[年金制度をはじめとする社会保障制度改革について]
○枝野議員
民主党・無所属クラブの枝野でございます。
私は、数字の上ではなくて理念的に、現行年金制度は崩壊しているということをまず申し上げたいと思います。二点あります。
一点は、国民年金の部分です。
数字でも出てきている話でありますが、そもそも国民年金制度とは何であったのか。本来は雇用者年金制度でスタートしました。それは、自営業者は資産を持っているし定年がないから大丈夫だけれども、しかし被用者は、雇われ人は定年もあるし資産も持っていない、だから、その人たちの老後のためにどうしようかということで、厚生年金や共済年金でスタートしました。
しかし、そうはいっても、自営業者にも年金があった方がいいよねといって国民年金が始まったわけですが、今や国民年金の対象は、資産を持って定年のない自営業者というのはほんの一部になってきてしまっていて、むしろ厚生年金にも入れない低所得者の方がその中心になっている。それを資産を持って定年がない人たちを前提にした国民年金という制度の中で囲っていること自体、もう論理的に国民年金制度は成り立っていないということを申し上げたいと思います。
もう一点は、まさに先ほど来話が出ている少子化です。
現行の年金制度の仕組みでいえば、現在の高齢者世代を現在の現役世代みんなで支えますという仕組みの中で年金の支給額と負担額が決められるという枠組みです。そして、そのことを将来にわたって継続しようとしています。
しかし、もはや日本の人口が増加に転じる時期というのは、少なくとも我々到底想定できない未来です。来年で人口がピークを迎えるようでありますけれども、これから、考えられる将来にわたって、常に上の世代よりも下の世代の方が人口が少ないという時代が続いていくわけです。そして、今の現行制度を続けているならば、常に次世代は前の世代よりも負担が大きく給付は少ないということを代々代々ずっと続けていくということであって、それは、もちろん私も四十を過ぎましたので、そうはいったって老後のことは大事だなと思うようになりつつありますけれども、しかし、おれたちの世代は上の世代より損だねという仕組みで、永続性を持って国民の信頼や負託にこたえられるはずがない。
したがって、今のような年金制度は、人口がふえている、あるいは人口が減らない社会であれば成り立ち得る制度かもしれませんが、人口が減っていく制度において、保険料を特に若い世代が信頼して納めるという仕組みをつくろうと思ったら、今の制度では根本的に成り立ち得ないと思います。どうやったら成り立ち得るのか。自分で納めたお金を老後自分たちで受け取る、こういう仕組みにする以外にはないんですよ。
だとすれば、今一生懸命、民主党の数字がない、数字がないと大騒ぎをしておられますが、数字は簡単なんです。現役世代の平均納付額に対して、平均納付期間と納付期間終了後受給を始めてから平均寿命までの間の期間で割り算をすれば、一カ月当たりの平均納付額の大体二・五倍から二・六倍ぐらいが受給額になるというのはすぐに計算が出てくるということで、そこに、物価変動率とかそういうものに応じて変わってくる。我々は、こういうこと、つまりみなし掛金建て方式というのは法律にちゃんと書いてあります。
ただ問題は、現行、今賦課方式でやっていて、既に保険料を納めている皆さんをどうするのかという問題の解決と、新しい制度は今のようなみなし掛金建てでやることが信頼を得られるという話、これを抱き合わせしなきゃいけないという話です。
小池先生は法律を読んでいらっしゃるからわかっていらっしゃるのをわざと言ったんだろうと思いますが、御指摘のとおり、我々は、新制度はみなし掛金建てで、自分が納めた額に対して、プラスアルファの部分は物価上昇率で変更はあるかもしれませんが、基本的には自分の納めた額を受け取る。だけれども、過去債務をどうするかということを考えたときに、新制度は、成熟するまで新制度による収入は新制度による支出には回りません。だから、新制度による収入のうち新制度による給付に回らない部分は、現行制度による既に納めている保険料に対応する給付に回していく。それは消費税の部分もそうです。
そして、計算をしていくと、消費税三%ぐらいでやれば、過去債務についてちゃんとお支払いをしつつ、六十年ぐらいたったところで、成熟した段階で、過去債務部分がなくなった状況のときには収支バランスがとれるようになる。こういうことを我が党の案として昨年来何度も何度も申し上げているんですが、そうだったんだという顔でびっくりされているようでは、民主党案をちゃんと理解してから批判をしていただきたい。
そして、こういう案でありますから、まさに現行の過去債務の部分についてちゃんと整理をしつつ、新制度については、世代間の不公平を感じないで、自分が納めた分を自分で将来受け取るんだという、計算上、計算上ですよ、積み立てておいても意味はないわけですから。計算上そういう形で将来の年金受給額が計算できる。こういう仕組みにするということを申し上げているのであって、これが一番の解決策であると思っております。
<他の議員の発言部分省略>
○枝野議員
昨年の議事録をちゃんと読んでいただければ、なぜパートを含めて一元化するかといったら、それは、今も御指摘があったとおり、事業主負担から逃れるためにパートやアルバイトに切りかえている、これを阻止する方法はたった一つしかないんです。事業主負担をなくするか、どういう雇い方をしても同じように事業主負担にするか。だから全員一律の一元化されたことにすると、ちゃんと答えています。全部ちゃんと雇用に応じて払ってもらう、当たり前のことじゃないですかと。それは議事録を読んでもらえば、それにちゃんと答えているはずです。
それから給付の下限の問題。先ほどのここでの議論を聞いていただければ、ちゃんとはっきり、きょうの答えの方が出ています。
なぜかといったら、みなし掛金建てをすると言っています。みなし掛金建てをするんですから、その掛けている年数などをいろいろ考えていくと、掛ける年数が大体四十年ぐらい、受け取る年数が、そこから先、平均余命まで。現行の平均余命を考えると、現役世代時代に納めていた月額平均の保険料に対して、所得比例年金では大体その二・五、六倍の給付を受けるということになりますと。
ただ、所得の低い人たちには最低保障年金がくっつきますから、そういう部分のところで、なおかつ消費税は三%ぐらいが今納得される水準だから、そういうところを合わせると五〇%を維持したいと申し上げているので、維持できますなんてことは一切言ってきていません。そこのところは、維持したいと言うのと、維持しますと言って百年安心とうそをつくのとは明確に違うということは区別させていただきたいと思います。
それから、先ほど来の話で民主党案の揚げ足取りを一生懸命やっておられますが、そもそもの前提条件の話をさせていただきたい。
きょうは、年金制度の現状認識及び将来の見通しという話をしています。そもそも、先ほど若干伊吹先生が違うようなニュアンスのこともあったかもしれませんが、基本的には自由民主党は、党を代表して田村先生の御指摘は、現行制度のままで大丈夫なんだというお話をしています。
私たちは、小選挙区制度を導入して、二大政治勢力による政権交代可能な政治構造をつくりました。そして、マニフェストというイギリスの制度にそれぞれ倣って、選挙の前に、何をやるかということをそれぞれの政治勢力の側が国民の前に示して、そして選挙で決めていただく、選挙によってコンセンサスをつくる、こういう制度をとっています。だから、それぞれの政党あるいは自公という政治勢力の間で選挙の前に具体的なことを示して選挙で決めていただくというのが、重要な問題ほどそうしなきゃならない。
したがって、本来であるならば、こういった場をつくること自体が、二大政治勢力制やマニフェストという趣旨からすれば違います。
違うけれども、なぜやっているのか。そうはいっても、選挙で結論を出すのではなくて、二大政治勢力の間で合意形成をして進めるべきテーマが二つだけあります。
一つは憲法です。これは、そもそも制度として三分の二条項があります。ですから、政権選択の選挙によって三分の二条項をクリアすることができませんから、これは政権選択とは別の次元のところでやらなければなりません。
しかし、それ以外のところは、基本的には、重要な問題ほど選挙できちっと選択してもらう。それぞれに案をつくって、それぞれ選挙で決めてもらう。我々は民主党の案を政権交代で実現する。皆さんも、皆さんの案がいいんだったら、民主党なんかの意見を聞かないで、皆さんの意見を選挙で進めていけばいい。
ただ、年金について一つだけ違うこと。皆さんがおっしゃっているような、三分の一を二分の一にするとか、その程度のびほう策だったらば、それは選挙で皆さん決めて、多数でとっている方で決めてください。だけれども、我々が言っているように、今までの制度に一たんリセットボタンを押して全く新しい制度に切りかえるということは、一たん切りかえたら、次の選挙でまた政権がかわったからといって戻すことはできません。ですから、年金について大きな枠組みをどうするかということについてだけは、これは、例えば五年ごとに政権がかわるからといって五年ごとに全部見直すことはできませんから、例外的に一緒にやらなきゃいけません。
だから、そういう抜本的に、今の制度そのものを前提とする話でなくて、今の制度自体を白紙に戻してどうするのかという議論であれば、超党派でやる意味があります。でも、そうじゃなくて、今の制度は抜本改革でした、いい制度です、びほう策についてどうしましょうか、こんなことは、皆さん与党の中で決めて選挙で示して、選挙で勝ったら実行してください。そんな話に我々はつき合う必要がない。そのことをはっきりさせておきたいと思います。
<他の議員の発言部分省略>
○枝野議員
田村先生、大分御理解をいただいているんだと思って伺っていましたが、我々は完全な積立方式ではありません。みなし掛金建て方式で、実際にそのお金を積み立てておいてどうこうするではありません。それだったら、国がやる意味は必ずしもないかなと。
物価なら急速な物価変動などがあり得ますから、やはりマクロの財政的な運営としては、給付財源の大方の部分はその時点での現役世代が納めたお金を給付に回すとやりませんと、それこそ、最近はありませんけれども、五十倍、百倍だなんというインフレがあったときに、積んでおきましたお金を給付しますでは成り立たないだろうと思いますから、したがって、あくまでもみなし掛金建てです。
その場合に、今のように給付水準を政治判断で適当に決めているというやり方ではどんどん苦しくなっていって、あいまいになって、信用できない。あくまでも、あなたがもらえるお金は、あなたの掛けたお金と物価上昇との兼ね合いでもう決まっているんですよという信頼感を与える。
そして、それについて、当然、人口が減っていけば、積み立てがゼロであれば足りなくなるわけでありますが、その部分をどの程度積み立てておけばいいのかというのは、どんぶり勘定的に幾ら給付水準にしますという今の制度ではなくて、現役世代の二・六倍ぐらいもらえますよという話の中で、あとは、人口減少の程度、これは二十年先の保険料を納める人のところまでは読めるわけですから、その人口減少を見通した一定額を積み立てておけばいいということの中で順々に物事を進めていくことができて、今と同じようなことにはならないと思います。
いや、今でもやればいいんですよ。同じことを言ってもいいんですよ。同じ今の制度の中で、要するに国庫負担部分というのを中途半端に入れているからわけがわからなくなる。所得比例年金で給付水準は四〇%ぐらいになるんですね、所得代替率でいうと。一五%の保険料率で、そして保険料納付期間に対する平均余命の受取期間というのは二・六ぐらいですから、一五掛ける二・六で大体四〇%です。そういう所得代替率で所得比例年金は渡すんですということを決めれば一緒なんです。そうすると、要するに積み立ての額がずっと減らせて、だけれども、一定程度は持っていないと、どんどん人口が減っていくんだからつらくなる。そこのところは今よりもずっと見通しが立つ。こういう話なんです。
いずれにしろ、民主党案についていろいろと細かい御質問をされて揚げ足をとっていただくことは構いませんけれども、幾らでも答弁はたえられると思っておるんですが、きょうのテーマであるとおり、現状認識について共通認識を持っていなかったら意味がないわけですよ。
今聞いていただいているということは、我々と同じように、今のままではもたないという現状認識に立っておられるということであるならば、こういうやりとりをすることが建設的だと思いますが、先ほど来、今の制度でいいんですと少なくとも与党の側の公式見解としてはなっているわけで、今のままでいいんですという前提で今みたいな議論をしても何も建設的でない。今のままでいいんですと思っていらっしゃる皆さんとこういう議論をしてもしようがないから、我々は、次の選挙で過半数をとってこれを実行しますとやるしかないわけです。
このことをここで議論することに意味があるとすれば、現状認識としてはこのままではもたないかもしれない、もたないかもしれないといって白紙でいろいろ議論をした結果として今の形に戻ってくることはあり得るかもしれないけれども、少なくとも一度は、今の制度ではもたないね、だから白紙で議論しましょうというところに戻っていただかないと、こういうやりとりで議論を進めることは全く意味がないので、そこのところは党としての見解を一度整理していただかないと、これ以上この議論を進めても仕方がないじゃないですか、こういうことを申し上げているわけです。
<他の議員の発言部分省略>