[司法制度改革について]
○枝野委員
民主党の枝野でございます。
私も同じような悪い予感をしている一人でありますが、質問に入る前に、ちょっと手続的なことで何点か申し上げておきたいことがございます。
私は、政府委員制度廃止という国会改革の趣旨を厳格に守るべきだというふうに思っておりますので、政府参考人の御答弁は結構でございます。政治家だけお答えをください。
二つ目。非常に細かいことなんですが、気がついてしまったので、御指摘だけしておきたいと思います。
まず、この法案は司法制度改革推進本部という行政機関がつくられて提出しておりますので、この法案の説明をされるときの森山大臣は法務大臣ではなくて国務大臣ではないかということを御指摘をしておきたいと思います。それは、便宜上、お呼びになるときに法務大臣とお呼びになっても構わないと思いますので、それ以上申し上げませんが、実は、副大臣の方のこの法案にかかわるに当たっての立場というのが、ちょっと法律上の根拠に、立法上のミスがもともとあったのかなと私は思います。
国務大臣は総理大臣の命を受けて、この法案はもともと法務省の長としての所管の法律案ではないけれども、国務大臣として総理大臣の指示を受けてここで御答弁される担当になるということは根拠法が内閣法としてございますが、幾ら調べてみましても、副大臣の方の職務権限といいますか職務の所掌は、「その省の長である大臣の命を受け、」というようなことで、省の長、行政組織の各部の長を補佐するという書かれ方でしか、少なくとも国家行政組織法等副大臣の位置づけをしている法律ではありません。したがって、法務省の長たる法務大臣から指示を受けて法務省の所管のことについて補佐するということについてはありますが、国務大臣としての森山大臣の命を受けてということについてはどこの根拠法に基づくことになるのだろうか、実はよくわかりません。恐らくこれは国家行政組織法の組み立て方あるいは内閣法の組み立て方の中のエアポケットではないかというふうに思いますので、これはぜひ政府として御検討をいただいた方がよろしいのではないか。きょうのところはすべて森山大臣にお答えいただけるということでございますので、そこの点については御指摘だけしておいて、先に進みたいと思います。
きょうは厚生労働大臣政務官にもおいでをいただいていて、まずそちらからお尋ねをさせていただいておりますが、医師の国家試験制度について、参考のためにお聞かせをいただきたいということであります。
医師の国家試験の受験資格は原則として大学の医学部の卒業というふうに聞いておりますが、それでよろしいのかどうか。また、そうなっている理由はどうなっているのでしょうか。
○渡辺(具)大臣政務官
枝野議員御指摘のとおりでございまして、大学の医学部もしくは医科大学において所要の学問を修めた者であります。
○枝野委員
そういう制度にしている理由は何ですか。
○渡辺(具)大臣政務官
医師たる者として必要な学問を修めるにふさわしいところで学問をした、こういうことでございます。
○枝野委員
それでは、大学の医学部の、医師たるにふさわしい教育を受けているという教育内容についての政府の責任者はどなたですか。
○渡辺(具)大臣政務官
大学の医学部あるいは医科大学における教育に関しましては、これは文部科学省の所管となっておりまして、厚生労働省といたしましては、その教育に対しまして是正を指導するなど、そういう法的権限は与えられておりません。
○枝野委員
それでは、お医者さんがしっかりとした技術、知識を持っておるかどうか、医師のレベルがしっかりしているかどうかということについての責任は政府の中のどなたにありますか。
○渡辺(具)大臣政務官
それは医師の資格試験を行う役所であります。
○枝野委員
先ほど大臣政務官は、医師にふさわしい教育を受けてきたかどうかということが必要だから、医学部卒業というのが原則として受験の要件だとおっしゃられた。だけれども、医学部教育の内容についての責任は厚生労働大臣はお持ちではない、文部科学大臣がお持ちであると。
先ほどちらっと先走ってお答えになられたと思いますが、医師の養成をする上での教育にふさわしくないような教育をしている大学の医学部の先生、あるいは医師を養成する教育プロセスの中で教えるに値しないようなレベルの教育をしている、そういう大学、医学部の先生がいるということを厚生労働省、厚生労働大臣が気がついたときは何かできますか。
○渡辺(具)大臣政務官
その問題の内容によりまして考慮すべきであって、単なる問題ということではその責任がどこにあるかは断定できないと思います。
○枝野委員
いずれにしても、何らかの理由で、こんな医学部教育を受けて出てきた人に医師の国家試験を受けてもらっても困りますというような教育をしている大学がもしあったときに、それを医者のレベルを維持しなければならない厚生労働大臣が気がついたときに何かできますか。
○渡辺(具)大臣政務官
先ほど申し上げましたように、大学の医学部あるいは医科の専門の大学における教育の法的権限は文部科学省にありますが、厚生労働省はその教育に関する法的権限は有しておりません。ただ、実態的に、大学におけるカリキュラムの内容等についての会議等については積極的に参加をしておりまして、医学教育の充実にも努めているところであります。
○枝野委員
そのカリキュラムとか医学教育の充実等について、何か根拠になる法律はございますか。
○渡辺(具)大臣政務官
特に根拠になる法律はございません。
○枝野委員
それで支障はありませんか。
○渡辺(具)大臣政務官
今の医学あるいは医制の状況においては、ある一定以上の医師が誕生している、教育されているというふうに考えております。
○枝野委員
いや、それは現状としてそうなっているというだけであって、制度として、お医者さんのレベルは厚生労働大臣が権限を持っているんだけれども、教育は文部科学大臣なんですよね。その教育を受けてきていることが、受験要件にしているぐらい大事なことなんですよね。万が一、医学部教育が堕落をするような医学部があったとして、そこを卒業してきている人が医師国家試験を受けて合格をして入ってきてしまっては困るんですよね。そのことについて何の権限も厚生労働大臣はお持ちでないんですよね。何かそれは不都合は生じませんか。
○渡辺(具)大臣政務官
そのことにつきましては、いろいろ具体的に問題があれば、あるいは多くの人よりそういう問題が指摘され、また役所でもそういう問題を把握すればそのような検討はあり得るかと思いますが、先ほど申し上げたように、今のところ一定以上の水準を持った医師が誕生している、こういうふうに考えております。
○枝野委員
どっちから攻めても攻められそうなんですが、まずこちらから攻めましょう。
そもそも、今日本のお医者さん、実は私の義理の弟も医者ですから、医師全体としては悪いだなんと言うつもりは全くありませんが、残念ながら不届きな行動をとる医者も少なからず、まあ医者は分母の数が大きいですから、いらっしゃいます。それから、残念ながら医療事故のことが最近大変深刻にいろいろなところで出ています。少なくとも、医師としての資格を与えるに値しなかったのではないかと思われるような人が、残念ながら医師の資格を持って紛れ込んでいる可能性というのは否定できないんじゃないですか。
○渡辺(具)大臣政務官
具体的に何をおっしゃっているかよくわかりませんが、仮定の質問でございますのでなかなか答えにくくて、何かもう少し具体的な御指摘をいただければお答えしたいと思います。
○枝野委員
いいですか、私は、具体論じゃなくてシステムの問題をお伺いしていて、どこかでこんな医療ミスがあったからけしからぬとか、そんな話をしているんじゃない。
システムとして、厚生労働大臣には医学部教育について何の権限もないんですね。そうおっしゃっていますね。その医学部教育できちんとした教育を受けてくるということが前提になっているからこそ、医師国家試験の条件にしていらっしゃるわけですよね。ところが、その医学部教育でいいかげんなことが起こっていたとしても、厚生労働大臣は権限を何もお持ちでない。では、もしここで変なことが起こっていて、その人が試験を受けて合格して紛れ込んできたということは、抽象的には、システムとしてはあり得るわけです。
しかも、現実のお医者さんに対しては、一人一人を見たら大部分の方はしっかりしているかもしれないけれども、少なくとも世間の中には、この人がお医者さんなの、困るわねと言われるような人が紛れ込んでいるようだと世間の認識はされているということも感じていらっしゃらないんですか。日本じゅうのお医者さん、全員医者として適切な人ばかり、一〇〇%ですとおっしゃるんですか。
○渡辺(具)大臣政務官
医学部の学生の教育に関しては、文部科学省に法的には任せられておりまして、実態的には、先ほど申し上げましたように、大学のカリキュラムをつくる段階等におきまして積極的に参加をさせていただいて、また積極的な意見も言わせていただいて、そしてその後に医師として資格たり得るかどうかの試験を厚生労働省でして、そのシステムの中で今一定以上の医師がつくられている、そういうふうに思います。
○枝野委員
つまり、先ほど何ら根拠になる法律はありませんとおっしゃった。法律は何もないけれども、実際はカリキュラムなどに口を出して適切になるようにおっしゃっている、やっているんだから、実際そこのところは問題はないという趣旨でございますね。そういうことでしたね。
では、そこまでお尋ねをしておいて、厚生労働大臣政務官は以上で結構でございます。ありがとうございます。
既にお気づきだと思いますが、医師養成システムについてお尋ねをしたのは、従来の医師の養成システムと非常に類似のシステムを法曹養成のシステムの中に今回取り入れようとしている。医師の場合は、医学部での教育というものが必要条件になって、そこを受けてこないと原則としては医師の国家試験は受けられない。その上で、試験を受けて合格した人が医師になる。しかし、基本的には、それは大学教育、学校教育ですから、教育内容については文部科学大臣が主管の大臣である。
今度の場合も、大学と大学院の違いはありますが、医学部の場合、六年制ですから似たようなところがあると思いますけれども、法科大学院については文部科学大臣が所管をしている学校教育法上の学校であって、そこについては、後で細かく聞いていきますが、権限がないんじゃないか。それに対して、そこを出てきていることというのが条件になっている以上は、そこでの教育についてしっかりと、少なくとも法務大臣が一定の権限を持たないといけないんではないかという問題意識であります。
そこで、まず伺っておきますが、法務大臣あるいは広い意味での法務省は、法科大学院の教育内容、こういう教育をするべきだということを決定する、あるいは、そこでの教育内容が適切なものが行われているかどうか、適切な水準が維持されているかどうか等について何か言う権限はございますか。
○森山国務大臣
お答えする前に、一番最初に提起されました問題について一言御説明したいと思います。
私は、司法制度改革推進本部の副本部長という立場で、この法案の提案に当たって国会に対する説明は私がするようにという総理からの御指示がございまして、それを受けてここでやらせていただいているんですが、その御指示がありましたときに、わかりました、法務省の副大臣と大臣政務官の協力をいただいてやりますというふうに申し上げまして、それを了承されたということでございますので、強いて根拠とおっしゃればそういうことにあろうかと思いますので、一言申し上げた次第でございます。
それから、法科大学院のカリキュラムにつきまして法務大臣が何か発言することがあるのかというお話でございますが、カリキュラムをつくっていただく過程で意見を申し上げることは大いにあるというふうに思います。
○枝野委員
まず、前段の話で、その話は伺っていましてよくわかっているんですが、総理から御指示を受けられた、しかも、この本部の副本部長である森山国務大臣は、法務大臣であると同時に国務大臣ですから、国政全般について、そもそも元来権限をお持ちである。その中で、特に総理から御指示を受けたから、法律的な根拠に基づいて総理から命ぜられたということになるんですが、実は、副大臣の立場についての根拠法は、私が知る限りでは国家行政組織法にしかなくて、そこには、先ほど申しましたとおり、「その省の長である大臣の命を受け、」つまり、法務省の長たる法務大臣の命を受けていろいろするということはあるんですが、内閣総理大臣から、国務大臣たる森山大臣に協力してあげてくださいとか、そういうことで命を受けるとか、それに基づいて何かするという法律的な根拠がないんです。
だからしゃべっちゃいかぬときょう言っているわけじゃ、排除しますという話じゃなくて、一般的にそれは法の欠陥じゃないですかということで、ぜひ内閣官房などと御検討いただけたらいいというふうに思います。
さて、それで本題の方ですが、そうしますと、御相談をされるとかという話がありましたが、基本的には法的権限はお持ちではないという理解でよろしいですか。つまり、例えば、もしこの法律が通って法科大学院ができました、どうもそこでやっている教育が、この間司法制度改革推進本部等でいろいろ議論をしてきた想定とは全然違った中身になってしまっているというようなことが生じた場合に、法務大臣は何ができるんですか。
○森山国務大臣
先ほどから御指摘のように、法科大学院の教育につきましては文部科学大臣が所管していただいているところですけれども、新たな法曹養成制度におきましては、法科大学院を法曹養成のための中核的な教育機関と位置づけるところから、法科大学院について法令違反が疑われるような場合には、司法制度に関する企画及び立案を所管する法務大臣におきまして文部科学大臣に対して必要な措置を講ずるように求めることができるということになっておりまして、一定の権限と責任を有することになっております。
○枝野委員
済みません。二つ教えてください。確認なんです。一つは、法令違反があった場合ですね、今のお話は。それから、それはどこに根拠があるんですか。少なくとも、今回提出されている法案ではないですね。今のはどこの法律に基づいてのことですか。
○森山国務大臣
法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案の第六条の三項でございます。
○枝野委員
それは、要するに、特に必要があると認めたときは文部科学大臣に対し必要な措置を講ずることを求めることができるということですね。これが求められたら文部科学大臣はそれに従う法的義務がありますか。文部科学副大臣。
○河村副大臣
委員お尋ねの法的な義務はございません。ございませんが、しかし、司法制度全体を所管する法務大臣と学校教育制度を所管する文部科学大臣が密接な協力体制を持つ、これがこの法科大学院の根幹にあるわけでございますから、法務大臣から御指摘があった点については、十分に意見を踏まえて、具体的に法科大学院の整備等に生かしていく、これは当然のことであろうというふうに思っています。
○枝野委員
いいですか。そもそも抽象的、一般的な意味からいえば、内閣は一体なんですから、文部科学大臣と法務大臣、それは意見がいつも一致して同じように行動していただくという建前になっています。建前になっていますが、それは皆さんの立場からは否定するでしょうが、ついこの間までの竹中経済財政担当大臣と柳澤金融大臣は、同じような部分のところを重なって所管していながら、全然違う方向を向いて、私たちの予算委員会などでの質問に対してばらばらな御答弁をされていて、物が決められないで来ているんですよね。だからこそ、この六条三項の規定があるんじゃないですか。というような規定を置かなきゃいけないんじゃないですか。
そもそも、内閣は一体でやっているんだから、密接に連携してやっているんだからということがあれば、こんな規定も置く必要はない。そもそも、法務大臣はとか、文部科学大臣はだなんて規定は要らない、内閣はでいいんじゃないですか。実際には、文部科学大臣が主務大臣としていろいろ行っていて、文部科学大臣の立場からやっていることと法務大臣の立場から見たこととがずれる場合があるから、こういう調整規定や調整のための法律をつくらないといけないということなんではないですか。違いますか。
○山本委員長
どなたに聞いているんですか。
○枝野委員
どなたでも。内閣の一員でいらっしゃいますから、一体でいらっしゃいますでしょうから。
○山本委員長
法務大臣。
○森山国務大臣
内閣が一体だということは当然でございますが、この法律案につきましても、特にかかわりの深い両大臣がそれぞれの立場で必要に応じて発言し、あるいは協議を求めるということができるように、念のため書いてあるものだと思います。
○枝野委員
そうなんですね。もし一体でうまくみんな、一連の内閣、きちっとやっているんだということだとしたら、この法律自体が念のための法律にしかならないんですよね。この法律があるから、法務省の側、つまり司法制度改革の推進の側が、いや、文部科学省が好きなようにやるわけじゃないようにこういう法律をつくったんだという指摘が時々あるわけですよ。せっかくこの法律をなぜつくったかといったら、それは、学校教育は文部科学大臣だけれども、司法の重要性にかんがみて、司法の立場からちゃんと物が言えるようにこの連携等に関する法律も一緒につくったんだと、大変な成果であるかのようにおっしゃる方がいるんですが、要するに、念のためつくった法律でしかないんだということを私は強く指摘しておきたい。
その上で申し上げますが、文部科学大臣が、この教育内容、カリキュラム等についての基本的な責任があるお立場である。さて、この間、司法制度改革については長年にわたってさまざまな議論がなされ、ロースクールについてもさまざまな議論がなされてきました。その従来の議論に基づいてロースクールが組み立てられ、ロースクール設置が認可され、ロースクールが運営されていくという根拠はどこにあるんですか、法律上の根拠は。
○森山国務大臣
ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、もう一度おっしゃっていただけますか。
○枝野委員
一般的には、例えば法科大学院を文部科学大臣が設立認可を与えるかどうかということについては、学校教育法の理念に基づいて認可が行われるわけですが、今回は、ロースクールをつくっていく、法曹養成をしていくという別の、もう一つの理念もあって、そのことも織り込んで新しい法科大学院は設立が認可されたり、文科省から指導を受けたりすることになるんではないんでしょうか。それには根拠になる法律をつくってあるんではないですかとお尋ねをしているんです。要するに、この連携等に関する法律の五条に基づいてそういうことがなされるということではないですかとお尋ねをしています。
○河村副大臣
法科大学院のいわゆる認可といいますか設置については、学校教育法の設置基準に基づいてやる、ここが根拠になっておるわけでございます。
○枝野委員
学校教育法の理念に基づいて、学校教育法に基づいて設置が認可されるというときには、この法務委員会を初めとして、司法制度改革推進本部などで従来いろいろ議論されてきたことがあります、ロースクールはこうあるべきであるということについては考慮されないんですか、されるんですか。
○河村副大臣
御指摘は、当然考慮されるわけでありまして、この法科大学院を学校教育法上に位置づけるその根拠になった第一点は、司法制度改革審議会の意見において、法科大学院は法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院とすべき、こういう指摘を受けてこの法科大学院を置くということになり、そのための学校教育法の改正に基づいてこれを設置するということになったわけでありますから、いわゆる司法改革の観点からこれを受けとめて法科大学院を置くという、法科大学院を置く理念というものは学校教育法の改正の中において当然生かされた形で設置される、こういうことであります。
○枝野委員
先ほど来、わざわざ私、五条とまで申し上げているんですけれども、連携等に関する法律案の五条には、文部科学大臣は、法科大学院の教育課程の認証についての評価をするときに、その評価の基準については、この法律に書いてある基本理念を踏まえたものになるよう意を用いなければならないという規定がありますよね。少なくとも私が見る限りでは、学校教育法に基づく文部科学省の法科大学院に対するさまざまな権限行使に当たって、司法制度改革の理念について何かしなさいと書いてあるのは、まずこれが一つわかるんですけれども、これだけですか、これ以外にありますか。これは、主務大臣としてはむしろ法務大臣ですよ。この法律ですから、森山大臣です。
○森山国務大臣
今文部科学副大臣が御説明になりましたように、先生も御指摘なさいましたが、この第五条にございますように、法曹養成の基本理念を踏まえて定められる法科大学院に係る設置基準を含む、を踏まえたものになるように意を用いなければいけないとありますが、その理念というのは、この法律の第二条にいろいろと書いてございまして、これは司法制度改革のときに議論されましたさまざまな問題点をここに列記しているというふうに思います。
○枝野委員
では逆に、裏返してこういうふうに聞きます。
文部科学大臣は、大学の設置の認可をするに当たっては認可基準をお持ちだと思います。認可基準をつくるに当たって拘束される法律は何ですか。
○河村副大臣
これは学校教育法になるわけです。
○枝野委員
学校教育法の中には、司法試験の理念にかかわるような法律の規定、条文はありますか。あるいは今回の改正でございますか。
○河村副大臣
学校教育法にはございません。
○枝野委員
物事を単純化しましょう。学校教育法以外に、文部科学大臣が設置認可の基準を設定するに当たって司法制度改革の理念を考慮しなきゃならないというような趣旨について規定している法律はありますか。
○河村副大臣
それがありませんので、今回のブリッジ法によって理念がはっきりしたということであります。
○枝野委員
このブリッジ法の中で、例えば設置基準をつくるに当たって、司法制度改革の趣旨、司法制度改革推進本部でこれまで繰り広げてきた議論、こういったことを踏まえなければならないという規定はどこにありますか。
○河村副大臣
これは、二条に理念がありまして、五条にそのことを踏まえてとなっておりますから、それを受けて文部科学省は法科大学院をつくっていく、こういうことになるわけであります。
○枝野委員
そうです。あるのは二条と五条だけです。
しかしながら二条には、「法曹の養成は、」ということでいろいろ書いてありますけれども、例えば条文一号を読みますと、法科大学院は法曹養成のための中核的な教育機関ということで書いてある。それから、入学者の適確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜を行うと書いてある。少人数による密度の高い授業と書いてある。将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力、法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施すると書いてある。確かに理念はきちっと書いてある。
問題は、これは森山国務大臣だと思いますが、この間、司法制度改革推進本部をつくる過程、そしてつくられた中で議論されてきたのはこんな抽象的な話だけですか。具体的に、実務家の教員の割合がこれぐらいなくちゃいけませんねとか、そういうことを議論してきたんじゃないんですか。
○河村副大臣
先ほどの質問の中で、さらにこのブリッジ法、連携法の「国の責務」という第三条がございます。この第一項で、法科大学院における教育の充実並びに法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携を図る責務を有して、そして、第三項において「国は、」こうあります。国が、法科大学院における法曹である教員の確保とか、あるいは教員の教育上の能力の向上のために必要な施策を講ずる、関係する審議会等における調査審議に法曹である委員を参画させる、こうありまして、ここで明確になっておるというふうに私は思うんです。
○枝野委員
今の私の質問には。
○森山国務大臣
もちろん、司法制度改革の審議会の皆さん方は、いろいろ具体的な議論もなさいまして、かなり御意見がまとまっておりますが、さらに詳細なことにつきましては、この法律を認めていただきました後で、政令、省令等で決めるということになると思います。
○枝野委員
それを決めるのは学校教育法での学校の設置基準ですから、文部科学大臣がお決めになるんですよね。
○河村副大臣
そういうことであります。
○枝野委員
実は、これはむしろこのロースクールを推進していた人たちに聞かせたい話なのです。要するに、今までいろいろな細かいことまで議論して、実務家の教員をどれぐらい確保するとかいろいろなことを議論されてきています。その中に、法務大臣は少なくとも当事者としてどっぷりとつかっていただいているから、その議論の経緯も全部踏まえた上で、あるいは広い意味での法務省という意味でも踏まえてそれはおやりになるんだろうなという一定のプロセス上の信頼があります。
しかし、実際にどの程度の教員をどう配置する、どうカリキュラムを組ませるというような設置基準をつくるのは法律上文部科学大臣なのであって、そこに対してさて法務大臣は何ができるんですか、司法制度改革推進本部は何ができるんですか。読んでみると、意を用いなければならないとか抽象的ないろいろなことは書いてあるけれども、今までの議論で、一定比率はともかくとして、従来の大学の先生が横滑りするような話ではもうだめですよねなんという大事な話が延々議論されてきているんだけれども、それを担保する何かあるんですか。
○河村副大臣
この法科大学院というものは、いわゆる教育機関の一つとして重要な位置づけでありますから、これを設置するについては、中央教育審議会においてこれまでも議論をしてきたし、これからもする部分があるわけでありますけれども、いわゆる法務省の担当者にもそこへ入っていただいて意見を述べていただいておりますから、その中で法務省側の意見というものがそこへ十分入ってきておるというふうに考えております。
○枝野委員
そうなんです。文部科学省のつくった輪に法務省に参加していただくという場のつくり方なんです。基本的に司法改革は、当事者としての法曹三者、最高裁判所と検察庁・法務省、そして弁護士、そして、もちろん当事者のギルド的なことになってはいけないから外部の人たち。法務省はそのワン・オブ・ゼムでしかないんです。ワン・オブ・ゼムでしかない。法曹三者と言われたときに、法務省は三つのうちの一つでしかない、三分の一でしかないんです。ところが、この文部科学省のつくった枠組みの中に入っていくのは法務省でしかないんです。中央教育審議会に弁護士会の代表、最高裁事務総局の代表を入れるつもりはありませんよね。
○河村副大臣
法科大学院の問題について特に意見を求めなきゃいかぬということであれば、当然そういう措置はされる。例えば分科会であるとかそういう形でやれると思いますが、中央教育審議会の全体の中には代表的な方にもちろん入っていただくことは現実にありますけれども、そのことに特化してやる場合には、その分科会なりそういうものをつくってそこでやることになるというふうに考えます。
○枝野委員
結局、私の申し上げたとおりなんですよ。当事者はあくまでも文部省で、文部省のつくったテーブルの上に、法務省のあるいは司法改革の御意見聞かせていただきましょうであって、今までの司法改革、ロースクールをつくってやっていかなきゃならないという議論を、将来を見据えて考えてつくってきた人たちとは離れていって、今までやってきた人たちの意見は、御意見は御拝聴します、たくさんいる委員の中に何人かはお入れしますと。全く主導権が変わってしまうんだということを、これはむしろ、法務省にというよりも、日弁連あたりに強く言わなきゃいけない話として、指摘をしておきたいというふうに思います。
この同じ流れの中で、もう一点。先ほど来言っている五条、法科大学院には適格認定をする、法科大学院評価基準をつくって第三者機関で評価をする、これがあるからそこでの教育内容の水準は大丈夫なんじゃないかというようなことを言っているようでありますが、この第三者認証評価機関は、だれが、どういうふうにつくったり認めたりするんですか。
○河村副大臣
このメンバーの決定の最終は文部科学大臣が責任者になるわけであります。
○枝野委員
第三者認証評価機関があるから大丈夫だと言われているんですが、その第三者認証評価機関というのは、連携法の五条二項に書いてありますが、基本的には学校教育法に基づいて、法科大学院のためにつくられるんじゃなくて、大学、大学院一般のレベルをきちんと維持するための第三者機関としてつくられるのです。文部科学省が、文部科学省の視点から、評価機関として認定できるかどうかということが行われる。
この認定について、一般的に大学、大学院の評価機関として適切であるかという基準のほかに、法科大学院だからということで特別扱いをするつもりはございますか。
○河村副大臣
これは、六条の三項等に、法務大臣と文部科学大臣との関係が述べてあるわけでありまして、当然、法科大学院に係る設置基準の制定、改廃、あるいは認証基準の制定、改廃、あるいはその評価を行う者の認証することと取り消し、こうした重要事項については法務大臣の意見を聞くということになっているわけであります。
○枝野委員
法務大臣の意見を聞くですよね。法務大臣の責任じゃなくて、文部科学大臣の責任でお決めになるわけですよね。
もう一回、さっきの医師の養成の話のところで聞いた話と同じようなことを聞きます。
この新しい制度ができ上がった後、司法試験に合格して研修を受けて出てきた法曹の中に、こんな人を何で司法試験合格させてしまったんだろうというような人間が出てきてしまったときの行政上の責任者はどなたですか。
○森山国務大臣
そういう不適格な人が合格しないように、十分注意したいと思います。
○枝野委員
今の話は、政治的な御答弁としてはいいんですけれども、論理的にはなっていなくて、私が申し上げたいのは、司法試験をこれから所管する司法試験委員会は法務大臣のもとに置かれるわけです。そして、その司法試験を受験する条件として、司法試験を受けるための中核的なプロセスとして法科大学院をつくります。目玉なわけです。ところが、その法科大学院においてどういう教育が行われるのか、その教育のレベル、中身、そういったことについての責任者は文部科学大臣ですね。念のため確認します。
○河村副大臣
文部科学大臣であります。
○枝野委員
今回の、ロースクールを中核に置く、法科大学院を中核に置く、それが受験資格だということを中核にするということは、そこでの教育が的確に行われているということを前提に司法試験が行われて、適切な時代の要請に合った法律家が出てくるという仕組みを組んでいるわけです。その責任は、主務大臣としては法務大臣なんです。
ところが、その中核を占めるロースクールの教育内容についての責任者と権限は文部科学大臣で、法務大臣は、先ほど来申し上げているとおり、繰り返しやっているとおり、意見を述べることができるけれども、あくまでも文部科学大臣なんです。権限のないところに責任は発生しないと思うんですが、いかがですか。
○森山国務大臣
最終的には、司法試験の責任者は、法務大臣のもとに置かれる司法試験委員会でございまして、責任がどこにあるかとおっしゃられれば、どういう人が合格するかという点については法務大臣の責任であると思います。
○枝野委員
ロースクール教育についての権限はないんですよ。権限はないけれども、最終的には責任は法務大臣にあるんですよ。やはり権限のないところに責任を与えちゃいけないんですよ。権限のある人に責任を負ってもらわなきゃいけないんですよ。それが当たり前じゃないですか。当たり前のルールじゃないですか。
法務大臣のもとに置いた司法試験委員会。司法試験委員会は、試験そのものの実務をやったりとか、法律的なことをやるということであれば、政治的、行政的責任の責任者はやはり法務大臣。その法務大臣が担当大臣としてこのロースクールの法律を出してきた。当然、ロースクールについての権限と責任も法務大臣がお持ちにならなければ、責任の所在があいまいになるんじゃないですか。
○森山国務大臣
おっしゃるような関係がございますので、意見を申し述べるということができるようになっているわけでございます。
○枝野委員
必要な意見を言うだけだったら、例えば野党の国会議員でも、こういうところで必要な意見を述べることはできるんですよ。先ほど、ついぽろっとおっしゃったんでしょうが、言わずもがな、確認みたいな趣旨のことをおっしゃいましたとおり、意見を言うだけでは権限ではないし、そこに責任が発生するものではないんですね。
そこのところの視点から、もうちょっと似たような視点で、別の角度からお聞きをしてみたいんですけれども、設置基準は文部科学大臣がおつくりになる。大学の設置というのは認可ですよね。認可ということは、条件を満たしたら認可をするんですか。それとも、条件を満たしたものがたくさんあるときは、数を少し抑制しなきゃならないという判断を含めるんですか。どっちですか。
○河村副大臣
数を幾つまでにするというようなことではなくて、基準を満たせば認可するということであります。
○枝野委員
したがって、法科大学院の数、法科大学院の全部合わせた総定数がどれぐらいになるかということについては、文部科学大臣はコントロールしようがないわけですね。
○河村副大臣
これは、設置基準を満たしておればこれを認可するという方向でありますが、文部科学省としては、これまでの、いわゆる法曹人口、今後の定数の問題、そういうことを考えながら、認可について、数的に基準はいたしませんが、そういうことを踏まえた上で、各地域において今検討されておるのではないか、そのように考えております。
○枝野委員
ちょっと待ってください。認可制というのは、基準を満たしたら法律の制度として認可をする義務があるんじゃないですか。だから、思いもかけずたくさんのところから認可してくれというオーダーがあったら、これでは多過ぎるなと思っても、基準を満たしていたら認可しなきゃいけないんじゃないですか。違うんですか。
○河村副大臣
そういうことになります。
○枝野委員
したがって、ロースクールを出た人の何割ぐらいは司法試験に合格するような制度にしようかだなんて議論をさんざんしてきました、五割がいいのか、七割がいいのか、その議論は全く成り立たないことになりますね、森山大臣。
○森山国務大臣
しかし、大学院の教育の内容につきましても、法律の中にもちょっと触れておりますけれども、少人数教育でやるべきであるということ、それからその他、実務家の教員をたくさん集めなければいけないとか、いろいろなことがございますので、先生が御心配なさっていただくように、非常に多くの人が条件にかなった申請を出してくるということは、実際問題としては少ないのではないかと思います。
○枝野委員
そんなことがコントロールできないんじゃないですかということを申し上げているんです。逆に足りないかもしれないじゃないですか。法曹人口を少なくとも一年間で三千人合格という話をしているのに、総定数が全国を合わせたって二千しかなかったなんてこともあり得るわけじゃないですか。それは、少なくとも制度としてはやってみないとわからない仕組みじゃないですか。そこを行政指導的に何かまたごちゃごちゃとやって調整するんですか、法律の根拠なく。
だから、わからない制度をつくっているわけですよ。もしかすると、ロースクールにみんなわっと人が集まるから、金あるからばっともっとつくろうというようなところが出てきたっておかしくないわけですし、それはもう全く法律的には、制度としての組み方としては根拠ない話なわけです。
しかも、そうだとすると、両方あり得るわけですけれども、ロースクールを出たらほとんどみんな合格するということになるかもしれないし、ロースクールは出たけれどもという話になるかもしれないし、これは制度をスタートしてみてからでないとよくわからない。適切な程度になるかどうかというのは、偶然とは言わない、やはりいろいろなマーケットメカニズムも働くのかもしれないけれども、しかし、これは我々が意図してできるものではない。
ということになると、さあ司法試験、どうなるんでしょう。例えば、ロースクールを出た人の何割ぐらいが司法試験に合格するような制度を組もうかといろいろな議論がありましたが、明確な答えはたしか出していないんだと思います。
ロースクールを出た人は八割、九割が大体合格するぐらいの設定で例えばたまたま法科大学院ができ上がったら、それは恐らく、法科大学院でちゃんと授業を受けていればまあいいかなということになるかもしれない。
九割、十割、十割とはならないでしょうが、九五%ぐらいは合格するような試験になったらどうなりますか。とりあえず落第させられない程度にしておけばいいわな、そんなものですから、幾ら一生懸命授業をやっていただいたって、ほとんど全員がそこで合格するんだったら、やはり人間は手を抜きますよ。そうですね。
逆に、半分ぐらいしか受かりませんねという仕組みになったらどうなりますか。当然のことながら、学校で隣に座って、少人数で教育を受けている隣の人がライバルになるんですから、学校で受けている授業だけじゃやばいよねと、しかも競争試験になりますから、当然、今までと同じように予備校へ行って勉強しようという人が出てくる。
結局、よほど偶然運よく定数の八割ぐらいが合格するような総定数にならないと、このシステムはそもそも機能しないんじゃないですか。
○森山国務大臣
おっしゃるように、あらかじめ何人が、何%ぐらい入って、そして何人ぐらいが受験をして、その何%が合格するというようなことを決めることはできません。やってみなければわからないと、おっしゃったとおりでございます。ですから、法科大学院の数につきましても、国が規制して決めるのではなくて、法科大学院相互の切磋琢磨、競争の中で、教育内容の十分なものが生き残り、不十分なものが淘汰されていくということになるのではないかと思います。
また、法科大学院の中では、厳格な成績評価あるいは修了認定等による厳しい選抜が行われるというふうに承知しております。
なお、新司法試験につきましては、受験資格を法科大学院修了者及び予備試験の合格者ということにしておりますので、受験者の滞留による弊害を防止するための方策として、受験回数の制限ということも導入するつもりでございます。
こういうことから、法科大学院の数を抑制するといったような過度の規制を行わなくても、現在の司法試験のような過度に厳しい競争試験となるということを避けることができるのではないかと思います。
○枝野委員
今、現在の司法試験は過度に厳しい競争試験とおっしゃいましたけれども、そもそも、何でこの制度、つまりロースクール構想というのが出てきたんですか。
だんだん時間がなくなってきたので、こちらからいろいろ一方的にしゃべりますが、今の司法試験の制度を、数が足りないというんだったら、合格者の数をふやせばいいんですよ。合格者の数をふやしたらレベルが下がるというのは非常に形式的な硬直的な議論で、なぜならば、私の周りでも、弁護士になりたい、裁判官になりたい、だけれども、今の合格率のこの試験では、大学四年生では受からないかもしれない、一年留年で五年生ぐらいでは受からない確率の方が高い、だから、力があるし、意欲もあるんだけれども、これは四年で普通に卒業しておいた方がいいよねといって、適性、能力があるのにあきらめていった人がたくさんいるんですよ。
合格者がふえて、合格しやすい試験になれば自動的にたくさん受かるからレベルが下がるだなんていうのは、机の上の計算ですよ。むしろ、もっと当たり前に四年生、五年生で受かる試験にした方が、意欲と能力のある人がばんばん受けてくれてレベルが上がるかもしれない。そんなことはやってみないとわからないことなんですよ。
だから、ロースクールを入れるということの唯一根拠があるとすれば、予備校競争になっているということや、あるいは、プロセスを大事にする教育をしましょうということです。でも、プロセスを大事にする教育をするんだったら、予備試験はどうなるんですか。別のルートで勉強してもそのプロセスと同等ぐらいのことはできるという前提だから予備試験を入れているんですよね。そうですよね。そこの部分だけ。
○森山国務大臣
ロースクールを卒業した人と同じような能力を持つ人がほかの方法でもあり得るということから考えられたことです。
○枝野委員
いいですか。大学がなぜ予備校に負けたか。私は、この委員会でも、申しわけないけれども、少なくとも法曹実務家養成という意味では、試験に合格するテクニックだけじゃなくて、法曹実務家養成の教育のレベルとしても、大方の司法試験予備校の方が今の大学教育よりもよっぽどいいと明言をしておきます。
なぜそうなるか。大学や大学院は、競争が限定されているんですよ。設置基準があって、文部省から設置していただいて、認可していただいたら、そこには補助金も一般的には出て、間違いなく、かなりのレベルで競争が限定されているんです。
ところが、司法試験の予備校は民間ですから、いい教育をしなかったらだれも来てくれないんですよ。だから、予備校の方がいい授業をやってきた、少なくとも私が受けたときには。いや、大学は大学で、僕は大学で受けた教育は別の意味で感謝しています、意味があったと思っていますけれども、法曹実務家養成としては、私は九五%ぐらい、予備校の教育がよかったせいで司法試験にも合格したし、そのときに受けた教育のことをベースにして、その後の法律家としての実務もしたし、今、法律家の視点から政治活動をしているんです。それは明らかなんです。競争がこっちの方が激しいから、いいものを提供しなきゃいけないのは決まっているんです。
テクニックだけで受かる試験なんかやってきたんですか、今までの司法試験委員は。もしそうだとしたら、今までの司法試験委員は物すごい責任を感じてもらわなきゃいけない。司法試験は、テクニックだけで受かるような簡単な試験を出しているんですか。全然違うと私は思いますよ。単に暗記して、大事なところだけ覚えたら答えられるような、そんな生易しい試験を出していないです。
法科大学院をつくった、予備試験もある。予備試験だったらもっと早く受かるかもしれない。予備試験をまさか競争試験にはできないですよね、予備試験の性格上。同等の力を持っている者に与えるんですから、同等の力を持っている人がロースクールの定員の倍ぐらいいたら全部合格させなきゃいけないですよね、予備試験の制度として。うなずいていらっしゃいます。
そうすると、そちらの方が競争が激しい分だけ一般的にいい教育をしますから、競争の激しくない、しかも、誘導尋問みたいなことだったら申しわけないんですが、適度の定数になります、その適度の定数の中の法科大学院に入ってしまったら、それなりの、みんな来てくれるわなという競争の激しくないロースクールと、どちらが合理的な教育をするんですか。競争の激しい方だと答えないと社会主義ですよ。この国は資本主義、自由主義の国なんですから、自由競争の方が、少なくともサービスや物品の提供、供給という意味では、競争のあった方がいいものを出すというのが、かつてのソビエトや中国や北朝鮮と違って、我が国が資本主義、自由主義だということの意味じゃないですか。
明らかに、この制度をつくっても、やはりみんな予備校の方にがっと行く、そういう仕組みになりますよ。そう思いませんか。
○森山国務大臣
法科大学院も、先ほど申し上げましたように、設置することは、それこそ基準に合っていれば認められるわけですので、予想以上の数になるかもしれません。しかし、その中で実際に実績を積み重ねていって、淘汰されていくものは淘汰されていくでしょうし、また、学生自身も厳しく査定をされて、大変勉強もきちっとしなければ卒業できないということになりますと、おのずから、そういう先生のおっしゃるような問題点は避けられるのではないかというふうに思います。
○枝野委員
避けられるんだったら、今までの大学教育の中でこんなに予備校に侵食されずにやってきているんですよ。みんな、高校を卒業して法学部に入った人のかなりの人は、弁護士になりたい、法律家になりたいという意欲で法学部に入る人が一定比率いますよ。
そこで、大学で、普通は、授業を受けてきちんとやっていれば四年で卒業して受かる人もたくさんいるんです。少なからずいるわけです、現実には。だけれども、実は大学で受けている教育よりも、予備校、ちょっとお金かかるけれども行ってみたら、そっちの方がよっぽどわかりやすい教育をしてくれていて、大学では何かよくわけのわからぬことしかやってくれない。だからみんな予備校行って、予備校を通じて司法試験に受かってきているんです。
今までの大学は、では司法試験に必要な素養は教えてきてなかったんですか、そんなことないですよね。必要な素養を教育しようとしてきたけれども、別のところの方がいい教育をしているからみんなそっちに流れていった。同じ轍を今回も踏むことになりますよ。
踏むことになるだけだったら別にいいんです。どうせ法科大学院つくったって、みんなやはり予備校行って、よりわかりやすく教えてくれる人たちから教えてもらって、それで合格するだろう。それはそれで全然構わない、その限りでは。だけれども、二つ困ったことがある。一つは、今までよりも金と時間がかかる、間違いなく。二つ目、大学の既得権を守ることになる。
現に、この間の大学の動きというのは、良心的な意味で頑張らなきゃいけないなと動いていらっしゃる方もあるかもしれないけれども、トータルとしては、法科大学院ができたら、そこに学生が集まってくれないといよいよおれたちの地盤沈下がしてしまうから、頑張って法科大学院をつくらなきゃなという競争をわっと一斉に始めているじゃないですか。
だから、もし法科大学院、ロースクールというプロセスを大事にする教育をしなきゃならないと本気で思っているんだったら、ロースクールの入試自体を司法試験的な、資格試験的なものにして、そこに合格した人を、つまりロースクールで今の司法研修所教育のようなことをやる。
司法研修所のように全部税金で賄いなさいということだとなかなかたくさんつくるということはできないでしょうけれども、三千人、四千人定数で、学校教育法上の学校、大学でなければ大学の自治という問題はありませんから、かなり国で厳格な監督をした教育内容、カリキュラムを組んで、それで運営は民間があってもいいかもしれないけれども、司法試験に合格した何千人という人をそこで実務的なトレーニングをする。それで、卒業のときの二回試験も一定のレベル、水準を維持するということの方が、私は現実的なロースクールの組み立て方だと思う。
残念ながら、この制度を組めば間違いなく大失敗に終わるということを法曹三者に対して、決してこれは実は法務省の責任だけだとは思わない、法曹三者それぞれに対して強く警告をして、質問を終わりたいと思います。
以上です。