任を問われるようなことはないんだということであるならば、そのことのメッセージをきちっと発信する責任が法務省にある。
そうでないならば、この事件の起訴自体を見直すことの権限も唯一法務大臣に与えられている。少なくとも、どちらの事案であったのかということについて調査をして、分析をして、そして結論を下す責任は法務省にある、法務大臣にあると思うんです。
そういった調査というか検討はされていないんでしょうか。
○杉浦国務大臣
御指摘の事件については、現在、福島地方裁判所に公判係属中でございます。同地方裁判所において適切に審理されるものと考えております。
○枝野委員
法務大臣、何で法務大臣には指揮権があるんですか。
○杉浦国務大臣
指揮権はございますが、私は個別的事件について指揮権を行使する考えは今のところ持っておりません。
○枝野委員
制度があるということと、大臣がそれを行使するかどうか、御自身の、大臣の信念に基づいてどうするかという話は別です。
制度として、なぜ個別的事件についても発動できる指揮権という制度があるんですか。
○杉浦国務大臣
検察庁は、法務大臣の指揮命令、監督のもとにございます。
○枝野委員
現に、過去に一回だけ、法務大臣の指揮権は発動されているんですね、個別案件において。その事件で指揮権を発動したことが適切であったかどうか、これは歴史的にもいろいろな評価があるんでしょう。
しかし、私は、少なくとも今回のようなケース、先ほど来申し上げているとおり、この事件が単純な刑事裁判として有罪に当たるだけの立証、つまり違法性や構成要件該当性や有責性があるのかどうか、これはまさに司法の問題ですから立法府が介入すべきではないし、私はそれがどういう結論であるのかということについては判断する材料を持っていませんから、現場の検事が逮捕して起訴したことについて、それはいろいろな評価があり、最終的には裁判所が判断することだと思います。
しかし、この逮捕と起訴がまさに社会的に大きな影響を与えているんです。日本の産科医療あるいはリスクの高い医療に対して、多くの医師が、こんなんじゃやってられないという声を現実に上げているんですよ。現実に、そのことによって産科をやめたという声もたくさん上がっているんですよ。
そういうときに、先ほど来申し上げているとおり、いや、だから起訴を取り下げろと言うつもりはありません。だったら、少なくとも検察を指揮監督する立場にある法務省として、いや、医師の皆さん、これは皆さんの誤解ですということについて行政的、政治的なメッセージを発信するか、あるいは、調べてみたら、これは多分有罪案件かもしれないけれども、いろいろな事情を考えたら起訴猶予にすべき案件であったということにするのか、そのことが唯一できるのが法務大臣なんですよ。
我々のところに、ここで捜査資料を出してきて、本当にこれが逮捕、起訴に値する案件だったかどうか、そんなことを我々に調べさせろだなんて言っても無駄だし、言うべきでもないと思います。あるいは、我々自身だって、その医学的見地を含めてやらないと、本当にこれが逮捕、起訴に値する案件だったのかどうかという判断はできません。唯一できるのが法務省なんですよ。その観点をしっかり持っていただきたい。
でなければ、ずるずるずるずる、結局、もう裁判所に投げちゃったから、後は裁判所の結論です、有罪になれば、検察は悪くありませんでした、それでおしまいです。そういう事案なんでしょうか。僕は、そうではないから問題なのではないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがですか。
○杉浦国務大臣
私は、この件について、個別的指揮権を行使する考えはございません。
○枝野委員
では、法務大臣は、このことによって日本の産科医療あるいはリスクの高い医療について出る影響に対して、どういう責任をとられるんですか。
○杉浦国務大臣
本件については福島地方裁判所で係属中で、その裁判の過程で法と証拠に基づいた適切な判断がなされるものと思っております。
政治と申しますか、行政の問題としては、主管は厚生労働省でありまして、例えば、一般的な第三者による検討委員会を設けるとか、そういう医療行政については厚生労働省の所管に属しておりますので、私の方からその点についてコメントを申し上げるのは不適切だと思います。
○枝野委員
大臣、申しわけないけれども、日本の内閣制度のことについても間違っているし、大臣としての職責についての認識も、それは間違っているというふうに私は思います。
私は、前回の質問以来繰り返し、場合によっては指揮権発動も含めてと申し上げておりますが、指揮権を発動しろと言っているんじゃないんです。だけれども、最終的にその権限を持っているのは法務大臣だけなんです。そしてなおかつ、検察の持っている、警察の持っている捜査資料を見ることができる、そのことが適切であるのも法務大臣だけなんです。国会議員に見せろと言ったって、見せるべきでない。あるいは厚生労働大臣が見せろと言ったって、見せるべきではない。そうじゃありませんか。それはそうでしょう、大臣。
法務大臣だけが、これは確かに司法だけで考えれば有罪になるかもしれないけれども、しかし、多くの医師の皆さんが言っているのが本当だ、あるいは、多くの医師の皆さんが言っているのが間違っているんだ、そのことを、つまり、検察官は法と証拠だけに基づいてやってもらわなきゃいけないんですよ。法と証拠に基づいて起訴をした検察の判断に加えて、日本の医療システム全体、あの医師に責任があるのかないのかわかりませんよ、あるのかないのかわからないけれども、少なくともそのことで日本の医療に対して大きなリスクが生じている、そのことについて、権限を持っておられるのは大臣だけなんですから、今のような形式的な御答弁では、私は法務大臣としての責任を果たしていないと言わざるを得ないと思っています。
本件について警察庁にもお尋ねをします。
福島県警は本件捜査に当たった警察官を表彰したという報道がなされていますが、事実でしょうか。
○縄田政府参考人
本年五月に、捜査に当たった警察官六名について表彰したというふうに報告を受けております。
○枝野委員
本件がこうした形で、これは私だけじゃなくて党派を超えて、政治の世界でもいろいろなところで問題になっていますし、それから、一部の医師が問題にしているんじゃなくて、かなりまとまった形のいろいろな声が上がっている、社会問題化をしている事件です。それから、純粋に司法の問題だけ考えても、これは刑事裁判として争われている案件であって、有罪であるかどうかというのは最高裁まで行ってみなきゃわからない案件で、もし表彰をするんだとしても、せめて刑事裁判の結論が出てから、一般的に言えば、この社会的な問題の影響との兼ね合いを見てやるべきじゃないか。
念のために申し上げますと、争っている事件だから表彰しちゃいけないと言うつもりはありませんよ。粗暴犯的なもので、その犯人逮捕に当たって危険を顧みず頑張りましたというような話であれば、裁判で起訴案件について争っているということがあっても、これは当然表彰してその努力に報いなきゃならないというふうに思いますが、どうもこの案件は違うんじゃないのかなと思うんですけれども、実際に、今回の表彰の報道を受けて、何だ、何を考えているんだという声がかなり聞こえてきているんですけれども、そういったことを考慮しなくていいんでしょうか。
○縄田政府参考人
今回の事件の捜査処理等につきましてさまざまな意見があることは十分承知をいたしております。これは私どもの考えと異なるところもあるかもしれません。
それは別といたしまして、表彰の問題でございますけれども、警察におきましては、事件捜査を遂げまして検察庁に送致する、その後、公判請求といいますか起訴されるということで、警察における一通りの捜査の過程は終了するわけでございます。その時点をとらえまして、捜査で非常に苦労をした者等につきまして、功労を総合的に判断して表彰するということを通常行ってございます。
何年かたちますと所属も変わりますし、やはり表彰の効果があるといいますか、士気高揚にかかわる場面でやることが必要だという判断で福島におきましては表彰したというふうに聞いております。
○枝野委員
一般的には、もちろん早く表彰してさしあげた方がいろいろな意味でいいとは思うんですけれども、私が先ほど来申し上げてきたようなことについての考慮が要らないのかどうかということをお尋ねしているわけであります。
さらに申し上げると、実は、前回の質問のときに法務省にかなり、業務上過失致死の過失に当たるのかどうかというのが本件においては唯一と言っていい争点、論点だろうと思います。したがって、法律問題であるので、この事件の捜査は検察が主導したんだという先入観を持っておりました。ですから、本件逮捕をした警察官がどうこうという話ではなくて、検察庁として、非常に高度な知識を要する医療過誤について、どこからは過失でどこまでは、結果は残念だったけれども、刑事責任が問えるような過失ではないという見きわめをするのか、相当高度な一般的知識と、さらに言うと個別案件におけるそれを分析する能力というものが問われるんだと思っていましたので、そういうことについてどういうことを日ごろからちゃんとやっているんですかということを前回の質疑では実は法務省にお尋ねをしたんです。
表彰されるような、もちろんこれは大変エネルギーを使って、そして裁判所が逮捕状を出し、なおかつ検察庁が起訴をした案件ですから、そのこと自体、現場の警察官の方の御努力は多としたいと思いますが、むしろ、これは警察の方が主導した、つまり、過失の判断基準などについての基本的な検討判断、あるいはその過失の判断基準に基づいてどういう証拠関係が必要なのかということについての主導は警察がしたという理解を、この表彰という事実から見ていいんでしょうか。
○縄田政府参考人
今回の事件につきましては、福島県警察において、昨年三月に事件を認知いたしました。検察庁とも緊密に連携を図りつつ、所要の捜査を慎重に推進した結果、今回の逮捕、送致ということになったものでございます。
検察庁とは、当然、送致する前に、いろいろな情報交換、あるいは捜査の状況等について、突然の送致というわけにもまいりませんので、十分打ち合わせをするというのが通常の実務であろうと思っております。
○枝野委員
もちろん、そういうことがあっていいんです。すべての知能犯的な部分のところを検察だけでできるわけではない。警察も知能犯的なところにいろいろやる。特に、業務上過失などということについて、いろいろな案件があり得ますから、警察がやっていただくのはいいんです。
ということは、前回、法務省に聞いたお尋ねをしたい。
つまり、医療過誤の本当にぎりぎりのこの事案、人が亡くなっている、御家族からすれば刑務所にほうり込んでほしいと思うのは当然だろうと思います。しかし、医療の現場というのは、ベストを尽くしても患者さんが亡くなるということは、むしろそれがたくさんあるわけですから、患者さんが亡くなられたからといって医師を逮捕していたら、日本じゅうから医師がいなくなっちゃう、少なくともリスクの高い医師をやる人はいなくなっちゃうわけです。
当然のことながら、その過失の判断基準、あるいはそのためにどういう材料が必要なのかということについての相当な知識、能力が必要であるし、この手の案件がそんなめったやたらに、一つの県で一年に何十件もあってノウハウが蓄積されているということもないでしょう。したがって、全国的にそういった材料を集約するということを当然しているんだろうと思うんですが、警察としてはどういうことをやっているんでしょうか。
○縄田政府参考人
今回の事件もそうでございますけれども、こういった医療過誤の事案というのは、一件一件全部事情が違います、案件も違います。
通常、警察官といたしましては、その過失の認定というところが委員御案内のとおり一番重要なポイントであろうかと思いますが、鑑定嘱託ということで、専門家の大学の教授等に意見を求めるといいますか、材料を提供して意見を求めるということを十分行います。さらに、鑑定書はいただかないにしても、専門家の方々からかなり広範な範囲から意見を聞くということになります。それからもう一つは、周辺の関係者でございます。こういったことで事実関係を詰めていくということになろうかと思います。
こういったことを総合的に判断しながら、今回の場合は、臨床医療の水準がどうであったのか、一般医師の知識あるいは技術がどうであったのか、ここら辺のところが大きな分かれ目になろうかと思いますけれども、そういったものも十分掌握の上で過失の有無等について判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
医療過誤の事件につきましては、警察庁の方にできる限り報告を求めるようにしてございます。そういった意味においては、係の方で、ノウハウといいますか、いろいろなケースについては集約をするように努め、また一線から問い合わせ等がありましたら指導していく、こういう体制になってございます。
○枝野委員
前回、これは河野副大臣がおっしゃっていただいたんですかね、それから、先ほどの三ッ林政務官のお話でもそういうことだと思うんですが、医療過誤であるとか、私はきょうは聞きませんが、例えば航空機事故であるとか、非常に高度な専門性を有し、なおかつ、その行為自体がもともと高いリスクを持っているというようなことで生じた事故、これが業務上過失として刑事手続においてその真相を究明し、再発防止をし、そして処罰をするということが常に正しいのかというと、やはりそうではないんだろうと思うんですね。
何といっても、一番大事なことは再発防止であろう。再発防止のためには、例えば、場合によっては刑事免責をすることですべての証拠、供述をきちっと集める、そのことによって、なぜそうした事象が起きたのかという原因が究明でき、その結果として、事故の再発を防ぐことができるという側面も一方ではある。
だからといって、医師の一部は、国によっては医師の過失というのは刑事責任を問わない国もあるんだなんということを言っていらっしゃる方もありますが、それはそれで私は違うと思う。
リスクというか、違うことをやれば助けられるのにというかなり強い認識を持っていた、私は薬害エイズ事件での医師の責任というのはむしろ追及をする側でありましたし、それから、おなかの中にガーゼとかはさみとかを残してきちゃうとか、与えるべき薬と違う薬を間違えて劇薬を投与してしまったとか、素人でもわかるような、さすがに医師がそういうことをやってもらっちゃ困るよねという話のようなところも一方にあるわけですから、それはそれできちっと刑事責任を問わないといけない部分もたくさんある。
この仕分けはしっかりとやらなきゃいけないし、この仕分けをしっかりやるというまず制度論を本当に急いでいただかないといけないし、これをやるべき主体は、厚生労働省ではなくて、やはり法務省だと私は思うんですよ。
そういう仕分けをしっかりしたからといって、実際、航空機事故については聞いています。つまり、航空事故調査委員会は、免責を前提に、すべての事実関係を全部出してくれ、それで事故防止を図りたいんだと。ところが、警察は犯罪捜査として業務上過失致死等で入ってくるので、そこでのせめぎ合いになって、当事者としてはどうしていいのかわからなくなるなどということも聞いています。これはまさに、犯罪捜査はどこの部分をやるんだということの限定というか仕分けのところと絡む話だと思うので、厚生労働省にやらせておけばいいという話ではないと思います。
それから、法務大臣に、最後にもう一度だけ申し上げておきたい。
私は、今、すべての人が不幸な状態だと思います。当然、逮捕された医師、これは有罪であるのかどうかで結論的にはどうなるのか変わってきますが、例えば捜査に当たられた皆さん、起訴をされた検事、これは一部の人たちからだと思いますけれども、いわゆるネット上などでは、これを主導した次席検事は診療拒否しろみたいな話まで一部では言っている人たちが出てきたりしていて、だけれども、この人たちも、職務に忠実に頑張って、法と証拠に基づいて、これは業務上過失に当たるんだと思われたから起訴されたんでしょう。
多くの現場の医師の皆さんも、本当は命を助けるために、リスクの高い医療ほど一生懸命頑張ってやりたいと思っているんだけれども、でも、そんなことで、ちょっと避けられないようなミスでも起訴されちゃうんじゃ腰を引かざるを得ないということで、非常にある意味で不幸な状況にある。当然、そのことによって医師が減っているという状況の国民全体も不幸な状況にある。今、すべての人たちが不幸な状況にあるんですよ。繰り返しますが、あえて言えば、検事さんや警察官も今、不幸な状況にある。
唯一この状態をほどけるのは、先ほど来申し上げていますが、法務大臣が、どちらかなんですよ。しっかりと調べて、医師の皆さんに向かって、皆さんの心配は杞憂であると堂々と説明できるような調査をして説明をするのか、それとも、そうではないという判断をしてしかるべき対応をするのか。それが唯一できるのは法務大臣なんだ。
その責任感を持ってこの問題に対処していただかないと、一件の刑事事件の話、こんなことを取り上げないんです。それは、しっかりとした、しかるべき弁護士がついて、間違っていたとしても、それは裁判所で是正をしてもらう、それが司法制度だと思うんです。
だけれども、この問題は違う。大きな影響を与えている、その責任感を持って、法務大臣にしかるべき調査をまずしていただきたい。事実関係を、刑事司法という観点とは別の視点でしっかりと調査をしていただきたい。
重ねてお願いをして、質問を終わります。以上です。
<他の議員の発言部分省略>