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衆議院-法務委員会


平成17年10月28日

[犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)]

163-衆-法務委員会-9号

○吉野委員長代理

 次に、枝野幸男君。

○枝野委員

 今の平岡委員の質問の流れで、別の角度から同じようなことを聞いていきたいと思います。

 株式会社は、二条に言う「団体」には入りますね。いいですか。

○富田副大臣

 入ります。

○枝野委員

 株式会社の意思決定機関は何ですか、商法上。

○富田副大臣

 取締役会だと思います。

○枝野委員

 株式会社が取締役会でリフォーム詐欺をやろうということを決めたら、それは株式会社という団体の意思決定ではないですか。

○富田副大臣

 団体の意思決定という点に限れば、今委員御指摘のとおりだと思います。

○枝野委員

 三条の「団体の活動」の中の「団体の意思決定」をそれとは違う意味で解釈する根拠を説明してください。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○塩崎委員長

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○塩崎委員長

 速記を起こしてください。  富田副大臣。

○富田副大臣

 リフォーム詐欺をしようという取締役の決定が、会社全体としての、リフォーム詐欺をするんだというような意思決定になる場合もあると思いますので、その場合は、この三条の、共同の目的を有することになると思いますが、そうではない場合も当然考えられる。

○枝野委員

 共同の目的という関係は聞いていないんです。

 株式会社の意思決定機関は取締役会です。取締役会で、あることを決める。それは会社という団体の意思決定ですね。これは、商法上そうなりますね。そう副大臣もお答えになりました。その意思決定にはさまざまなものがあります。合法的なもの、違法なもの、いろいろなものがありますが、団体の意思決定であることには間違いありませんね。いいですね。

○富田副大臣

 団体の意思決定ということに限れば、委員がおっしゃるとおりです。

○枝野委員

 三条の「団体の活動」、括弧の中の「団体の意思決定」という場合に、今と日本語は同じなんですが、違うんですか、一緒なんですか。

○富田副大臣

 先ほどから申し上げているとおり、「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であります。したがいまして、犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要というふうに理解しています。

○枝野委員

 質問にちゃんと答えてください。僕はそんなこと聞いていないんです。団体の活動の定義の中に「団体の意思決定」と書いてあるので、その団体の意思決定の定義を聞いているんです。

 団体の意思決定の定義といったときに、今の商法上の取締役会で決めるというのが団体の意思決定だ、株式会社ならば。それが商法上の団体の意思決定ですよね。それとこの三条の括弧の中の「団体の意思決定」と違うなら、どうして違うのか、どういう根拠で違うふうに読むのかを説明してくれと言っているんです。

○富田副大臣

 私の頭が悪いのかもしれませんが、どうも先生がおっしゃっていることを正確には理解できないんですが、会社が取締役会で意思決定するのは、それは確かに団体の意思決定。この三条に書かれている「団体の意思決定」も、その限りでは同じ言葉ですが、この組織犯罪処罰法では、犯罪行為を行うということを団体の意思決定に基づいて行うというのを考えているわけですから、そういう意味では、会社でいろいろな意思決定がされますが、その会社全体として犯罪行為をやるんだということになれば、ここにストレートに当たってくるというふうに考えられます。

○枝野委員

 ですから、法律の条文というのは日本語ですよね。日本語に基づいて、団体の意思決定という言葉の、普通の日本語としては、例えば株式会社ならば、取締役会で決定したことが団体の意思決定だ、これはそうですよね、日本語としては。

 今、副大臣は、この三条で言う「団体の意思決定」は違う意味なんだとおっしゃっているんですよ。そうですね。(富田副大臣「違う場合もある」と呼ぶ)違う場合もあると。だから定義が違ってくるわけですよね、違う場合があるということは。どうして同じ日本語なのに違う読み方をするのか、その根拠はどこにあるんですかということを聞いているんです。

 何らかの根拠に基づいて、ここでの団体の意思決定は普通の日本語の意思決定よりも狭く解釈しますということの根拠になる部分がなければ、日本語としては、普通の日本語としての団体の意思決定全部が入るに決まっているじゃないですか。どこに根拠があるのか聞いているんです。

○富田副大臣

 団体の意思決定という文言を切り取って考えれば、先生の御指摘のとおりですけれども、この三条に言う「団体の活動」、「団体の意思決定」というのは、これに基づいて犯罪行為を行うというのを前提としておりますので、全体として考えれば意味が違ってくる場合がある、それはもう当然だと思いますけれども。

○枝野委員

 ちょっと待ってください。この条文、団体の活動として犯罪を行ったから団体の活動が犯罪性を帯びるのであって、団体の活動そのものの定義の中にどうして犯罪性が入ってくるんですか。どこにも書いてないじゃないですか。

 「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。」と書いてあるんですよ。この効果、これによる利益が当該団体に帰属する、例えば、株式会社が取締役会の意思決定に基づいてリフォーム詐欺をやれば、その利益は株式会社に帰属しますから、後段は問題ないですよね。

 前段の定義は、「団体の意思決定に基づく行為であって、」ということしか書いてないんですよ。団体の活動の定義はこの括弧の中なんでしょう。だから、「以下同じ。」と書いてあるんでしょう。だから、この団体の活動の定義を聞いているんですが、ところが、その中に、それは犯罪を目的とするものであるなんということはどこにも書いてないじゃないですか。どうして勝手に解釈できるんですか。

 私がこの条文を解釈すれば、というか、私だけじゃないでしょう。これは日本語として普通に読んだら、取締役会で意思決定した、取締役会でリフォーム詐欺をやるということを決めた、そして、その結果もうかったものはその会社の利益になる、三条の団体の活動に当てはまらないという、そんな狭い解釈、勝手にしないでくださいよ。

 これは既に施行されている、我々は反対しているからこんな条文だめだと思うけれども、この法律は施行されているんです。警察が、抑制、謙抑的な立場からそういう運用をしない、していないということはよくわかります。しかし、法律の解釈として、どうして法律の条文の根拠がないのに、今みたいなものもちゃんと団体の活動には該当するとしないと。勝手に、国会のつくった法律を行政府が縮小して解釈している、こういうことになりますよ。違いますか。

○富田副大臣

 繰り返しになる部分があると思いますが、法案の共謀罪の構成要件は、団体の活動として行われる犯罪行為であり、かつ、犯罪行為を実行するための組織により行われる犯罪行為を遂行することを共謀することとなっております。

 ここで、団体とは、組織的犯罪処罰法第二条第一項において「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」等と規定されており、団体の活動とは、同法第三条第一項において「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。」と規定されている。これは、今先生御指摘いただきました。

 このような条文の規定からすると、「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であり、そのためには、当該犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要であるというふうに考えられます。

 言いかえますと、団体が有している共同の目的が犯罪行為を行うことと相入れないような正当な目的で活動している団体については、仮にたまたまその団体の幹部が相談して組織的に犯罪行為を行うことを決定したとしても、共同の目的を有する団体として意思決定したとは言えないため、「団体の活動として、」という要件を満たさず、共謀罪は成立しないというふうに考えられます。

○枝野委員

 同じことを繰り返して読まれても、今の説明になっていないんですよ。

 どうして、共同の目的に沿った意思決定じゃなきゃならないなんて書いてあるんですか。どこに書いてあるんですか。団体の意思決定は、共同の目的と、究極的には共同の目的のためかもしれないけれども、その共同の目的のための手段としていろいろなことを意思決定するんじゃないですか。違いますか。

 その中で、どこかで条文で絞ってあればいいんですよ、共同の目的に沿った団体の意思決定に基づく行為であってと書いてあれば、まだぎりぎり今の副大臣の説明は納得の余地があるかもしれない。しかし、そんなこと、条文のどこにも書いてないじゃないですか。

 団体の意思決定の中には、では、詐欺集団ではない株式会社が詐欺をやりましょうと取締役会で意思決定しても、それは団体の意思ではないんですね。いや、一般的な日本語としてですよ。

○富田副大臣

 ケース・バイ・ケースだと思います。

○枝野委員

 法律の条文は、限定的な例外がない場合、特別の定めがない限り、法律を通じて、違う法律であっても同じような意味で解釈すべきであるということは当然御存じですよね、副大臣。

○富田副大臣

 先生が言ったことをどこまで理解できたかわかりませんが、私が今聞いた限りではそのとおりだと思います。

○枝野委員

 したがって、先ほどの、その前の副大臣の御答弁は、株式会社が取締役会で意思決定したことであっても株式会社の意思決定にならない場合があるということをお認めになった。それで商法、会社法を解釈していいんですね。

○富田副大臣

 商法や会社法の解釈の場合の話をしているのではなくて、この法律の解釈をする場合に、今先生が御指摘のような場合であっても会社の意思決定にならない場合があり得るということを述べているだけです。

○枝野委員

 何でなんですかと聞いているんですよ。日本語をどう読んだって、団体の活動の定義の中には「団体の意思決定に基づく行為であって、」としか書いていないじゃないですか。いいですか。

 もっと丁寧に言いましょうか。団体の活動とは、いいですか、聞いてください、ちゃんと。いいですか。二条で団体の定義が書いてありますから、この括弧の中の「団体」を置きかえれば、団体の活動とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」の意思決定に基づく行為と書いてあるわけですよね。そこには、その共同の目的に沿った意思決定でなければならないだなんという限定は、日本語としてどうやって読めるんですか。

 「共同の目的」は「団体」にかかっているのであって、共同の目的を持っている人の集まりであれば団体です。その団体が意思決定をしたことが団体の活動です。その間のつながり、この「共同の目的」と「団体の意思決定」との間は、どの日本語でどうつながっているんですか。つながっていないじゃないですか。

○富田副大臣

 今、第二条を読んでいただきましたが、「この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われる」と書いてありますよね。「その目的」というのは「共同の目的」を当然指しますし、この共同の目的を継続的結合体の基盤にしているわけですよね。そういう意味では、共同の目的に沿うものでなければ、その目的を実現する行為にならないんじゃないの、逆にお尋ねするようになってしまって申しわけないんですが。条文を私が素直に読めば、そのとおりに読めますが。

○枝野委員

 ですから、その目的を実現する行為は確かにその「共同の目的」からつながっていていいですよ。だけれども、それは「団体」の定義にしかかかっていないじゃないですか、その団体がする意思決定についての縛りは日本語として何も書いていないじゃないですか。そうでしょう。ここに書いてある共同の目的を有するというのも、その目的を実現する行為というのも、全部「団体」にかかっているんですよ。

 「団体」というものを、すべてのいろいろな普通に言われている団体の中からこの法律における「団体」というのを限定するために、共同の目的とかその目的を実現する行為が組織的に反復ということが書いてあるのであって、それは「団体」の定義としてはそのとおりです。ところが、団体がこういう団体だからということについて幾ら制限がかかっていても、その団体がする意思決定というのはどうしてこの「団体」の定義によって制約されるんですか。

 団体がどういう意思決定をするのかということについて、いや、その団体の目的に沿った意思決定だけに対応するんですというんだったら、そのことを書けばいいんですよ。当該団体の目的に沿った意思決定についてというような趣旨のことを書くならば、先ほど来の副大臣の答弁は全部納得しますよ。しかし、その縛りが何にも書いていないから、普通に団体の意思決定といったら、目的に沿っていようが沿ってなかろうが、そうやって集まっている組織が集まって、その組織を使ってその組織に利益が属する形で物を進めましょうということを決めたら、それは団体の意思決定そのものじゃないですか。

○富田副大臣

 今、最後の部分はちょっとよく理解できないんですが、もともと先生がおっしゃっている、私が先ほど述べた条文解釈よりもっと明確にすべきだという点については、この委員会で御審議いただいているわけですから、より明快な手段があるのではないかという先生の御指摘はそのとおりだと思います。ただ、解釈としては、先ほど私が申し述べたようなのがこの条文の解釈になるというふうに法務省としては理解しています。

○枝野委員

 ですから、これは条文を変えなきゃいけない。少なくとも、あいまいなのは事実上お認めになっているわけですよ。いいですよ、法務省がそういう解釈をしてくださっているのは、これは悪いことじゃない。つまり、処罰の対象が無限に拡大しないために限定的に解釈をされている、運用をされているということについては、それは評価します。評価しますが、しかし、今の法務省や警察庁はそういう解釈をしているということだけであって、この条文を条文だけに基づいて解釈したら、先ほど来私が言っているとおり、団体の意思決定というものについては何の拘束もないんじゃないですか。

 副大臣に伺います。今の法務省の解釈は伺いません。この条文を、私が従来ずっと言ってきているとおり、この「団体の意思決定」には「共同の目的」はつながらないじゃないですか。つながらないという解釈をとったからといって、裁判で負けますか。

○富田副大臣

 今の枝野先生御指摘のような意見があることはもう十分承知しておりますけれども、私は法務副大臣の立場ですので、今の先生の質問に対して法務省としてしか答えられませんので、もうこれ以上の回答はできません。

○枝野委員

 ではまず、要するに、そういう解釈の余地もあるような法律はつくってあっても違憲無効だ。いいですよね。要するに、今の私の話は無視して、罪刑法定主義に反する法律、つまり、解釈が多義的で読む人によって解釈が分かれるような刑事法は違憲無効ですよね。

○富田副大臣

 もしそういう法律があれば違憲無効だと思いますが、決してこの法律がそういう法律になるとは思いませんし、先ほど来申し上げているように、先生の御指摘で、もっと明快に書けるではないかという御指摘があるのは承知しておりますので、それはもうこの委員会で御審議いただければと思います。

○枝野委員

 もう一つ。共謀罪の話が先ほど来、役所とかそれから普通の会社だったらとか、そういう話が出てきていますが、それとの関連で、この組織犯罪処罰法の「団体」というのは公然組織に限定されているんですか。

○富田副大臣

 限定されておりません。公然、非公然、両方入ります。

○枝野委員

 先ほど来のお話のとおり、ここに書いてある定義は、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」という定義を素直に読みますと、例えば前回以来ずっと出てきている役所の一部の組織、例えば、何とか課とか何とか署とかが組織ぐるみで裏金をつくりましょうだなんということを決めて、そして、従来その役所が持っている組織を利用して、その組織の指揮命令系統や反復性などを全部利用して、組織ぐるみ、つまり何とか署ぐるみとか何とか課ぐるみで反復、継続して多数人で行動をすれば、これは「団体」に当たりますよね。

○塩崎委員長

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○塩崎委員長

 速記を起こしてください。  富田副大臣。

○富田副大臣

 ちょっと今の御質問は、役所の中の一部の組織がそのような行為を行ったという前提でよろしいんですか、結果的に。

 一部ということを前提として御答弁させていただきますけれども、組織的犯罪処罰法におきまして、「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」をいいます。先生御指摘のような団体の中の部署がこれに当たるためには、その多数人の結合体がその所属する団体とは別個の独立した社会的存在としての実態を有するものであることが必要になるというふうに考えられます。

 御指摘のような団体の中の部署が団体とは別個の独立した社会的存在と認められるか否かは、個別具体的な事実関係、例えばその団体と部署との指揮命令関係、部署の位置づけや構成、その部署の活動によって当該部署や団体が享受する効果、利益などの事情を総合的に考慮し、社会通念に従って判断されるべきものであると考えられますが、現在の我が国の官庁や通常の会社の実態にかんがみますと、一般的には官庁や会社の中の一部署が団体と認められることは通常は考えがたいのではないかなというふうに思います。

○枝野委員

 正確に、もう一回お尋ねしますね。

 つまり、その前に私は、非公然組織も団体に当たりますねと確認しました。つまり、表向きは株式会社の何とか課、あるいは何とか省何とか局何とか課ということで活動をしています。ところが、その何とか課を構成する十人なら十人のメンバーが、課長をトップにして、この際だから税金かすめて裏金つくれるなということで、十人が共謀結託して、そしてその課長をトップにして、そして日ごろの日常業務のところで裏金を、これは横領になるんですかね、やって、裏金をつくっていきますということを反復継続して、しかも課長をトップに、ちょうどその省庁としての指揮命令系統と全く同じ指揮命令系統を使って、要するに裏金づくり集団が構造されていましたということは十分にあり得ます。

 民間企業でもあり得ます。何とか株式会社全体の中で、何とか営業所が営業所長を中心として、その営業所長がトップとなって反復継続して、その会社の業務を表向きかぶりながら、だけれどもそこで詐欺行為をばんばん営業所ぐるみでやっている、こういった場合は、会社や何とか省が団体とは言いません。その何とか課の課長をトップにしてつくられた非公然組織や、何とか営業所の所長をトップにしてつくられた非公然組織は団体に当たりますねと聞いているんです。

○富田副大臣

 先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、個別具体的な事実関係、今先生は、指揮命令も全部そこで完結するんだというようにお話をされていますが、実際にその団体とその部署との指揮命令関係や、部署の位置づけ、構成、その部署の活動によって当該部署や団体が享受する効果、利益などの事情を総合的に判断した場合に、社会通念上独立した存在と認められるか否か、それはケース・バイ・ケースでやはり分かれてくると思いますけれども。

○枝野委員

 もちろん、個別の案件の該当性は個別に見なければできるわけないんですよ。だから、そういうことが当たり得ますよねという話なんですよ。当たり得ることは否定しませんよね。

○富田副大臣

 そういうふうに御質問していただければ、それは当たり得る可能性もあると思います。

○枝野委員

 そのときに、いわゆる犯罪集団でなければ、つまり正当な市民活動とか労働運動とか政治活動とかそういうことをきちっとやっている団体ならば、この法律には触れることはないですよと、ずっと御説明になり続けているんですよね。

 例えば、前回私がお尋ねをした選挙違反のケースですよ。選挙違反のケースで、候補者をトップとして選挙を応援する構造体というのができ上がるわけですね。これは一つの団体なんでしょう。

 それで、それ全体が選挙に当選するということが政治目的であれば、先ほどの話のとおりの限定した解釈をするためにちゃんと条文を変えれば、それはそこが選挙違反という違法行為を行うことを目的とした団体とはならないでしょうねという前回の説明は、この二条、三条、六条の二を修正すれば可能性があるということは認めましょう。すなわち、修正をした場合です。修正をした場合であっても、例えば選挙のときに選挙違反活動をするチームというのは別につくられたりするんじゃないんでしょうか。私は少なくとも買収とかやっていないから知りませんが。

 例えば、二十人なら二十人ぐらいのチームがあって、そこにはリーダーがいて、そのチームの中における指揮命令系統ははっきりしています、こういう話がありました。それで、このチームは基本的に選挙違反行為をやることのために存在をしているチームです。まさに、非公然でも構わないとおっしゃっていますよね。非公然で構わないし、大きな組織の中の一部分のある人の固まりでもあり得るということですよね。

 ということは、選対本部という全体としては、選挙に勝つとか政治目的とかという目的との関係で皆さんの解釈ならはじけるとしても、そういう部分のところについては、これは本罪に該当する余地があるということになりますね。

○富田副大臣

 前回以来の問題ですので、今先生が指摘された別働隊チームが団体というふうに認められるか否か、選挙をされている本来の団体と社会通念上別個独立のものというふうに認定できるか次第だと思います。

○枝野委員

 そうです、認定次第なんです。つまり、政治団体とか市民団体とかは犯罪集団じゃないからそういうところには適用ありませんよと御説明になってきたのは、全部個々の事案ごとの解釈、判定、認定次第によって、つまり、どこまで拡大するかというのはやってみないとわからないということを今副大臣がお認めになったんですね。ありがとうございます。その答弁を待っていたんです。(富田副大臣「違います」と呼ぶ)違いますか。だって、余地があるわけでしょう。

 つまり、反復継続性とか指揮命令関係とかそういう部分のところで、非公然組織でもオーケーなんですから、非公然な集団として十人とか二十人で反復継続して例えば組織的買収をやりますということで、継続的な組織で指揮命令関係があれば、そこは例えば公職選挙法違反についてでも共謀罪は成立する余地があるということではないんですか、先ほどの答弁は。

○富田副大臣

 先ほど私が答弁したのは、例えば専ら買収活動を行うことを請け負いこれにより収益を上げている団体があるとすれば、それは「団体の活動として、」と評価される場合があると思いますので、もともとの団体と別個独立として評価されるような場合であれば、それは当たる。

 ただ、その場合、先生がおっしゃっていた市民団体とか別の団体、その一部が、先ほど先生の御説明では特化した団体になっていると。その特化した団体の方が認定される可能性はありますけれども、もともとの団体の方は別に認定されるわけじゃありませんので、そこはちょっと解釈が違うんじゃないかと思います。

○枝野委員

 ここの論点はそこじゃないんですよ。つまり、先ほどのそれは、高山さんでしたか、平岡さんでしたか、要するにこの法律では、条約にある政治目的とか宗教目的とかという、そういう部分のところを外すという限定をかけていないんですよ。だから、市民団体とか政治団体とかというものの一部が、独立性を高めて、指揮命令系統がちゃんとあって、反復継続して違法行為を繰り返していたら、全体としてはあるいはその組織も、政治目的ととらえられるような組織であったとしても、この法律の対象に係り得る余地があるということじゃないでしょうか。違いますか。

○富田副大臣

 何が共同の目的かは、個別具体的な事案における事実認定の問題、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて社会通念に従って判断されますので、今先生の言う、こういう場合には必ずなるんだろうというふうにはならないと思います。

○枝野委員

 僕は、必ずなるんだろうと、済みません、言葉が滑って言っているかもしれませんが、少なくともそういうケースがあり得るんでしょうということを言っているんですよ。つまり、政治活動を目的としている団体であっても、あるいはグループであっても、チームであっても、反復継続性を持って主に選挙違反行為を行うようなチームについて言えば本罪に当たる可能性がありますねという、その可能性の余地を否定できないんじゃないんですかということを言っているわけです。

 もう一回、この間の話にもう一つ戻りましょう。

 先ほどのように、共同の目的に沿った団体の意思決定じゃなきゃいけないという条文改正を、修正を仮にしていただいたとしても、この共同の目的の目的のところがまさにまたあいまいなんですよね。例えば行使の目的とか、こういうときに使う目的という言葉よりもどうも幅広そうだなとは思うわけですけれども、前回私が挙げた例、つまり、政治団体、届け出なき政治団体、届け出がないのにお金を集めたり支出をしたりしている政治団体、これは政治資金規正法違反に当たりますし、しかもそれは長期五年の罪ですから、本罪、共謀罪の対象となる犯罪です。

 さて、この団体の目的というのは、あるいはこの団体が存在をしているのは、違法性の認識を犯罪の成立には必要としていないのを前回詰めましたから、つまり、本人たちは意識をしていないけれども、違法な政治資金の出し入れをするということのためにこの団体は存在しているんですよね。それが意図かどうか、彼らの意図ではない、違法な政治資金の出し入れをするということが意図ではないけれども、政治団体の届け出をしないまま資金の出し入れをすることを目的としているんですよね。

 逆に言いましょう。この共同の目的、今のような団体の場合、本来は届け出なければならない政治資金規正法上の届け出をしないで、寄附を受けたり、あるいは政治活動のための支出をしている団体の共同の目的の目的とは何でしょうか。

○富田副大臣

 ここに言う共同の目的とは、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的、要するに、構成員の結合関係の基礎になるものを言うと解されます。

 そして、何が共同の目的かは個別具体的な事案における事実認定の問題ですが、それは、ある特定の活動やある特定の時期の活動だけで判断されるものではなく、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて社会通念に従って判断されるべきものというふうに解釈しております。

○枝野委員

 ですから、具体的に、政治団体の目的は、自分たちの政治的主張を、あるいは自分の支持する政治家を当選させる等の意図で政治資金を受け入れ、それを支出する、これが共同の目的ですよね。違いますか。

○富田副大臣

 いや、共同の目的は今御説明したとおりであって、それでどういうふうに認定されるかという問題だと思いますけれども。

○枝野委員

 犯罪行為を行うような目的でないから、普通の会社はその目的に沿った意思決定であれば本罪に当たらないと、ずっと繰り返しているわけですよね。その犯罪行為、共同の目的と相入れ得る犯罪行為の犯罪には違法性の認識は必要ないですよね。いいですよね。

○富田副大臣

 前回の委員会で同じ御質問がありまして、違法性の認識は要らないというのが判例の多数ですが、必要だとする判例もあるというふうに御答弁いたしました。

○枝野委員

 いいですか。この届け出を怠っている、届け出をすることすら気づいていないという人たちの集まり、政治団体は、届け出をしないままお金の出し入れをするという政治資金規正法違反、しかも共謀罪の対象となる政治資金規正法違反の行為を反復継続して行うことのために、まさに集まっているわけですよね。違法性の認識は必要ないんですから、犯罪の成立に。彼らが政治資金規正法なんか無視して勝手にやりましょうよということで集まったら、それはけしからぬやつらでしょう。だけれども、犯罪の成立には違法性の認識は必要ないんですから。

 集まってきた十人、二十人が、だれも政治資金規正法でお金の出し入れをするには政治団体の届け出が必要ですということに気がつかないで、気がつかないままお金を出し入れしている。そのために集まっているんだから、やはりこういう場合には、実はみんなで集まって、だれも気がつかないうちに、政治団体をつくって寄附を集めましょう、支出をしましょうとみんなで合意をして、そのときにだれも政治資金規正法に気がついていなかったら、その瞬間に共謀罪が成立する余地がありませんか。

○富田副大臣

 今、先生が例として挙げられたような、違法な献金を集めるためだけに集まった団体が、政治資金規正法に言う政治団体にそもそも当たるのかどうか、ここもちょっとよくわかりませんけれども、やはり共同の目的に当たるか否かは、先ほど来御説明しましたように、個別具体的に、総合的に判断して決するしかないというふうに思います。

○枝野委員

 先ほど来申し上げているとおり、違法性の認識は必要ないんですよ、犯罪の成立には。犯罪の成立には違法性の認識は必要ないんだから、その届け出義務違反という政治資金規正法違反の犯罪が成立するためには、政治団体をつくり、なおかつ、届け出のないままお金の出し入れをするという客観的な事実だけでいいんですよ。

 そして、まさに、その届け出をしないで集まっている政治団体の人たちは、そのことのために集まっているわけですよね。お金の出し入れをするために。寄附を集め、支出をするために。そこに、この共同の目的においては違法性の認識が必要だなんということは何にも書いていない。

 一般的に、犯罪には違法性の認識は必要ない。彼らが集まってきている目的は、お金の出し入れをすること、その前提として届け出をしていないという状態でお金の出し入れをすることが、意図ではないですが、まさにその行為のために集まってきている団体なんですから、当然成立する余地があるというお答えにならないと理屈が通らないと私は思うんですが。

○富田副大臣

 ちょっと先生に政治資金規正法の政治団体の講義をするつもりはありませんけれども、政治資金法の三条に政治団体の定義がありますが、「この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。」というふうに書いてあります。一として「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、二として「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、三として「前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体」、イとして「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。」ロとして「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。」というふうになっていますので、先生が言われる違法な献金を集めることだけを目的としている団体は、私は、そもそも、この政治資金規正法上の政治団体に当たらないんじゃないかというふうに思うんですが。

○枝野委員

 いやいや、これは副大臣がおっしゃったとおり、共同の目的に沿わないような違法行為をするような意思決定は団体の意思決定に当たらないと言っていますよね、先ほど来、そのずっと前段階の話として。今おっしゃられたとおりの政治団体の定義で、まさにその政治的な主義主張を実現するための手段として、それに相入れる目的として寄附を集めたり支出をしたりするということは、まさにその政治団体の共同の目的と相入れる活動ですよね。それはお認めになりますね。

○富田副大臣

 ケース・バイ・ケースだと思いますが、先生が言うように、なる場合もあると思います。

○枝野委員

 というか、なる場合が多くないと困るわけです。みんなお互い政治団体を持っていて、そのためにお金の出し入れをしているわけですから。

 それで、そのお金の出し入れが実はたまたま政治資金規正法に反しているんですよ、届け出をしていない団体だった場合は。違法性の認識は必要ないんですよ。政治的な主義主張を実現するためにその目的に沿ったお金の出し入れをするという活動をしているにすぎないんだけれども、それは犯罪に当たる、共謀罪の対象になる犯罪に当たるということが起こるわけですよね。そうですよね。

 つまり、政治団体がちゃんと届け出をした上で寄附を集めたり支出をしたりする。これは、まさに共同の目的である政治活動とそのための手段としてその共同の目的に沿ったお金の出し入れをする、それと全く同じ活動をしている団体だけれども、そのお金の出し入れという行動が届け出義務違反を行った場合にはまさに違法な行為になるわけです。しかも、共謀罪の対象になるんですよ。

 これを共謀罪の対象から外す理屈を説明してください。

○富田副大臣

 今先生御指摘のような事案の場合、団体の活動としてと言えるか否か、すなわち、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うか否かについては、先ほど何度もお話ししましたが、認定される共同の目的と実行する犯罪行為との関係、すなわち、先ほど述べたような観点から認定される共同の目的と実行する犯罪行為の具体的内容に照らし、前者が後者をどの程度内包しているか、後者が前者の達成に客観的に見てどの程度資するものであるかなどの事情を総合的に考慮し、やはり社会通念に従って客観的に判断されるべきものと考えられます。

 したがいまして、御指摘の団体につきましても、一般論として申し上げれば、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかという観点から認定される共同の目的と実行する犯罪行為との関係を踏まえ、社会通念に従って判断されるべきものと考えられます。

 そして、個別具体的な事実関係によりますが、当該団体全体の活動実態として政治活動を継続的に行っているという実態のある政治団体であれば、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うと認められることは通常は考えられないのではないかと思います。

○枝野委員

 だけれども、政治団体の目的に沿った活動として寄附を集めたり支出をしたりというのは、まさに政治活動、政治団体の共同の目的に沿った行動ですよね。違いますか。

○富田副大臣

 何度も繰り返しになって申しわけないのですが、やはりそうかどうかも具体的な事実関係を総合的に判断して、社会通念に従って判断されると思いますけれども。

○枝野委員

 ちょっと無理がありますよ。だって、政治団体はお金の出し入れ、寄附を集めて、その寄附で集まったお金を支出していろいろな活動をするというのがまさに政治団体の活動、みんなの集まってきた目的に沿った行動じゃないですか。それはそのとおりじゃないですか。それは素直にお認めになった方がいいですよ。

 問題は、その全く同じ寄附を集めて、そして、集まったお金で支出をして政治活動を行うという活動であっても、届け出をちゃんとしていれば適法だけれども、届け出をしていなかったら、その同じ行動が違法行為になるわけです。なおかつ、犯罪の成立には、これは届け出なきゃいけないことなんだ、届け出をしなきゃいけないのに届けていないんだという違法性を認識していることは犯罪の成立に必要ないわけです。だれも届け出なきゃいけないんだと気がついていなかったとしても、この犯罪は処罰をされるのです。

 客観的な外形を見る限りでは、全く適法な政治団体としての活動と全く同じ活動をしている。したがって、まさに共同の目的に沿った団体そのものの活動として寄附を受け入れる。これは罪数関係はどうなるのか。寄附を受け入れるたびに犯罪が一罪成立するのか、包括一罪になるのか。いずれにしても、要するに、犯罪性がどんどん重なっていくわけですよね、寄附を受けるたびに。これが共謀罪の対象に形式的には今入ってしまうんです。おかしい。私もおかしいと思います。これが入ってしまうのはおかしい。困るんです。

 それをこの法律でどうやって排除できているのか。後で、答えは大体わかっているんですけれども、どういう答えになるんでしょう。

○塩崎委員長

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○塩崎委員長

 速記を起こしてください。  富田副大臣。

○富田副大臣

 どうもよく理解できなくて申しわけないんですが、共同の目的の問題ではなくて、枝野先生の認識は、要するに、政治資金規正法が無届けでお金を集めている行為を処罰の対象にすること自体がそもそもおかしいのではないかという認識で御質問されているのではないかというふうに私には理解できるんですが。

○枝野委員

 全然違うんですよ。

 いや、政治資金規正法がある以上は、それは、政治活動をやろうと思ったら、ちゃんと政治資金規正法を勉強して、寄附を集めようよというときには事前に届け出しましょうねと。このことは間違っていないと私は思います。

 しかし、これが共謀罪の対象になると、十人なら十人ぐらい集まって、まず最初に、政治団体を立ち上げましょうよ。政治団体を立ち上げるので、じゃ、まずは寄附集めのためにこういう文書をつくろうとか、こうやって名簿を持ってきて、同窓会の名簿を集めて郵便を出しましょうよとか、そういう役割分担もして、組織性が整いました。だれも政治資金規正法のことに気がついていないから、それで、寄附下さいねなんて言って案内を出しちゃいましたと。既遂になっちゃうんですよ、共謀罪が。これはやはり変じゃないですか、こういう話なんです。

 既遂にならない理由をちゃんとこの法律の条文から説明できますか。説明しがたいんじゃないですか。違法性の認識は犯罪の成立には必要ないんです。だから、これは犯罪なんだと知りながら、つまり、届け出をしないで寄附を集めちゃいけないんだということを知らない状態であったとしても政治資金規正法違反は成立をするんです。だから、だれも気がつかないところで金集めしよう、政治活動のために金集めしようということで意見が一致した瞬間に、だれもその中で政治資金規正法を知る人がいなければ共謀罪が成立しちゃうんですよ。おかしくありませんか。これを排除するための理屈がこの法律でつくれるんだったらそれを説明してくださいと申し上げているんです。

○富田副大臣

 どうも、委員の望まれるような答弁にならないと思いますが、何度聞いても、やはりそれは共同の目的に沿うかどうかでもケース・バイ・ケースだというふうにお答えせざるを得ないと思うんですけれども。

○枝野委員

 いや、共同の目的に沿うか沿わないかという話じゃないと思いますよ。共同の目的には沿うんですよ。だって、政治団体が政治資金を集めるというのは共同の目的にかなっているんですよ。

 ただ、同じように寄附を集めるという行為であっても、政治団体の届け出をしてあれば適法だけれども、届け出をしていない状態で寄附を集めたら政治資金規正法違反になるというその不作為に対して違法性が帯びるんですよ。それで、不作為を前提とした寄附を集めるという作為の行為で違法になるわけです。

 それで、その作為的な行為、つまり、寄附を集めるということについては、これは全く適法な団体もやっている同じ行動なんだから、まさに共同の目的に反するとかそういうことは説明のつけようがないわけです。もちろん、そういうケースもあるかもしれないけれども、一般的にはつけようがないわけです。

 だとすると、その前提となっている不作為についての共同の目的に反するからとか、そういう説明をしなきゃいけないんじゃないですか。大分ヒントを教えてあげちゃっているんですが。そうでしょう、これは不作為が犯罪なんです。不作為犯について、さあ、共謀罪の成立をどういうふうに、いや、不作為犯じゃないな、正確に言うと。済みません、検事さん、ごめんなさい。

 正確に言うと不作為犯じゃないんだけれども、まさに不作為があることが前提に立っているからある作為行為が違法になるわけで、不作為のことについては故意も目的もないんですよ、この場合の。こういう場合でも共謀罪が成立してしまうんじゃないですか、不作為的な部分についての共謀というのはどうするんですか、こういう論点なんです、これは。わかっていただけましたか。後ろの方はわかっていただけたのかなと思うんですけれども。

○富田副大臣

 届け出をしないという行為についての共謀というのはあり得ないと思うんですよね。

 もう一つ、先生の質問をずっと聞いていて、違法性の認識が要らないというふうな前提でずっとやってきましたけれども、行政犯については、違法性の認識がない場合は、そもそも故意もない。故意もないという判例はあるので、そうすると、やはり先ほど来、どういった状況で今先生御指摘のような事例が出てくるかは、ケース・バイ・ケースになっていくというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども。

○枝野委員 

時計をとめていただいて、後ろと相談して、今の答弁、そのままでいいかどうか。違法性の認識がないと故意がないというのはまずいですよ。時計をとめて後ろと相談してもらった方がいいですよ。

○富田副大臣

 違法性の意識の可能性すらないときは故意がないというふうな判例もありますので。

○枝野委員

 そうですね。違法性の認識の可能性もないならば故意はないというのは、そういう学説も判例もあるし、私もそうだと思いますが、政治活動をしようという人たちは、やはり政治資金規正法で届け出なきゃいけないんだということを認識する違法性の認識の可能性は十分ある。でないと、この法律を置いていることの意味がほとんどなくなりますよね。

 つまり、前例がある、一度つぶした政治団体を新たにつくり直すとか、ほかのところで政治活動してきた人たちが新たに政治団体をつくるとかいうときにはいいかもしれないけれども、普通の市民の皆さんが、今度市議会議員選挙で市民の代表を出そうとかと政治団体をつくるときは、ある意味ではみんな素人だ。素人だから知らなくて当たり前だよね、違法性の認識の可能性もないといったら、この条文自体が余り意味がなくなってしまうと思いますし、これは犯罪が成立するかどうか。

 実際にはこの法律はほとんど取り締まっていないわけですよ、届け出義務違反というのは。だけれども、まさに取り締まり当局のやりようによっては、これが犯罪だと。こいつら、届け出をしていないのに、金集めしようぜということを集まって謀議をしたということで共謀罪が成立しますというような濫用の余地が出てきたときに、濫用する人たちが出てきたときに、さあ、これは適用になりませんよという、排除するための根拠になる足がかりがどこにもこの規定には見えないと私は思っています。

 当然、皆さんもお気づきになって、過失犯はこの場合は対象にならないよねということはおわかりになっているわけですけれども、本当に過失犯だけでいいんですか。つまり、共謀罪の対象にならないという犯罪は本当に過失犯だけでいいんですかということを、ちゃんと四年以上の懲役のある犯罪について全部チェックをかけないと、今みたいなわけのわからぬ話のところで共謀罪成立の余地が出てくるというのは相当恐ろしいんじゃないですかということを申し上げて、きょうの質問は終わります。

 以上です。

<他の議員の発言部分省略>