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 議事録


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衆議院-法務委員会


平成13年05月18日

[裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件についての質疑]

○枝野委員

 時間がありませんので、端的にお答えください。

 ハンセン病の判決が出ております。控訴期限は来週ですが、控訴するかどうか、結論は出たのか、出ていないのか、答えられないのか、三つのうちどれですか。

○森山国務大臣

 まだ今のところお答えする段階ではございません。

○枝野委員

 裁判所あるいは司法制度というのは何のために存在するのですか。

○森山国務大臣

 司法制度というのは、具体的な争訟につきまして法を適用し、これを解決することにより権利の実現及び法秩序の維持を図ることを目的とするものであると理解しております。

○枝野委員

 権利の擁護はわかるのですが、法秩序は何のために維持するのですか。

○森山国務大臣

 大きく申せば、国の安定のため、国民の安定した生活のためということになるのではないでしょうか。

○枝野委員

 三審制度は何のためにあるのですか。

○森山国務大臣

 我が国では三審制度を採用しておりますが、当事者が下級審の判断に不服がある場合には、さらに上級審の判断を求めることができるということになっておりまして、この制度によりまして、下級審の判断に誤りがある場合にはそれが是正され、当事者の権利の保護と法令解釈の統一を図ることができるものと考えております。

○枝野委員

 法律論ではなくて、法律論を離れて、ハンセン病の元患者の皆さんに対して法務大臣はどうお考えですか。

○森山国務大臣

 昨日、私も患者の代表の方にお目にかかりました。るる具体的な御経験について承り、本当に胸が痛みまして、何とかしなければいけない、何らかの方法で救済策を考えなければいけない問題ではないかというふうに考えた次第でございます。

○枝野委員

 何らかの形であの患者の人たちを救済しなければならないということであるならば、控訴をする理由はないのじゃないですか。

○森山国務大臣

 現実のお気の毒な状態を何とか救わなければならないという気持ちは先ほど申したとおりでございますが、法律の問題はまた手続その他さまざまなことを勘案いたしまして総合的に考えていかなければならない問題ではないかと思いますが、特に具体的に、責任官庁であります厚生労働省のお考えもあるでしょうし、いろいろと協議をしていかなければいけないと思います。

○枝野委員

 先ほど、司法制度も三審制度も人権を守ったり国民生活を安定させたりということのためにある、つまり法制度はそのためにあるということをあえて先にお伺いをしておいたのです。その上で、この被害者の人たちを救済しなければならないということも一方でお感じであるならば、法制度の目的から考えれば、法制度が云々かんぬんという話は些事ではないのですか。総理がよくおっしゃっている些事にこだわらずという話じゃないんですか。

○森山国務大臣

 私は、法秩序を維持するということは些事ではないと思います。非常に重要な国民生活の基本でありますので、これをきっちりと守っていくということは大変重要なことだと思います。

○枝野委員

 ですから、法秩序を守るのは何のためなんですか。

○森山国務大臣

 先ほど申し上げましたように、全体の国民の安定した生活を守るため。

○枝野委員

 全体の安定のために、あの被害者の人たちは、あの人たちの思い、今までの苦しみというものはそれに比べれば小さい、そういう答えですね。

○森山国務大臣

 その両方を比べてどちらが大きいとか小さいとか言える問題ではないと思います。質が違う内容だと思います。

○枝野委員

 質が違うけれども、どちらか選ばなきゃいけないわけですよ。どちらか選ぶとしたら、どちらを優先させるんですか。

○森山国務大臣

 政府全体としてできるだけ皆さんの御意見を承り、そして総合的な判断をしなければいけないと思いますので、政府全体としての考えをまとめなければいけません。そのお時間がもう少し必要ではないかというふうに思います。

○枝野委員

 では、別の視点から聞きましょう。この判決は憲法解釈について新たな見解を示しておりますか、おりませんか。

○森山国務大臣

 これは特に国会のあり方について言及していらっしゃるということが、これは初めてではございませんけれども、非常に重大な課題を投げかけていると思います。また、十三条が憲法違反ではないかということも言及しているかと思います。ちょっとここに判決がございませんので、失礼いたしました。

○枝野委員

 ちゃんとこれは通告してあると思うんですが、最高裁の判例で、ある条件を満たせば国会の立法不作為は違法になるという判例は既にあるんじゃないですか。そして、今回の判決はその判例を引いて事実の当てはめをしているだけではないですか。

○森山国務大臣

 その点についても子細に検討させていただいているところでございます。

○枝野委員

 控訴するしないという決定が出たら、もし特に控訴をした場合はその点説明していただけますか。

○森山国務大臣

 決定が出ました場合には説明を申し上げると思います。

○枝野委員

 では、委員長、決定が出たら集中審議してほしいんですけれども、審議してください。

○保利委員長

 後刻理事会で協議をさせていただきます。

○枝野委員

 結論が出る前に実は教えていただかないと困るんです。我々は当事者ですから、法務省として今回の判決の憲法解釈についてどう評価するかを事前に教えていただいて、立法府として、その法務省としての、あるいは内閣法制局を含めた内閣としての法律判断を参考にしながら我々は結論を出さなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。

○森山国務大臣

 決定が出ましたら、いずれにせよ御説明申し上げる機会があると思います。

○枝野委員

 いや、違いますよ。

 最終的には、国が被告の事件については法務省、政府が当事者、代理人的な側面も含めて決定をするわけですが、この件は我々の不作為が問われているわけですから、私も平成五年から国会議員をやっていますから、平成八年の間の三年間の立法不作為の違法を問われているわけですから、そのことについて我々として、控訴すべきであるかしないべきかという当事者として判断を下すに当たって、その判断の前に政府としての見解が要るんじゃないですかと聞いているんです。

○森山国務大臣

 当然、国会の御意向もお伺いするということになると思います。

○枝野委員

 ですから、国会の意向を聞くに当たっては、法務省としては、あるいは内閣法制局も含めてもいいですが、政府としては、今回の判決の中で、特に憲法判例として前例になりかねないわけですから、その部分のところについてどういう判断をしているのかお示しいただいて、その判断が正しいのか正しくないのかディスカッションをさせていただかないと、本来は我々は結論を出しにくい。

 一方的に法務省なり政府なりから、これについては法律上憲法判例を統一しなきゃならないとか、いろいろごちゃごちゃ些事をおっしゃっている人たちがいるようでありますが、そういうことを公開の場できちんと言っていただいて、ディスカッションしていただいて、なるほどそうだったら、確かに法秩序全体維持ということも大事なことですから、さあどうしようかという政治判断は要るかもしれませんが、オープンの場でそのことについてどう考えているのかディスカッションする場がないと、だから控訴しないという結論は少なくとも出せないと思うので、事前に出していただくべきと思いますが、どうですか。

○森山国務大臣

 実際のやり方といたしましては、上訴の要否の判断について参考にいたしますために、所管行政庁、つまりこの場合は厚生労働省でございますが、その意見を聴取しておりますけれども、国会議員の先生方の問題につきましては、衆参両議院の事務総長あてに両議院の意見を求めるという手順になっております。

○枝野委員

 その手続についての話を聞いているんじゃないんですけれどもね。事前にその法律判断についての法務省なり法制局なりの意見というものをお示しいただいた上で国会としての意思を決めるということじゃないとおかしいんじゃないですかと申し上げているんですが、時間がないので、これはこれ以上言いません。私はそう思います。

 もう一つ、その国会の意思なんですが、事務総長に聞くという話はないんじゃないですか。事務総長を通じて聞くんじゃないですか。

○森山国務大臣

 国会が国会の意思をどのように決定され、表明されるかということにつきましては、国会の御判断にお任せしなければいけないと思います。

○枝野委員

 ですから、事務総長は国会議員じゃないんですから、事務総長に聞くという先ほどの御答弁はおかしいんじゃないですか。事務総長を通じて聞くという話じゃないとおかしいんじゃないですか。

○森山国務大臣

 そのとおりでございます。

○枝野委員

 事務総長を通じてだれに聞くんですか。事務総長を通じて、少なくとも議長または、あるいは議長も通じてなのかもしれないけれども、事務総長という議員でない人に、つまり当事者でない人を通じてだれに聞くんですか。事務総長には意思決定権がないわけですから、事務総長が勝手に、私はこういう判断で、衆議院としての意見はこうですと答えられちゃ困るわけですよね。そのことは政府としてもわかった上で事務総長を通じて聞かなきゃいけないんじゃないですか。

○森山国務大臣

 国会が国会の意思をどのように表明されるかというのは、国会の御判断ということでありますので、そのようなことを事務総長を通じてお願いするということです。

○枝野委員

 ですから、そのことを例えば事務総長がきちんと議長なら議長、議院運営委員会なら議院運営委員会に伝えるということを前提としてでないと、通じてということにならないわけですよ。ですから、そういうことをちゃんとされているんですねと。でないと、衆議院としての意見をどう決めるのかは衆議院が決める話ですけれども、ここを通じてというのを、例えば一国会議員を通じて聞いたって、聞いたといえば聞いたのかもしれないけれども、そこはちゃんと院の意思をきちんと体現してくるであろうという聞き方をしなければ無責任だから聞いているわけですよ。

○森山国務大臣

 事務総長を通じてお聞きするということは、つまり、「事務総長は、議長の監督の下に、議院の事務を統理し、公文に署名する。」ということが国会法の第二十八条にも書いてございますし、そのような根拠に基づきまして事務総長が処理していただけるというふうに思います。

○枝野委員

 人権擁護局長も来ていただいていると思いますが、人権擁護局は何のためにあるんですか。

○吉戒政府参考人

 お答え申し上げます。

 人権擁護局は、昭和二十三年に発足した組織でございまして、そのとき以来、各種の啓発広報活動によりまして国民の間に広く人権尊重思想が普及徹底するように努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯事件の調査処理を通じまして、関係者に人権尊重の思想を啓発し、被害者の救済に努めているところでございます。

○枝野委員

 被害者の救済をするんですよね。まさか政府は、さすがにハンセン病の被害者の人たちが何らかの意味で人権を侵害されたということは否定されませんよね。

 そのことについて、法務省は、だから、国の被告代理人的な立場と、被害者の人権を擁護するという立場と、ある意味では双方代理的な立場になっているのではないですか。そういうところをどうやってクリアするのですか。

○吉戒政府参考人

 法務省には人権擁護局と訟務部門と二つございまして、それぞれ職責は違いますので、それぞれの分野におきまして、私どものところでは人権擁護の観点からこの事件について御判断させていただく、訟務の方は訟務の方として、訴訟の代理の観点から判断をされるものというふうに承知しております。

○枝野委員

 それはよくわかっているのですが、行政権を持っているのは局ではありませんから、大臣というか内閣ですから、大臣というところに体現されて行政権は内閣にあるわけですから、その中で、人権擁護と訟務の立場というのは双方代理的なことになるのではないですかということを申し上げているので、だから人権擁護局は法務省から切り離しておくべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、この点についてもう一つ確認をしておきます。この件について控訴をするしないというのは、これは政府として、つまり内閣として決定していただくということでいいですね。

○森山国務大臣

 法務大臣が責任者でございますが、非常に重要な課題でございますので、具体的に責任ある厚生労働省、あるいは総理のお考えも十分伺いまして、最終的にやらせていただきたいと思います。

○枝野委員

 したがって、今回控訴するしないということの結果については、当然のことですけれども、内閣全体として責任を持っていただくということを念を押しておきたいと思います。

 時間が短いのですが、金正男問題について聞きます。

 金正男と思われる人物が偽造パスポートで入国した件について、当該同一パスポートで過去三回入国の例があるというふうなことになっていますが、同一の偽造パスポートで三度、四度にわたって不法入国をしたというケースは、過去にありますか、ありませんか、わかりませんか、答えられませんか、どれですか。

○横内副大臣

 今委員の御質問は、一つのパスポートで三回入国した例があるかどうかということでございますか。それは、今そういう資料は手元にございません。調べてみます。

○枝野委員

 今回の偽造パスポート、偽造でありますから、だれかがどこかで偽造してそれを入手したのか、自分で偽造したのか。こういう偽造パスポートの入手ルートについては把握をできているのですか、できていないのですか。

○横内副大臣

 今回の偽造パスポート、どういうような組織がつくって、それをどういうふうに入手したのかというようなことにつきましては、調査をいたしましたけれども、十分解明はできておりません。

○枝野委員

 ドミニカの偽造パスポートのケースは少ない、信用性が高いというふうに以前レクチャーの方に聞いたのですけれども、そういうことも前提にして今のお話だとすると、これが金正男かどうかという政治問題以前の問題で、そもそも入管行政として、過去こんなに同じパスポートで入ったケースがあるかどうかわからないという、ある意味では特殊なケースなわけですね。たくさんあるのだったら、あります、数はわからないけれどもありますと答えられるわけで、一つ、レアケースなわけです。

 もう一つは、ドミニカパスポートという信用性が高いと言われているパスポートについて、三度も見逃されるような、そんな精巧な偽造をしていたというケースなわけですよ。我が国の入管行政をしっかりさせようと思ったら、この点限りにおいてももっときちんと捜査すべきではないですか。

○横内副大臣

 ドミニカ共和国のパスポートが信頼性が高いかどうかという判断はともかくといたしまして、偽造ドミニカ共和国旅券というのが最近は大変にふえておりまして、平成十一年度はゼロだったわけでありますが、平成十二年度中に五件、このドミニカ共和国の偽造パスポートが発見されております。

○枝野委員

 では、その五件について、どういうところでどうつくられてという捜査はどれぐらいしたのですか。

○横内副大臣

 この偽造パスポートにつきまして、具体的にどういう製造ルートだったかという調査は、当然それを利用した人間にいろいろな調査をするわけでありますけれども、そこまでは私どもとしては調査はしておりません。

○枝野委員

 ちなみにドミニカ共和国には今回のケース、あるいは、過去の十二年に五件ですか、そういうケースについて通報して、そっちでどうなっているのか、変なパスポートで入ってこられたら困るからというような交渉とかはしたのですか、していないのですか。

○横内副大臣

 ドミニカ共和国に対しましては、今回この偽造旅券が発見をされたということにつきまして、外務省を通じてドミニカ共和国がその旅券を発給したかどうかという事実も確認をしております。五月二日に外交ルートを通じて同国に照会をし、五月十五日に、それは偽造だ、当国としてはそういうものを発給したことはない、そういう回答を得ておりますので、ドミニカ共和国にそういう事実は伝えているということでございます。

○枝野委員

 この問題は政治問題の方が最初に出てきてしまったのでみんな忘れてしまっているのですけれども、入国管理行政として不法入国をきちんとシャットアウトするということは大事なわけですよ。この偽造パスポートで過去三回も入っているわけですよ。そういう精密な偽造をすることについて、どういうところでどうつくっていて、どういうルートでこれが流れているのか。しかも、過去、おととしなかったのに去年は五件も出てきている。しかも三件、つまりチェックできなかったわけですね。

 当然のことながら、こういう偽造パスポートがつくられないようにドミニカ共和国とも協力をして、例えば、ドミニカ共和国に対してどういう情報があればそっちで捜査しやすいのだというようなやりとりを十分にして、その上で、もちろん主体的にはドミニカ共和国が捜査しなければいけない話ですけれども、そのための情報資料はどれぐらい金正男と思われる男からとったのですか、とっていないのですか。

○横内副大臣

 先ほども御答弁をいたしましたけれども、この偽造パスポートをどういうふうに入手したか、その辺につきましては調査をいたしましたけれども、確認ができなかったということでございます。

○枝野委員

 何を調査したのですか。どこで調査したのですか。基本的には、ドミニカ共和国のパスポートを持ってシンガポールからやってきたのだから、シンガポールとかドミニカとか、そういうところにいろいろ照会をかけて、そんなもの二日や三日で調査できるのですか。やっていないではないですか。

○横内副大臣

 入管の調査というのは、委員御案内のように、出入国の適正な管理をする。そして、偽造のパスポートを使って不正に入国した場合にはそれを速やかに退去させるというのが入管法の目的でございますから、入国管理担当の職員はそういう観点での調査を行っているわけでございまして、さらにそれを、ドミニカ共和国でどういうルートでどうやってそれがつくられたかとか、そういうことまでは一般的には調査をしていないということでございます。

○枝野委員

 そのことが間違っているのですよ。だから告発権があるのですよ。捜査機関に捜査をさせるための告発権があるのですよ。日本の入管行政というのは、偽造パスポートを持っている人間を入管のところでチェックをして、偽造パスポートだったら追い返す。だけれども次から次へと偽造パスポートで、しかも自分たちが過去に三回も見逃しているわけですよ、そういう精密な偽造パスポートがどんどんつくられてどんどん入ってこようとしていても、その根元のところはほっておいて、日本の入国管理というのは関係ないのですね。どんどんつくられて構わないのですね。今の答えはそういうことでしょう。

○横内副大臣

 偽造パスポートがどんどんつくられて構わないということではもちろんないわけでありますけれども、入管職員の仕事としては、そういう偽造パスポートをできるだけしっかりと発見をし、そしてそういう不正な入国に対しては退去をする、そういう仕事をきちっとやっていくというのが入管職員の仕事でございますから、そういうことで仕事をしているということでございます。

○枝野委員

 私は入管局長にお尋ねをしているのではないのですから。入管局のお役人の人がそういう処理をするのは当たり前ですよ。そこに捜査権限もないのだし。だから法律に「告発するものとする」と書いてあるのでしょう。

 直接には海外まで含めて捜査をするだなんということはできないから、こんな偽造パスポートがたくさんある、あるいは今までなかったような精密な偽造パスポートがつくられている、根元を絶とうと思ったら不法入国罪で捜査機関に捜査をしてもらう。だから告発の条項があるのではないですか。なぜ告発の条項を使わないのですか。今回のようなケースで使わなければいつ使うのですか。

 まさに皆さん自身が見逃すような精密なパスポート、しかもふえてきている。その国のパスポート、こんな変なものをつくられないようにということは、もう我が国だけに限らないけれども、特に我が国へ入ってきているケースが最近ぼっと出ているわけだから、我が国の入国管理行政をしっかりさせるために告発するのは当然じゃないですか。

○横内副大臣

 偽造パスポートを使った不正入国というのは非常に件数が多いわけでございまして、例えば、具体的に数字は後でお話をいたしますけれども、非常に件数が多いわけであります。したがって、何でもかんでも偽造パスポートを使っているから告発というわけにはいかないわけでありまして、偽造パスポートを使って入ってきた人間が犯罪にかかわりがあるとか、そういう場合に限って告発をする、実際の運用としてはそういう運用でやらせていただいているということでございます。

○枝野委員

 その従来の運用が間違っているんじゃないかというのが一つですよ。だって、間違いなくすべての偽造パスポートの話は不法入国罪で、犯罪そのものなんですから、成田におり立った瞬間に。やろうと思えば、全部逮捕できて、全部起訴することはできるんですよ。

 それからもう一点、そもそも間違いなのは、数が多いからこそ根っこを断たなきゃいけないんじゃないですか。固有名詞は挙げませんけれども、偽造パスポートがはんらんをしているような国の話だったら、あるいは本国の方の体制だって不備もいろいろあったりするだろうから、ある意味では我が国ではどうにもならない、チェックを一生懸命するしかないというケースも確かにあるでしょう、相手国によっては。でも、ドミニカというのは、おととしまでは前例がないような信用性の高いパスポートだったはずなのに、去年五件も出てきている。しかも、その五件のほかですよね、今回の、過去に三件入っているというのは。ということは、こういう芽の段階で摘むということが、まさにあの告発条項、告発の規定があるということに込められている意味じゃないんですか。こういうところで告発をするから、ばかみたいな数がたくさんあるという話になる前にとめられるということじゃないですか。

○横内副大臣

 委員の御指摘のような点は私どももわかるわけでありますが、現実に毎年数百件というような偽造パスポートを使った不法入国事案があって、それを現実にすべて告発をするということになると、実態の手続としてなかなかやはり警察としても対応できないということがあるわけであります。したがって、犯罪にかかわる事例とかそういうものに限って、悪質なものについて告発をしているということでございます。

 今回の場合には、具体的にそういった、例えば麻薬の問題だとかあるいは過去に犯歴があったとか、そういうふうな事例ではなかったために、従来の処理例に従って、告発はせずに強制退去処分をしたということでございます。

○枝野委員

 時間のようですから、最後に、今の御答弁に対して二つ申し上げておきたいというふうに思います。

 今度警察にも私お尋ねしようと思います。警察の方は、何百件という不法入国について告発をされたら捜査する力がないほど日本の警察というのは頼りないんですねと今度警察にお尋ねをしたいというふうに思います。本当にそういう話なんですかということですよ。

 それから、例えば今麻薬云々とかという話をおっしゃいました。確かに、麻薬を所持して不法入国をするとかいうようなケースの方が悪質なのはよくわかります。でも、入国管理行政というのはそういうものじゃないんじゃないですか。つまり、偽造のパスポートみたいなもので入ってくるということ、そのこと自体が麻薬を国内でやるケースと匹敵するぐらい大変重大な話ではないんですか、この国にとっては。それとも、我が国は、そういう国境の垣根は低くします、どんどん入っていらっしゃいと。少なくとも我が国はそういう政治選択をまだしていないですよね。入国のところでがっちりガードする。

 私は、不法入国罪そのものが、例えば覚せい剤とかそういう事案と同じぐらい、それが正しいかどうかは別として、少なくとも今の日本では重大な犯罪だということの位置づけで、前提で我が国の入国管理行政はできているというふうに思いますので、麻薬とかがくっついていなかったらただ追い返せばいい――もちろん、全部を全部起訴しろなんて言っていませんよ。根っこを断つために必要だと思われるケースは少なくとも、起訴するかどうかは別として、告発して、逮捕、勾留しておいて、その上でドミニカとかシンガポールとかといろいろと協力をして根っこを断つための努力をするというのが、金正男だろうとだれであろうと、それ以前の問題の入国管理行政として当然やるべきことだったということを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

<他の議員の発言部分省略>