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 議事録


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衆-内閣委員会


平成14年11月08日

[個人情報保護法案について ]

○枝野委員
 おはようございます。

 古物営業法についてお尋ねをさせていただく前に、通告をしておりませんので御答弁は結構なんですが、せっかく国家公安委員長に御質問ができる場ですので、一点だけ、お願いといいますか、申し上げておきたいというふうに思います。

 本日夕方にダライ・ラマ法王が日本を訪れられます。トランジットで、一泊されるだけであります。従来からダライ・ラマ法王を政治的にどう位置づけるかということは難しい問題があるかもしれませんが、世界のVIPであることは間違いございませんので、法王が日本に来られた際には警察の方でVIP扱いで警備をされておられた。ところが、先日、実は今回モンゴルに行かれて帰ってくるということなんですが、モンゴルに行かれるときに日本でトランジットされた際には、それまでは千葉県警が公然と警備をつけておられたのが、四日だったと思いますけれども、行かれるときには、その後いろいろ聞いてみますと、見えないところで警備をされていたなどという御説明はあるんですけれども、少なくとも、目に見える形で従来までやっていたような警備をされなかった。

 同僚議員が実際現場にもいましたので、心配をしまして警察庁の方にいろいろ問い合わせましたら、きょう来られた際にはきちんと従来どおりの警備をされるということですので結構なんですが、お答えになれないでしょうが、どうもほかの国の大使館あたりから内政干渉でもあったのかなと思わざるを得ないなと思っております。

 政治的にダライ・ラマ法王をどう位置づけるかは先ほど申したとおり別問題として、警察がどういう方を警備するかというのは政治問題とかかわりなく、危害を加えられる、ねらわれる可能性がある要人ということであれば、政治的な立場に関係なく警護されるのは当然のことだと思います。その場合、ダライ・ラマ法王というのは世界のVIPであるのは間違いないわけで、日本に滞在されている間、日本の警察の責任で何も起こらないようにされるのは当然だと思いますので、ぜひ今後もきちんと、法王が来日される際には警察の方で警備をしていただきたい、まずそのことを最初に申し上げておきたいと思います。

○谷垣国務大臣
 一般的に、どういう方を警備し、あるいは警備しない、どういう手法で警備するということは、手のうちをさらすことになって、表にしないということになっているようでございますので、今の枝野委員の御趣旨はよく承りました。

○枝野委員
 それでは本題に入りますけれども、先ほどから、インターネットオークションについて、そこで盗品の売買が行われている、そこに問題を感じて法改正をしたということですが、これは要するに改正案の二条二項三号で書いております古物競りあっせん業、これがインターネットオークションのことである、これでよろしいですね。

○谷垣国務大臣
 いわゆるインターネットオークションを古物競りあっせんという、今お引きになった条文でそういう言葉で表現しているわけです。

○枝野委員
 だれに聞いたらいいのかなと思ったあげく、文部科学省のところにある文化庁に国語課というのがあるということを知りまして、文部科学省の方から来ていただいたんですが、あっせんという言葉、日本語は通常どういうふうに使われているというお尋ねにどうお答えいただけるでしょうか。

○池坊大臣政務官
 文化庁の国語課でお答えするのは大変難しゅうございますので、辞書から引いてお答えさせていただきたいと思います。

 大辞泉によりますと、あっせんというのは「間に入って双方をうまく取り持つこと。」二番目に、「労働関係調整法による労働争議の解決方法の一。労働委員会が指名した斡旋員が労使間を取りなして、争議の解決を図ること。」三番目、「行政法上、公益事業用地の取得をめぐる当事者間の紛争を解決するために行われる手続き。」これは広辞苑、大辞林、日本国語大辞典においてもほぼ同じような意味のことが書かれてございます。

○枝野委員
 今言っていただいた三つの意味、特に後段二つとも、一つ目の意味について法律的に何かなっている。いずれも、人と人との間の意見が分かれていたり立場が違っているところを間に人が入ってうまく取り持つという意味であるのは、皆さんお聞きになっていても異論ないと思いますし、日本語の意味としても、みんなあっせんと聞いたら間に入ってうまく何か取り持つことだよねというのはある意味常識だと思います。

 ところが、この法律で古物競りあっせん業、そして対象にされているインターネットオークションというのは、要するにインターネットの画面にだれか何か売りたいという人がいたら勝手にアクセスしてきて載っけてください、それを見た人が勝手に幾らなら買いますとインターネットにアクセスしてください、それを見た売りたいと思っている人は一番高い人に、じゃ、この人に売ろうか、後は本人同士で物を送ったりお金を渡したりということが行われる話であって、インターネットオークション業者が、こちらでこういう高い物を高く売りたいと思っている人がいる、こちらにできるだけ安く買いたい人がいる、間に入って何か動いたりすることでは全くない。

 あえて法律的に定義をするとすれば、古物に関して、その買い受けの申し込みの誘引の広告を行い、それから申し込みの誘引に対する申し込みについて競りを行い、最高価格の申し込みに関する情報を申し込みの誘引者に通知する役務をコンピューターを使って行う。つまり、広告媒体を提供してこっちから来た情報をこっちに渡してあげるというだけであって、今大臣政務官がおっしゃられた普通の意味での日本語のあっせんという言葉の理解の範疇から考えると、どうもインターネットオークションということをあっせんという言葉で扱ってしまうと、常識的な日本語の意味としてのあっせんとここで使われるあっせんということの意味がずれているというふうに思うんですが、国家公安委員長、いかがでしょうか。

○谷垣国務大臣
 枝野議員に法律上の言葉の解釈を説くのは釈迦に説法でお恥ずかしいんですが、一般的に言って法律用語は、辞書に書かれているような常識的な意味合いといいますか、一般的な意味合いを踏まえて使うのが当然と申しますか、本来であろうと思います。

 ただ、今度は法律ということになりますと、一般に使われている意味合いと全く同じ意味合いで使っているかというと、やはり、それぞれの法の趣旨や何かを加味しましてある程度限定していくとか、限定だけではないかもしれませんが、いろいろなことがあり得るということは枝野委員御承知のとおりだと思います。

 それで、今インターネットオークションはどういう機能を果たしているかという御説明がございまして、事業者が利用者と交わしている契約は、今委員がおっしゃいましたように、コンピュータープログラムを利用することの許諾であって、利用者はその契約に基づいて売買しようとする古物の広告を行うことができるという法律構成で当事者はやっておられる、それはもう確かだろうと私は思います。

 しかし、他方、インターネットオークション事業者は、古物の売却をしようとする者と買い受けようとする者との間でのオークションが行われるシステムを提供するわけですから、これによって出品物の情報を掲載する、それからオークションへの入札あるいはオークションによる落札、双方の連絡先の通知というようなものが行われるわけですね。それで、競りの方法を用いながら古物を売却しようとする者と買おうとする者を結びつける働きを、この場が、このシステムで行われているわけで、その結果として相互に結びつくという機能があると思うんですね。それをこの法の上ではあっせんという言葉で表現をしている。そういう意味でこのインターネットオークション事業者の実態をあっせんという言葉を使って表現したというふうに私どもは考えているわけです。

○枝野委員
 こういうときの大臣が弁護士としての大先輩であってよかったなと思っておりまして、中身の深い議論ができるんじゃないか、よかったなと思っておるんです。

 今お話しになった中で、確かに、普通の日本語を法律の言葉で使うときにはそれよりも限定される、もちろんいろいろな要件がつく、それはある意味当たり前だと思うんです。微妙にずれることがあるということはあるかもしれない。だけれども、少なくとも当事者、普通の人たちが受け取る言葉の意味、理解と、法律の言葉で使われていることの意味がずれてしまっているというか、本人たちの意識と全然違う使われ方をしているということがあっていいのかどうかというのは疑問だと思います。

 その前にちょっと、法制局に来ていただいていて、一点だけ確認をしておきたいんですが、今大臣の御答弁の中にもありましたとおり、普通に国語辞書的に書いてある日本語の意味と法律上書かれている言葉の意味が食い違う場合がある、これはこれでよろしいですね。法制局として、内閣を代表してお答えいただけますか。

○山本政府参考人
 お答え申し上げます。

 法令といいましても、要するに、国民がこれを読んで理解できるものでなければなりません。そういう意味で、用語の意味についても、普通は辞書に載っているような、そういう一般的意味で用いることが原則だと思います。

 ただ、法令によりまして、一般に法令というのは権利義務の規範でありますから、そういう意味で論理的な正確さ、厳密さというものが要求されることは事実でございます。そうした観点から、いわゆる多義的な用語につきましては、必要に応じて定義規定を置きましてその法令における用語の意味を明らかにするということをしております。その結果として、同じ用語であっても法令ごとに多少定義が異なるということはあり得るものと思います。

 さらにまた、法令の趣旨、目的、あるいはその法令が適用されるという場面は、もちろん各法令によって違うわけでございますから、同じ用語を用いたとしても、規定全体の中でその意味を考える場合には、法令の規定によって多少異なる意味合いがあるということも事実でございます。

○枝野委員
 法制局、これで結構です。ありがとうございます。

 それで、あっせんに似たような話であるということは私も否定はしません。しかし、では、インターネットオークションを利用している人たちがインターネットオークション業者にあっせんをしてもらっているだなんという認識があるかどうか、あるいは、インターネットオークション業者に、自分たちはあっせんをしているんだという認識があるのかどうかということを考えると、普通の日本語の意味、これは人によって常識の範囲が違いますと答えられたらそれまでなんですが、常識的に考えて、利用者は、あっせんをしてもらっているんじゃなくて、業者が提供してくれた場を使っている。

 あえて例えて言えば、フリーマーケットにお店を出した、そこで、フリーマーケットで買い物をする。フリーマーケットは主催者がいるわけで、主催者は場所を区切って、それで、出展する人はこの区画、この区画とやっている。そこに並べておくと、買いたい人がやってきて、売り買い自体はそこで本人同士でやる。このフリーマーケットの場を設定している人たちをだれもあっせんとは思わない。

 インターネットオークションの場合も、基本的には、売り買いをする、競りをするというプログラムという意味では、単に物理的な空間よりは複雑かもしれませんが、場を提供しているという意味では全く同じではないのか。そう考えると、このインターネットオークションをあっせんという言葉で定義をしてしまったということは、やはり国民の常識とは、ずれるんではないかと思いますが、いかがですか。

○谷垣国務大臣
 意識がどこにあるかというのもこれはなかなか難しい議論ですけれども、繰り返しになりますが、私どもは、先ほど申し上げたような、単にフリーマーケットに行くというだけじゃなくて、出品物の情報の掲載、あるいはオークションへの入札、落札、それから参加者の双方の連絡先への通知がまさにそのシステムを利用してその利用契約のもとで行われる、そういうことで結果として結びつける作用が働いている、そこに着目しているわけでして、私は、枝野委員と若干日本語の感覚が違うのかもしれませんが、そのことを目してあっせんという言葉からえらく外れてしまったというふうには私は思わないんです。

 ちょっと、こういうあれをすると、何か議論というよりか、感覚が違うよなと言っているようで、私もこういう答弁でいいのかなと思うんですが、実はそういうふうに感じておる次第です。

○枝野委員
 実は、これは単にあっせんと書くのかどうかということだけではなくて、後、これから申し上げるとおり、この法律は全く中身がないと思っているんですが、中身がないのに、何か業者に努力義務か何かを課しているということの出発点は、あっせんという言葉に引きずられて、この業者は間に入って何かしているんですよねということを前提にしていろいろな義務を課したりしているというふうなつながりが私はあると思っているんです。単にプログラムを提供しているという理解なのか、それとも間に入って何かしていますという理解なのかで、間に入っている業者にどういう責任を課せるのか、義務を課せるのか変わってくるわけでして、単に言葉遊びではないと思っています。

 そうした意味の中で、例えば、確かにインターネットオークションの場合はいろいろとその途中に複雑なプログラムが入りますが、ではフリーマーケットの場合は何もしていないのかといったら、フリーマーケットの場をつくった人は、何月何日にフリーマーケットがありますよだなんてことで人を集めるというようないろいろなことをしてくれているわけですし、私はフリーマーケットに出展したことはありませんから詳細までわかりませんけれども、やはりそのフリーマーケットの中におけるいろいろなルールをつくってあげて、変な人が入ってきて場を混乱させたりとかしないようにという仕組みをきちんとつくってあげるというような一種のプログラムを提供しているんですね。ルールを提供してあげているから、フリーマーケットの場にみんながわあっとやってきてそこで物を売ったり買ったりするということが行われている。それがたまたま電子的プログラムになったのかどうかということにしかすぎなくて、本質的なところはフリーマーケットの場の提供もインターネットのオークションも同じである。

 そういうときに、フリーマーケットの業者があっせんだなんということは、これはさすがにだれも思わないんだろうと思いますし、そこまでやっていることについて意味づけを与えるというのは、私はおかしいのではないか。これが何もあっせんという言葉を使わなければ法律が書けないのかというとそうではなくて、例えば、一番あっさりと書くのだったら、競り売りの方式で行う形式を備えた電子広告プログラムの提供の営業というような書き方があるでしょう。

 厳密に言うのであれば、私たちは、この法案が提出されてから警察庁の皆さんとディスカッションをする中で、こういうふうに変えられませんかということで院の法制局などとも御相談をして、例えば、先ほどもちらっと申しました。急いで読みますから速記の方に申しわけないんですが、古物に関し、求めに応じ、その買い受けの申し込みの誘引の広告を行い、当該申し込みの誘引に対する申し込みについて競りを行い、及び最高価格の申し込みに関する情報を申し込みの誘引者に通知する役務(コンピューターを使って)を提供する事業、例えば、以下古物ネットオークション事業というというような、日本語としてこれが練れた日本語かどうかは別問題として、一般的に、国民に権利義務を課すような法律で厳密に法律の条文を書きましょうという従来の政府の姿勢からすれば、これぐらい書いてもおかしくなくて、あとは一般に、例えば古物ネットオークション事業と書けば済むだけの話なのに、どうしてこういうあっせんだなんて言葉を使ったのかがさっぱりよくわからないんですが、そのあたりのところは御説明はできますか。

○谷垣国務大臣
 確かに、枝野委員を中心としてそういうことを検討されたということは私も承知しておりますが、先ほどの繰り返しになりますが、競りの結果として相互に結びつくという社会機能、そういう機能面も含めてインターネットオークションの定義づけをしたいというのがこの法律の考え方でございます。

 それで、今枝野さんがおっしゃった広告という言葉は、早口でおっしゃったんですが、多分広告とおっしゃったわけですよね。それで、それは売り主の意向を広く一般の人に知らせることを意味するにとどまるんじゃないか。そうすると、私が先ほどから申し上げているような機能を十全に敷衍することができないのではないかなというのが私どもの考え方なんです。

○枝野委員
 これは通告しなかったので、お答えになれなければ仕方がないんですが、インターネットオークションで買いたいという申し込みがあって、幾らで買いますと言って、最高価格の人がどこの何という人で幾らでというのが売りたいという人に通知をされるわけですけれども、この時点では契約は成立しないと思うんですよね。そういう、幾らで買いたいという人が出てきたけれども、自分が広告的に示した最低売り渡し価格よりは上に行っているけれども、でも、申し込まれたら、やはりこの人には売りたくないなといったら、売らなくて済むんじゃないんでしょうかね、インターネットオークションでは。

 そのことに対して何の制裁もかけられないというか、契約を結んだんだから売りなさいということで民法上の権利義務関係は発生しないんじゃないですか。あくまでも、その最高買い受け価格が、だれが申し受けたのかという通知がなされるだけで、その通知に基づいて初めてそこで売り手と買い手の間で売買契約が成立するんではないんでしょうか。

○谷垣国務大臣
 ちょっと今の点は、私も裁判所でも通用するような答えにはなるか自信がないんですが、今のお話は、契約は成立していないのかもしれないなとお話を伺いながら思いました。ただ、選定して紹介をしているというところに意味があるのかな。ちょっとここのところは、実は十分な自信があって言っているわけではありませんので、申しわけありません。

○枝野委員
 一般の日本語であっせんといった場合には、この人が買い手候補、この人が売り手候補、ぜひ契約しなさいよというようなところで仲裁的に入るからあっせんだと僕は日本語としては思いますので、今のようなことだとすると、これはあっせんという言葉じゃなくて、あくまでも買い受け候補者の紹介にすぎないのであって、やはり、あっせんという日本語とは違うんじゃないかと思いますが、後のこともあるので、文部科学大臣政務官に最後のお尋ねをします。

 今の議論をお聞きになっていてどういうふうに受け取られたか。政府のお立場ですから、いや、あっせんという言葉の範囲内だとおっしゃられればそれまでなんですが、やはり、普通の国民が受け取っているあっせんという言葉と、この法律でインターネットオークションまであっせんという言葉に読んでいるということには、私はずれがあると思います。

 そのずれがあるということについて、昔つくった法律で普通の日本語と法令上の日本語にずれがあるというのは、昔つくっちゃったからしようがないですが、今、日本語の乱れとかいろいろなことが言われている中で、新たにつくる法律で、国民が普通に使っている国語辞書的な、正しいというかの日本語と法令上出てきた言葉の意味とにずれが出るというようなことは、一つは、文化行政、日本語文化というものを守るという観点から、あるいは国語教育という観点から、私は望ましいことではない、ほかにかえ得るんだから、何もこういう望ましくない法令をつくるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

○池坊大臣政務官
 今議題となっております法律内容を十分に私は把握いたしておりませんので、このことに対してはお答えするのは差し控えたいと思いますが、一般的に、私は、やはり日常生活と法律用語とは同じであった方が私どもにはわかりやすいのではないかというふうには考えております。

 今、日本語はどうなっていくのか。ただ、少年法のときも、少年というのは、私たち一般は少女と対比して使います。小中高校生のことを少年といいますが、少年法の場合には、成人に比して、少女も含めて少年でございましたし、児童福祉法でも少年というのは定義が別にございましたので、そういうことがあるのではないかしらんというふうには思いますが、一緒である方がいいとは思っております。

 加えて、文部科学省から言わせていただくならば、日本語というのは、ただ意思の疎通にとって大切だというだけでなくて、日本人並びに日本人の心の問題だと思っておりますので、これからも次の世代に日本語が正しく使われますように、私どもは力を尽くしていきたいというふうに思っておりますし、文化審議会の国語分科会でも、「これからの時代に求められる国語力について」という審議もいたしております。

 ただ、やはり言葉というのは、生まれてきた根底というかよりどころ、規範というものがございますので、それを大切にしながら時代とともに歩んでいくことが大切と思っておりますし、その点を留意しております。

○枝野委員
 ありがとうございます。

 私も、過去につくった法律でずれが出ている、そのことは現実として存在しているわけで、それをできるだけ直すという努力をすべきかすべきでないか、まあ、いろいろあるんだと思います。だけれども、新しい法律をつくるわけですから、新しい定義を置くわけですから、その場合には、何も疑義のあるようなことはしなくていいんじゃないかというふうに思いますが、いずれにしろ、お忙しい中、大臣政務官、ありがとうございました。

 さて、まず入り口のところでこの定義にそういう問題があるんですが、条文、ちょっと逐条的に問題点をやっていきたいというふうに思うんです。届け出のこともあるんですが、ちょっと先に、真偽の努力義務の方から入っていきたいというふうに思います。

 二十一条の二、「相手方の真偽を確認するための措置をとるよう努めなければならない。」と書いてあるんですが、まず、前提事実として、現在のインターネットオークションは、その取引件数というべきなのか、取引されている金額というべきなのか、大手の三社が、ほぼ一〇〇%という言い方を警察庁の方はおっしゃっていましたが、シェアを占めている。そして、この大手の三社は、自分たちの自主的な判断で本人確認、真偽を確認するための措置を既にとっています。そうした中でこうした努力義務を法律で書くことの意味は何かあるんでしょうか。

○谷垣国務大臣
 確かに、今、枝野さんがおっしゃるように、大手三社でほとんど市場を占めているというふうに私は判断しているわけですが、そういう中で、今おっしゃったように三社として努力をしていることも事実で、私はそれは評価すべきことだなと思っているんです。

 ただ、現実問題、新しいものが出てこないという保証もありません。それから、そういうときに、このインターネットオークションを利用した盗品の売買等があるわけですけれども、それに使われる理由というのは、匿名性にあるんだと私は思うんですね。だから、匿名性にあると思いますから、本人確認義務を課す。確かに現状では三社ですけれども、今後出てくる可能性もあるわけですから、そうやって市場を整備していく意味というのは、私はあると思います。

○枝野委員
 先ほど来の質疑の中でも本人確認義務とおっしゃっているんですが、もし、本当にこれが本人の確認ということをさせておかないとまずいということであるならば、逆に、何で努力なんでしょうか。法的義務を課さないで、努めなければならないということなんでしょうか。

 現実に、ほとんどの取引は本人たちの努力で本人確認をさせている、それで大方のところは問題ない。いや、それでも、ほんの一部でも問題があって困るということであるならば、法的義務にしなければ理屈が通らないと思うんですけれども、いかがですか。

○谷垣国務大臣
 そこはなかなか実は難しいところで、枝野委員は先ほど、この法律は実効性がないということをおっしゃったわけです。これは、取り締まって犯罪を摘発していくという立場からすれば、行け行けどんどんというのがいいのかもしれませんが、それはそうはいかないので、やはりできるだけ抑制的にということも私は必要なんじゃないかと思います。

 そうしますと、すべて義務といいますか、あるいは背景に、例えば罰則でもってどんどんやっていくより、現実に大手三社で努力義務をしてやっていただいている、それならば、新規参入していただく方もそういうことを課して、匿名性というものを排除して犯罪の可能性を少なくしていくということは、私は十分に意味のあることだ、こう思います。

○枝野委員
 私は、この本人の真偽確認ということについては、実はこの法律を離れたところでは、Eコマースの世界で考えなければならない部分なんだろうと思います。つまり、本人の真偽が確認できなければ、取引をする相手方との関係で問題が生じるというのは間違いないわけです。それは、盗品が出るとか出ないとかということにかかわらず、一般的に、取引の相手方としては、インターネットを通じてしか知らない相手が本当にこの人で間違いないのかということを確認しないと安心して取引ができない。それは、インターネットにおける取引を活性化していくという時代の方向性からすると、必要なことなんだろうと私は思っています。

 だから、別途、この部分について立法化をして、Eコマースにかかわる部分のところを、関係している業者に、本人確認義務といっても、現状でやれば、クレジットカードなどを使った簡便な方法でいいという流れでありますから、例えば、そういうことであるならば、むしろ、盗品云々という話ではなくて、取引の相手方保護という観点から、恐らくこの場合は内閣府が所管でやるんでしょうけれども、取引の安全という観点から、消費者保護という観点から、真偽確認は法的義務にするというのが一つの考え方ではないかというふうに思っているんですが、しかし、この法律の中で、少なくともインターネットオークションという世界では、実際には本人確認がほぼ一〇〇%なされている。

 それから、インターネットオークションは買い手がいなければいけないわけですけれども、買い手の立場からしてみれば、まさに盗品とかが紛れ込むかもしれない、ある意味では危ない部分の取引の世界のところで、本人確認をしているインターネットオークション業者を当然のことながら消費者は優先して使いますから、こんな義務規定を置かなくても、逆に、一〇〇%近いシェアを占めている大手三社が本人確認の義務を課しているところに新しい業者が参入するときに、本人確認ぐらいしていなかったら、そこに買い受け希望者が入ってくるとはとても思えない。そういうことを考えると、ほとんど意味のない規定であるということをまずこの規定については申し上げておきます。

 次は、申告義務、これは義務です。二十一条の三で、「盗品等の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」趣旨自体は悪いことじゃありません。だけれども、これまでもいわゆる大手三社と言われているところは、警察の皆さんにできる限り任意で協力しましょうとやってきているというふうに聞いていますが、では、今まで盗品がインターネットで取引をされたというケースで、被害者からの連絡とか犯人の検挙とかが端緒でなくて、インターネットオークションに出展されたということ、それに対して事業者が気がついて、それで何か手を打とうとしたというようなことが端緒になって捜査が進んだということはありますか。

○谷垣国務大臣
 その点は、残念ながらと言うとちょっと言葉はいけませんが、被害関係者が事業者や警察に通報した事例はございますが、残念ながら、事業者から警察への通報によって盗品等の処分が判明したものは、警察が関与したものではいまだないというふうに聞いております。

○枝野委員
 そもそも、インターネットオークション業者が盗品の疑いがあるだなんということを知り得る立場にあるんでしょうか。

 どういうことかというと、先ほど来申し上げていますとおり、インターネットオークション業者はインターネットのプログラムを提供して、売りたいという人は、そこに勝手にアクセスしたらコンピュータープログラムで自動的にインターネット上に掲示がされるんです。それも、非常に多数の件数の売りたい、買いたいという情報が掲示をされるんです。

 その一件一件の売りたいと掲示をしたという、申し込みの勧誘になるんでしょうか、それ自体をインターネットオークション業者は現実には把握していない。わざわざ検索しない限り、わざわざ調べない限り見ていない。見ようと思っても、膨大な数になってとても見れない。百歩譲って見れたとしても、これは盗品ですと言ってインターネットオークションに売りますといってやるばかはいませんから、どれが盗品でどれが盗品でないかなんというのは、インターネットオークションのインターネットに掲示をされたところを見て、これは盗品だなんて、だれがどうやって気がつくんですか。そもそもこの疑いを持つというのは、どういうプロセスでどういうふうにわかるんですか。

○谷垣国務大臣
 今枝野さんがおっしゃったことは、やはりこういう新しい形態の取引の中でそれが犯罪に利用される場合に、我々としてどうそれに対応していくかという悩みそのものをおっしゃったような気もするんです。

 だけれども、例えばその場を管理して、競りあっせん業者、インターネットオークション業者は、例えばそこに参加している人から苦情も受けたり、利用者からの情報もあり得る立場です。したがいまして、そういう情報を一番持ち得る立場にあるということは私は言えると思うんです。確かに、枝野さんがおっしゃったように、膨大な中に全部できるかといえば、なかなかできないかもしれません。しかし、被害者から、あなたのところはこういう問題をたびたび扱ってちょっと困るんじゃないかというようなことがあったときに気をつけていただくということはできるんではないかな、私はこういうふうに思います。

○枝野委員
 念のため確認をしておきたいんですが、これは平成十四年五月二十四日付で、警察庁のセキュリティシステム対策室がいわゆる大手三社あてに説明をしたペーパーの中に、この申告義務については、盗品の疑いは主観的に認めるときということをおっしゃっています。あくまでも、この疑いがあるかどうかということは主観であって、客観的に疑いがあるというようなものであったとしても、インターネットオークション業者が主観的に疑いがあると思っていなければ義務はない、これでよろしいですね。

○谷垣国務大臣
 今おっしゃるように、盗品等の疑いを主観的に認める、こういうことで結構です。

○枝野委員
 それで、その前の御答弁の中で、確かに、自分が盗まれた、盗まれたものがインターネットオークションにかかっているというようなことがあれば、それは普通は警察に言うかなと思います。中にはオークション業者におかしいじゃないかと言う人がいるかもしれませんが、それは、いや、うちは盗品かどうか判断できませんから警察に行ってくださいということで全然済んでしまう話であって、何でそこに業者がわざわざそれを取り次いであげなきゃならない責任があるのか。

 それから、逆に言えば、あれはおれが盗まれた盗品だと言ってきたものが、本当に被害者が言ってきたものなのか、それとも単にいちゃもんをつけているだけなのかなんということは、業者には判断する材料が全く与えられていないですよね。そうした中でこういう法的義務を課すというのは不可能を課しているのだと僕は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○谷垣国務大臣
 例えば、先ほどと同じことを申し上げるかもしれませんが、被害関係者から何らかの合理的な内容の通報を受けた場合であるとか、あるいは、そうやって調べてみたら、盗難や横領に遭わなければオークションに出品されるとは考えにくいものが出ていたような場合に、これは盗品ではないかという疑いを持たれることは十分にあり得ることだなと私は思います。それを一概に全部排除してしまう必要はないのではないかなというのが私どもの考え方です。

○枝野委員
 きのう質問取りの方といろいろお話をさせていただいたんですが、例えばどこかの美術展のミレだかピカソだか、そういう名画が盗まれて、それがインターネットオークションに出されているというような話であれば、それは業者だって気がついて、これは盗品の疑いがあるかもしれない、こういうふうに思えるのかもしれないですが、例えば、先ほどいわゆるブルセラ商品みたいな話を言っておられましたけれども、これなんかは区別のつきようがないわけですね。盗んできて売りに出しているのか自分のものを売りに出しているのかなんというのは、それはインターネットオークションで掲示上から全く業者には判断のしようのない話であります。

 ただ、一般的にこの手のものが出ているときには、危ないというか問題だ、盗品が含まれている可能性が多いということであるならば、警察の中に、インターネットオークションなどについて、どんなものが売りに出されているかだれでもアクセスして見られるわけですから、それをちゃんとチェックして見ていればいいじゃないですか。

 私は、警察官の数は、そういう部分のところでふやすのはどんどんふやすべきだという実は立場ですから、これは一貫して前の大臣との議論の中でもさせていただいています。そういうことの監視のために予算をちゃんととって見ているのが一番早いですよ。それで、ああ、こういうところに、今こういう傾向で、こういう盗品の可能性のあるものがどんどん出ているなというようなことで捜査に資するというようなことはできるでしょうし、そこは、警察が見ているんだから、自分たちで持っている被害届とそこで見て得た情報を照らし合わせれば済むことで、なぜ業者に、こんな余り実効性のない義務を課さなければならないのかはよくわからない。

 あえてこれが意味を持つとすれば、業者に売りたいという申し込みがあったら、全部一件一件見なさい、一件一件怪しいものがないかどうか見なさいという義務を課すのであれば、それは一件一件見ていれば、その中におかしいかなと疑いを持つものが出てくるかもしれない。しかし、どうも従来のお話の中では、そういう義務を課すわけではないということは間違いないですね。一件一件どういうものを売りたいというのが来ているかということを業者には義務を課さない、そのことは間違いないですね。

○谷垣国務大臣
 今の申告義務が調査する義務を伴っておらないというのは、もうおっしゃったとおりです。

 ただ、先ほどちょっと事例を申し上げる中で、盗品でなければ出にくいものが出てきた場合というようなことがありますので、具体的な例を申しますと、発売前の人気ゲームソフトがインターネットオークションに出品されていたという例がありまして、この場合はメーカーが発見して、当該ゲームソフトが盗品であると認められる旨を事業者に通報したという事例がございました。

 そこで先ほど、そういうのはむしろ警察でやるべきだ、そのための人員はふやせと。ふやせというのは大変応援していただいてありがたいんですが、現実に、主として東京と私の出身である京都府の警察は、インターネットサーフィンというんでしょうか、ああいうものをしながらいろいろな事例の摘発にかなり実績を上げておりますが、では、そういうところで全部解決できるかというと、これはなかなか難しゅうございまして、やはり私どもは、そういう事業者やあるいは民間の協力もいただかないと犯罪を押さえていくということがなかなかできないんだと思うんですね。そういう考え方を私は少なくとも持っております。

○枝野委員
 済みません、揚げ足をとるようで申しわけないですが、今、一点目に例示をされたようなケースも業者が気がつくんですか、インターネット業者が。それは、インターネットオークション業者は、まだ売り出されていないプログラムであるというようなこと自体を知らなければそんなこと判断できないわけで、やはり現実には盗まれたゲームソフト会社の方が気がついて通知をするのであって、当然、インターネットオークション業者の方にも、それは盗まれたものだ、困ると言うのと同時に、警察の方にも盗まれたものが出ているといって届け出があるんでしょうし、ということであれば、業者にこの申告義務を課すことの意味は私には余りよくわからないということを申し上げておきたいのです。

 それから、確かに、先ほど、警察でチェックすればいいじゃないかと申し上げたのは、逆に言ったら、警察だってどんなに人員を多くしたって全部なんか見られないです、インターネットオークション。逆に言ったら、業者も、自分のところに掲示されたのを全部見ろと言われたら困ります。だから、今、それは見ろという義務は課していないということを確認をとらせていただいたのでいいんですが。

 要するに、気持ちはわかるんです。気持ちは非常によくわかるんですよ。疑いがあったら報告をしろという義務を課すということの気持ちはふわっとはわかるんですけれども、では実際に実効性があるのかと言われたときに、この規定が意味を持つとすれば、やはり全部、一件一件チェックしなさいという義務でも後ろにくっついているのかしない限りは、そんなものは現実にはほうり出しているんですから、プログラムだけ提供して、あとはみんな勝手にアクセスしてきて、業者の責任義務としてはサーバーがパンクしたりしなきゃいいわけで、彼らの提供する役務はそうなんですから。そんなところを見ていなくてもいいわけですから。自分のところのインターネットオークションの場でどんなものが売りに出されているのか見ていなくても業者は構わないわけですから。見ていない人が盗品の疑いがあるだなんて気がつくわけがないということを考えると、全く私には意味がわからないということを申し上げさせていただいた上で、今度は二十一条の七、競りの中止。

 これも気持ちはよくわかります。盗品であると疑うに足りる相当な理由がある場合には、当該古物に係る競りを中止することを命ずることができる。気持ちはよくわかります。筋としてもそうだろうと思います。盗品が売りに出されているのに気がついたら競りを中止することを命じることができるということが、気持ちはよくわかるんですが、では、例えば、これまでもインターネットオークションについて、こういう法令がなくても、任意捜査というか、あるいは業者の協力によっていろいろ出てきていますが、実際に、法に基づく命令ではないけれども、業者にこれは削除してくれませんかというような要請をしたようなケースはございますか。

○谷垣国務大臣 これまでに事業者に捜査関係事項照会を実施した中で、その対象物について掲載を中止してくれ、こう言った例はありません。

○枝野委員
 そうなんですよ。なぜかといったら、犯人を捕まえないと競りに出されている物も押さえられないわけですね。インターネット上に出されているのはこういうものですという情報でしかすぎないわけです。物がほかのところに転売されないように物を押さえる、そして犯人を押さえるということを考えたときに、犯人を特定して犯人のところに物理的に踏み込まない限りは、仮に競りを中止させても物は押さえられませんから、だれかほかのところで売ることは可能なわけです。

 ところで、犯人の側に立ってみれば、インターネットオークションに出した、そうしたらある日突然競りを中止させられた、つまり削除された、やばい、警察が気がついたようだ、盗品だと気がついたようだとなるに決まっているじゃないですか。つまり、犯人に逃亡の機会を与えることになるんです、犯人を押さえる前に競りを中止させたら。少なくとも同時じゃなきゃいけないし、同時であったら、基本的には犯人を押さえて物を押さえるんですから、それは、競りを中止だなんという命令を法的根拠を持ってつくらなくたって何の問題もないということになりませんか。

○谷垣国務大臣
 今、枝野委員おっしゃったことは、捜査技術上はまさになかなか難しいところだろうと思うんです。私自身が捜査をやるわけじゃありませんからあれですが、多分非常に難しいところだと思います。犯人逮捕の必要性やそういうことを考えますと、そういう中止をせよと言うことがいいのかどうかというのはなかなかデリケートなところがあると思いますが、これは、盗品等の処分を間際で阻止して、そして被害回復を図って被害者が自分の物の追及をできるようにする、取引の安全にもその意味で資することをするという趣旨でできている規定でありまして、今おっしゃった証拠隠滅とか逃亡のおそれとは一応別なところでつくってある制度だということは私も率直に認めなきゃいかぬと思います。ただ、取引の安全と捜査の必要性というのは判断しながらやるのであって、こういう手法も与えていただきたい。

 先ほど、私も今まで例がないと申し上げたのは、今までやはりそういう根拠規定も特にない中で、なかなか、任意といえども警察がそういうことを要請していくのはちょっと警察の民事に対する介入のし過ぎじゃないかという配慮もあったんだろうと思います。そういう配慮があったかどうか、私尋ねておりませんが、恐らく過去の捜査担当者がそういうことも判断したのではないかなというふうに思います。

    〔委員長退席、細野委員長代理着席〕

○枝野委員
 本当にお気持ちはよくわかる。つまり、盗品が出ているといったら、それを売るのをやめろと言う。今までもそうしてきたでしょうし、実際それはよくわかるんです。

 それは、要するに、IT時代によって社会がどう変化したかということを本当に理解していたら、IT上の競りを中止させることの意味が、従来、ITではないところで古物を売買していたという時代にそれを売るのをやめろという話と、インターネット上でやっているのをやめろという話とでは全然意味が違っているんだ。

 つまり、インターネット上は一種のバーチャルの世界ですから、そこのところを押さえた瞬間に、リアルな世界にいる売り手の方はその情報に基づいて逃げることができてしまう。それはもちろん、インターネットのない時代であったとしても、売っている場と犯人のいる場は物理的に離れているケースはあるかもしれないけれども、ネット上の距離感とは、これは要するに比較、つまり相対的な違いではなくて、質的に違っている。だから、従来の捜査手法でいえば、競りを中止したい、させたいという気持ちは物すごくよくわかるけれども、実際にはこの規定を置いてもほとんど意味がないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、今度は二十二条三項、調査という項目にあるんですが、インターネットオークションについては、「盗品等に関し、必要な報告を求めることができる。」ということしか書いてありません。これはどうなんですか、調査は、何を報告させることができるんでしょうか。

 それとの兼ね合いで、例えば二十一条の四では、インターネットオークション業者は、「国家公安委員会規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法による記録の作成及び保存に努めなければならない。」という記録の保存義務があるわけですね。例えば、何月何日におたくの業者を使って取引をした人、何千人分だか何万人分だかありますね、その通信記録全部出してくださいということも言えちゃうんじゃないですか、この規定で。

○谷垣国務大臣
 二十二条三項ですか。

○枝野委員
 いやいや、二十一条の四で記録の作成、保存に努めなければならないという努力規定を置き、その上で必要な報告を求めることができるということがあると、盗品が出ていたと思われる日の取引を一括して報告しろ、その日の記録を一括して報告しろ、あるいは、その日の記録ということでは逆にやりにくいとすれば、例えば女子高校生の制服を売りに出していた記録を過去一年分にさかのぼって全部出せというようなこともできてしまうんじゃないですか。

○谷垣国務大臣
 これは、報告を求めることができますのは、過去も国会答弁をしているようでありますが、古物営業法の施行のために必要があると認めるときということに限られておりまして、インターネットオークション事業者については、通常、競りの中止の命令に関する報告を求めることになるわけですが、本件の規定を含めて、新たな制度の解釈、運用は、事業者と必要な意見交換等を行った上で文書等により対外的に明らかにしていくこととしているので、そのような行政権限の乱用につながるおそれはないというふうに私どもは考えております。

○枝野委員
 そもそも、盗品がインターネットでオークションに出されている。これは盗品だとかあるいは盗品の疑いがあるというようなことがあるときは、犯罪捜査として、当然のことながら、インターネットオークション業者に対し捜査への協力を求めて、その盗品と思われるものをどんな人が売りたいという申し込みをしたのかという情報を下さいと。業者が応じなければ、これは令状をとって押さえることは当然できます。個別に、具体的に窃盗犯罪と結びついているケースについては、現行法で何ら問題なくできるわけです。問題なくできるはずなのに、あえて必要な報告を求めることができるという規定を置いているというのは、まさに行政取り締まり的な観点からです。

 とすると、最近、女子高生の制服がわっと売り出されたのはどれぐらいですかとか、自動車の部品が出されたのはどれぐらいですか、これは確かに行政取り締まり的にも、それが結果的に犯罪予防につながるという意味でも意味があるでしょう。意味があるでしょうが、そのときに、トータル件数を出せと言うんだったらまだわかる。だけれども、そのときに、何のだれべえさんが例えば女子高生の制服を売りに出していましたという情報は、それは個人情報ですよね。それをこの規定に基づいて必要な報告を求められてそれに応じなきゃならないということになったら、これは個人情報保護の観点から困りますよね。

 ですから、ここはきちんと限定をつけていただかないと。でも、限定をつけて、本当に必要な部分というのは犯罪捜査としてできる。そうするとこの規定は要らないんじゃないですか。

○谷垣国務大臣
 先ほど刑事訴訟法上の照会ということをおっしゃいましたけれども、それとはもちろん意味合いが違うので、刑事訴訟法の場合は、あくまで犯罪捜査に関連して行われる。似たような条文でありますけれども、これはあくまでこの古物営業法の行政目的からつくられたあれでありますから、そういう中での限定が当然かかってくるわけです。

 それから、今枝野委員がいろいろおっしゃった、保存に努めなければならない、二十一条の四の関係でありますけれども、これは努めなければならないんですが、それで照会をされたとき、ないならないと言えば、それでもうそれ以上の義務は課されていないわけですね。

 そういうようなこと、それから、法の必要性をいろいろ考えますと、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、私は、これが乱用にわたることはないというふうに思いますし、それから、個人情報保護法との、法の関係ですか。(枝野委員「個人情報保護法はまだないわけです、個人情報保護の観点です」と呼ぶ)個人情報保護の観点から、これは運用にもちろんそれなりの限定がかかるのは私は当然だと思いますが、やはりこの全体の古物営業法のもとで、先ほどのようないろいろな問題が生じてくるのを抑える意味で、私はこういう手法は認められてしかるべきではないかと思います。

    〔細野委員長代理退席、委員長着席〕

○枝野委員
 もう一回、改めて整理して聞き直しますが、犯罪捜査のためには、刑事訴訟法に基づいて照会もできるし、あるいは捜索・差し押さえもできます。普通は、照会をすれば応じるでしょう。それ以外の目的、つまり、行政目的で報告を求める。行政目的で報告を求めるというのは具体的にどういうことを想定しているか、さっぱりわからない。盗まれた物、これが盗まれているとかということについて警察として知りたい、それはよくわかる。だけれども、では、それ以外に報告を求めるというのは何を求めるんですか。

○谷垣国務大臣
 主としてここで考えられているのは、競りの中止ということを求めるときにこの報告を求めるということを主として考えている規定であると理解しております。

○枝野委員
 まず、競りの中止ということについては、先ほど申し上げましたとおりの理由で、そもそも、全く意味がないんじゃないか。さらに言うと、競りの中止を求めなければならないような状況というのは、盗品であると疑われたり相当な理由がある場合。ですから、そこまでまだ段階として行っていないのかもしれないけれども、少なくとも、盗品であると疑うに足りる理由はあるぐらいの状況ですから、それは結果的に、要するに、競りの中止自体は別の方法で実際犯人を押さえるということはできる。その情報を警察がとるということは刑事訴訟法でも全然できるので、そのこと自体は余り意味がないんじゃないかということを申し上げた上で、今申し上げた部分で使うということの限定はどこについているのか。全くついていない。

 一方で、記録は全部とっておきなさいと。法的義務じゃないけれども、皆従うでしょう、少なくとも大手三社は。記録を全部とっておくでしょう。記録をとっている業者に対して、盗品等に関して必要な報告を求める。最近、先ほどせっかく出たから、女子高生の制服とかを盗んで、それをインターネットオークションにかけているケースがたくさんあるようだ、あるいは最近、何か自動車の部品をやたら盗んで売りに出す人がたくさんいるようだ。そしたら、この際、この規定に基づいて過去一年間おたくのインターネットオークションで女子高生の制服が売りに出された件数は何件ですかと報告を求めるんだったら、まだわかる。

 だけれども、この法律を読む限りは、そのときに何のだれべえさんが、いつ、どういうふうに売りに出して、だれが幾らで買いましたという情報についても求めることができる。それを限定する規定はどこにもないですね。

○谷垣国務大臣
 これは、従来のこの法律の解釈の上、あるいは国会答弁も過去にあるわけですが、古物営業法の施行のために必要があると認めるときに限られているわけです。そこで、今おっしゃったような過去の取引をずるずると引き出すというようなことが一般的に行われるわけではないので、当然限定があるものというふうに理解いたします。

○枝野委員
 わかってお答えになっているんでしょうが、実際に、どう運用してきたかということと、この法律ができて当面どう運用するかということについては、それほど心配していません。ただ、法律上の限定がありますかとお尋ねしているんです。

○谷垣国務大臣
 それは、全体からそう理解をしていただくということだろうと思います。

○枝野委員
 でも、この古物営業法の施行の上で、つまり目的の上でといったときには、インターネットオークションを通じて盗品が売買されるということを防ぎたいからこの法律をつくっているわけですね。防ぐためには有効じゃないですか。最近一年間でやたら盗まれている可能性のある、例えば女子高生の制服とか、要するに、盗品がインターネットオークションで売買されているケースが多いと疑われるものについて、だれが売っていると一覧で出してくださいと言ったら、盗品がこういうもので売られないようにしましょうという行政目的に照らして非常に有効じゃないですか。そのことを抑制的にさせるための根拠はどこにも書いていない。

○谷垣国務大臣
 今おっしゃったことは、要するに、このインターネットオークションというようなものがどんどんまだ進歩しておりますので、なかなかそこらあたりの限定も今全部してしまっていいのかどうかという難しいところは、確かにあると思います。ただ、効果的であるから何でもできるというわけではもちろんないのでありまして、それは、当然、法の目的から見ての限定がある。それで、それが、では犯罪の疑いがあるということを勝手に判断してどんどんやっていいかというわけにはいかないのは当たり前であります。そのあたりはきちっと運用させていただきたいと思っております。

○枝野委員
 時間がなくなったので、ほかの規定についても一言ずつ申し上げておきたいんです。

 届け出制をつくっていますけれども、先ほどおっしゃられたとおり、現実には今大手三社でほぼ一〇〇%のシェアを占めています。いわゆる悪質な業者が出てくるときには、こんな規定があったって届け出なんかしませんよ。普通に参入しようと思っている業者は、大手三社が一応警察の皆さんとも連携しながら自主規制をきちんとやっている中にあって、おれたちだけは知らぬよということでやってくるとは到底思えません。どうせ届け出制をつくったって、それにも応じないような業者がもし出てきたときにどうするかということは考えておかなきゃいけないですけれども、これが今意味を持つとは到底私には思えないということを申し上げておきたい。

 それから、先ほどの記録の作成、保存の努力義務というのは、どこまで報告させるのかということの法的限定がないということですし、そもそも、これも努めなければならないという努力義務で、つくらなくても構わないんですねという話なんだから、何のために置くのかよくわからないということを申し上げておいた上で、認定制度、二十一条の五、本当にこれもよくわからないんです。

 よくつくりますね、この認定制度というのは。ここはまともな業者ですと認定してあげるということ。現に、ほぼ一〇〇%のシェアは三社で占めていて、その三社がここに書いてあるような努力義務、努力規定に基づくような努力は既にしているということがあって、それでこんな認定制度をつくるということに何の意味があるんですか。

○谷垣国務大臣
 現実にほぼ三社で、独占という言葉はいけないのかもしれませんが、やっておられるということは我々も承知しておりますが、現在のところ、いわゆるアダルトグッズを主に扱うサイトとか秘密とかいう文字を掲げるサイトで古物が取り扱われているということは私どもも把握をしております。もちろん、専ら盗品を扱っているサイトなんというのは存在していないことは事実です。

 それで、枝野さんがおっしゃったように、こういうものが認定を受けるはずがないじゃないかとおっしゃるが、やはり認定をしていただいて、正しい努力をしていただいている方にそれなりの例えば認定というような資格を取っていただいて、そういうところで全体の市場秩序が向上していくということを私どもは期待したいわけでございます。

○枝野委員
 要するに、こういう制度をつくっても、本当に問題のある業者は当然認定を受けないでしょうし、現に大手三社がほぼ適正にやっているという状況の中で、消費者の立場ということをおっしゃられるんだとすると、先ほど申し上げたような本人確認の話について、Eコマースの世界全体についての取引の保護ということは、これは別途やらなきゃならないんですが、何でここでやるのかというと、全く意味がわからないですし、それは古物営業法の趣旨とずれてしまう。

 さらに言えば、そもそも、ここは安全ですよという認定をお役所にしてもらわないと取引ができないというのは、私は消費者保護政策、例えば消費者契約法などをつくるのにもかかわってきましたが、それは過保護ではないか。行政が認定してあげないとどれが安全か消費者は判断できないという物の考え方は社会主義的な過保護な消費者行政のやり方であって、ルールだけ明確につくって、後は消費者の皆さんが判断しなさいというのが資本主義、自由主義における消費者保護のやり方だし、だから消費者契約法をつくったんだと思っておるんです。

 さらに、そもそも全体としてこれが意味がないということをもう一つ最後に申し上げたいんですが、この種の法律はどこかほかの国にありますか。

○谷垣国務大臣
 この種の法律がほかの国にあるというふうには聞いておりません。確かにそれはないわけでございます。

○枝野委員
 日本以外のところに所在するインターネットオークション業者がインターネットオークションのページを日本語で開いて、例えば日本のいろいろなインターネットのホームページにこういうインターネットオークションのページがありますよという広告をばんばん出して、日本のものをそのインターネットオークションの場でどんどん売り買いしてください、ただし業者は日本以外にいます、サーバーも日本以外に置いてありますと、この法律は適用できますか。

○谷垣国務大臣
 頭のいい方がそういうことをどんどん始められるとまことに困るのでございますが、現在のところ、今まで私どもの網に引っかかってきたものでは、盗品を売買しているのは日本国内のこういうサイトでやっているという例でございます。それからまた、日本人相手に盗品を販売しようとか売買しようという場合に、これから先、将来どうなっていくかは私もよくわからないところがございますが、やはり現在のところ、日本国内に事務所を置いてそういうことをやっているということのようでございますから、今枝野先生のおっしゃったようなことはまだ一般的になっていない。したがって、現在この法律でも相当の実効性が上げられるのではないかと私は思います。

○枝野委員
 時間になったのでこれで終わりますが、今はないかもしれません。それは、今規制がないから、別に外国に行く必要は全くない。規制ができた瞬間に、本当に盗品をインターネットでやろうと思う人たちは、今、工場でさえ設備投資をたくさんして日本以外に出ていっているんです。それは、日本以外の方がコストが安かったりする。アメリカの電話会社の日本で言う電話番号案内を、一度インドに回線をつないで、インドの人件費は安いからそこで番号案内をする、英語圏ということもありますから。今ITの世界はそんなことが行われているんですよ。こんなものは、本当に悪質な業者がこれでもうかると思ったら、海外に事務所を置いてそこでやるだなんて簡単にやりますよ。

 インターネットの世界はそういう世界なんだということを前提にして何が有効な規制の手段なのかということを考えなければならないのに、これは従来の延長線上で物を考えているから、つくった規制はほとんど役に立たない。だけれども、規制がかかるということで、うるさいなといって海外にわざわざ逃げさせる。善良な業者も、例えば海外から参入とかしようとするときに面倒くさいなということになって、海外からのいい業者の参入にも逆に言うと障壁になったりする。ということで、いろいろな意味でこの法律はよくない、もう一回考え直してつくり直すべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。