[消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)についての質疑]
<他の議員の発言部分省略>
○枝野委員
民主党・無所属クラブの枝野でございます。
私からは、民主党提案法案は提出者でございますので、政府案に絞ってお尋ねをさせていただきます。
まず、俗に政府案で言われている後訴の遮断、政府案の法案の十二条五項二号についてお尋ねをいたしたいと思います。
民事訴訟の大原則は、裁判の効力は裁判の当事者にしか及ばないということでありますが、本規定によりまして、他の適格消費者団体を当事者とする確定判決等についても効力が及ぶということになっています。こうした例外を設けている法的な根拠をどのように説明するのか、お願いいたします。
○猪口国務大臣
枝野先生にお答え申し上げます。
この制度は、通常の個別訴訟とは異なります。これは、消費者全体の利益を擁護するため、直接被害を受けていない第三者たる適格消費者団体に政策的に差しとめ請求権を付与するものでございます。
適格消費者団体によります真摯な訴訟追行の結果、確定判決等が得られたにもかかわらず、同一の事案について他の適格消費者団体が差しとめ請求権を行使できることとすると、どういう問題が発生するかということについてちょっと議論させていただきます。
まず、消費者全体のための訴訟であるにもかかわらず、矛盾する判決が併存する、そして、相手方事業者に際限ない応訴負担がかかる可能性がある、あとは、訴訟不経済という表現が使われますけれども、訴訟経済に反する、そして、紛争の蒸し返しによって、違法か否か、不安定な状況が長引く等の弊害が生じ得るということでございます。
この制度は、消費者全体の利益擁護を目的とするものでございまして、このような弊害を排除し、できる限り紛争の一回的解決を図る必要があるということを踏まえまして、ある適格消費者団体による確定判決等が獲得されました場合に、それが存在する場合には、同一事件の請求は原則としてできないこととしております。
○枝野委員
今お話のあった紛争の一回的解決の必要性というのは、それは民事訴訟法的にも認められている考え方だと私も思いますので、そこの必要性は認めます。
しかし、適格消費者団体は、少なくとも複数存在をすることが前提になっています。その中で、適格消費者団体が、誠実かつ十分な権利行使といいますか訴訟遂行が行われるという保証はないわけです。逆に、その保証があれば実は裁判は要らないので、すべての適格消費者団体が適切な判断をして適切な行動をするんだったら、適格消費者団体そのものに差しとめ権を認めちゃえばいいわけでありまして、そうではないから裁判所において適切であるかどうかという審査が行われるわけであります。
したがいまして、ある適格消費者団体が訴訟遂行をしている、その遂行の仕方が適切ではないと考える第三者としての他の適格消費者団体が、例えば訴訟参加をする等して、こいつらのやり方じゃだめだ、おれたちのやり方でやらないといかぬということのできる余地を残さなければ、紛争の一回的解決という要請があるにしても、アンバランスだというふうに思います。そのあたりの担保はどのようにされるんでしょうか。
○猪口国務大臣
先ほど申し上げましたように、通常の民事訴訟とは異なる、これは第三者たる適格消費者団体に政策的に差しとめ請求権を付与するものであるということをまず申し述べた上で、先生御指摘のようなことにつきまして、この制度では、他の適格消費者団体に対する手続保障の観点から、まず訴訟の進行状況等に関しまして、適格消費者団体間で情報を共有できるようにしております。また、適格消費者団体相互の連携協力の規定がございます。また、弁論及び裁判の必要的併合規定がございます。このようなさまざまな手当てを講じておりまして、他の適格消費者団体による差しとめ請求権の行使に十分に配慮しているところでございます。
特に、本制度におきましては、同一事件における複数の差しとめ請求に係る訴訟でございますけれども、同一の裁判所に係属する限り、さきに申し述べましたような弁論及び裁判の必要的併合の規定に服するため、同一の事件について他の適格消費者団体を当事者とする差しとめ請求に係る訴訟が既に係属している場合において、適格消費者団体は共同訴訟人の地位につくことができるわけでございます。
適格消費者団体としましては、みずから当事者として同一の裁判所に訴えを提起して、共同原告、共同訴訟人と同じですが、共同原告となることによりまして、当該他の適格消費者団体の訴訟行為と抵触する訴訟行為も何ら制約を受けずに行うことができるという形になっております。
○枝野委員
複数の消費者団体が訴訟を起こせば、必要的併合の規定を置かなくても裁判所は併合するだろうと思いますので、そこはないよりあった方がいいというだけの話なんです。
問題は、訴訟を起こす余地が確保されるかどうかということだと思っています。これは、民主党案にも同じような規定がありますので確認的ですが、政府案でいいますと、二十三条四項で、訴訟遂行、進行の状況についての通知を、「電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、」通知にかえられるというふうに書いてあるんですが、法律の書き方というのは、こういう面倒くさいことをなぜするんだろうなと思いますけれども、要するに、これは何ですか。
○猪口国務大臣
これは、まず内閣総理大臣が管理する電子掲示板、これは内閣総理大臣によりその利用権限を設定されたすべての適格消費者団体及び内閣総理大臣が読み書きできるものでございますが、そのようなもの、または内閣総理大臣が管理するメーリングリスト、これは、リストにメールアドレスを登録したすべての適格消費者団体及び内閣総理大臣を利用者とするもの、このような手法を用意することを想定しております。
○枝野委員
電子掲示板とメーリングリストはちょっと意味が違うと思っています。
電子掲示板は、積極的にアクセスをしてのぞきに行かなきゃいけないんだと思いますね。メーリングリストであれば、自動的にメールが送信をされて受け取った、もちろん、パソコンをあけなきゃ見られないということは一緒かもしれませんが、それは、一般的に届いた郵便物を封をあけて中を見ないと届いても意味ないよねという話と一緒で、届いてさえいれば、あとは本人があけるかどうかという話だというふうに思います。
特に政府案の場合は、民主党案にも同じような規定はあるんですが、政府案の場合は後訴の遮断という効果につながる話でありますから、確実に訴訟進行の状況について、他の訴訟を起こし得る適格消費者団体に通知がなされていないといけないというふうに思いますので、したがって、この点については、いわゆるメーリングリストのように、相手の手元まで届くということが担保されるべきであるというふうに思います。
内閣府令でそこまできちっと担保をしていただきたいと思うんですが、それをお約束ください。
○猪口国務大臣
電子掲示板の場合、毎日クリックすれば同じ効果が得られると思います。
○枝野委員
違うじゃないですか。メールというのは、少なくとも受け取る側のところに届いているんです。しかし、電子掲示板というのは、積極的にそこにアクセスをしなければ見られないんです。ホームページに載っけてあるから、ここに掲示をしてあるからいいじゃないかという話じゃないんです。
これは、IT技術ですからわかりにくくなっていますけれども、役所の前に紙を張り出して公告してありますから見に来なさいというのと、郵便で通知をするのは、本質的に意味が違います。そういう意味で、最低限メールとしてきちっと送るということをしないといけないんじゃないか、こう申し上げているんです。
○猪口国務大臣
張り出しと電子掲示板は、実際の使いやすさ、利用者にとっての情報共有性についてやや違うものがあるのではないかと思います。電子掲示板の場合、まず、今申し上げましたとおり、自分でクリックすることによって、それは封をあけるというのと似ていると思いますけれども、そのような作業によって必ず共時的に情報が得られるわけでございます。また、電子掲示板の場合は、書き込みもできる、そしてみんながそれを見ることができるという意味において、非常に、排除すべき方法ではない方法であると考えております。
○枝野委員
大臣は、この差しとめ請求訴訟が一年間に二百件も三百件もたくさん起きるということを想定しているんですか。適格消費者団体としても、本当に連日のように、あるいは週に一遍とか二週に一遍とかこういう訴訟が提起をされるんだということであるならば、毎日そこをクリックして見ておかなきゃいけないねということになると思いますが、それはむしろ想定していないんじゃないですか。
本当に差しとめが必要だという大きな問題になっていて、適格消費者団体が全体の公益のためにこれはやらなきゃならないんだなという裁判が、そう週に一遍とか二週に一遍とか、年に百件も二百件も起こるということを想定していない、むしろ一年に数件というレベルじゃないんでしょうか。一年に数件というようなレベルの訴訟が起きているかどうかというのを毎日クリックしろというのは、それはむちゃなんじゃないですか、大臣。
○猪口国務大臣
まず、今御指摘いただいておりますところは、訴訟が起きているという状況の中ですね。ですから、訴訟係属中の中で一定の訴訟上の行為について情報を共有していくことが特に重要でございますので、訴訟係属中の問題につきまして情報を共有していくということを考えれば、電子掲示板という方法が十分ではないということは、なかなか私としてそのように考えることはできないのです。ここの二十三条四項のところをごらんいただきますとおり、「同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置」ということですので、これはまさに電子的な手法を使うことが非常に合理的であり、そのことを排除するべきではないと考えております。
○枝野委員
でき上がった法律の解釈の話をしているのじゃなくて、この法律でいいのかと。あなたがそういう解釈をするのだったら、これは変えなきゃいけないと私は言わなきゃならないんですよ。
せっかくここの解釈として電子メールということもあるのだと言ってくれたので、ならば法律まで変えなくたって、内閣府令の中で電子メールでちゃんとやりますと言ってくれれば、まあ、条文まで変えなくてもいいのかな、運用でちゃんとやってもらえるのかなという話をしているんですよ。
ここの条文で、確かにホームページに載っければこれでオーケーですよ、条文の読み方とすれば。でも、それでは不十分だと思っていたので聞いたら、メールということも含まれるというから、では、メールでちゃんとやってくださいと言ったんです。
しかも、今、大臣自身、自分で出している法案、間違っていませんか。訴訟の提起自体も通知の対象なんですよ。訴訟が起きていることについてだったら、その電子掲示板というんですか、そういうところで日々の動きを示しますということも百歩譲ってあるかもしれない。でも、そもそも、訴訟が起きているのか、あるいは裁判外において事業者等について差しとめ請求をしたのか、そういう最初のファーストアクセスのところについては、まさにいつ起こっているのかわからない、三百六十五日いつ起こるかわからない。しかも、それが年に何百件もあるというケースだったら毎日見ろということもわかるけれども、そういうことなんですか。年に何百件もある、毎日見なきゃならないほどたくさん訴訟が起こるということを想定している制度なんですね、大臣。イエスと答えてください。
○猪口国務大臣
私、冒頭にお答え申し上げましたとおり、メーリングリストのことも、そういう手法を用意することを想定しているとお伝えしたわけです。ですから、電子掲示板またはメーリングリストの手法を用意することを想定しており、これは、いろいろ意見をよく聞き、進めてまいりたいと思っております。
○枝野委員
最初に戻らないでください、時間の無駄ですから。そういうお答えがあった、だから、まさに意見を申し上げて、そうすべきじゃないですかと言っているんですよ。
つまり、裁判が年に何百件も起こりますということを想定しているならば、今のお答えでいいですよ。電子掲示板を毎日クリックしてくださいでいいですから、そこの裁量はお任せしますという話ですよ。でも、どうやら政府が考えておられるのは、適格消費者団体の数も一けたぐらいということのようですし、年に数件起こるかどうかという訴訟を想定しているんじゃないんですかと聞いているんですよ。
まず、そこはそうなんでしょう。
○猪口国務大臣
訴訟の数を私として予断することはできません。
○枝野委員
そうですよね。
では、何百件も、つまり毎日のぞかなきゃならないほど裁判がたくさん起こるということを想定しているんですか、大臣。
○猪口国務大臣
ですから、その数につきまして予断することができません。
また、今、問題として先生が御指摘されていますことにつきましては、いろいろな意見がございます。消費者団体は電子掲示板の方がいいと言っている部分もございますので、これは、電子掲示板かメーリングリストか、そのような手法を用意することを想定していると答弁してございます。
○枝野委員
ちゃんと話を聞いてくださいね。電子掲示板を僕は否定していないんです。先ほど言ったとおり、裁判のプロセスにおいては電子掲示板ということに合理性があるかもしれませんねと申し上げているんですよ。
ただし、裁判が起こりましたとかいうような、まさに後訴を遮断することとの関係で重要なアクセスについては、これは毎日クリックしてくださいという話は酷じゃないですか。少なくとも、ああ、訴訟が起こったんだなというのは黙っていても伝わる。それで、その訴訟の中身について進行状況などをきちっと知りたいということだったら、毎日のようにクリックしていくとかそういうことの選択肢の余地を残すべきであって、ですから、訴訟の提起とか、ある最低限の部分のところについては、メーリングリストも少なくとも併用してくださいよ。
電子掲示板がだめだと言っているんじゃなくて、電子掲示板の便利さもあるから、電子掲示板に掲示すると同時に、この四項の一号から十一号まである号の中の重要な部分については、メールでも送りますというようなことを、大臣、今は結論を言えないんだったら、せめて、そういう方向の検討をしますというお答えをしていただいたら、それでいいんですよ。(発言する者あり)
○猪口国務大臣
枝野先生からの御議論ございました。最初に答弁したとおりではございますけれども、メーリングリストを実施する方向で私として検討してまいりたいと考えております。
○枝野委員
ぜひお願いをいたします。私は、そもそもこの後訴の遮断自体をやめろという立場なんですが、もしどうしてもやるんだったら、最低限そういうことはするべきだと申し上げます。
もう一つ、十二条五項に戻りますが、ここに「確定判決等」とあるんですね。この「等」の具体的中身を説明してください。
○猪口国務大臣
これは、「等」でございますので、確定判決と同一の効力を有するものを言います。先生御存じでいらっしゃいますけれども、裁判上の和解それから請求の放棄あるいは認諾及び調停合意あるいは仲裁裁判所等が該当するものと言えると思います。
○枝野委員
このうち、請求の認諾は勝訴判決のようなものですからいいんでしょう、差しとめが効果をもたらすんですから。
問題は、和解とか請求の放棄、あるいは上訴の断念をして確定した場合等が問題なんですけれども、ある適格消費者団体が裁判を起こしました。ほかの適格消費者団体が、いや、まだ証拠の収集から考えてちょっと早いな、もうちょっとちゃんと証拠を収集してから裁判を起こさないといけないな。危ないから、おれたちはちゃんと自分たちでもっと証拠を収集して勝てる状況になったら追っかけて裁判を提起して、共同、併合してもらって、それなら勝訴判決が得られるななどということで準備をして、まだ訴訟提起まで至っていないなんていうケースは現実的にあり得るわけですね。
そこで、一応、請求の放棄とか和解、上訴の取り下げ等の手続をしようとする場合は、する前に、先ほどお話のあった二十三条で通知をするということになっておるんですが、法文上を見ますと、「しようとするとき。」としか書いていないんですよ。この二十三条四項十号には「しようとするとき。」としか書いていなくて、少なくとも文理上は、法律の条文上は、あした和解します、あした請求を放棄しますという前日にそのことを通知してもオーケーということに、これは規定上は読めてしまうんですね。
これでは、おい、ちょっと待ってくれ、請求の放棄なんかされたら、おれたち、せっかく後から追っかけて裁判を起こして請求を併合してもらおうと思っていた人たちが手を打てなくなるわけですから、その「しようとするとき。」の通知は、少なくとも何日前にというような規定を置かなければ本来はいけないというふうに思うんですが、いかがですか。
○猪口国務大臣
そのようなことにつきまして、内閣府令で基準を定めることといたしたいと思います。
○枝野委員
また、優しいなと後ろから怒られそうですが、本来はやはり法律事項だと思いますよ、これは。何日前までにとか、せめて、他の団体が対応可能な期間の余裕を持ってというような趣旨のことを法律事項で書いておいて、具体的な日数については、例えば政省令ということはあり得るかもしれないけれども。
ということを申し上げた上で、しかし、ちゃんと一定のゆとりを持って何日か前にしろということを、確認ですが、内閣府令にきちっと書いていただけますね。
○猪口国務大臣
枝野先生の御指摘でございますので、内閣府令におきましてそのような方向で基準を定めたいと考えております。
○枝野委員
私の指摘だからじゃなくて、筋を申し上げたからであります。
次に、四十三条の民事訴訟法の例外についてお尋ねをいたします。
一般的な法律行為の差しとめ請求訴訟を考えたときに、この政府案の四十三条の規定がない場合、民事訴訟法の原則による裁判管轄はどうなりますか。
○三ッ林大臣政務官
お答えいたします。
差しとめ請求訴訟の管轄につきましては、民事訴訟法の原則によることになりますと、まず第四条により、被告の普通裁判籍の所在地、例えば被告が法人であれば、その主たる事務所または営業所の所在地を管轄する裁判所に訴えを提起することができます。
これに加えまして、民事訴訟法では第五条各号において各種の特別裁判籍による管轄を認めておりますので、差しとめ請求訴訟についても、これらの規定に基づく管轄が認められることになります。さらに、当事者の合意や被告の応訴による管轄も認められております。
○枝野委員
これが、四十三条があることでどう変わるんですか。
○猪口国務大臣
民訴の第五条の特別裁判籍による管轄につきまして、第五号を除き適用しないこととしております。
○枝野委員
それは条文を読めばわかるので、その結果として、この規定がなければ存在しているはずの裁判管轄が、どれがなくなるんですかということを聞いているんです。
○猪口国務大臣
例えば、財産権上の訴えあるいは不法行為に関する訴え等でございます。
○枝野委員
財産権上の訴えでいいんですね。差しとめ請求も、財産権上の訴えや不法行為上の訴えとして、不法行為地やその法律行為の行われた地が、四十三条がなければ特別裁判籍として裁判管轄があるはずなのに、四十三条で排除した、こういう解釈でいいですね。
○猪口国務大臣
そのとおりでございます。
○枝野委員
三ッ林大臣政務官にお尋ねするべきだと思いますが、そもそも、民事訴訟法の裁判籍、裁判管轄というのはどういう考え方に基づいてこのルールがつくられているのか、御説明ください。
○三ッ林大臣政務官
お答えいたします。
民事訴訟法が定めております管轄にはそれぞれの根拠がありますが、一般的に申し上げますと、当事者間の公平、当事者の便宜、証拠資料の収集の便宜等の理念に基づくものであります。具体的にはよろしいですか。(枝野委員「いいです」と呼ぶ)はい。
○枝野委員
四十三条も、その民事訴訟法の考え方そのものは変更していないという理解でいいんでしょうか。それとも変更しているんでしょうか。
○猪口国務大臣
変更していないということでございます。
○枝野委員
では、三ッ林大臣政務官がおっしゃられた理念に基づいて、どうしてその法律行為の行為地であるとか不法行為の行為地というのを管轄から外したのか、それがどうして当事者間の公平にかなうのか、説明ください。
○猪口国務大臣
これは、先ほども議論いたしました、判決の矛盾等の弊害を排除する観点から、審理の統一化を図るため、ある程度管轄裁判所を集中させた方が好ましいと考えます。また、被告事業者の予測可能性を害することなく事業者と適格消費者団体が公平に攻撃防御を尽くせること、このようなことから、民訴五条で規定されている特別裁判籍につきまして、第五号を除いて、先ほどお伝えしましたように、適用しないこととしたものでございます。
○枝野委員
統一的解決のために管轄を一カ所にしなきゃならないという話は、内閣府さん、それはちょっとむちゃな話じゃないですか。
つまり、同じような消費者被害で、例えば政府案だとしても、個別の消費者は、日本全国の被害を受けた地で、同じ消費者被害についていろいろな裁判所に裁判を起こせるんですよ、沖縄に住んでいる人は那覇地裁に、札幌に住んでいれば札幌地裁に。
でも、そういうケースであっても、必要性と合理性があれば、移送手続をして、どこか一カ所にまとめて一括して処理をするということもあり得ますし、しかし、それは被害者側の、特に原告側の便宜その他を考えて幾つかにまとめよう。
私の知っている限りでも、例えば薬害エイズの被害者の皆さんは日本全国にいらっしゃって、日本全国の裁判所で裁判を起こせるけれども、東京と大阪その他数カ所に集約をして裁判を起こしました。これは、被害者の立場、原告の立場、いろいろと考えると、東京と大阪まで併合してしまう、移送してしまうのはということがあったんだろうと思いますので、東京と大阪で別々に訴訟進行しましたが、和解勧告とか和解とか、事実上一体的な解決がちゃんとできていますので、別に、管轄そのものを初めから一カ所にしなければいけないだなんという話には全然ならないんですけれども、どうですか。
○猪口国務大臣
まず、この制度は、個別の事件を離れた不特定多数の消費者全体の利益擁護を目的とする制度でございます。ですから、個々の消費者の被害地に着目するのは適当でないと考えて設計されております。
○枝野委員
ということは、先ほどの答弁は訂正されたんですね。その統一的解決とかという話は、とりあえずは変えられたんですね。一番の主眼は全体の公益のためのことだから、被害発生地ということでなくていいと。ちょっとごちゃごちゃしましたが、先のところでもうちょっと今のところを詰めます。
では、逆にこう聞きましょう。民事訴訟法五条五号で、要するに、被告となった事業者の事務所所在地、営業所の所在地が裁判管轄地となる、裁判籍の所在地となる。これは実質的に判断するんでしょうか、形式的に判断するんでしょうか。これはどちらでも結構です。
○三ッ林大臣政務官
御指摘の条項の事務所、営業所に該当するか否かは、一般に、登記の有無や名称のいかんを問わず、その実質を判断して決定されるものと解されております。
○枝野委員
そうすると、登記の所在地や、パンフレットなど宣伝、要するに、消費者契約をさせようとしたときのパンフレットとかに書いてあるような事務所の所在地が実体と異なっている場合には、その登記の所在地とかパンフレット上の事務所所在地と関係なく、実体的な事務所の存在しているところで裁判を起こせる、こういう理解でよろしいんですね。どちらでも結構です。
○三ッ林大臣政務官
事業者が法人であるときには、民事訴訟法第四条第四項により、まず、その主たる事務所または営業所の所在地の裁判所に管轄が認められますが、この主たる事務所等は、その実質を備えているか否かによって定まるものと解されております。したがいまして、実体としての事務所所在地等が明らかでない場合には、次の基準にある、その代表者その他の主たる業務担当者の所在地の裁判所に管轄権が認められることになります。
○枝野委員
民事訴訟のルールとしてまさにそのとおりなんですが、この差しとめ請求を初めとして、この消費者契約法で問題にしなきゃならないというのは、いわゆる悪徳商法なんですよね。普通にまじめに事業をやっている人たちには全然関係のない話なんですよ。こういうところというのは、登記簿上の登記の所在地には何もなくて、パンフレットに書いてある住所のところにも何もなくて、代表者がだれかわからなくて、どこに裁判を起こすんですか。
○三ッ林大臣政務官
判例によりますと、登記や定款上の事務所所在地等にそのような実体が存在しないことを知らない者は、登記や定款上の主たる事務所の所在地の管轄裁判所に訴えを提起することができるとされております。
○枝野委員
そうなんですね。
そうすると、私がもし悪徳業者で、そういうことをやろうとこの法律を見ていたら、こうします。
どことは言いませんが、遠くの、できるだけ交通の便の悪いところの地方裁判所の管轄のところに登記を置きます。営業活動は人のたくさん住んでいるところでやります。そして、事務所の実体などは転々とさせて、どこに事務所の所在地があるのかわからないようにします。
当然のことながら、悪徳商法をやる人は、代表者などがだれであるのかということをわからないように、隠してやります。そうすると、被害の大多数は例えば東京で起こっている、事件は東京で起こっているんだけれども、裁判管轄は非常に東京から交通の便の悪い地方裁判所で行われる、こういう結論になりますね。
○猪口国務大臣
先生御指摘のようなケースであれば、そのようなことになります。
○枝野委員
そうですね。公平ですか、今の結果が。
○猪口国務大臣
まず、仮に、事業者の不当な行為がなされた地あるいはそのおそれがあるような地において管轄を認めた場合、多数の消費者を相手方とする消費者取引の特性にかんがみますと、結果的に、全国津々浦々、あらゆる地において提訴可能となります。ですから、事業者の予測可能性を著しく害するおそれがありますので、そのように規定しております。
○枝野委員
自分でお出しになっている法律の中身をわかっていないんじゃないですか。これは、裁判を起こすのはだれですか。訴訟の提起の当事者、原告はだれですか、大臣。
○猪口国務大臣
消費者の全体の利益を擁護するために適格消費者団体が機能するわけでございます。
○枝野委員
いいですか、適格消費者団体が原告なんですよ。適格消費者団体の事務所所在地を裁判管轄に入れろと言っているんじゃないんですよ。適格消費者団体は、どこかに事務所を持っていて、どこかで活動しているんです。事件は日本全国いろいろなところで起きているかもしれません。だからといって、日本全国で裁判を起こすだなんという、コストの悪い、ばかなことを起こしませんよ。一番その証拠関係とか実際の被害の発生しているところを選んでやらなければ、適格消費者団体の方が割に合わないというか、そんなコストに合わないことをやりませんよ。違いますか。
○猪口国務大臣
裁判を起こされる事業者の方についても配慮しなければならないのではないでしょうか。事業者といっても、大企業ばかりではなく、中小零細企業に至るまでいろいろあると思いますので、行為地等を管轄として認めるのは、私としては適切でないと考えております。
○枝野委員
被害者は加害者を選べないんです。加害者は被害者を選べるんです。被害者は、北海道で住んでいようと沖縄で住んでいようと、営業マンがやってきて押し売りされたり詐欺的商法をされたり、その押し売りとか詐欺的商法をやってきた事業者は、どこに本店を置いて、どこに営業所を置いているかなんて関係なく、日本じゅうどこに営業所を持っていようが、日本じゅうどこにでも営業活動に行けるんです。どこに営業に行くのかというのは事業者が決めるんです。
事業者は、中小零細企業で小規模であれば、全国展開でなんかそんな商売できませんし、しませんよ。日本全国どこでも裁判管轄があり得るということは、日本全国に悪徳商法を展開している業者なんですよ。何でそこが、自分が勝手に選んだ裁判所の裁判ができる、明らかに不合理じゃないですか。
○猪口国務大臣
まず、制度の基本設計の考え方として、個別の事件に着目したといいますよりは、個別の事件を離れた不特定多数、消費者全体の利益擁護を目的としているのがこの制度設計の基本にありますので、そこはどうか御理解いただきたいんですね。
ですから、個々の消費者の被害地に着目したり、そのことに着目するというよりも、そこからさらに拡大し、発生し、類似の複数の被害が波及していくということを防ぐために、消費者全体の利益擁護を目的としている制度でございます。
○枝野委員
だから、まさにその全体の公益のことを考えたときに、こんな制度じゃおかしいでしょう。
例えば、本店の登記を那覇市なら那覇市に置いておく、本店の登記は那覇市にあるけれども、全国キャラバンしながら悪徳商法をやっている、そういう業者がありました。だけれども、それは関東地方をキャラバンしながらやっていました。でも、本店所在登記地は那覇市ですといったら、被害は関東地方でしか発生していないのに、那覇地方裁判所で裁判を起こせ、それが世の中全体のためだ、大臣はそうおっしゃっているんですよ。
○猪口国務大臣
制度を設計いたしますときは、事業者と適格消費者団体が公平に攻撃防御を尽くせるという仕組みにしておく必要があると考えます。そして、先ほどから何度も枝野先生に何とかわかっていただこうと思いまして説明している、これは、消費者全体の利益擁護であって、個別の、個々のという着目点とは違う制度設計の基本の考え方をとっております。
○枝野委員
いいですか、個別の被害者の救済じゃないというのはよくわかりましたよ。個別の被害者の救済だったら、被害者の被害行為が起こったところで、その事業者がどこに本店があろうが、本社があろうが、日本全国の裁判所で裁判を起こせるんです。
特に、消費者団体訴訟損害賠償請求を政府は認めないんですから、我々の案のように団体訴権を認めれば、そうした損害賠償請求訴訟についても一カ所で集約してできるんですが、ところが、政府案のように、それを認めていないから、日本全国の裁判所で、むしろ個別に裁判を起こすんです、北海道から沖縄まで自分の住んでいるところで、損害賠償については。
ところが、まさにこれは個々の被害者のためではなくて、消費者全体、被害の拡大を防止するという公益的な目的のためにやるんです。だから、最もその公益的な目的を果たし得る場所で裁判をやればいいんです。
例えば、先ほど申しましたとおり、実際の悪徳商法は関東地方一円でやっております。でも、ほかの地域ではやっておりません。だけれども、事務所、事業所だなんというものを置くと危ないからといって、本店は例えば沖縄に登記上は置いています。そうすると、沖縄地方裁判所で裁判を起こしても、そこでは、例えば証人を呼ぶにしても証拠の収集をするにしても、何するにしても全く合理性がないんですよ、被害が生じているのは関東地方だけなんですから。
とすれば、公益のためにも、その被害の生じているところのどこかの裁判所でやれば、被告にとっても原告にとっても、まじめに攻撃防御をするということであれば、一番合理的じゃないですか。何でそのことを認めないんですか。
○猪口国務大臣
まず、裁判の過程におきまして、その被害の拡大の範囲ということも明らかになるのではないかと思います。
そして、やはり先ほどからお伝えしていますとおり、個別の事件を離れた消費者全体の利益擁護のための制度でございますので、また、事業者と適格消費者団体の間での公平な攻撃防御の機会ということを考えますと、今お伝えしたような制度設計になるのでございます。
○枝野委員
何が公平なんですか。つまり、事業者の側は、自分の都合のいいように、裁判をやりにくいように、幾らでも自分で勝手に裁判所を選べるんですよ。
ちなみに、大臣、わかっていますか。これは、法務政務官はわかっているでしょうから、大臣に聞きますけれども、この民事訴訟法五条五号の営業所、事務所の所在地は、いつの時点の営業所、事業所所在地なのか御存じですか、大臣。
○猪口国務大臣
訴えの提起時でございます。
○枝野委員
わかっていらっしゃるんだったら、いいですか、もっと極端な例を言いましょう。
関東地方で悪徳商法をさんざんやりました。そろそろ、何か適格消費者団体も気づいてきたみたいだし、裁判を起こされそうだ。危ないといって、では九州に移して、今度は九州で同じことをやりましょう。現実にたくさんあるケースですよ。このときに裁判所はどこですか。
○猪口国務大臣
営業所でございます。
○枝野委員
いつの、どこですかと聞いているんですよ。
いいですか、東京で、関東で悪徳商法をやっていました。ところが、裁判が起こされそうだというので、そこは引き払って、今度は福岡か何かに事務所を置いて、そこでじわじわと悪徳商法を始めましたという時点で、さあ、裁判を起こそうと思ったら、福岡地方裁判所じゃないですか。
○三ッ林大臣政務官
九州になると思います。
○枝野委員
それが、当事者間の公平という観点からも、それから、ここは個々の被害者の救済ではない、つまり公益的な見地から差しとめなきゃならない。そのために、本当に差しとめが必要なのかどうかという、その証拠関係とか、ほとんど関東にあるじゃないですか。それを何で福岡地裁でやることが合理的なんですか、説明してくださいよ。
○猪口国務大臣
先ほども議論いたしましたけれども、事業者にとってのことも考えなければいけない。そして、それは大企業ばかりではなく、さまざまな企業があるということでございます。
また、いずれにしましても、個別の事件を離れた消費者全体のための設計でございます。そして、先ほどからお伝えしていますように、事業者と適格団体との間におきます攻撃防御を公正に尽くせるという観点から考えますと、このような設計にならざるを得ないと思います。
○枝野委員
今のように、東京で悪徳商法をがんがん展開して、それで、そろそろやばい、裁判を起こされそうだからといって、今度は九州だとか、今度は北海道だといって、そっちに全部移してしまった、その事業者の便宜のために東京では裁判を起こせない、これが正しいことだと大臣はおっしゃっているんですよ。いいんですね。
○猪口国務大臣
先生は悪徳なる行為をしているという前提でお話しになっていらっしゃいますけれども、裁判の過程においてしか本来はそれは明らかにならないことではないかと思います。
○枝野委員
また詭弁が出てきましたね。
いいですか、例えば事業者に対する嫌がらせで、全然事業者と関係ないところで裁判を起こそうと思ったら、こんな消費者団体訴訟なんて使わなくても簡単に起こせるんですよ。勝ち目のない裁判でも、とにかく裁判を起こすという嫌がらせをやろうと思ったら、日本の裁判制度というのは、裁判を起こすこと自体は、日本全国どこでも自由に起こせるんです。そこに裁判管轄があるかどうか、裁判所が判断をして、そこではねのけられるケースがたくさんある、たくさんでしょう。
でも、少なくとも、例えば、ここで不法行為を受けました、ここで契約を締結しましたといって、損害賠償請求訴訟を起こせば、日本全国どこでも裁判を起こせるんですよ。嫌がらせとして、つまり、本当は、善良な事業者に対して嫌がらせ的に裁判を起こすということだったら、こんな面倒くさい裁判なんか起こす必要全然ないんだから、この制度をどうつくろうと、それは日本じゅうのどこかの裁判所で勝手に起こせるんですよ。そのことをわかっていますか。
○猪口国務大臣
先生の御議論されていますことは個別のことでございます。
この制度設計は、消費者全体の利益擁護のために差しとめ請求権を適格消費者団体に認める、そういう制度設計の基本の考え方の違いを御理解いただければありがたいです。
○枝野委員
いいですか、政府案では、裁判を起こす原告は、皆さんが大丈夫だと認可をした人たちしか裁判を起こさないんですよ。
いいですか、本当は関東地方で一万件の悪徳商法をやっていて、福岡でたまたま一件だけありましたから、福岡で裁判を起こすだなんということをする適格消費者団体をあなた方は認可するんですか。
○猪口国務大臣
私、やはり自分のここまでやってきました答弁に戻るしかないと思うんですね。
やはり、事業者と適格消費者団体の間の公平性を確保するということから、このような制度設計となっています。
○枝野委員
最後にしますけれども、もう一回、ちゃんと聞いてくださいね。いいですか、ちゃんと聞いてくださいね。ちょっと、聞いてから、時計とめて、後ろから説明聞いた方がいいですよ。ちゃんと聞いてくださいね。いいですか。
確かに、被告になる事業者と裁判を起こす側との公平公正を保たなければいけないです。ですから、被告の側としても、全然予測可能性もない、とんでもないところで裁判を起こされたら、それは事業者は困るでしょう。だけれども、事業者は、どこで営業するのかということを自分で選択しているんです。
うちは中小零細企業だから、何とか町のエリアでしかやらない、その周辺でしかやらないという選択をするのか、それとも全国展開をして商売するのかということは、事業者の側が自分で選択をしているんです。中小零細企業であれば、全国展開しませんから、行為の行われた地を裁判管轄にしても、それとも事業所の所在地を裁判管轄にしても、基本的には一緒になるだけなんですよ。
それで、自分の事業所のないところで裁判を起こされるかもしれないということは、自分の事業所のないところまで営業を幅広く展開している業者だけなんですよ。だから、それは、自分が判断して営業展開をした範囲のところにおいて裁判を起こされるというリスクは、当然負っていただかないといけないんですよ。
さあ、その上で、裁判を起こす適格消費者団体の立場から見てみましょうということで、先ほどの話なわけですよ。
今の政府案では、関東地方で悪徳商法を展開したけれども、危ないと思って、さっさとトンズラをして、別のところで同じことをやっているという業者がいたときに、裁判はその移った先でないと起こせないんですよ、わざわざ。アンフェアじゃないですか。
公平ということだったら、基本的に、一番悪徳商法が最も中心になって行われた地の裁判所で裁判するのが、それが悪徳商法だ、消費者契約法違反だということを訴えて、それを裁判所で証明する側にとっても、いや、そんなことないんですよ、私たちはまじめに真っ当な商売をしていたんですよという反証する側にとっても、その営業活動が行われていた地域が、一番公平に、的確に証拠の判断ができる、収集ができる地じゃないですか。違いますか。
○猪口国務大臣
先ほども、そのような場合においては、全国津々浦々、あらゆる地において提訴が可能になるわけですよ。ですから、行為地の管轄という考え方をとりますと、やはり予測可能性が著しくなくなるわけでございますから、そのような問題を、事業者と適格消費者団体間の公平性ということを考えるときに考えなければならない。
それから、中小企業の活動について先生御議論されましたけれども、今日の時代ですと、インターネットなどを通じて、一定の地域だけということではない可能性もございます。
○枝野委員
いいですか、全国展開しちゃったら、全国のどこで裁判を起こされるかもしれない。それは、この法とは違う個別の被害救済のためでありますけれども、個別の被害救済のための裁判は、日本全国に営業していれば、日本全国どこの裁判所で起こされるかわからない、初めから事業者はそういうリスクを負って商売をやるんですよ。違いますか。
インターネットで物を売りますという商売をやっている人は、例えば悪徳商法じゃなかったとしても、例えば瑕疵担保責任に基づく賠償請求なんかにしても、日本全国どこの裁判所で起こされるかもわからないというリスクは初めから負って、全国展開で営業しているんですよ。だから、どこの裁判所で裁判を起こされるかわからないということは、実は説得力が全くないんです、初めから別の裁判を起こされるんですから。
さあ、これで、本件は個別の被害の救済じゃありませんと何度も繰り返していらっしゃる。個別の被害の救済じゃありません、まさに公益的な見地からです。公益的な見地からやるんだから、政府は、裁判を起こせる原告適格を、適格消費者団体を、しかも認可制にして、本当に皆さん自身が、政府自身が中立公正にきちっとやりますということを認めたところにしか裁判を起こせないようにしているんですよ。そのところが、嫌がらせのように、実は件数は余りないんだけれども、被告にとってここは不便そうだからここの裁判所で起こしましょうかなんてばかなことやったら、認可を取り消せばいいじゃないですか。
基本的には、一番被害者の多い、一番事件の中心になったところの裁判所で起こすに決まっているじゃないですか。認可制じゃなくたって、登録制だってそうしますよ。もし、嫌がらせのように、事件とはほとんど関係ないんだけれども、たった一件被害者がいましたなんてところで裁判を起こしたら、多分、我々の登録制だとしても、登録取り消し事由になるんじゃないかと思いますよ。まして、皆さんの認可制だったら認可取り消しですよ。そういうことでちゃんと担保できているんですよ。
ところが、政府案では、事件の中心になった裁判所ではできない、そういう仕組みをつくっちゃっているんですよ。おかしいと思いませんか。
○猪口国務大臣
まず、営業所あるいは事務所、問題とされるそういう勧誘行為を行う場合、そういう従業員等もそこに所在するでありましょうし、あるいは約款でありますとか契約書、そういうものも存在するのが通常であります。
そして、やはり私は基本に戻らないとなりません。それは、個別の消費者あるいは事件ということに対応しようとしている、そのような制度ではなく、これは、そういう意味では画期的な、消費者全体の利益擁護をするために、まさに直接の被害者ではない第三者である適格消費者団体が差しとめ請求をできる、そういう制度にしているわけでございます。
先生の御議論は、特定の被害あるいは被害の発生しているところというところに着眼されています。そういうことではなく、この政府案におきまして志している制度とは、不特定多数、消費者全体の利益擁護を目的とし、また被害の拡大を制度全体として防げることをねらいとしているのでございます。
○枝野委員
話をちゃんと聞いてください。私は、例えば日本全国津々浦々で被害が発生する、そういうケースはあるでしょう、日本全国津々浦々で発生するから、たまたま被害者が一人いましたという裁判所で裁判を起こせなんて言っていないんですよ。いいですか、ちゃんと聞いてください。
私は、被害者が全国津々浦々にいるから、だから、被害者がたまたま一人いました、そこの裁判所でも裁判を起こせるようにするのがいいことだなんて言っていないんですよ。政府案では、被害者の九九%が東京にいても、事務所の所在地が沖縄だったら那覇地裁でやらなきゃならなくなるんですよ。それがおかしくないですかと言っているんですよ。違いますか。
事件の九九%、営業活動の九九%が東京で行われているのに、那覇地方裁判所でないと裁判が起こせません、この制度が合理的だというんだったら、そう答えてください。
○猪口国務大臣
被害者の九九%が一定の地域におられるということは、裁判の過程においてしかわからないことだと思います。
○枝野委員
今の話じゃ話にならないですよ、民事訴訟法の基本のイロハのところからやり直さないと。民事訴訟法をどう考えているのか。
当たり前じゃないですか、被害者が被害者であるかどうかを確定するのが裁判なんですよ。だけれども、裁判を訴えるときに、被害者はこういう人たちですということについて主張をした、その人たちのところで裁判を起こしましょうと言っていることが何でおかしいんですか。それだったら、まさに民事訴訟の基本原則を全部変えなきゃいけないですよ。被害者であるかどうかは裁判で確定されるんだけれども、被害者であると訴える人は、被害を受けた地で裁判を起こせるというのは民事訴訟の基本原則ですよ。だから、今の答えは答えになっていないじゃないですか。
被害者の九九%が東京でしたというのは、裁判の結果確定されるかもしれません。しかしながら、事件の実態として申し上げているんですよ。
では、正確に言いましょう。いいですか、ちゃんと聞いてくださいね。事件の実態として、当該問題となっている法律行為の九九%が東京で行われていても、例えば那覇地方裁判所でないと裁判が起こせないというこの制度が合理的ですか。合理的だとあなたは言っているんですよ、いいんですか。
○猪口国務大臣
先生がおっしゃるような、そういう不合理なことをやっていることではございません。それは、個別の訴訟とは考え方として非常に違うものを制度設計しているので、画期的な制度であるわけでございます。
○枝野委員
ちょっと整理をしてください。いいですか、今の答弁はどういうことか。私が申し上げている、問題となっている、差しとめが必要であると訴えの対象になっているような法律行為の九九%が東京で行われていても、東京では裁判が起こせず、那覇地方裁判所でないと裁判が起こせない、こういうケースがあり得るということを認めているんですよ。そのことについて、それは仕方がないとあなたはおっしゃっているんですよ。それでいいんですねと聞いているのに答えがない。どうでしょうか。
○佐藤委員長
枝野委員に申し上げます。質疑時間が終了しておりますので、御理解を願います。
○枝野委員
では委員長、これはもう一回質疑に立たせていただきますので、きちっと、大臣のところ、役所で話を整理してください。
それから、これは本当に民事訴訟の基本中の基本原則にかかわる話なので、きょう政務官に来ていただいて、大変有意義な御答弁をいただきましたが、もし今のような答弁の線で物事を進められるんだったら、これは民事訴訟法の問題ですよ。ですから、ぜひ法務委員会と合同審査していただいて、法務大臣と並べて、きちっと、そんな民事訴訟の原則でいいのかどうか、ちゃんと議論をさせる時間を二時間ぐらいみっちりとらせていただきたい、そのことを申し上げて、きょうはこれだけにしておきます。
○佐藤委員長
ただいまの御意見は承らせていただきますが、午後の審議の中におきましても続くならば、やるように。
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時九分休憩
――――◇―――――
午後一時六分開議
○佐藤委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。枝野幸男君。
○枝野委員
整理をされてこられたんだと思いますので、もう一度お尋ねをします。
今の政府案ですと、先ほども例に挙げました、例えば東京周辺、首都圏で法律行為を行った、ほとんど九九%、いや、一〇〇%首都圏で法律行為を行ったというケースであっても、何かの事情でその業者が拠点を全部、例えば九州なら九州に移してしまって、東京にはもう事業所は残っていませんということになれば、これは東京地方裁判所で裁判を起こしたくても起こせない、こういう法制度になっていますね。まず、このことを確認します。これで間違いないですね。
○猪口国務大臣
そのとおりです。
○枝野委員
大臣は、これが公平であり、あるいは、公益的見地から差しとめ請求訴訟をやるそのやり方として適切である、こういう価値判断に立っておられる、こういうことになるわけです。それでよろしいんですね。
○猪口国務大臣
午前中も答弁いたしましたけれども、管轄裁判所については、事業者と適格消費者団体が公平に攻撃防御を尽くせるという観点から、被告事業者の普通裁判籍所在地を管轄する裁判所を基本としつつ、あわせて、実体を伴う営業所所在地等による管轄を認めるのが適当であると考えます。
また、個別の事案において、実体を伴う営業所の所在がどこにあるかにつきましては、これは適格消費者団体によって訴えが提起された裁判所で判断されることでございます。
○枝野委員
助け船的に少し申し上げますが、先ほども申しましたとおり、被告の営業所所在地というのは、裁判を起こす時点の営業所所在地なんですよ。行為が行われたときの営業所所在地じゃないんです。そして、大部分の普通の業者は、そもそもこの法律の対象外なので関係ないんですよ。
悪徳商法を行うような業者は、まさに一カ所でやり続けていると、いろいろぼろが出る、足がつくということもあって、転々と拠点を移していくということが当たり前に存在しているんですよ。それで、例えば東京なら東京を拠点に、半年なら半年わっと悪さをして、いや、別に悪さじゃなくてもいいんです、悪さかどうか決めるのは裁判所ですから、一定の営業活動をして、もうこの辺は食い尽くしたから、では、そこの事業所を完全に閉じてしまって、今度は大阪だ、今度は福岡だということが現実にあるんですよ。
にもかかわらず、裁判を起こす時点での営業所所在地ということになると、事件が起こったところでは裁判が起こせないという不合理なことになるんじゃないんですか、このことを申し上げているんです。
それでも仕方がないと大臣はおっしゃるんですね。
○猪口国務大臣
枝野先生御指摘のような事例もあるかもしれませんが、いわゆる悪徳事業者だけを対象にしている制度設計をやっているわけではございません。また、もう繰り返しませんけれども、個別事例のことではないという議論は午前中もし尽くしましたので、それは繰り返しませんが、個別の事案において、実体を伴う営業所の所在がどこにあるのか、これを判断するのは、適格消費者団体の訴えが提起されたところにおいて、その裁判所で判断されるわけですから、その適格消費者団体が訴えを起こすというときにその判断があるということです。
○枝野委員
後段の方、何をおっしゃっていたかよくわからないんですが、前段の方の話ですけれども、確かに、悪徳業者以外の人たちも被告にされる可能性はあります。でも、この人たちにとっては、つまり、普通の事業者というのは、事業所の所在地が固定していて、そして、そこを拠点にして営業活動をやっているということなので、普通に考えたら、法律行為の行われた地と営業所所在地というのが一致するのが一般的なんです。
ところが、まさにそういうケースもあるかもしれませんがと大臣がおっしゃられた最も悪質であることが疑われるケース、それが転々と営業拠点、営業所を移しながら次々と悪徳商法を展開していくという、最も悪質で最も差しとめ請求でしっかりと被害の拡大を防止しなきゃならないケースこそが、そういうケースもあるかもしれませんがと言ったケースなんです。
その一番厳しく対応しなきゃならないところがすり抜けることができるというこの中身になっていても、仕方がないということを大臣はおっしゃっているんです。だけれども、そういうケースもあるかもしれませんがと、あるかもしれません、では、そのケースにどう対応するんですか。
○猪口国務大臣
すり抜けるということでは決してありませんで、適格消費者団体は、そのような行為を行っている事業者に対する消費者全体の利益を擁護し、さらなる被害の拡散を防ぐための訴訟を起こすのでございます。
○枝野委員
裁判管轄の話をしているんです。どこで裁判を起こせるのか。
つまり、東京で消費者被害が発生している、それは、被害というのは先ほどの話だと裁判で確定するというんだったら、一定の法律行為や営業活動がなされている。大丈夫ですか、聞いていなくて。
東京で営業活動が行われていました、ところがその事業者は転々と事務所の所在地を変えて営業している。例えば、東京を中心にして大規模な被害があるということで、拡大を防がなきゃということで適格消費者団体が裁判を起こそうとしたら、もう東京は全部引き払ってしまって、今度は那覇で同じようなことをやっているといったときには、那覇地方裁判所でないと裁判が起こせないんです。いいですか。
那覇地方裁判所で裁判も起こせるかもしれませんが、それでいいかというと違うんです。裁判を起こしたら、こんなふうにおかしな営業活動をしていましたということを裁判所で立証しなきゃいけないんです。その証人はほとんど東京近辺にいるんです。それを、みんな沖縄まで足を運んで裁判所で証人に立てということを大臣は迫っているんです。それでも構わないというんだったら、構わないと答えてください。どうぞ。
○猪口国務大臣
まず、適格消費者団体は全国的な規模で活動する団体が生まれてくる可能性も十分にございます。
また、先ほどお伝えしましたように、実体を伴う営業所の所在地がどこにあるかについては、適格消費者団体によって訴えが提起されるわけですから、その段階で判断されます。
○枝野委員
延長までしてやってきましたが、話がわかっていないんじゃないですか。あなたがつくっている、提出している法律なんですよ。
適格消費者団体が東京地方裁判所に裁判を起こしても、あなたのつくった法律で、そこに裁判を起こした時点での営業所、事業所がなければ、その訴訟は、これは却下ですかね、されるんですよ。実体審理に入らないで飛ばされるんですよ。違いますか。それでいいんですか。いいんですね。
○猪口国務大臣
午前中から答弁申し上げているのですけれども、そもそもの制度設計の基本が、個別の事案に即してあるいはそれに着目して行うといいますよりは、消費者全体の利益擁護の観点から、そして被害の拡大を防ぐという観点からですので、個別の事件、事案あるいは個別の被害の発生した地、そういうところに注目しながら設計することは適当でないと考えているわけです。
○枝野委員
この法律のどこに全国規模の被害しかやらないなんて書いてあるんですか。地域的な、限定的な被害の拡大を防止することもこの法律の対象でしょう。北海道でも沖縄でも被害が起きている事件しか扱わないというんだったら今の話はわかりますよ。ところが、この法律は違うんです。ある特定地域だけで問題が起こっているというケースも対象にしているんですよ。ところが、その問題が起こっている地域じゃないところで裁判を起こせとあなたは言っているんですよ。そうでしょう。認めますね、それは。
例えば、東京だと例が悪いかもしれない、例えば埼玉で起こっています。例えば埼玉限定で悪徳商法的なものが行われている。でも、その裁判を起こすのに、それが地域限定の悪徳商法だとしても、例えば営業所在地が大阪に移っていたら、大阪地裁じゃないと裁判を起こせない、あなたの出している法律はそういう法律なんです。わかっているんですか、それを。
○猪口国務大臣
原告が主張する場合には、被告はその管轄裁判所で応訴せざるを得なくなります。なりますので、この場合、大量の消費者を相手方とする消費者取引の特性にかんがみますと、管轄裁判所の主張が無限定に拡張されるおそれがあるということでございます。
ですから、被告となる事業者にとって、その負担についても予測可能性を考えなければなりませんので、その予測可能性を害することから、これを認めることが適当でないと考えているわけです。
○枝野委員
何度繰り返しても、それはしようがないんですねというお答えがいただけないんですよ。しようがないんですねというんだったら、しようがないのでと答えていただければいいだけです。
そういう悪徳業者が自分たちの都合のいいところで裁判できるようにしても、するのは仕方がないんだというなら、仕方がないで結構なんですが、今の答弁なんかむちゃくちゃじゃないですか。
それは相手が応訴すれば、応訴してくれればどこの裁判所でもいいんですよ。応訴してくれないから問題なんですよ。だから、わざわざ何でこんな遠くで裁判を起こさなきゃいけないんだ、こういう話になるわけですよ。
もうきょうはこれだけにしますので、よく検討してきてください、副大臣はよく御理解をいただいているように思いますので。
必ずしも、一般的な民事訴訟の管轄の原則に戻せと私も言うつもりはありません。いろいろ知恵はあるんだろうと思います。
これは、それこそ法務省とよく御協議いただかないといけないと思いますが、例えば当該差しとめ請求の対象となる行為が中心的に行われたような地域に限定する。例えば、八割は埼玉県で行われているけれども、ごく一部、北海道や沖縄でもやっています、それが北海道や沖縄の裁判所でできるというのは、それはちょっとしんどいかなというのはあるかもしれない。だけれども、やはり八割埼玉で行われているのを差しとめるんだったら、大阪地裁とか青森地裁というのはおかしいですよね。そこは原則に戻せと言うつもりはありませんから、そういった方法を来週の質疑までにしっかりと御検討をいただきたいということを申し上げて、後の仲間の質疑者に譲りたいと思います。
ありがとうございました。
<他の議員の発言部分省略>