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 議事録


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衆-法務委員会


平成13年12月05日

[入国管理体制の強化について ]

○枝野委員
 私は、入国審査の体制についてお尋ねをしたいと思います。

 九月の十一日のアメリカ同時多発テロを受けて、国内でのテロ対策というものが大変問われているところでありますが、一つには、テロリストあるいはテロリストになり得るような人間を水際で防ぐということが、ある意味で一番抜本的な、根本的な対策として重要だと思っています。

 そうした視点から、補正予算で最新鋭の偽変造旅券等の鑑識機器を配備したというふうに聞いております。従来、こうした機器がどの程度配備をされ、今回補正でどの程度配備されることになるのか、その辺のところを簡単に御説明ください。

○中尾政府参考人
 御説明申し上げます。

 本年の七月に、成田空港を初めといたします全国の主要空海港に最新鋭の偽変造文書鑑識機器二十一台を配備したところでございます。さらに、平成十三年度の補正予算におきまして、同型の機器二十三台を国際定期便の運航している空港等に配備する経費の要求が認められたところでありますので、順次これらの空港に配備いたしまして、偽変造文書鑑識体制の一層の充実強化を図ってまいることとしておるところでございます。

○枝野委員
 今の台数ですと、いわゆる出入国のチェックをする、成田なんかでよく見るブース一個一個につくわけではないわけですね。

 そうした中で、あそこの一次チェックといいますか、そこで疑わしいと思われるような人間を横の部屋に連れていって、そこでいろいろ質問をしたり、そこで最新鋭の機械でパスポートをもう一回きちっと見たりということだというふうに聞いているんですが、疑わしいというケースには二つある。パスポートそのものが疑わしくて連れていかれるケースと、パスポートそのものは一見正規のもののように見えるけれども、例えば、国籍の言語をしゃべれないとかということで連れていかれるケース。

 それで、パスポートそのものが疑わしいということで最新鋭の機械にかけたというケースではなくて、パスポートそのものはもっともらしく見えるんだけれども、ほかの理由で横に連れていってパスポートを最新鋭の機械にかけてみたら違っていました、こういうケースもあるんじゃないですか。

○中尾政府参考人
 委員御指摘のケースもございますけれども、具体的にそのようなものについての統計、件数をとっておりませんので詳細はわかりませんけれども、審査ブースには複数の、簡易な鑑識に適するようなものもございますので、そういうものでもチェックすることもございますし、委員御指摘のような、いろいろな関係で怪しいということで、当該パスポートを正式に鑑識の最新鋭の機械にかける、こういうこともございます。

○枝野委員
 つまり、ブースごとにある簡易の機械ではチェックがかからないけれども最新鋭の機械だったらチェックがかかるというケースがあり得るということですね。それはお認めになりますね。

○中尾政府参考人
 そのとおりでございます。

○枝野委員
 だとしたら、人員とか場所とかの問題をちょっと横に置いておいて、理想を言えば、すべてのブースにその最新鋭の機械を置いておけばよりチェックが厳しくなるというふうに思うんですが、そうしようと思ったら幾らぐらいかかりますか。

○中尾政府参考人
 これは、現実の問題として、非常に機械自体が大きいこともある程度ございますし、審査ブースでの円滑な入国審査の関係で、かなり時間を要するものをそこに置いて円滑な入国審査ができないという状況もございますけれども、仮定の話で、仮に今の機械を全部に置くといたしますと、概算で七十五億ぐらいかかるというふうに見込んでおります。

○枝野委員
 もちろん、機械は物すごく大きいものであると聞いていますし、それから、今のようなチェックよりも一件一件、一人当たりが時間がかかるので人手もふやさなきゃいけないだろうし、そうすると、成田や関空などの入国審査ブース全体としての広さも足りないだろうしという問題はありますが、今のような最新鋭の機械を全部に取りつけても七十数億という金が大きいと言うのか小さいと言うのか、だけれども、車の通っていないわけのわからない道路をもっとでかい額でつくっていることを考えれば、本当に国民の治安を守る、安全を守るという最優先の課題から考えたら、それに、いろいろな改造費とか、それから当然一件当たりの審査の時間がかかるようになるのだったら人手もふやさなきゃならないとか、そういうことをトータルしたって、機械全部で七十億ちょっとだったら、合わせたって何百億もかかる話じゃない。当然、こういうところの予算を要求するべきだと思いますが、これは政治家のどちらかの方にお伺いしたい。

○森山国務大臣
 大変ありがたい応援のお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 しかし、現実に予算を要求するとなりますと、それを実際に、どのような場所にどのぐらい置いて、どのように運用していくかということをきちんと説明しなければなりませんし、それが実際には、先ほど局長から申し上げたようなことで、必ずしも適当ではないと思われる面もございますので、私どもといたしましては、精いっぱいの現実的な方法で、できる限り予算を要求し、その確保のために努めていきたいというふうに思います。

○枝野委員
 これ以上お答えになれないのはよくわかっていますが、高速道路がつくられるのが十年二十年おくれようが人の命にはかかわり合いはないわけです。ここで金さえかければチェックが可能な偽造旅券について、チェックをできなかったためにテロリストなるものが入ってきてということが万が一あったら人命にかかわる話ですから、どちらが重要なのかははっきりしているわけです。つまらぬ道路の工事なんかをする金があったらこっちをやるべきだということをもっときちっと、もちろん、いろいろなもっときちっとした概算を立てなきゃいけないと思いますが、するべきだということを申し上げておいて、次のところに進みたいと思います。

 もう一つは、入管のところでの出入国の情報の入力体制を強化するというようなことがなされるというふうに聞いておりますが、これは、現状がどうだったのをどういうふうに変えるのかということを簡単に御説明ください。

○中尾政府参考人
 現在、外国人の方から提出していただいております出入国記録、これはIDカードと言うわけですけれども、IDカードを本省に送付していただいて、それを一元的に電算入力をしていることでございますので、そういうことである程度の手間がかかることは現実の状態でございますけれども、米国における同時多発テロ事件を踏まえまして、本年度の補正予算で、全国の主要空港に必要な機器を配備いたしまして、外国人のすべての出入国情報を即日で取得できる環境を早期に整備することとしております。

 将来的なことにつきましても、本年度から三年計画で、外国人の出入国情報を旅券自動読み取り装置を使用いたしまして即時に、瞬時に取り込むことができる電算システムの開発を念頭に置いて、順次今それの開発を進めているところでございます。

○枝野委員
 今、即日という話があって、それを機械で読み取って一気にするのをこれから三年ぐらいかけると。いずれにしても、不法に入ってくる者があり得るとすれば二つ可能性があるわけで、偽造、変造旅券で入ってくるケースと、前科などがない人間は堂々と本人のパスポートで入ってきて日本でテロを起こす可能性もある。少なくとも後者については、名前とか入国日とかはきちっと把握ができる。

 このテロリストなどに関する情報は、これは一般に公開できる話じゃありませんから、警察などもきちっとは教えてくれませんが、警察などはきちんと各国と連携して情報を集めていますと言っていますが、警察の方も、入国管理局のブースのおじさんたちに全部情報をお渡しして、そこで、水際でチェックをかけるというわけにはなかなかいかないだろうと思います。

 そうすると、せっかく電算化をしていく、コンピューター化をしていくんだとしたら、どこの国籍の何のだれべえという名前が、あのブースのところでこうやって見ているときにぱっとコンピューターに入り、そのコンピューターが警察庁のコンピューターとつながっていて、検索をばあっとかけるだなんというのは、今のコンピューター技術だったら恐らく数秒単位なんだと思いますね。そうすれば、警察の方も、そういう極秘の情報についても、入管を含めて公開をすることなく、きちんと全部検索をかけて、要注意人物ということで入ってくる情報の人間が自分のパスポートで入ってくることについては、そこで全部チェックがかけられると思うんですけれども、こういう発想をしようとは思いませんか。

○中尾政府参考人
 委員御指摘のとおり、その辺の重要性は私どもの方も十分承知しておるところでございますし、特に九月十一日以降のテロ対策の関連で、私どもと警察等との間で十分な情報交換をやっておるところでございますし、テロリスト等の要注意人物の入国を水際で排除するという関係上、その辺のブラックリストに載せる情報を、必要に応じ、必要な範囲で警察等関係機関からいただくなり、私どもの方で提供するなりの形で、しかるべく対応をやっているところでございます。

○枝野委員
 いや、私が申し上げたいのは、本当に、確かに情報交換をしているというのはよくわかります。情報交換をしっかりしているというのはよくわかりますが、では、あのブースにいる入管の職員の方お一人お一人に、今、日本の警察というか公安当局が把握をしている危険人物のリストはこうですと全部きちんと伝えちゃっていいのかといったら、多分それはできないだろうと思いますし、していないだろうと思うんですね。

 だけれども、今コンピューターがこんなに発達している時代なんだから、機械で自動検索をかけるだけだったら、警察としても、法務省にまではちょっとここまで全部は、一覧としてまでは出しにくいなという話であっても、コンピューターの機械の中でがあっと検索をかけるだけだったら幾らでもできる。ヒットした場合にだけ、そこでちょっとその人間をとめておいて、法務省と警察とですぐに連絡するとかということが、今のコンピューター技術だったら簡単にできるんだと思います。

 こういうところにもっとエネルギーをかけて、今までのように、役所の偉い人同士で時々会って情報交換しましたというのではないことが今できる時代になっているわけですから、ぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○森山国務大臣
 大変積極的な御提案で、私どもも検討してみたいというふうに思います。

○枝野委員
 次に、日本に密入国する人たちの密入国の仕方は、今のような飛行機に乗ってきて云々という話だけではなくて、いわゆる密航、貨物船などの底に潜伏していたり、あるいは不審船でやってきたりというようなケースがあり得ます。

 こういう人たちも含めて、日本に入国をし得る権限を持っていない人を水際で退去させるという最終的な、あるいは統合的な責任官庁はどこなんですか。

○中尾政府参考人
 非常にお答えしづらい御質問でございますけれども、これは、基本的には政府全体で、今の行政機構の中では内閣なり総理大臣、私の方からもしあえて御答弁するということになればそういうことになろうかと思います。

 現実の問題といたしましては、そういう水際で対応している省庁といたしましては、私どもの入国管理局、それから海上保安庁、それから警察、税関等々がございますので、それらが、それぞれが協力し合って今やっているのが実情でございます。

○枝野委員
 特に海上保安庁などとの関係が典型なんだと思いますが、まさに入国管理局という名前がついているわけで、法務省入国管理局が、おかしな人が入国しないようにということについて、一次的には責任を負っているようにみんな思っているわけです。

 だけれども、現実的に、不審船なんかでやってくる話については海上保安庁が実際には対応しなきゃいけないし、あるいは、きのう事務方の方とお話をしたら、貨物船などに潜伏してやってきたようなケースについては、港に泊まっている貨物船に乗り込んでいくときには海上保安庁の協力をいただいているんだというような話であります。あるいは、今の飛行機の実情からすると、飛行機の貨物室に隠れてというと凍え死んじゃいますからないんでしょうけれども、空港なんかのところへ何らかの形で紛れ込んで入ってくるような話だったら、これは警察がやらなきゃならないんだろうなと思います。しかし、そういうところにいろいろ分かれていますが、国家として不法な入国を防がなきゃいけないということについて、全体についてきちっと責任を持っているのがどこなんだ。

 したがって、こういう戦略のもとに海上保安庁の実動部隊はこういうことをやってもらう、警察の実動部隊はこういうことをやってもらう、税関のところではこういうことをやってもらうということをしっかりと、責任の所在と、その部分に限ってでいいから指揮命令系統をはっきりさせておくことがないと、それは、海上保安庁は海上保安庁で自分たちの職責のところはしっかりやるんでしょう、入国管理局も入国管理局できちっとやるんでしょうが、全体として、どうやって水際で防ぐかという戦略を立てる部局が存在していないんじゃないか、私はお話をいろいろ伺ってみるとそんな気がする。

 そういう意味では、入国管理局が、少なくとも不法入国に関する話については、部分的には、場合によっては海上保安庁に対して指揮命令権を持つ、警察に対して指揮命令権を持つぐらいの制度に変えていかないと、向こうは戦略的にやってくるわけですから、本当の対応ができないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中尾政府参考人
 お答え申し上げます。

 非常に貴重な御意見だと思います。その辺のところは、私どもの範囲でできる限り、その辺のところが可能かどうかも含めまして、努力したいというふうに考えております。

○枝野委員
 法務省限りでできることじゃなくて、まさに法務省を含めた霞が関の省庁体制の抜本的なところにメスを入れなきゃいけないんですが、どうも、役割分担はそれぞれやっているけれども戦略部局がない、戦略は全部官邸ですとかという話だとすると、官邸だってそんなものは、経済から何からたくさんあるわけですからできない。部分的に分けられるところについては、きちっとした戦略を立てる部局、そういう強い権限を持った部局を、例えば入国管理だったら入国管理庁とかあるいは国境警備庁的な話を今の入国管理局が中心になってつくっていくというような話が要るんじゃないか、こんなふうに僕は思っています。

 最後に、不法滞在全体の問題なんですが、今、不法滞在者が大体二十六万人ぐらいいるというふうに聞いています。なぜ減らないんですか。

○中尾政府参考人
 これはいろいろな要素があろうかと思います。

 結局、不法に私どもの日本に来る人たちの目的ということになりますと、不法就労でお金を稼ぐということでございますので、日本経済の状況あるいは日本の労働市場も含めて、そういったことで不法就労を行う労働者のニーズが高いということが続けば続くほど、そういう流入圧力は摘発にもかかわらずどんどん上がるということは事実だろうと思いますし、もちろん摘発する方の体制ということになりますと、必ずしも私どもの方で満足できるものではありませんので、それ自体を摘発して国外に全部退去をさせるということがやはり十分できていないということも現実だろう、そういうふうに思います。

○枝野委員
 日本に来て不法滞在でも就労したいというニーズが高いということは日本という国にとってはいいことなんでしょうから、そこのところはどうにもならないとして、きちんとした摘発をしなきゃいけないんじゃないですか。二十六万人もの数を抱えているということは、この国は不法入国あるいは不法滞在ということについてはやむを得ないんだというふうに受けとめられても仕方がないんじゃないかというふうに僕は思います。

 その一方で、個別の具体的な事案を私は申し上げませんし、私自身も必ずしも全部知っているわけじゃありませんが、アフガニスタンからの難民申請に対して、入国管理当局からすれば普通の基準どおりやったという話なんでしょうけれども、現実的にそれを却下しているケースがある。

 これは、本当に我が国が、不法滞在、不法入国、こういうものに対してきちっとやっていて、二十六万をゼロにはできないにしても、日本国内にいろいろいるにしても五千人とか一万人とかという中です、この国はそういうことはきちっと、がちっとやる国なんですということであるならば、アフガニスタンからの難民の問題についても非常に厳しくチェックをしました、申しわけないけれども入れるわけにいきませんという話も、私が同意するかどうかは別として、一つの筋としては納得できます。

 しかし、片方で二十六万人も野放しにしておいて、今の国際的な、あるいは国内的なものも含めて、政治的、外交的な我が国のポジションからすれば、アフガニスタンからの難民申請に関してはかなり幅広に受け入れていくということが、今のあの国の置かれている状況を考えたときに、その国に対する我が国のコミットメントの今の現状から考えたときに、法律的にはともかくですよ、少なくとも政治的、外交的にはそこは幅広に受け入れますというのが、あれだけアフガニスタンにコミットしている日本の外交的なポジションから考えれば、むしろその方が自然な流れじゃないのか。

 日本はどちらなのか。徹底して不法入国、不法滞在は厳しくやるから入れないんだとやるんだったら、この二十六万人をどんと減らすということでやってもらわきゃいけない。いや、ある程度は仕方がないんだと思うんだったら、この難民問題というのは、政治的、外交的にもうちょっと今回は緩くやるべきじゃないか。いかがでしょうか。

○森山国務大臣
 先ごろ話題になりましたアフガニスタンからの九人、難民申請をされておりましたが、慎重に審査いたしました結果、その条件が該当しないということがわかりまして、難民不認定となったわけでございます。

 しかし、アフガニスタンのことについては、アフガニスタンの国内の事情が現在のようなことでございますので、人道上の配慮からその在留を認めるということがほかの国の場合よりもやや多くなっておりまして、結果的にはアフガニスタンの人についてはそれなりの配慮をしているところでございますが、今先生がおっしゃいましたように、アフガニスタンについては特別にするべきであるというお考えもあり得ると思います。そのようなことで特別の措置をいたします場合には、法務省の例えば入国管理局の判断だけではなくて、国全体として決めるべきことではないでしょうかと思います。

○枝野委員
 時間なので終わりますが、だとすれば、そういうことについてきちっと提起をする必要があるんじゃないかと思うし、二十六万人をきちっと減らしていくということについて、これも命にかかわる、場合によっては生命にかかわる、治安にかかわる問題なんですから、道路だの何だのをつくる金があったらこっちに回すということをもっと自信を持って法務省は予算請求するべきであると申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございます。