[民主党消費者契約法(団体訴訟制度の導入)の提案者として答弁]
○枝野委員
残りの三問について、私からお答えをさせていただきます。
まず、適格消費者団体、どんな団体に適格性を与えるのかという論点でございます。
私たちは、質問者の質問にもございましたような趣旨から、できるだけ幅広く適格消費者団体を認めるべきであるというふうに考えております。なぜ、民間でできることは民間でと言っている政府側の案がそうなっていないのか不思議だなと思っておりましたが、先ほどの質問を聞いておりましたら、行政の対応こそが一番重要であるなどという質問が入っておりまして、ああなるほど、やはり民間でできることは民間でというのはうそなんだなということがよくわかりました。
つまり、本来であれば、まさに当事者である消費者の方がみずからの権利を救済する、それが民間でできることは民間での原則であります。しかし、先ほど来の御指摘のとおり、消費者と事業者との間では明らかに力関係の差がありますから、個人の消費者だけでやってください、これでは不公平になる。
だから、その個人の消費者ができるだけ集まって協力をして、つまり消費者団体という形でその権利をしっかりと行使する、そして、それではどうしてもできない件に限って行政が対応する、これが民間でできることは民間でということであるならば、当然のことではないかと私は思うものでありますが、だとしたら、できるだけ幅広く消費者団体に適格性を与えて、当事者の皆さんが協力をして自分たちの権利を守るという余地を、弊害がない限りは最大限認めるのが当然である。こういう観点から、私どもは、政府案とは特に三つの点が違っております。
一点目は、適格性判断の仕組みであります。
政府案は、内閣総理大臣による認定制、つまり、行政による裁量によって、こっちはオーケー、こっちはだめということを内閣総理大臣が判断できる、こういう中身になっております。私たちは、まさに行政の不当な介入の余地をつくらないということで登録制という制度にしています。そのかわり、登録の要件についてしっかりと法律に明記をしまして、おかしな団体が登録をされることがないように、しっかりと弊害除去の手当てはしております。
二つ目、適格消費者団体の要件として、政府案には、特定非営利活動法人や公益法人であることという限定、あるいは弁護士、司法書士その他の法律に関する専門的な知識経験を有する者が確保されていることといった厳しい要件をつけております。
訴訟を起こすときには、それは弁護士を依頼することはあるかもしれませんが、必ずしも組織の内部に法律の経験者がいる必要はない。あるいは、現実社会において、消費者の皆さんの権利擁護のために消費生活協同組合や中間法人などが現に活動しているという実態をしっかりと踏まえるならば、あるいはまた、それぞれの地域ごとに、事件の態様に応じて、比較的小規模な団体でも他の要件を満たしているならばこうした訴訟が起こせるようにということで、私たちは、こうした余計な要件は設けておりません。
三番目には、先ほど来これは繰り返し出てきておりますが、私たちは、損害賠償請求権の行使も適格消費者団体に認めております。ただし、差しとめ訴訟においては、これは後でも申し上げますが、その判決の効力は限定的なものでありますが、損害賠償請求訴訟を認める場合には、逆に、その判決の効力を直接の当事者以外にも幅広く認めなければならない。その分、万が一にも弊害があってはいけないという、その厳しさはより強いわけでありますから、ですから、差しとめ請求の要件としての適格性は先ほど申し上げたようにできるだけ幅広く、ただし、損害賠償請求に当たってはそこはしっかりと限定をさせていく。
しかも、その限定をさせていくやり方として、行政の裁量ではなくて、裁判の現場において、裁判所においての許可を必要とするということで、不適切な団体による損害賠償請求訴訟の遂行がなされない担保をしっかりとつけているところであります。
二つ目のお答えです。
裁判の効力がどこまで及ぶのかということで、政府案においては民事訴訟の基本原則を変えているという指摘がございます。私もそのように考えております。民事訴訟においては、判決の効力は訴訟の当事者にしか及ばない、これが大原則であります。したがって、その例外を設けるのであるならば、その必要性と合理性が十分に吟味をされなければならないと思っております。
民主党案においても、損害賠償請求においては、その判決の効力を当該適格消費者団体が当該訴訟において代表すべき消費者すべてに及ぶとしておりまして、判決の効力を直接の当事者以外に及ぼすという例外を設けております。
しかし、これは、損害賠償等請求訴訟の趣旨が、個々人では訴訟を起こすことが困難である消費者にかわって適格消費者団体が訴訟を起こし、勝った場合にはその反射的効果として訴訟の当事者ではない個々の被害救済がなされるという以上は、勝訴した場合だけではなくて敗訴した場合にも当然その効力が及ばなければ不公平ですね。こういう必要性に基づいて、しっかりと、敗訴の場合でも勝訴の場合でもそこまで影響を及ぼすことにする。
ただし、この場合も、本人が知らないところで勝手に裁判を起こされてその判決の効力を及ぼされる、これではかないません。したがいまして、こうした効力を及ぼす前提として、当該適格消費者団体によって訴訟遂行されることを望まない被害者に対しては、裁判所による公告の手続がなされ、除外の申し出を認めております。この除外の申し出をした者には判決の効力は及ばないということで、しっかりと、この人たちには代表されたくないという人たちの権利も守るということで、実態に合った対応をさせていただいております。
しかし、政府案の差しとめ訴訟においては、こうした形で民事訴訟の例外を設ける必要性には乏しく、また、当該適格消費者団体によって代表されることを望まない被害消費者の権利を公正に保障するための手続も確保されておりません。にもかかわらず、そこに判決の効力を及ぼすというのは、明らかに不当であります。
なお、乱訴、裁判がたくさん起きて事業者の正当な利害が害されるおそれを強調する見解がありますけれども、これも訴訟の実態をわきまえない暴論であると思っております。
仮に差しとめ請求訴訟の効力を、後に及ぶ、幅広く及ぶとしたとしても、裁判を起こすことはいろいろなやり方でやりようがある、乱訴をしたい人はできるわけで、いずれにしても、それは門前払いをされる。こういう規定を置いていなくても、現実的には、他の訴訟で明確な手続のもとで払われているような訴訟をだれか別の人が起こしても、事実上門前払いをされる。結局一緒なんであって、抽象的なリスクのことだけを指摘して、具体的にそんな問題があるのかという指摘は実は一切されていないということを申し添えておきたいと思います。(拍手)
最後の質問でございますが、差しとめ請求の裁判の管轄でございます。
これも、民事訴訟の基本原則、例えば不法行為などにおいては、あるいは契約においては、契約の当事者の地あるいは不法行為の行われた地、ここで裁判が起こせるというのは当たり前、当然のことでありまして、なぜ本件に限って事業者の営業所等の所在地に裁判管轄を限定しているのか。それをどうしてもやるならば合理的な根拠が必要でありますが、それはとても考えられないと思っております。
例えば、営業所は東京一カ所ですという事業者が全国にダイレクトメールを送って営業する、たくさんあるケースじゃないですか。あるいは、営業所は東京一カ所にしか置いていないけれども、さあ北海道に出張させ、沖縄に出張させ、そこで不当な勧誘行為をしているというケースはたくさんあるわけじゃないですか。では、そこの、例えば沖縄の被害者の方が東京地方裁判所で裁判を起こさなければならない、北海道の方が東京地方裁判所で裁判を起こさなければならない、どこに合理性があるのか。特に地方の出身の議員の皆さん、冷静に考えていただきたいというふうに思っております。
しかも、民事訴訟の理屈からいえば、事業者の側は、自分の意思でどこに営業所を置くかを決めて、なおかつ、そこに営業所があるからといってその地域に限定して営業するだけではなく、自分の判断で全国各地いろいろなところに行って営業しているわけです。被害者の側は、例えば、たまたま家にいただけなのにダイレクトメールが送られてきて、それによって被害に遭う。その送ってきたところの事業所が近くにあるのか遠くにあるのかといったことは、被害者にとっては何の関知をする問題でもありませんので、こうした公平の観点からも、当然のことながら、行為が行われた地に訴訟管轄を認めるというのは当然であって、これを認めない本提案は民事訴訟法の問題としても非常に不当であると私たちは考えておりますので、ぜひ、充実した審議の上で、政府案ではなく民主党案を成立させていただきたいとお願いを申し上げまして、答弁を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
<他の議員の発言部分省略>