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 議事録


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衆議院-内閣委員会


平成18年04月28日

[消費者契約法の一部を改正する法律案についての質疑答弁]


<民主党案への質疑に対する答弁>

○川内委員

 おはようございます。民主党の川内博史でございます。

 最初に、民主党案に対して、民主党提案者にお伺いをさせていただきます。

 民主党案では、差しとめ請求の対象となります事業者等の行為について、民法九十条に規定される公序良俗違反の条項を含む消費者契約の意思表示や、あるいは詐欺的行為に該当する勧誘行為、さらには不当な契約条項を含む消費者契約の意思表示を行うことを推奨、提案する行為も含むなど、政府案よりも広く差しとめ請求の対象がとらえられているわけでございます。

 民主党案では、政府案よりも対象となる行為を広くとらえることによって、具体的に、どのような行為が政府案と異なり差しとめ請求の対象となってくるのか。例えばクレジット、サラ金などの消費者金融問題などは民主党案によって対応することができるのかという具体的なことまで含めて、御答弁をいただきたいと存じます。

○枝野議員

 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、民主党案の方が、消費者契約法に列挙されている規定以外に、人を欺罔し強迫する行為等についても取り消しの対象になっております。

 この件について、どこがどう変わってくるかといいますと、消費者契約法の列挙事項では、重要事項に関しということで、事実と違うことを話したという範囲が限定をされています。

 しかし、消費者被害でよく見られる例ですと、例えば、電話を販売するのに、今あなたの使っている電話は使えなくなりますよとか、あるいは、これはリフォーム詐欺的なところであるんでしょうか、あなたの家はシロアリにむしばまれているので早く駆除しないといけませんよ、これが契約の重要事項に当たるのかというと、契約の前提事項に当たります。

 こうしたケースについては、消費者契約法本体ではなかなか直接救いがたいんですけれども、しかし、民法そのものの詐欺等の場合においては適用される、もちろんこうした事案というのはケース・バイ・ケースでありますが、当たり得る場合があるということになっていくかと思います。

 あるいは、公序良俗に反するものの中で典型的なものが消費者契約法第十条で列挙されているのかというふうに思いますけれども、これも今と同じようなケースで、実際の契約諸条項以外のところで全体で判断をしてとか、いろいろなケースがあり得ますので、そういった意味では、消費者契約法列挙事項ではこぼれているケースを救い得る。しかも、こぼれているケースの方が一般的には悪質なケースが多いのではないかと思われますので、念のためにそこは備えておいた方がいいというふうに思っております。

 もう一つ、我々の方が広い推奨行為、これは先ほど泉委員が質問の方でされておりましたけれども、ここは、事業者団体等が不当な契約書、約款モデルみたいなものを配っているというようなケースを、時には、むしろ個々の事業者を相手に訴訟を起こすよりも、事業団体そのものを相手にする方が、実態としても、それは事業者側にとっても、合理的ではないかというふうに思っております。

 川内委員が御関心をお持ちのクレジット、サラ金でございますが、クレジット、サラ金がそもそも消費者契約に当たるのかどうかという点については、借りる目的が事業のためでないこと、つまり、まさに個人のため、個人の消費のための借り入れであれば該当し得るというふうに考えております。

 もちろん、あとは個々の条項に当てはまるかというふうなことになりますけれども、これは消費者契約法列挙事項に該当するようなケースでということもあり得ますが、特に、いわゆるサラ金問題等において、不当な勧誘というような場合は、典型的に消費者契約法に列挙されている重要事項についての事実と異なること以外のケースがあり得る、一番想定しやすいケースであるかなというふうに思っておりますので、そこをきちっととらえるためには民主党案のような形でやらせていただいた方がいいのではないか、こんなふうに思っております。

<他の議員の発言部分省略>





<政府案への質疑>

○枝野委員

 きょうは、十二条と三十六条を質問させていただくということで通告をさせていただいています。どちらからやろうかなと思ったんですが、簡単な方から、三十六条の方から。

 実は、これは我が党の法案にも同じような規定があるんですが、我が党の法案を含めて、自分で出しておいてなんですが、ちょっとわけのわからない条文になっているなという気がいたしますので認識を教えていただきたいんですが、まず三十六条、「適格消費者団体は、これを政党又は政治的目的のために利用してはならない。」と書いてある「これ」というのは何を指すんでありましょうか。

○山口副大臣

 お答えをいたします。

 「これ」とは、まさに適格消費者団体のことであります。

○枝野委員

 もう一つ、「利用してはならない。」という、利用するというのはどういう意味を指しているのか、お願いいたします。

○山口副大臣

 利用するとは、適格団体の活動として、政治色を強め、業務の公平性、信頼性を損なうような行為をするということでありまして、この規定ぶりは、いわゆる政治的利用の禁止の用例に、先生も御存じだと思いますが、国家公務員法ですとか民生委員法ですとか行政相談委員法ですとか人権擁護委員法等にも書かれている「政党又は政治的目的」という、これに倣ったものでございます。

○枝野委員

 これは先ほどの泉委員の質問などのお答えでもあるんですが、しっかり確認をしておきたいので改めて御答弁いただきたいと思いますが、この規定があっても適格消費者団体は、いわゆる政治活動、政治的意思の表明、あるいはみずからの適格消費者団体としての判断に基づき政治的目的を達成するためのさまざまな行動、これは全く規制をされない、こういう理解でいいですね。

○山口副大臣

 政治活動、それはいろいろパターンがあると思うんですが、くどいようでありますが、適格団体は、政治色を強め、業務の公平、信頼性を損なうことがあってはならないというのがこれは趣旨でございます。

 そして、例えば消費者政策に関する提言や意見表明を行うことについては、その提言や意見表明を超えて特定の政党や候補者の支援と同視できるような場合には、三十六条に言う「政治的目的のために利用してはならない。」に該当すると考えておりますけれども、しかし他方、純粋な消費者政策に関する一般的な提言や意見表明まで制限されるものではないと考えております。

○枝野委員

 民主党案では、これを「特定の政党のために利用してはならない。」としました。今の御答弁や泉委員とのやりとりを聞いておりますと、特定の政党の党勢拡大であるとか、あるいは特定の候補者の当選のためであるとか、こういうことのために適格消費者団体が利用されてはならない、こういう趣旨というふうに理解をしたんですが、これでよろしいんでしょうか。

○山口副大臣

 そう考えてもらって結構でございます。

○枝野委員

 その上で、そういう意味では、私どもの案も、実は、特定の政党だけではなくて、きちっと、特定の政党または公職の候補者またはこれになろうとする者のためにと書くべきであったかなというふうに思います、我が党案を可決していただけるなら修正をしたいと思いますけれども。

 逆に言うと、今明確な御答弁をいただきましたので、今回はこれでしようがないかなと思いますが、初めてこの条文を読む一般の方の立場を考えれば、今のようなことを条文上はもうちょっと明確にした方が間違いはないのではないか。

 それから、これももう一つ、我が党案もこうなっているんですが、適格消費者団体は適格消費者団体を○○のために利用してはならないというのは、日本語として明らかに変だなと。自分たちで提出しておいてなんなのですが、恐らくこれは、何人も適格消費者団体を特定の政党または公職の候補者等のために利用してはならないということではないのかなというふうに実は議論のやりとりを聞きながら考えております。

 これは通告の範囲の中でもありませんので、今すぐどうこうということはいただかなくてもいいんですが、内閣法制局のレベルの仕事だと思うんですけれども、ちょっとこのあたりのところは整理をした方がいいんではないかと思いますので、検討するとは今の段階で答えられないでしょうが、そういう意見があったということを伝えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山口副大臣

 今後、この法案成立後も、委員の意見等も踏まえながら、しっかりと前向きに検討したいと思います。

○枝野委員

 もう一つ、実はこの絡みで、これは御答弁結構です、私にしては珍しく委員会で演説をしたいと思うんですが、こういう規定があるのは、適格消費者団体の役割というのが、公益的見地に基づいて、おかしな取引等について差しとめ請求をする、したがってどこかに偏っていてはいけない、これは趣旨は非常によくわかります。

 それで、今度、行革一括法の中で法律制度が改められますが、日本には公益法人という仕組みが従来までありました。当面、施行されるまで公益法人という制度は残ります。

 実は、この公益法人というのは、法人のあり方自体が公の目的、公益のためにあるから公益法人と呼ばれるわけであります。この公益法人というのは、適格消費者団体と同じように、特定の政党や特定の候補者のために利用してはならないという、少なくとも、法律上規定があるかどうかは別として、趣旨は全く同じだと思うんですね、大臣もうなずいていただいているんですけれども。

 だけれども、私は、個人的には非常に、時々違和感を持つことがあります。というのは、例えば日本経団連というのは公益法人なんですよ。ところが、公益法人のトップが、何か特定の政党に対して、しかもその公益法人の代表者として行っている記者会見等で物をおっしゃっているというのは、本法三十六条のような規定が置かれる、そのことは筋であるということとの裏返しでいえば、明らかにおかしいんじゃないか。特定の政党をその団体の長として記者会見などで応援するということであるならば、公益法人を返上して中間法人になるべきであるというふうに思っております。

 どこかで言っておきたかったので、議事録に残しておきたいというふうに思っております。

 それでは、十二条に入りたいというふうに思っております。

 十二条で、政府案による差しとめ請求可能な範囲、これについては、四条の規定のところと、それから八条から十条のところに限定をされております。

 まず、四条の一項一号についてお尋ねをいたします。

 ここでは、意思表示の取り消しの対象、つまり、差しとめ請求が可能な範囲というものは、重要事項について事実と異なることを告げたこと、そのことによって告げられた内容が事実であると誤認をしたことでありますが、このことと、民法に規定されている詐欺行為との違いはどういうことになるんでしょうか。法務大臣政務官にも来ていただいておりますが、どちらからでも結構です。

○猪口国務大臣

 枝野先生にお答え申し上げます。

 不実告知のところでございます。

 消費者契約法第四条第一項第一号につきまして、事業者が重要事項について事実と異なることを告げるという要件を満たす場合には、消費者による契約の取り消しの主張が認められ、要件が類型化されて、具体的、明確に規定されています。この要件に該当するか否かの判断それから予測は、これは容易であるというところでございます。

 これに対しまして、民法の詐欺、九十六条一項でございますけれども、これにつきましては、事業者の欺罔行為が要件とされていますが、どのような行為が欺罔行為に該当するかは、契約の種類、個々の事案ごとに多種多様であり、しかも、欺罔行為に該当する行為が、当該事案の事実関係に照らして、社会通念上違法と評価された場合に初めて消費者による契約の取り消しの主張が認められる、このような形になっております。

 ですから、民法の詐欺は、規定が抽象的であり、一般的であると考えられています。消費者契約法のように具体的、明確に類型化されてはいないために、どのような行為が民法の詐欺に該当するのかの判断、予測は複雑であり困難である、こういう違いがあると思います。

 さらに、違いといたしまして、消費者契約法の四条一項一号につきましては、まず故意が要件とされていない、それから、相手方を錯誤に陥れるのでなく、誤認されることで足りる、こういう違いがあると考えております。

○枝野委員

 今の御答弁を整理しますと、こういうことが言えるんです。つまり、民法における詐欺のある部分を類型化して、なおかつ、故意などの点を初めとして挙証立証責任を軽減しているのが四条一項一号である、これでいいですね。

○猪口国務大臣

 結構でございます。

○枝野委員

 同じことを伺います。

 四条一項二号、目的となるものに関し、不確実な事項につき断定的判断を提供すること、そのことによって断定的判断の内容が確実であると誤認をしたこと、これと民法における詐欺との関係を御説明いただきたいと思います。

○猪口国務大臣

 二号のところは、断定的判断の提供というところでございます。

 同じように、要件が類型化され、具体的、明確に規定されている、この要件に該当するか否かの判断、予測は簡明であり、容易であるというところが消費者契約法の特徴であり、これに対して、民法の詐欺につきましては、先ほどと同じ答弁になりますけれども、事業者の欺罔行為が要件とされ、どのような行為が欺罔行為に該当するか種々多様である、かつ、この欺罔行為というものが社会通念上違法と評価された場合初めて消費者の取り消しの主張が認められるということでございますので、判断、予測は非常に複雑困難ということでございます。

 同じように、故意が要件とされていない、また、相手を錯誤に陥れるのでなく、誤認されることで足りるなどの違いがあります。

○枝野委員

 先ほどと同じことを聞きます。

 この規定も、民法の詐欺の中の一類型を類型化して挙証立証責任などについて軽減をした、こういうことでよろしいでしょうか。

○猪口国務大臣

 そのとおりでございます。

○枝野委員

 同じようなことを四条二項についても伺います。

 四条二項の要件といわゆる民法上の詐欺との違いということについて御説明ください。

○猪口国務大臣

 二項のところ、これは不利益事実の不告知という部分でございます。

 これは、事業者が重要事項について消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったことという要件を満たす場合、消費者による契約の取り消しの主張が認められ、要件がやはり類型化されて、具体的、明確に規定されている。この要件に該当するか否かの判断は容易である。

 これに対して、民法の詐欺につきましては、事業者の欺罔行為が要件とされているが、どのような行為が欺罔行為であるかということについては多種多様であり、かつ、それが社会通念上違法と評価された場合に初めて消費者による契約の取り消しの主張が認められます。

 ですから、民法の詐欺の規定は抽象的、一般的であり、消費者契約法のように具体的、明確に類型化されておらず、どのような行為が民法の詐欺に該当するかの判断、予測は複雑困難、こういう違いがあります。

 さらに、消費者契約法四条二項についてでございますけれども、故意が要件とされているものの、これは、当該消費者の不利益となる事実を告げないということについてのみの故意であります。それから、相手方を錯誤に陥れるのでなく、誤認で足りるというところは、先ほどのところと同じでございます。

○枝野委員

 済みません、大事なところは丁寧にやってきましたが、ここも同じでいいですか。つまり、民法の詐欺に当たるもののうち、特定のものを類型化して挙証立証責任を軽減しているものである。

○猪口国務大臣

 枝野先生のおっしゃるとおりでございます。

○枝野委員

 この場合、消費者契約法をつくった趣旨は、まさにその民法上の詐欺ということを実際に裁判上挙証立証するということはなかなか困難である、しかも、類型化されて大量の被害という現実があるということで、こうした形で類型化をしたというふうに、私自身も消費者契約法をつくるときからかかわっている者として理解をしています。

 しかし、それはまさに類型化をされているということであって、なぜこうした行為がいけないのかといえば、今御説明のとおり、詐欺の中の一類型、この場合、三類型と言うべきかもしれませんが、類型化して整理をしたということでありますから、ここに含まれていないものであったとしても、いわゆる本法に言う消費者契約に該当する法律行為において詐欺に該当するような行為があれば、それは取り消されるべきであるという、法的価値の問題としては同じではないか。そのうち、この消費者契約法に規定された、典型的類型化されたものだけは差しとめ請求訴訟の対象になるけれども、それ以外のところは差しとめ請求訴訟の対象にならないということの根拠はどこにあるのかを丁寧に御説明いただきたい。

○猪口国務大臣

 差しとめ請求権でございますが、民事上、相手方の一定の行為を間接強制の制裁をもって禁止するという非常に強力な効果を持つ権利でございます。

 したがって、差しとめ請求権を法定する場合におきましては、仮に差しとめ請求の対象が抽象的、不明確でありますと、相手方としては、具体的にどのような行為が実際に禁止されているのか、このようなことを予測することが困難でありますため、本来は差しとめ請求の対象とならないような行為についてまで差しとめ請求を受けることを恐れて差し控えるという過度に萎縮的な効果が生ずるおそれがございます。

 このため、相手方の予測可能性を確保する観点から、差しとめ請求の対象は具体的、明確に確定することが必要であると整理してございます。

 ですから、この四条関連でございますけれども、消費者の利益擁護を目的とし、消費者契約に限定して、法律上禁止される事業者の不当関与行為を類型化し、具体的に、明確に規定したものでございます。予測可能性が高いことになりますので、相手方の活動を過度に萎縮させるおそれはない。

 これに対しまして、民法の詐欺、強迫、また、消費者契約のみならず、対等な契約当事者間の契約全般に関する一般的、抽象的な規定となっていますので、具体的にどのような行為が民法の詐欺、強迫に該当するかは、個々の事案ごとに微妙な難しい判断を要する事柄が多いのではないかと考えます。

 したがって、具体的、明確に類型化されていない民法の詐欺、強迫を仮に差しとめ請求の対象とした場合には、相手方として、具体的にどのような行為が差しとめの対象として禁止されているのか予測が困難であるため、過度に萎縮させるおそれがあって、適切ではないという整理でございます。

○枝野委員

 優しくという御指示が出ておりますので丁寧に伺いますが、今、予測可能性というお話がありました。まさにそうなんだと思います。予測可能性がないといけないと思うんですが、今おっしゃられた予測可能性というのは、法律行為の時点における事業者の予測可能性なんでしょうか、それとも、差しとめ請求訴訟あるいは差しとめ請求判決がなされたときの予測可能性なんでしょうか。どちらでしょうか。

○猪口国務大臣

 法律行為の方でございます。法律に明確に規定してございます。

○枝野委員

 判決、つまり、差しとめ請求が起こされ、差しとめ判決がなされました。その差しとめられている範囲がどこであるのかということについて明確でなければ、事業者は確かに困ると思います。

 ところが、法律行為のときには、事業者は、将来差しとめされるかどうかということが最大の関心事なんでしょうか。違うと思います。将来差しとめられるかどうかということの以前に、自分のやっている商売が消費者契約法に違反する、こういうことをやってはいけないよね、そこをまず予測するわけです。

 さらにいえば、消費者契約法には違反しないけれども、これは民法の詐欺に当たる、裁判を起こされたら詐欺で取り消されるかもしれないということをまずは考える。そのことについて予測可能性がどれぐらいあるかということが問われるんだと思うんです。それで、差しとめ請求の訴訟の対象になるかどうかなんということは、ある意味、事業者にとっても、法律行為の時点ではどうでもいいことなんじゃないでしょうか。

 つまり、差しとめ請求の対象にはならないけれども、民法上の詐欺で取り消されるということになったら、事業者としては、困るのは一緒というか、もっと大きいんですよね。だって、個別の取引は、団体訴訟を使わなくても、民法上の詐欺に当たる以上は、被害者は訴訟を起こして、詐欺取り消しで不当利得返還請求なのか損害賠償請求なのか、いずれにしても被害者に対して被害を弁償しなきゃならない。それは、民法上の詐欺に当たれば事業者はそういう義務を受けるわけですよ。

 そのことこそが事業者側にとってはあらかじめ一番予見をしておきたいことなんであって、損害賠償請求訴訟で負けるというようなケースであれば、団体によって団体訴権で差しとめをしてもらった方がむしろいいぐらいであって、差しとめてくれれば、そこから先、詐欺で予見可能性が消費者契約法四条に規定する事項よりも類型化されていないから、事業者にとっても確かに予見可能性は低い。

 予見可能性が低いんだけれども、どうも、グレーゾーン、危なそうだと言っている事業者にとっては、危なそうだとたくさん続けていって、たくさんたまってから損害賠償請求で、それは団体訴権じゃなくても、個々の被害者だって損害賠償請求できるわけですから、損害賠償請求訴訟を起こされてまとめて負けるよりも、途中で、これはグレーゾーンだけれども、やってはいけない、差しとめをしなきゃならないような行為なのかどうかと裁判所に御判断いただいた方が予見可能性が高まるじゃないですか。だから、むしろこれは事業者にとっても、詐欺まで入れておいた方が予見可能性という意味では高めるんです、少なくとも途中において。

 将来の詐欺に当たって損害賠償請求を受けるのか受けないのかというようなことについて、少なくとも、商売を大々的にやって、おい、これは危ないんじゃないか、怪しいんじゃないかという声が上がったとき、最終的には裁判所があらかじめ判断をしてくれる、こんな予見可能性という観点から確実な予見はないわけでありまして、むしろ予見可能性という事業者の見地からも、詐欺まで広げた方がいいというふうに思うんですけれども、どなたでも結構ですが、どうでしょう。

○猪口国務大臣

 まず、事業者にとりましては、そもそもどういう行為が許されているのか、差しとめ対象になり得るのかということがやはりわかった方が安心して事業を展開できると思いますので、今回の法律案は非常に有意義な内容となっていると思います。

 さらに、民法で規定しています、そしてそれを抽象的、一般的であると私は議論したわけですけれども、そういう範囲の個々に類型化できる部分にまで広げて考えるべきかどうかというようなことにつきましては、これは、もし今後、社会経済情勢が大きく変化したり、あるいは法の実施状況、あるいは消費者被害の実態、状況、こういうことが大きく変わってきた場合に、この四条及び八条から十条のところにおきまして、さらに類型化できるか考えてみるということではないかと感じております。

○枝野委員

 もう一度だけ丁寧に御説明させていただきますね。

 消費者契約法で典型的なものを類型化して、この類型化されたものは挙証立証責任自体が軽減されているわけです。被害者の側が証明をしなきゃならないこと、そのこと自体が軽減をされているわけです。それは特定、明確な範囲にしなければ、まあ、明確にしたからこそ軽減できるわけですが、それはよくわかるんです。

 ところが、事業者の側にとっては、この四条に当たって、これは簡単にという言い方が本当は適切じゃないですが、簡単に取り消しの対象になるということの範囲は四条で明確になります。その簡単に取り消しの対象になるものについては、差しとめの請求の対象になりますということで、イコールです。その二つの簡単さ、容易さというのはイコールですね、その限りにおいては。

 一方で、この典型的なものに当たらない詐欺、これは挙証立証責任が軽減されていません。詐欺であるということを裁判所で認めてもらうためには、四条に当てはまるものに比べて、幾つかの余計なことを主張し、そのことを証明しなければなりません。しかし、そのことが証明をされれば、四条に該当するケースと同じように、取り消しという法律効果を発生させることができます。つまり、被害の救済を命ずることができる。

 詐欺に当たるケースは、事業者の皆さんは、詐欺に当たって、詐欺だと裁判所が認定するケースについては、どうせ受け取った金を返さなきゃならないんです。そこについて、確かに四条該当よりも予見可能性は低いんですが、予見可能性が低い分だけなかなか証明されない。だけれども、それが証明されれば、どうせ金は払うんです。被害救済をするんです。

 差しとめ請求の場合でも、金払えというケースと同じように、被害者側にとっての挙証立証責任のハードルは高いんです。四条に該当しているもののような立証では足りないんです。さらに二つも三つも要件を立証しないと金返せも言えない。

 ただし、金返せと言えるケースについては、もうやるなと言ったって全然困らないじゃないですか、事業者の側にとっては。むしろ、金返せと言われる前に、どうせ金返せと言われたときに負けるようなケースについては、いや、負けるかどうか予見できないから、グレーゾーンだから事業者もやっているんでしょうから。将来、金返せという裁判で負けるかもしれないような商売をやっている側にとっては、もうやるなという判決なのか、やっていいよという判決なのか、早くどっちか出してもらった方が事業者としての予見可能性は高まるじゃないですかと私は思います。

 もう一回だけ御答弁いただければと思います。

○猪口国務大臣

 おっしゃることはわかるんですけれども、詐欺に当たるかどうか、これをあらかじめ予測することはやはり難しいのではないかということにおいて、消費者契約法でやろうとしていることと違うのではないかと思います。

 ただし、先ほどもお伝えしたことと同じなのですけれども、いろいろな状況を検討し、法の実施状況もまた検討しながら、さらに類型化できると考えられるものが社会の実態との関係において必要であるという場合においては、今後の検討課題として対応するというところまで申し上げさせていただきます。

○枝野委員

 局長も聞いていらっしゃるので、ぜひ、私は、四条の、類型化されて挙証立証責任が軽減されている、この対象を広げろと今言っているわけじゃないんです。これを広げろということは別の論点としてはあるんですが、そのことを申し上げているんじゃなくて、挙証立証責任が限定されているケースについては、挙証立証責任が軽減されている範囲で差しとめが認められる。詐欺のように、この典型例に当たらないからといって挙証立証責任が重たいケースについては、差しとめも同じイコールで挙証立証責任が重いんだから、事業者の予見可能性という観点で、四条に当たらない詐欺のケースを排除するということの理由に実はならないんじゃないかということを申し上げているので、これはぜひ今後検討をいただきたいと思います。

 もう一点、実は似ているんですけれども、こっちは違うんですが、四条三項のいわゆる困惑させるケースなんですが、これと、民法の取り消し事由になる強迫との違いについて御説明をいただきたいと思います。

○猪口国務大臣

 これは四条三項のところでございます。これは、事業者が消費者を困惑させるような不当な勧誘行為を行ったという場合ですね。

 例えば、消費者の自宅に行って、帰ってほしいと言っているのに長時間その勧誘行為を行うなど、非常に消費者が困惑するような、そのような不当な勧誘行為を行ったという要件を満たす場合には、消費者による契約の取り消しの主張が認められ、要件がやはり類型化され、具体的、明確に規定されていますので、この要件に該当するか否かの判断の予測可能性はあります。また、それは容易でございます。

 これに対しまして、民法では、これは九十六条一項、強迫について、事業者の強迫行為が要件とされているわけです。どのような行為が強迫行為に該当するかは、契約の種類、個々の事案ごと、やはり多種多様であると考えます。しかも、強迫行為に該当する行為が当該事案の事実関係に照らして、社会通念上やはり予防的と評価される場合に初めて消費者による契約の取り消しの主張が認められるわけであります。

 先ほどと同じことなんですけれども、やはりこの民法の強迫規定も一般的、抽象的であるという考え方であり、消費者契約法は具体的、明確に類型化されていますので、どのような行為が民法の強迫に該当するかの判断の予測は、消費者契約法と比べますと非常に複雑困難という違いがございます。

 消費者契約法の四条三項につきましては、やはり故意が要件とされていない、これは民法の場合の相手方を畏怖させるというのではなく、困惑させることで足りる、こういう違いがございます。

○枝野委員

 先ほどと同じことを聞きますが、この三項の規定されているものというのは、民法上の強迫行為の一部分を類型化したものという理解なんでしょうか。

○猪口国務大臣

 今枝野先生のおっしゃったとおりでございます。

○枝野委員

 実は、一項や二項も若干同じような問題はあり得るんですけれども、ここが一番典型なんですけれども、少なくとも、ここは、実は強迫に当たらないものも取り消しの対象にしているんじゃないのかな。ここはいいですが、つまり、退去しないことで民法上の強迫には当たらないけれども、だけれどもということで、強迫より一部分広げているのかなというふうに思います。いいです、これは答弁を求めません。

 そのことを前提に置いて、こちらは先ほどの一項や二項の話よりもっと深刻だと実は思っていまして、確かに、これは消費者にとってはひどい話です。帰ってくれというのに帰ってくれない、居座られるというのはひどい。だから、こういうケースは差しとめなきゃいけないという話はまさにそのとおりだと思うんですが、しかし、例えば報道されている最近の某金融業者の例などを見ても、実はもっとひどいことがたくさんあるんですね、困惑させる、強迫するという行為は。

 つまり、要するに、事実上、殺すぞみたいな話で毎日毎日言われるとか、典型的な三項一号、二号には当たらない、だけれどももっと恐怖を感じるというようなケースが実は与党・政府案では差しとめできない。むしろ、命の危険を感じさせられるような取引は差しとめの対象にならないで、ここだけが差しとめの対象になるという結果に残念ながらなってしまうのではないか、こういうふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。

○猪口国務大臣

 やはり、民法の場合は、類型化されているということではなく、抽象的な、一般的な規定であるという法の条項につきます特徴がございます。もちろん、先生が今おっしゃったような場合もあり得ると思いますけれども、九十六条一項の規定は、では、具体的にどういう行為としてそれを特定するのかという部分において、やはり解釈の部分が非常に強く出てくる可能性があります。また、先ほど申し上げましたとおり、社会通念上違法と評価された場合のみ消費者の契約の取り消しの主張が認められるということでございます。

 やはり、消費者契約法の方は、きちっと類型化できている、そして、要件が明確であり、具体的であり、事業者にとっても予測可能性があるということにおいて、消費者を守り、また、そのような被害を未然に防止する社会的な効果が十分にあると考えております。しかし、今後の社会情勢の変化や、また被害の実態を常に注意深く見ながら、必要な対応をさらにしていくということではないかと考えております。

○枝野委員

 今のお答えだと、今後検討していただきたいと思いますが、この政府案のままいきますと、例えば、三項の一号や二号に該当はしない、だけれども命の恐怖を感じさせるようなひどい勧誘行為を行っているという事業者がいる場合に、命の恐怖を感じさせるような、単なる不退去を超えたような事例について、消費者団体が、そういうのは差しとめだといって裁判を起こしても、負けてしまうということになるんですよ。

 出ていかないよというケースであれば差しとめ請求で勝てるんだけれども、さらに、もっと踏み込んで命の恐怖を感じさせるようなことをすると差しとめの請求にならないというアンバランスが出てきてしまうということをぜひ御検討いただいて、早期に対応をしていただいた方が、私は、この法律や政府や裁判所に対する信頼という意味からもいいんじゃないかと申し上げておきたいと思います。

 時間がほとんどなくなりました。

 法務大臣政務官にも来ていただいているので、ちょっと私もよくわからないところがあるんですが、この法律の十条や十一条のところで、民法一条二項とか公の秩序に関しない規定の適用にとか、いろいろわからないことが書いてあるんです。

 これはまとめて、民法一条二項の規定する基本原則に反する法律行為の効力はどうなるのか、それと、民法九十条の、これは無効になるというのは条文上明確ですが、その関係はどうなるのかということで通告をさせていただいているんですが、それをお答えいただけますか。

○三ッ林大臣政務官

 お答えいたします。

 民法第一条第二項は「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」旨を規定しております。この規定は、個別具体的な事案に応じて適切な効果を導くいわゆる一般条項ですので、この規定に反する場合の効果につきましては、一概に申し上げることは困難であります。一例として申し上げれば、契約当事者の一方に一定の義務を生じさせたり、契約の全部または一部を無効としたりする効果が認められるものと考えております。

 次に、民法第九十条についてですが、公序良俗違反の法律行為を無効とする旨を規定している民法第九十条と、信義則について規定しております民法第一条第二項は、いずれも、一般条項として、個別具体的な事案に即して適用の有無が判断されるものであります。したがいまして、公序良俗違反として無効になる範囲と信義則違反として無効になる範囲とは重なり合っていることは確かでありますが、どちらが広いとか狭いとかということを一概にお答えすることは困難であります。

 以上です。

○枝野委員

 実は、本法八条から十条の規定と、九十条公序良俗違反、無効との関係、今詐欺、強迫についてお話しした話と同じ問題があるということだけ、時間がないので指摘しておいた上で、その上で、実は、十条、十一条というところの関係、一方的に申し上げますので、時間との関係もありますので、御感想があれば最後に言っていただければと思うんです。

 まず、十条で、冒頭に、公の秩序に関係しない規定の適用による場合に比し、これで、つまり、民法九十条は公の秩序に関するものですから、民法九十条など以外の場合と比べて、消費者の権利を制限し義務を加重する消費者契約の条項であって、民法一条二項に規定する基本原則に反して、民法一条二項というのは公の秩序に関する規定だと思うんですが、に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とすると。

 公の秩序に関しない規定による場合に比してで、ここで一条二項が出てくる。十一条のところは、「この法律の規定によるほか、民法及び商法の規定による。」ということで、民法九十条が適用されることは肯定をされている。

 どうも、何のために十条があって、何のために十一条の一項があるのか、この辺の関係がさっぱりよくわからないんです。恐らく独立して読むとそれぞれ何となく何を言いたいかわかるんですけれども、この法案のことをいろいろ検討しているうちに何かわけがわからなくなってきているんです。

 時間でもありますので、ちょっと整理をしていただいた方が今後いいのではないかということを申し上げて、答弁なしでも私の方はいいんですが、よろしいですか。ぜひちょっと整理をしていただいた方がいいのではないか。

 特に法務省などと検討して整理をしないと、どこがどこにどうかぶってというのが今の条文は読めば読むほどわからなくなっておりますので、御検討をいただければと思います。

 終わります。ありがとうございます。

<他の議員の発言部分省略>