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 議事録


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<法務委員会>


平成13年11月2日


[商法改正法案について]

○枝野委員

 民主党の枝野でございます。

 今回の改正は二つの大きな柱で、私は、そのうち、電磁的記録など電子的手法により会社のいろいろな事務あるいは株主の権利の行使を容易にするというような部分について、まず何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今度の改正で、株主総会における株主の議決権の行使を電磁的方法をもって行うことができるという改正が含まれております。私も、いわゆるインターネットなどを使って、ほとんど毎日インターネットを見ておりますし、毎週自分のメールマガジンなどもインターネットを通じて発信などをしておりますので、そういう使っている立場としては、こういったやり方がどんどん広まって便利になるということは大変望ましいことだとは思います。

 ただ、世の中には、年齢の高い方などを中心として、このインターネットなどのIT技術をなかなか事実上使うことができないという方が少なからずまだまだいらっしゃいます。そうした中で、確かに書面による議決権の行使というやり方もあるわけですけれども、ITを使いこなせるか使いこなせないかということの違いによって株主権、議決権の行使の容易さが違ってくるというのは、ITを使えない株主にとっては、事実上、使える株主に比べて不公平ではないかというような声が起こらないとも限らないんじゃないか。この点、どういうふうに御説明をされるのか、お尋ねをいたします。

○横内副大臣

 御指摘になりましたように、本改正案で新設される電子投票制度と書面投票制度は、いずれも、会社の判断で導入することができるように、任意の制度としております。いずれの制度も、会社にとっては、管理コストを節減するとか株主総会の定足数を確保しやすくするというメリットがありますし、株主にとっても、権利行使の機会の拡大というメリットがあるわけでありますけれども、その導入について費用がかかるということもありますので、採用するかどうかは会社の任意にしたということでございます。

 そこで、御指摘のように、会社として電子投票制度のみを採用するということも可能でありますけれども、現行法上では、株主はみずからまたは代理人が株主総会に出席をして投票しなければならないわけでありますけれども、改正案の場合には、現行のその方法に加えて電子投票もできるという形になりますので、少なくとも、インターネットを利用できる株主についてはこれまでよりは権利行使の機会の拡大を図ることになるということでございまして、必ずしも不当な、差別的な取り扱いではないというふうに考えております。

 なお、最近のインターネット利用人口の増加が顕著であることを考えますと、電子投票制度が採用されたときには、今後相当多くの株主がこれを利用することができるようになるものと思われます。

○枝野委員

 確かに、自分で行かなきゃならないとか代理人を選ばなきゃならないということに比べて便利になるという意味なのだからいいじゃないかということは、わからないわけではないんですけれども、今のお話を伺うだけでは、自分は、自分で行ったりとか代理人を通じて行使したりというところまではやれない、忙しくてできなかったりとか、だけれども自分は残念ながらITは使いこなせないという株主の人からの、あいつらだけいいなという素朴な感情にはなかなかこたえたことにはならないんではないだろうか。そこのところはもうちょっと説明の仕方を工夫されないと、私自身はこれは否定的ではない、むしろどんどん使った方がいいという立場にあるんですけれども、もうちょっと何かきちんと説明をする必要があるんではないかということを申し上げておいて、また戻るかもしれませんが、もう一つお尋ねをさせていただいておきます。

 逆に、せっかくITのような便利な機能を使うわけですから、この法律改正案によりますと前日までに提供するという規定の仕方になっていますが、必ずしも前日までという限定を法律で縛ってしまう必要はないんじゃないかという感じをまず受けました。

 つまり、例えば株主総会そのものの議事進行を、まさにこのITの時代ですから、インターネットなどを通じて実況中継することは、そんなにコストかからずにできます。現に、民主党という大変小さな貧乏な政党も、党大会をインターネットで全国中継いたしております。大きな規模とまではいかなくても、ある程度の規模の企業であれば、インターネットで株主総会を中継するというのは難しくないと思います。そうであれば、双方向性ですから、インターネットの画面を通じて株主総会の中継を見ながら、例えば新たに出てきた動議に対してであるとか、またネットを通じて投票するということも、技術的には全く難しくない仕組みになっているというふうに思います。

 そうだとすると、せっかく法改正するんですから、もちろんそれは、ネット中継するかどうか自体も、株主に対するサービスですから、会社の選択でいいと思うんですが、会社の側が選択すれば、ネット中継して、見ている人にその場で投票してもらうということを排除する必要はないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○横内副大臣

 御指摘のように、電子投票は前日までという規定にしているわけでございます。

 御指摘の問題は、現行の商法特例法上の書面投票制度についても同じ問題がございます。委員も御案内のように、現行でも、商法特例法上の大会社について、株主が千人以上の会社につきましては書面投票ができるということになっていて、その場合の書面投票は総会の前日までにしなければならないという制度になっております。

 そこで、この規定の解釈でございますけれども、そういう総会の前日までと限定した理由が会社の事務処理の便宜を考慮したものであることから、会社の側で当日提出されたものも有効として扱っても差し支えない、そういう解釈がとられております。

 そこで、今回の電子投票制度につきましても、権利行使の期限を総会の前日までとしましたけれども、これもまた会社の事務処理の便宜を図ったものでございますので、恣意的な取り扱いをしない限りは同様の解釈をする。端的に言いますと、当日来たものについても有効というふうに会社の側で判断して扱っても差し支えない、そのような解釈をしております。

○枝野委員

 大変結構なことだと思います。株主の側の便宜ということから考えれば、本当に将来的には、それも多分今のIT技術の進歩からすればそんなに遠くない将来は、株主総会、一カ所に集まるということ自体がナンセンスだ、そんな時代もあったなということになるんじゃないかと推測されますので、ぜひ今の解釈についての周知徹底を、特にベンチャーの新しい企業は、株主も含めてみんなそういう技術についてなれている人がほとんどのケースの企業もたくさんあると思いますので、ぜひ周知徹底をしていただきたいというふうに思います。

 そうすると、もう一つあります。今度は、前日までというふうに限定をされている逆方向のことをちょっと一つお尋ねをしたいんですが、確かに会社の方の便宜のことを考えますと、例えば書面投票制度にしても今度の電磁的方法による議決権の行使にしても、前日までにその議決権を行使するということになっております。ただ、例えば書面による郵便であれば、郵便局もわざわざ速達で夜中のど真ん中に送るということがあり得るのかどうかは別として、常識的には夕方までには着くということだと思いますが、ITであれば夜中の十一時五十五分まで前日ということになります。あるいは、株主に対する便宜を図るんだからということで、それぐらいは甘受しろという話はもちろんあるかもしれませんが、株主総会が月曜日で前日が休日であるとか、そういうケースも十分想定できるわけであります。

 あるいは、特に書面による議決権の行使や電磁的方法による議決権の行使というものを、株主の便宜を図るものだから、できるだけいろいろな会社でやってもらった方がいいという立場にもし立つならば、今までの特例法による大会社の書面行使ということであれば、前日までに届いたら総会までの半日ぐらいの間に全部整理してということは可能かもしれませんが、そこまで大きくはない会社だけれども株主の便宜のためだからITは使ってあげましょうとかというところが、ITだったら機械的にわっと出てくるので半日もあればできるかもしれませんが、書面による投票などを三日前に締め切って整理をしたいとか、そういう企業のニーズというのは僕はあり得るんじゃないかと思います。

 先ほどの御説明のとおり、この法律は、本来はやはり原則は本人が行くなり代理人が行って議決権を行使するんだけれども、会社の側が決めれば株主に対する一種のサービスとしてやってもいいということなわけですから、それを常に前日までを締め切りにしなきゃいけないと限定する理由はないんじゃないか。

 会社の判断によって、書面による行使や電磁的方法による行使は認めるけれども、うちはちょっと処理が大変だから三日前に締め切らせてくれとか、例えば前日でも前日の正午までに締め切らせてくれとか、そういうことの余地を認めてもいいんじゃないかと思うんですが、この法律ではそれが認められるのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。

○横内副大臣

 御指摘の問題につきましては、現行の商法特例法上の書面投票制度についても同じ問題が生ずるわけでございます。そこでは、この商法特例法上の解釈としては、書面投票をする株主の権利を会社の都合で制限することを認めることは、会社の事務処理の便宜を考慮しても、株主の権利行使の機会を最大限に尊重しようとする法の趣旨に反するということで、今おっしゃったような、例えば三日前に締め切るとかあるいは前日の正午までに締め切るというようなことは、そういう定めを会社がすることは許されないというふうに解釈をしております。

 このことは、今回改正をお願いしております電磁的な方法による議決権の行使の場合も同様だというふうに考えておりまして、そういう定めはできないというふうに考えております。

○枝野委員

 いや、株主の権利として電子投票をする権利がもともとあるということであるならば、今の御判断のとおりなんだと思います。あるいは、株主の権利として書面による投票をする権利があるんだということを前提にするならば、今のお話のとおりだと思いますが、今度の法改正で出てくる書面による議決権の行使や電磁的方法による議決権の行使は、これは株主に権利として認められているものではなくて、会社の判断として、取締役会の判断としてすることができるという規定ですので、つまり株主の権利ではないですよね、取締役会が決める前は。

 取締役会が決めることで初めてその権利が生じるわけですから、取締役会としてその権利を一〇〇%付与するのか、それとも八〇%だけ付与するのかという、その余地を残してあげても問題はないんじゃないか。しかも、株主の側からすれば、その八〇%だけでも、電子投票や書面投票が全くできないよりは、今よりもよくなっているということだからいいんじゃないか、こんなふうに思うんですけれども、どうなんでしょうか。

○横内副大臣

 電磁的な方法でも投票を認めるというこの法の趣旨でございますが、株主の権利行使の機会を最大限に尊重する、できるだけ株主が権利行使をできるようにしよう、そういう趣旨で改正を行うわけでございます。ただしかし、そうはいっても、当日にどっと大量に来ますと事務処理が非常に大変だということがあるものですから、前日までの投票という規定にしているわけでございます。

 しかし、前提としては、株主の権利行使の機会を最大限に尊重するという趣旨で改正を行うわけでございますので、そういう観点からすると、やはり三日前に締め切るとかそういうことは許されないと思います。これは、現行の商法特例法上の書面投票制度の解釈でも同様な解釈をとっております。

○枝野委員

 いや、もしこれがすべての会社が電子投票制度をしなければならないという規定の仕方であるならば、それは、会社の都合で三日前にしてくれというのは困るというのはあり得ると思うんですが、会社が任意に電子投票をするかしないかを決めることができるわけですから、そのときに締め切りを前日までなのか三日前なのかということを決める自由を与えても何も困らないんじゃないかと思うんですが。

○山崎政府参考人

 ただいまの点は、確かに会社が採用するかどうかを決めるということになるのは御指摘のとおりでございますが、採用した以上は、それは反射的には株主の権利にもなるわけでございまして、株主になるべく最大限に権利行使をしてもらいたいということが前提にありましてこの制度を設けているわけでございまして、それを採用した以上はやはり最大限権利を尊重する、こういう考え方でできているわけでございます。現在の書面の投票制度ですか、これも同様な形で考えられているわけでございます。

○枝野委員

 では、民事局長で結構ですので、逆にお尋ねしますと、例えばこれを前日までじゃなくて三日前までということにしたら、何か困ることはあるんですか。

○山崎政府参考人

 確かに御指摘のとおり、困ることがあるかと言われますと、ないのかもしれません。ただ、会議が開かれるのは当日でございますから、事務の都合で前の日に締め切るわけでございますが、最大限認めてあげてもいいわけでございまして、株主の権利はなるべく行使していただきたいということの精神を優先させるという考えでございます。

○枝野委員

 私は弁護士を二年しかやっていないので、株主総会とかについて弁護士として仕事をしたことがないので、実務がわかっていませんからピント外れなのかもしれませんが、会社の側の立場に立ってみれば、前日締め切りでやらせろというんだったらちょっと事務処理大変だな、だけれども三日前締め切りとか一週間前締め切りとかというんだったら幾らでもできるわなという会社はあり得るんじゃないか。三日前締め切りだったらやってもいいかなという会社が、前日締め切りじゃないとできないんだったらやらないというよりは、三日前締め切りでも書面投票、電子投票を認めた方が株主にとってはメリットではないかというふうに思うんですけれども、どうですか、民事局長。

○山崎政府参考人

 委員御指摘の考え方も私もわからないわけではございませんけれども、従来から、この制度、書面投票でございますけれども、それを導入するときから、導入された以上は株主の権利を最大限に尊重するという考え方で行ってきておりまして、今回もそれと同様の考え方に立つ、こういうふうにしたわけでございます。

 委員御指摘の点、それは一つの考え方としてあるということはわかりますけれども、それを採用しなかったということでございます。

○枝野委員

 だから反対をしますというような種類のものではありませんが、今、大臣や副大臣、お聞きいただいて、申し上げていることは御理解いただけるんじゃないかと思いますので、特にこの電子投票の仕組みというのはもっと拡大をしていくと思いますので、ぜひ今後の検討課題としてテークノートしておいていただきたいと思うんですが、何か御答弁いただけますか。

○横内副大臣

 現在の商法特例法上の書面投票制度というのが、そういう解釈、学説的にも確立した解釈といいましょうか、そうなっておりますから、委員のおっしゃるような案は確かにあると思いますが、そうすると、それはやはり法律できちっと手当てをしなければいかぬと思いますし、御指摘のような点もあり得ると思いますので、今後の運用の状況を見ながら、また検討していきたいというふうに思います。

○枝野委員

 最初の、ITを使えない人に事実上不公平じゃないかという話も含めて、とにかく、今度こういったことが入ってくるというのは大変いいことだと思いますが、まさに今まで想定をしていなかったようなことが商法の中に入ってくるというところなので、いろいろ試行錯誤はあり得ると思うし、あっていいと僕は思いますので、ぜひ、より便利に、ただ、なおかつ使えない人にも不利益がないようにという視点は常に忘れずに、今後もこういった部分については、大体法務省の仕事というのは性格上、性質上いつも半歩おくれぎみというのは、それはそれで正しいことだと思うのですが、こういうところは逆に半歩踏み出すようなことがあってもいいと思いますので、いろいろな形での検討を進めていただきたいと思います。

 さて、続いて、この改正の条項そのものに直接かかわるわけではないのですが、会社株主の権利のあり方というようなところから一点お尋ねをさせていただきたい問題があります。

 まず、端的にお尋ねをしたいと思いますが、商法の二百八十五条ノ四に時価という規定があると思いますが、この時価の定義、時価はどういうふうに位置づけられているのでしょうか。

○横内副大臣

 一般に、法令用語として時価という場合には、その時点において一般にそのものが取引されている実際の価格をいうものと解されておりまして、本条による時価も同様であるというふうに考えられます。

○枝野委員

 さてそこで、今のような定義であるのならば、この二百八十五条ノ四の一項の金銭債権一般について時価と言ってもいいんじゃないか。なぜ、一般的には時価と言わずに、三項で、市場価格ある金銭債権に限って時価としているのでしょうか。その点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

○山崎政府参考人

 この規定、平成十一年の商法改正で設けられた三項でございますね、そういう規定でございます。

 これは、市場性のある金銭債権、社債、株式等のいわゆる金融商品につきましては時価で評価することが会社の資産状況を適正に表示することになるとの認識が当時一般的になっておりまして、国際的な動向にもなってきたということが一つでございます。

 それから、企業会計審議会におきましても、金融商品の時価評価を導入するために企業会計原則の見直し作業を進めまして、平成十一年一月に、金融商品についての時価会計制度を採用すべきであるという「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」、これが公表されたわけでございまして、その時価会計制度の導入を求めたこと等を考慮して新設されたという経緯にございます。

○枝野委員

 今のお答えは、三項を創設した理由の御説明としてはそのとおりだと思うのですが、その三項を設けた趣旨からすれば、つまり、金銭債権は時価で評価した方がいいというのが世の中の全体の流れなわけですから、市場価格ある金銭債権に限らず、一項そのものを改正して、金銭債権については時価を付することを要すというふうに一項そのものを書きかえてもいいんじゃないですか。なぜ、一項そのものを書きかえずに、市場価格ある金銭債権に限定したのですか、時価をつけるというのを。

○山崎政府参考人

 この規定は、市場価格がない金銭債権、これにつきまして時価評価を算定することが極めて困難であるということから、市場価格あるものについてはその時価で評価をする、こういう規定になったということでございます。

○枝野委員

 大臣、今の解釈でよろしいですね。大臣、今の民事局長の御説明でよろしいですね。できれば、これは大臣がいいと思うのですが。

○横内副大臣

 これは、先ほど民事局長が御説明しましたように、金融商品に匹敵するような、例えばコマーシャルペーパーというような、そういう市場価格のある、市場性のある金銭債権についてそういう扱いをしたということでありまして、通常の金銭消費貸借のような市場の取引が一般的に行われないものについては、時価の定義からして、なかなか時価を把握するということは困難なものですから、そういう扱いにしているということだと思います。

○枝野委員

 大臣、今の解釈でよろしいですね。

○森山国務大臣

 副大臣それから民事局長が御説明申し上げたとおりだと思います。

○枝野委員

 後でRCCの改正が出てきたときに、今の御答弁は使わせていただきますので。

 続いて、この二百八十五条ノ四の二項、「金銭債権ニ付取立不能ノ虞アルトキハ取立ツルコト能ハザル見込額ヲ控除スルコトヲ要ス」という規定になっております。

 きのうの質問取りのところでかなりやり合ったのですが、ちゃんと答えが出てくるかどうか心配ですが、具体的な刑事事件について、犯罪に当たるとか当たらないとかということを政府の立場としてお答えになれないというのはよくわかっています。ですけれども、法律の構成要件がどうなっているのかということについては、所管官庁として説明をしなければいけない責任があると思います。

 そうした立場からお尋ねを申し上げます。

 金銭債権について、会社の取締役が、取り立て不能のおそれがあると認識をしながら、「取立ツルコト能ハザル見込額」を控除せずに会社の利益を計算して、その利益に基づいて配当を行った。ここまでの事実関係がすべて構成要件に該当する、立証されたというケースでは、四百八十九条の「会社財産を危くする罪」の三号、法令または定款の規定に違反して利益もしくは利息の配当等を行ったときは、五年以下の懲役または五百万円以下の罰金に処するという規定があります。

 当然、二百八十五条ノ四の二項、取り立て不能のおそれあるときに、そのことを認識しながらその見込み額を控除しないというのは、ここに言う法令違反でありますし、その法令違反の計算に基づいて利益の配当を行ったら、この会社財産を危うくする罪に該当する。もちろん、違法性阻却事由とか責任阻却事由が存在しないということが前提ですが、構成要件該当性は充足するということになると思いますが、何か間違っていますか。

○山崎政府参考人

 個別の事情はちょっと捨象いたしまして、一般的な商法の解釈として申し上げますけれども、取り立て不能のおそれがある金銭債権について、取り立て不能見込み額を控除せずに、二百八十五条ノ四第二項、今御指摘ございましたが、それと、二百九十条で配当の規定がございますけれども、この規定に従った適正な計算を行った結果に基づいて算定いたしました配当可能利益額、これを超えて配当を行った場合、これは、御指摘のとおり、違法配当罪に当たるものと考えております。

○枝野委員

 違法配当罪には、当然、教唆をする者がいれば教唆犯が成立し得るはずでありますね。

○山崎政府参考人

 必ずしも所管ではないかもしれませんけれども、教唆犯は成立するというふうに解釈できると思います。

○枝野委員

 だとすると、日本じゅうとまで言うとまた問題になるかもしれませんが、相当多くの金融機関の取締役に相当濃厚な犯罪の嫌疑があるんじゃないか。さらに、その検査を行って見逃してきた金融庁の監督当局に、教唆または幇助の相当濃い嫌疑があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○山崎政府参考人

 個別の関係の事件に入りますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

○枝野委員

 ここから、もちろん今そのような回答があるのはよくわかってはいるんですが、これも政治問題です。

 つまり、銀行の経営は健全であると九九年に当時の金融再生委員長である柳澤さんがおっしゃって、公的資金を突っ込んでいます。ところが、また金融危機だ、金融危機だと大騒ぎをして、RCCの法律を何かわけわからなく変えるというような御提案が出そうだと聞いています。最近、大きな幾つかの企業倒産が出てきていますが、どうやらどの企業も、どの銀行についても、ほとんどのところが、我々の知る限りでは倒産企業の約七割については、いわゆる不良債権として分類をされていないということであります。

 つまりどういうことかというと、二百八十五条ノ四、二項に規定をする取り立て不能の見込み額を控除していないということであります。それはもちろん、人間のやることですから間違えるということはたくさんあります、たまには。だけれども、倒産している企業の七、八割ぐらいが不良債権として分類をされていない。つまり、一般的に、取り立てることあたわざる見込み額として控除されていないというケースが倒産をする。実際には、その結果取り立て不能に陥っているというケースがこれだけ相次いでいるということは、社会的に、この会社財産を危うくする罪の嫌疑が相当濃厚であるというのは、金融問題に関心を持っている政府関係以外の人間のほとんどの常識である。

 当然、政治の責任として、僕は法務大臣が指揮権を、積極発動の方はどんどんすべきだと一般的には思っていますので、場合によっては法務大臣が指揮権を発動しても、この金融機関の会社財産を危うくする罪、もっと端的に言えば不良債権をきちんと計上していないことが犯罪であるということについて捜査をさせるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○横内副大臣

 刑事事件にかかわる問題でございまして、そういう疑いがあれば捜査当局はきちっと対応しているというふうに思います。

○枝野委員

 これだけ相次いで、だけれども、実際に金融機関の幹部が、犯罪であるとか、あるいは場合によっては特別背任、主観的要件によっては特別背任になる、その特別背任などで挙げられているのは、破綻をして第三者が銀行そのものに乗り込んできたというケース以外では、残念ながら聞いておりません。

 これらの銀行には、民間企業だから株主だけ損すればいいという話ではなくて、税金が突っ込まれているわけですから、現に公的資金が投入された金融機関が、結局その公的資金に対する株主としての配当が行われないという銀行が出てきているという状況にあるわけです。それは一刑事事件であるからきちんとやっているんでしょうということで、公的資金を投入している政府の立場として本当に許されるのか。

 もう一つ言えば、先ほど教唆、幇助の話をしましたが、金融監督当局がその不良債権の査定についてきちんと検査をしてきているという建前になっている。ところが、その検査の結果と全然違う。つまり、もう倒れているところですからいいでしょう、マイカルは危ないだなんというのは、銀行当局者じゃなくたって、検査をした金融当局者じゃなくたって、金融問題にかかわっている人間は、政府関係者以外はほとんど共通認識だったのに、不良債権に分類されていなかった。どう考えたって、この法律に違反しているんじゃないか。少なくとも、例えばこのマイカルについての話だけでも捜査をさせるというのが政府としての責任じゃないかと私は思います。

 まあ、お答えは期待できませんが、御答弁を求めます。期待はしませんが、御答弁を求めます。

○森山国務大臣

 先生の御主張は理解いたしましたが、個別具体的な問題につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○枝野委員

 本当に重要な問題だと思っています。ここですべて解決するとは思っていませんが、国民の税金を使って金融機関は事実上助けられた、九九年に。その銀行のやめた役員なんかの退職金その他は全然下がっていないというのは、我が党の同僚議員が別の委員会でもやっています。

 その後、不良債権の問題はちゃんとやっている、やっている、もう大丈夫ですなどということを国務大臣が国会などで御答弁をされているのに、政府関係者以外は、やはりあそこはだめだよねとみんな、だけれども何か問題になっちゃいけないから表では言わないでいたところが、ああ、やっぱりだ、次々と倒れている。それが不良債権として査定されてこない。

 おれたちの税金を食い物にして自分たちの会社だけ守って、違法なことをやっても捕まらないんだということの中でこの国のモラルがきちんと保てるのかどうかということをきちんと考えなければ、本当に、この国は戦後五十年余り、とにかく金のためなら何でもありみたいな風潮が残念ながらある。それをむしろ助長することになっているのが、この金融機関の不良債権に対する現在の政治のあり方だと私は大変深刻に危惧をいたしますので、お答えになれないという事情もわかりますが、ぜひ国務大臣として、柳澤さんなどの動きなどについてしっかりとくぎを刺していただかないと大変なことになる。

 またこの問題については、別の委員会、財務金融委員会や予算委員会など含めて取り扱っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、全く別の次元の話ですが、後学のためにお尋ねをさせていただきたいんですが、法務省における課長人事の人事権というのは大臣がお持ちですよね。

○森山国務大臣

 法務省の課長職の任命権というのは法務大臣にございます。

○枝野委員

 当然のことですが、大臣がお決めになったら、事務次官とか官房長とか、そういう人たちの了解なくその人事は発令できますね。

○森山国務大臣

 現実には、その任命につきましては、法務省のことを考えますと約五万人の職員がおりますので、一人一人について大臣が全部精通しているわけではございませんから、事務当局の意見を踏まえまして決定するわけでございます。

○枝野委員

 当然だと思います。意見を聞かれるのはもちろん当然だと思います。

 意見を聞く前にチャンバラをしているところについては大問題だと思っていますが、みんなが笑っているその個別案件の問題と、それから制度の問題は別問題だと思っています。チャンバラをやっているそこは、僕は個別問題として、事務方が一方的に悪いとは全く思っていませんが、しかし制度としては、大臣が決めたら、事務次官や官房長が何と言おうとそれで決めることができる、法務省は少なくともそうなっていますよね。

○森山国務大臣

 今までのところ、事務当局との間で最終的に意見が一致しなかったということはございませんので、そういう経験はありません。

○枝野委員

 いや、まさに制度のことをお尋ねしているんで、私は、基本的には、事務方の皆さんときちんと意思疎通をして、お互い納得する形で人事は行うべきであるというふうに思いますが、そういった手順をきちっと踏んできた上でも、やはりここの人事だけは大臣どうしても困りますという話が、ケースとしてはあり得るわけですね。

 そのときに、どこかの役所のように、何か事務方が動かないと人事が発令できないというのでは、これは憲法に反するわけですね。行政権は内閣にあるんですから、国務大臣にあるんであって、申しわけないですけれども事務次官や官房長にあるんではないですから、制度としては大臣が、もちろん政治的にはというか社会的にというか組織論としては、きちんと事務方で積み重ねてきて、納得いくようにやっていって、お互い納得で発令するのがもう九九・九%だけれども、万が一のケースは大臣の判断で、事務方が何と言おうと人事は発動できますよね。大事なことですから、それはそうだとお答えいただかないとやはり大問題です。

○森山国務大臣

 先生がおっしゃいましたようなケース、最終的にどうしてもというようなことがもしあるとしましたら、それは任命権者は法務大臣でございますので、おっしゃるようになると思います。

○枝野委員

 ありがとうございます。

 本当に、個別ケースの適否の話と今のような制度がどうあるべきかという話は全く別問題ですので。逆に言えば、大臣は、そういう権限を持っているということを背景にしながらも、だけれども、ちゃんと事務方の皆さんと意思疎通を図った上で、できるだけ納得ずくで物事が進むという努力をしていただく。だけれども、事務方の皆さんも、最後は大臣が政治判断で決めるということについては、きちっとしたコミュニケーションの上だったらそれを認めていただくということがなければいけないと思うので、そうなっていない国務大臣が若干一名いるようでございますので、国務大臣のお仲間の一人として、きちんとしてぜひやっていただきたいなということを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。